財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

部署別 / 税務課

税務課の経験は民間で何と呼ばれるか

税務課から転職しようとすると、多くの方が「経理」や「税理士事務所」を思い浮かべます。

どちらも間違いではありませんが、それだけで探すと求人の幅がかなり狭くなります。税務課の仕事は、民間でいう税務より広い範囲を含んでいるからです。とくに徴収の側の経験は、対応する職種が別にあります。

この記事では、税務課の仕事を分解して、それぞれが求人票でどう書かれているかを並べます。訳語が分かれば、検索する言葉も応募先の選び方も変わります。

税務課が制度上どこに立っているか

先に、この部署の立ち位置を押さえます。ここが、民間に説明するときのいちばんの材料になります。

1つ目は、条例がなければ課税できないということです。

地方税法第3条第1項は、地方団体は、その地方税の税目、課税客体、課税標準、税率その他賦課徴収について定をするには、当該地方団体の条例によらなければならないと定めています。第2項で、長は条例の実施のための手続その他施行に必要な事項を規則で定めることができるとされています。

税率も、何に課税するかも、条例で決めなければならない。担当者の裁量で決められる部分はありません。

2つ目は、徴税吏員という立場です。

地方税法第1条は用語を定義しており、そのなかで徴税吏員を、道府県知事若しくはその委任を受けた道府県職員、又は市町村長若しくはその委任を受けた市町村職員と定めています。

つまり、個人として法律上の権限を与えられた職員がいる、という構造です。

3つ目が、いちばん大きい違いです。

地方税法第331条第1項は、市町村民税に係る滞納者について、督促を受け、その督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないときなどに該当するときは、市町村の徴税吏員は、当該徴収金につき、滞納者の財産を差し押えなければならないと定めています。

「できる」ではありません。「しなければならない」です。

そして、この差押えに裁判所の手続は要りません。行政が自ら執行します。

民間の債権回収では、支払わない相手の財産を差し押さえるには、訴訟を起こして判決を得て、それから強制執行の手続に入ります。行政はその手前が要りません。この違いを説明できると、債権管理の求人では強い材料になります。

税務課が実際にやっていること

自治体によって課の分け方は違いますが、おおむね次の仕事が入ります。

賦課の側

徴収の側

賦課と徴収では、求められることがかなり違います。賦課は基準に照らして正しく決める仕事、徴収は相手と交渉しながら回収する仕事です。どちらを長くやってきたかで、接続しやすい職種が変わります。

庁内の言葉と、求人票の言葉の対応

ここからが本題です。

庁内での言い方求人票での言い方
課税資料の収集と突合データ照合、名寄せ、審査業務
課税客体の把握顧客情報の管理、与信調査
固定資産の評価不動産評価、資産査定、アセットマネジメント
税額の算定、通知書の作成請求業務、料金計算、請求管理
申告の審査、更正・決定審査業務、査定、内部統制
減免・非課税の判断与信判断、例外処理の審査
納付状況の管理入金消込、売掛金管理、債権管理
督促・催告督促業務、回収、コレクション
納税相談、分割納付の協議顧客対応、条件変更の交渉、ワークアウト
財産調査与信調査、信用調査、回収可能性の評価
差押え・換価債権回収、法的措置
執行停止、不納欠損貸倒処理、債権放棄の判断
審査請求への対応苦情対応、法務、係争対応

並べてみると、経理や税務だけでなく、与信・債権管理・回収の領域に広くまたがっていることが分かります。民間では、これらは別々の部署に分かれていることが普通です。

民間の債権管理と、どこが同じでどこが違うか

訳語の対応だけでは伝わりにくいので、同じところと違うところを並べておきます。面接でそのまま使えます。

同じところ

違うところ

この5つのうち、面接でいちばん効くのは3つ目です。民間の債権管理は、そもそも与信の段階で相手を選べます。税務課は選べません。払えない相手も、払わない相手も、全部引き受けたうえで回収するという前提で仕事をしてきたことになります。

「相手を選べない前提で、件数をさばきながら回収してきた」という説明は、回収の現場を知っている人には強く響きます。

この経験がとくに高く評価される場所

同じ税務課出身でも、行き先によって値の付き方が変わります。

1. 金融・与信・債権管理

徴収を担当していた方の、いちばん自然な接続先です。

銀行、信用金庫、信販、リース、保証会社、債権回収を扱う会社などで、督促から回収、条件変更、最終的な処理までを一通り扱ってきた経験が直接使えます。

とくに効くのが財産調査の経験です。預貯金、給与、不動産、保険。どこに資産があるかを調べて、回収の見込みを立てる。民間の与信調査や回収可能性の評価と、やっていることが重なります。

もう一つが執行停止と不納欠損の判断です。回収できないと判断して手を引くのは、民間でいえば貸倒処理です。取りに行く判断だけでなく、やめる判断をした経験がある人は多くありません。

財政・会計の経験が効く求人を見てみる

2. 不動産・資産評価

固定資産の評価を担当していた方の接続先です。

土地と家屋を現地で確認し、基準に照らして評価する。不動産の評価を、決まった基準で大量にこなしてきた経験は、不動産会社、鑑定、アセットマネジメント、金融機関の担保評価といった領域で読まれます。

評価替えの年度に大量の物件を扱った経験があれば、件数を書いてください。それだけで規模が伝わります。

3. 事業会社の請求・回収の管理部門

通信、電力、ガス、水道、教育、医療、サブスクリプション型のサービスなど、利用者が多く、毎月の請求と未収の管理が発生する事業を持つ企業です。

ここで効くのは、件数の多さと、優先順位のつけ方です。税務課は対象者が数万から数十万件の規模になります。全件に同じ手をかけることはできないので、金額、経過期間、資力の見込みで手の掛け方を分けているはずです。この振り分けの設計が、そのまま業務設計として読まれます。

「◯件の滞納案件を、金額と経過期間で区分して、対応の順序を決めた」と書けると、規模の大きい請求管理を回せる人として伝わります。

4. 自治体を顧客にする企業

税務系のシステム、コンビニ収納や電子納付のサービス、滞納整理の支援を行う会社などです。

ここでは、課税と収納の実務を知っていること自体が値になります。どの時期に何が発送され、どの帳票がどう回り、どこで例外処理が発生するのか。外からは見えません。システムの導入で現場が止まる原因の多くは、この理解の欠落から来ます。

行政が相手の求人を見てみる

職務経歴書でつまずきやすい点

1. 「税務課で徴収を担当」で止める

求人票にこの言葉はありません。「債権管理」「回収」に置き換えてください。

2. 件数と金額を書かない

税務課は扱う件数が多い部署です。担当した件数、財産調査の件数、差押えの件数、納税相談の件数。規模が伝わる数字を必ず入れてください。

3. 交渉の中身を書かない

納税相談は、相手の生活状況を聞き取って分割の条件を組む仕事です。これは民間でいう条件変更の交渉そのものです。「相談に応じた」ではなく、何を聞き取り、どの条件で合意したかを書いてください。

4. やめた判断を書かない

執行停止や不納欠損の判断は、回収できないと見極めた経験です。民間の貸倒処理に対応します。書いていない方が多いのですが、取りに行く話より差が付きます。

5. 賦課と徴収を分けずに書く

求められることが違うので、どちらを何年やったかを明示してください。混ぜて書くと、どちらの専門性も伝わりません。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

在職中でも、情報収集だけでも構いません。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。

よくある質問

税理士や簿記の資格がないと、転職先は限られますか

限られません。税務課の経験で値が付くのは、税法の知識より債権管理と評価の実務だからです。税理士事務所や企業の税務部門を狙うなら資格の話になりますが、金融・与信・債権管理の方向では実務経験のほうが直接効きます。先に方向を決めてから、必要かどうかを判断してください。

滞納整理の経験は、印象が悪くなりませんか

なりません。むしろ、制度に基づいて回収する仕事を続けてきた人として読まれます。注意点は1つで、特定の滞納者が分かる書き方をしないことです。「生活状況を聞き取ったうえで分割の条件を組んだ」のように、判断の構造で書いてください。個別の事情を書く必要はありません。

賦課と徴収では、どちらが転職に有利ですか

有利・不利ではなく、接続先が違います。徴収は金融・与信・債権管理に、賦課は審査業務・不動産評価・請求管理に接続しやすくなります。求人の数でいえば債権管理の方向のほうが多くなりますが、固定資産の評価は代わりのいない経験です。両方を経験しているなら、応募先に合わせてどちらを前に出すかを決めてください。

出典

  1. 地方税法 第1条(用語)/第3条(地方税の賦課徴収に関する規定の形式)/第331条(市町村民税に係る滞納処分)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。