財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

業界研究 / 物流

物流の年収と働き方|公務員から移るとどう変わるか

物流を検討される方から、心配そうに伺うことがあります。

「長時間働く業界だと聞いています」

この業界には、その印象が付いて回ります。ところが、制度の側から見ると、事情が違います。

勤務時間と乗務時間については、法令上、基準を遵守する義務が事業者に課されています。しかも、その遵守の状況は、行政の監査の対象です。

この記事では、何が根拠になっているかと、職種によって働き方がどう違うかを扱います。業界の構造は未経験から物流に入るにはにあります。

⚠ なお、給与の水準について、当社が数字でお答えすることはできません。会社ごとに事情が違いますし、裏を取っていない数字を並べるのは、この記事の趣旨に反します。

勤務時間と乗務時間には、遵守すべき基準があります

貨物自動車運送事業法第15条です。

> (輸送の安全)第十五条 一般貨物自動車運送事業者は、次に掲げる事項に関し国土交通省令で定める基準を遵守しなければならない。>> 一 事業用自動車の数、荷役その他の事業用自動車の運転に附帯する作業の状況等に応じて必要となる員数の運転者及びその他の従業員の確保、事業用自動車の運転者がその休憩又は睡眠のために利用することができる施設の整備及び管理、事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定その他事業用自動車の運転者の過労運転を防止するために必要な事項

「適切な勤務時間及び乗務時間の設定」が、遵守すべき基準の対象として条文に書かれています。

⚠ ただし、この条文が直接の対象としているのは、事業用自動車の運転者です。管理部門や事務の職種の労働時間は、この条文ではなく、労働基準法の枠組みで管理されます。

ここを取り違えないでください。

それでも、この条文を知っておく意味があります。運転者の勤務時間を管理する仕事が、法令に紐づいて存在するからです。その管理を担うのが、運行管理の職種です。

安全管理規程を定める義務があります

同法第14条です。

> (安全管理規程等)第十四条 一般貨物自動車運送事業者(その事業用自動車の数が国土交通省令で定める数未満であるものを除く。以下この条において同じ。)は、安全管理規程を定め、貨物の運送を開始する日(中略)までに、国土交通省令で定めるところにより、(中略)届け出なければならない。

規程を定め、届け出る——この構造です。

つまり、この業界には「規程にもとづいて運用し、記録を残し、監査を受ける」仕組みが、法令として組み込まれています。

役所の仕事の進め方と、構造が同じです。そして、この構造を回せる人が、この業界では足りていません。

給与の根拠は、条例から就業規則に変わります

いま、給与の根拠になっているのは条例です。

地方公務員法第24条第1項は、「職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない」と定め、同条第2項は、生計費・国や他の地方公共団体の職員・民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならないとしています。

民間企業では、この構造がありません。

労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を義務づけ、記載事項として「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を挙げています。

役所物流会社
根拠条例就業規則・給与規程
見られるか公表されている在職者は見られる。応募時は要確認
職種による差職種の区分が限られる現場と管理で体系が別のことがある
拠点による差基本的に無い拠点ごとに手当が違うことがある

3行目が、この業界の特徴です。運転者・作業者と、管理・事務では、給与の決まり方が別の体系になっていることがあります。応募する職種がどちらの体系かを確認してください。

働き方は、職種で大きく分かれます

職種勤務の時間帯突発の多さ役所との差
運行管理早朝・夜間の点呼がある多い差が大きい
倉庫の運営管理入出庫の時間に沿う中程度差が大きい
安全・コンプライアンス通常の時間帯が多い監査の時期に集中近い
総務・人事通常の時間帯少ない近い
経理通常の時間帯締めの時期に集中近い
物流の企画・改善通常の時間帯中程度近い
荷主側の物流部門荷主企業の勤務時間に沿う中程度近い

「物流は長時間」という印象の多くは、上の2つと、現場の作業の職種から来ています。

下の5つは、他の業界の管理部門と大きく変わりません。

⚠ 求人を見るときに、この違いを意識してください。同じ会社の中でも、職種によって生活の組み立て方がまったく違います。

荷主側の物流部門という選択肢

未経験から物流に入るにはでも触れましたが、製造業や小売業の中にある物流の部署は、働き方の面でも候補に入れる価値があります。

物流会社荷主側の物流部門
勤務時間拠点の稼働に影響される荷主企業の勤務時間
仕事の中身自社で運ぶ・預かる委託先の選定と管理、コストの管理
相手荷主、乗務員、作業者物流会社、社内の各部門
効く経験記録・規程・労務の管理契約と、履行の確認

契約や委託の管理をしてきた方は、右の列のほうが経験と重なります。

公務員の経験が効く場所・効きにくい場所

効く場所

場面効く理由
規程にもとづく運用要綱にもとづいて処理してきた
記録の整備と保存後から検証される前提の書類の作り方
勤務時間の管理超過勤務の命令と実績の管理の経験
監査・立入への対応検査する側にいた
委託先の管理契約と履行の確認の経験
締切のある業務を回す予算・決算の日程で動いてきた

効きにくい場所

場面効きにくい理由
突発の事態への即応事故・渋滞・天候で計画が崩れる
料金の設定と交渉値決めの判断を自分でする
現場の作業の段取り時間単位で動く感覚
早朝・夜間の勤務生活のリズムが変わる

1つ目について、災害対応・選挙の事務・感染症の対応を経験した方は、「当日に計画が崩れる」状況を知っています。その経験は、そのまま材料になります。

入る前に確認しておくこと

労働基準法第15条第1項は、労働契約の締結に際して、賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定めています。条件を示してもらうことは、権利として認められています。

確認することどこで確認するか
賃金の決定・計算・支払の方法、昇給給与規程・労働条件通知書
就業の場所(拠点の所在地)労働条件通知書
始業・終業の時刻、休憩、休日就業規則
交替制・早朝・夜間の有無面接で確認する
点呼の立会いがあるか面接で確認する(運行管理の職種)
現場と管理で給与の体系が違うか給与規程
転居を伴う異動の範囲面接で確認する

4つ目と5つ目は、必ず確認してください。生活の組み立て方に直結します。

とくに点呼の立会いは、運行管理の職種では中核の業務です。時間帯が早朝や深夜に及ぶことがあります。

経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。

面接で聞かれやすいこと

聞かれること何を見られているか
早朝・夜間の勤務は可能ですか前提の確認
計画が崩れたときに、どう動きましたか突発への対応
通勤の手段は確保できますか拠点の場所の前提
記録の管理をした経験はありますかこの業界の中核
条件面で、譲れない点はありますか後から食い違わないか

1つ目と3つ目は、正直に答えてください。

難しい事情があるなら、その場で言っておくほうが良いです。職種や拠点を調整してもらえることがあります。

5つ目に「特にありません」と答えないでください。入ったあとに食い違う可能性を残します。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

よくある質問

求人票に「みなし残業」と書かれています。どう読めばよいですか

一定時間ぶんの時間外労働に対する割増賃金を、あらかじめ定額で支払う仕組みを指していることが多いです。確認していただきたいのは、「何時間ぶんが含まれているか」「超えた場合はどうなるか」の2点です。定められた時間を超えた部分については、別に支払われるのが原則です。面接で確認して構いません。あわせて、基本給と手当の内訳も確認してください。総額だけを比べると、構成の違いが見えません。なお、当社が会社ごとの運用をお伝えすることはできません。求人票と規程で確認してください。判断に迷う内容があれば、書面で示してもらうようにしてください。

繁忙期は、いつですか

扱う荷物によって違います。消費財を扱う拠点では、年末や、大型の連休の前に荷動きが増える傾向があります。一方、建設資材や工業製品を扱う拠点では、年度末に集中することがあります。役所の年度末と重なるかどうかは、応募先によります。確認のしかたは、面接で「一年のうち、いちばん忙しいのはいつ頃ですか」と聞くことです。あわせて、その時期に管理部門がどう関わるかも聞いてください。現場が忙しくても、経理や総務の職種では影響が限られることもあります。自分の職種での影響を確認してください。

退職の時期は、いつにするのが良いですか

この記事では判断できません。退職手当の算定、共済の扱い、年次有給休暇の残りなど、個別の事情で変わります。所属の人事担当部署と、共済組合の窓口で確認してください。一般論として申し上げられるのは、内定が出てから退職の意思を伝えるほうが、選択肢が残るということだけです。あわせて、物流では繁忙期を避けた入社時期を相談されることがあります。現職の引き継ぎに必要な期間は、選考の段階で伝えておいてください。なお、当社が、いまの職を辞めることをお勧めすることはありません。確認した結果、残るという結論も正しい結論です。

出典

  1. 貨物自動車運送事業法 第14条(安全管理規程等)/第15条(輸送の安全)|e-Gov法令検索
  2. 労働基準法 第15条(労働条件の明示)/第89条(就業規則の作成及び届出の義務)|e-Gov法令検索
  3. 地方公務員法 第24条(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。