部署別 / 都市計画課
都市計画課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで
都市計画課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「都市計画の策定、開発許可に関する業務」
この1行で終わってしまいます。
読む側は、ここから「計画書を作っていた人」という像しか作れません。実際には、上位の計画と地域の事情の両方に合わせながら、線を引き、制限を決め、反対も記録に残したまま手続を通してきたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは都市計画課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は都市計画課から転職しやすい業界と職種に書いています。
「適合するとともに」「特質を考慮して」「一体的かつ総合的に」
書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。
都市計画法第13条第1項は、都市計画基準をこう定めています。
都市計画区域について定められる都市計画は、……国の計画に適合するとともに、当該都市の特質及び当該都市における自然的環境の整備又は保全の重要性を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。
3つの条件が、同時にかかっています。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 上に合わせる | 国や県の計画に適合する |
| 地域を反映する | 当該都市の特質を考慮する |
| バラバラにしない | 一体的かつ総合的に定める |
ここが要点です。
この3つは、しばしば互いに引っ張り合います。
上位の計画に合わせようとすると、地域の実情と合わない部分が出ます。地域の要望を反映しようとすると、他の地区との整合が崩れます。個別の事情に応えていくと、全体としての一貫性が失われます。
つまり、この仕事は「整合を取る仕事」です。
そして、整合を取った結果には、必ず根拠が要ります。
なぜ、この線なのか。なぜ、この用途なのか。なぜ、この地区だけ扱いが違うのか。
議会でも、審議会でも、住民の説明会でも、問われるのはこれです。
書類には、この部分を書いてください。
- 何と何の整合を取ったか(上位の計画、他の部署、隣接する市町、既存の地区計画)
- どういう根拠で決めたか(調査のデータ、人口の推計、既存の建物の状況)
- どう説明したか(審議会、議会、住民)
「都市計画の策定」ではなく、この3つです。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所の都市計画課に配属され、都市計画の策定と開発許可に関する業務を担当しました。
規模も、件数も、範囲も入っていません。
良い例
> ◯◯市(人口約◯万人、都市計画区域約◯ヘクタール)の都市計画の部門において、土地利用の計画と、開発許可の審査を担当しました。用途地域の変更◯件、地区計画の策定◯件について、案の作成から公告縦覧、意見書◯件の整理、都市計画審議会への付議、決定の告示までを通しています。あわせて、開発許可の申請を年間約◯件審査し、事前の相談を年間約◯件受けて、可否と必要な手続の見通しを提示しました。
入っているもの
- 都市計画区域の面積(=扱っていた範囲)
- 決定・変更の件数と、通した手続
- 意見書の件数
- 開発許可の審査と、事前の相談の件数
4つ目が、民間でいちばん見られる部分です。「判定できる人かどうか」が、ここで分かります。
担当業務
「都市計画の策定」で丸めず、機能に分けて書いてください。
悪い例
> ・都市計画の決定、変更> ・開発許可事務> ・都市計画審議会の事務> ・その他庶務
良い例
> 【計画の策定】> 都市計画マスタープラン、立地適正化計画の策定と改定。上位の計画との適合と、地域の実情の反映を同時に満たす必要があるため、根拠となる調査のデータを整理したうえで案を作成。>> 【区域と用途の設定(変更◯件)】> 区域区分の見直し、用途地域の指定と変更、地区計画の策定。線の位置によって土地の扱いが変わるため、変更の理由を地区ごとに整理して説明資料を作成。>> 【都市施設の都市計画決定】> 道路、公園、下水道等の都市計画決定と変更。長期にわたり未着手の施設について、必要性の再検証を実施。>> 【法定の手続(意見書◯件)】> 案の公告と縦覧、意見書の受付と要旨の作成、都市計画審議会への付議、決定と告示。期間と順序が法律で決まっているため、年度の初めに一年分の日程を確定。>> 【開発許可(審査◯件・事前の相談◯件)】> 申請の受付、技術の基準と立地の基準の審査、許可、完了の検査、事前の相談への対応。申請前の相談で可否と手続の見通しを示す運用を担当。>> 【基礎調査と情報の管理】> 都市計画基礎調査の実施と分析、決定の情報の図面とデータの管理、公開。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を整理していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、決定という一点に見えるからです。
悪い例
> 都市の健全な発展と秩序ある整備に努めました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:整合を取った
> 用途地域の見直しについて、上位の計画、隣接する市町の計画、既存の地区計画、庁内の関係する部署の計画を突き合わせ、整合が取れていない箇所を抽出。とくに◯◯の区域について、他部署の事業の計画と用途の制限が合っていなかったため、双方の担当と協議して調整。変更の案に反映し、◯件の変更を同時に決定した。
型2:手続を通した
> 地区計画の策定について、説明会◯回を実施し、公告縦覧で提出された意見書◯件を趣旨ごとに整理。要旨と市の見解を付して審議会に提出し、決定と告示まで◯か月で完了した。
型3:判定を速くした
> 開発許可の事前の相談について、確認すべき項目(区域区分、用途地域、接道、排水、他法令の協議先)を一覧にして、相談の初回で示す運用に変更。申請後の差し戻しが◯件から◯件に減り、受付から許可までの期間を◯日短縮した。
型3が、この経歴でいちばん効く形です。「判定を速くした」という話は、民間の側がいちばん求めているものだからです。
型1も強いです。バラバラの計画を突き合わせて、ずれを見つけて直したという話は、複数の部門の計画を扱う仕事で、そのまま同じことをします。
数字の出し方
公表されている資料と、手元の記録から取ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 都市計画区域の面積 | 職務要約 | 扱っていた範囲。公表されている |
| 決定・変更の件数 | 職務要約、実績 | 通した手続の量 |
| 意見書の件数 | 職務要約、実績 | 利害の対立の中で通した証明 |
| 開発許可の審査の件数 | 職務要約、担当業務 | 許可の側の経験量 |
| 事前の相談の件数 | 職務要約、実績 | 民間でいちばん見られる。自分で数えるしかない |
| 説明会の回数と参加人数 | 実績 | 合意形成の実績 |
| 受付から許可までの期間 | 実績 | 見通しを言える証明。標準処理期間は公表されている |
| 地区計画の区域の面積と地権者数 | 実績 | 合意の規模が伝わる |
3行目から5行目が中心です。意見書・審査・事前の相談。この3つが揃うと、「手続を通し、判定もできる人」として読まれます。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
自分の数字がどう読まれるかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| デベロッパー・用地 | 事前の相談と判定 | 開発許可の審査 | 手続の期間 |
| 建設コンサル | 計画の策定と手続 | 基礎調査の分析 | 審議会の運営 |
| 設計事務所 | 用途地域と制限の読み方 | 開発許可と建築の接続 | 行政との協議 |
| まちづくり・エリアマネジメント | 地区計画と地権者の合意 | 景観のルール | 説明会の運営 |
| 自治体を顧客とする企業 | 基礎調査とデータの管理 | 決定の情報の整理 | 計画の構成 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
相談も、意見も、立場があるから知り得たものです。
- 開発の相談をしてきた事業者や、その計画の内容(公表前のもの)
- 意見書を出した人が特定できる書き方
- 審議会での個別の発言や、委員の意見
- 用途地域の変更の検討のうち、公表されていないもの
- 地権者の氏名、土地の所有の状況
- 他の部署や関係機関との協議のうち、合意に至っていない内容
- 特定の自治体の内部の状況や、部署の評判に関すること
書けるのは、「どの手続を、どういう順で、どれだけの規模で通したか」と「件数」までです。
> ✕ 「◯◯地区の用途変更について、◯◯社の開発計画に合わせて検討を進めた」> ○ 「用途地域の変更について、上位の計画と関係する部署の計画との整合を確認したうえで案を作成。公告縦覧と意見書の整理を経て、審議会への付議と決定の告示まで◯か月で通した」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の案件ではなく、自分が通した手続が書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「都市計画の策定」で丸める
計画/区域と用途/都市施設/手続/開発許可/基礎調査の6つに分けてください。
2. 意見書の件数を書かない
利害の対立の中で手続を通した証明です。
3. 事前の相談を数えていない
民間でいちばん見られる数字なのに、記録に残っていないことが多いものです。
4. 「事務をしていただけ」と考える
案を作り、根拠を揃え、説明したのは自分です。
5. 個別の案件を書いてしまう
事業者、意見を出した人、委員の発言、検討中の変更。すべて書けません。手続と件数で書いてください。
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まとめ
- 都市計画法第13条は、国の計画に適合し、当該都市の特質を考慮し、一体的かつ総合的に定める——3つの条件を同時に課しています
- この3つは互いに引っ張り合います。つまり、この仕事は「整合を取る仕事」です
- そして、整合を取った結果には、必ず根拠が要ります。「なぜ、この線なのか」を説明するのが仕事です
- 職務要約には、区域の面積・決定と変更の件数・意見書の件数・審査と事前の相談の件数を入れてください
- 実績は、①整合を取った ②手続を通した ③判定を速くしたの3つの型で書けます。③がいちばん効きます
- 「決めたのは審議会と市長」と考えないでください。案を作り、根拠を揃えたのは、こちらです
よくある質問
開発許可の担当ではなく、計画の側でした。判定の話は書けません
書けなくて構いません。その場合は、手続と整合を前に出してください。建設コンサルタントや、自治体を顧客とする企業では、計画の側の経験がそのまま業務になります。書くなら、「◯年の都市計画の見直しについて、基礎調査の分析、上位の計画との整合の確認、案の作成、公告縦覧、意見書◯件の整理、審議会への付議、決定の告示までを担当」という形です。とくに、意見書の件数と処理は、この方向でいちばん見られる部分です。判定の経験がないことは、方向を選べば弱みになりません。
都市計画審議会の事務局をしていました。どう書けばよいですか
「合議体の運営」として書いてください。中身は、委員の委嘱に関する事務、議案の作成、資料の準備と事前の配付、当日の運営、議事録の作成、答申の整理です。これは、民間の取締役会や各種の委員会の事務局と、まったく同じ構造です。とくに、議案の資料を作ること——専門ではない委員にも分かる形で、案と根拠を整理する——は、そのまま経営会議の資料の作成にあたります。書くなら、「委員◯人の審議会について、年◯回の議案の作成と運営、議事録の作成を担当」という形です。
区画整理や再開発の担当でした。同じ書き方でよいですか
工程が違うので、分けて書いてください。区画整理や再開発は、権利の変換を伴う事業で、地権者一人ひとりとの合意が必要です。書くべきは、①事業の区域と地権者の数 ②説明会と個別の折衝の回数 ③権利に関する手続(換地、権利変換)④工事の進行と保留地の処分です。とくに、地権者の数と、合意に要した期間を書いてください。これは、民間の再開発や、用地の取得でそのまま求められる経験です。面接で聞かれることは都市計画課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。