業界研究 / まちづくり・都市開発
まちづくり・都市開発の選考フローと、面接で見られている観点
まちづくり・都市開発の選考について、公務員の方が最初につまずく点があります。
「求人票に資格が並んでいて、応募できる気がしません」
この業界の求人票には、たしかに資格の名前が並びます。
ただし、すべての職種で必須とは限りません。そして、資格が何を意味しているかを知ると、読み方が変わります。
この記事では、選考の流れと、資格の扱い、面接で見られている観点を扱います。業界の構造は未経験からまちづくり・都市開発に入るには、志望動機の組み立てはまちづくり・都市開発の志望動機にあります。
技術士とは、何を指す資格か
求人票でいちばんよく見る資格から説明します。
技術士法第2条第1項です。
> この法律において「技術士」とは、第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術(人文科学のみに係るものを除く。以下同じ。)に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務(他の法律において(中略))を行う者をいう。
「第三十二条第一項の登録を受け」——登録を受けることが、技術士の定義に含まれています。
そして、業務の内容として「計画」が最初に挙げられています。
まちづくり・都市開発の仕事の多くは、この「計画」に当たります。だから、この資格が求人票に出てきます。
⚠ 試験の区分、受験の要件、登録の手続きについては、所管する文部科学省や試験を実施する機関の公表を確認してください。当社が確認していない内容は、この記事には載せていません。
資格が「必須」か「歓迎」かを見分ける
求人票の書き方で、扱いが違います。
| 書かれ方 | 意味 |
|---|---|
| 必須要件の欄にある | 無いと応募できない |
| 歓迎要件の欄にある | 無くても応募できる |
| 「取得支援あり」とある | 入ってから取る前提 |
| 「◯◯または同等の経験」 | 経験で代替できる |
4つ目の書き方が、この業界には多いです。
「技術士、またはこれと同等の実務経験を有する方」という形で書かれていることがあります。行政での計画の策定や事業の実施の経験が、ここに当たる場合があります。
⚠ 該当するかどうかは、会社の判断によります。迷ったら、応募の前に問い合わせて構いません。「◯◯の実務経験がありますが、応募の対象になりますか」。この問い合わせ自体が、失礼にはなりません。
そして、調整・手続きを担う職種や、まちづくり会社の職種では、資格が要件になっていない募集もあります。
選考の流れは、職種で分かれます
| 職種 | 流れの型 | 回数の目安 |
|---|---|---|
| 再開発コンサルタント | 書類 → 部門長 → 役員 | 2〜3回 |
| 都市計画コンサルタント | 書類 → 部門長 → 課題の提出 → 役員 | 3回前後 |
| デベロッパー | 書類 → 人事 → 部門長 → 役員 | 3〜4回 |
| 建設コンサルタント | 書類 → 技術部門 → 役員 | 2〜3回 |
| まちづくり会社 | 書類 → 代表・責任者 | 1〜2回。速い |
都市計画コンサルタントでは、課題の提出を求められることがあります。
「この地区について、あなたならどう進めますか」という形で、簡単な提案を作らせるというものです。
⚠ ここで、役所の目線で書かないでください。「まず現況の調査を行い、課題を整理し」という書き方は、行政の計画の策定の手順です。求められているのは、「誰に、何から話しに行くか」です。
まちづくり会社は、選考が速いです。組織が小さく、代表が直接判断するためです。
役所の採用試験と違う点は、筆記試験が無いか軽いことです。書類と面接で判断されます。
面接で見られている観点は、5つです
| 観点 | 具体的に確かめられること |
|---|---|
| ① 合意形成の経験 | 年単位で向き合った経験があるか |
| ② 止まった状態への耐性 | まとまらない案件に居続けられるか |
| ③ 行政との協議の段取り | どの課と、どの順で話すかが分かるか |
| ④ 立場の切り替え | 事業者の側に立てるか |
| ⑤ 受注への構え | 提案の場面にどう関わるか |
①と②が、この業界の核心です。
まちづくり・都市開発の志望動機でも触れましたが、「まとまらなかった案件は、どう扱いましたか」という質問には、まとまらなかった話をそのまま答えてください。
③は、公務員の強い持ち札です。
答え方は、具体的に。「この種の協議では、先に道路の部署と話して幅員の考え方を確認しておかないと、建築の部署との協議が空転します。順番を間違えると、戻ることになります」。この種の説明ができる人は、この業界では即戦力です。
⑤は、職位によります。担当として入るなら、「提案書の作成を支援する形から入りたい」で足ります。
公務員の経験が効く場所・効きにくい場所
効く場所
| 場面 | 効く理由 |
|---|---|
| 制度・手続きについての質問 | 条文と運用の両方を知っている |
| 行政との協議の段取り | 関係の地図を持っている |
| 権利者対応についての質問 | 用地・住民説明の経験 |
| 書類の作り込み | 記録を残す習慣 |
| 補助の制度についての質問 | 交付する側にいた |
効きにくい場所
| 場面 | 効きにくい理由 |
|---|---|
| 成果を数字で語る | 役所では個人の成果として記録されない |
| 自己紹介を短く話す | 説明が経緯から始まりがち |
| 課題の提出で、実行の手順を書く | 計画の手順で書いてしまう |
| 採算についての質問 | 予算の執行とは見る方向が違う |
3つ目について、もう一度。課題を出されたら、「誰に、何から話しに行くか」から書いてください。
現況の調査から始める答えは、行政の側の手順です。民間は、権利者の顔が見えている前提で動きます。
準備の手順
| 順 | やること | 目安 |
|---|---|---|
| 1 | 年単位で向き合った経験を3つ書き出す | 1時間 |
| 2 | まとまらなかった案件を1つ用意する | 30分 |
| 3 | 協議の相手と順番を、担当した案件ごとに書き出す | 1時間 |
| 4 | 応募先の実績のページを読む | 1時間 |
| 5 | 求人票の資格の扱い(必須か歓迎か)を確認する | 20分 |
| 6 | 確認する項目を3つ決める(勤務地・転勤・案件の数) | 20分 |
3つ目が、この業界で最も効く準備です。面接でそのまま使えます。
経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。
逆質問で使えるもの
| 質問 | 何が分かるか |
|---|---|
| いま動いている案件は何件ありますか | 仕事の密度 |
| そのうち、着手から5年以上のものはありますか | 案件の構成 |
| 転勤や長期の出張の範囲を教えてください | 勤務地の前提 |
| 入って最初に任せたいことは何ですか | 期待されている役割 |
| 権利者対応で、夜間や休日の対応はありますか | 生活の組み立て方 |
5つ目を忘れないでください。まちづくり・都市開発の年収と働き方で触れたとおり、権利者の方にお勤めの方がいれば、協議が平日の夜や休日になることがあります。
内定から入社まで
労働基準法第15条第1項により、労働契約の締結に際して、賃金・労働時間その他の労働条件の明示が求められます。書面で条件を確認してください。
とくに確認していただきたいのは、次の3つです。
| 確認すること | 理由 |
|---|---|
| 就業の場所と、転勤の範囲 | 会社によって幅が大きい |
| 評価の仕組み | 案件が長期のため、単年度で測りにくい |
| 資格手当の有無 | 取る順番の判断に関わる |
まとめ
- 求人票に資格が並んでいても、すべての職種で必須とは限りません
- 技術士法第2条第1項は、技術士を「第三十二条第一項の登録を受け、技術士の名称を用いて、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務を行う者」と定義しています
- ⚠ 試験や登録の要件は、所管と実施機関の公表を確認してください
- 求人票では、必須要件か歓迎要件かを見分けてください。「◯◯または同等の経験」という書き方が多く、行政での実務が当たる場合があります
- 都市計画コンサルタントでは、課題の提出を求められることがあります。⚠ 「現況の調査から」ではなく「誰に、何から話しに行くか」で書いてください
- 見られている観点は、①合意形成の経験 ②止まった状態への耐性 ③行政との協議の段取り ④立場の切り替え ⑤受注への構えの5つです
- ⚠ ③では、所掌事務ではなく「協議の相手と順番」を答えてください。外から入った人には作れない知識です
- ⚠ 応募先を選ぶ前に、再就職に関する規程の確認を済ませてください。選考が進んでからでは遅いです
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
在職中です。面接や課題の提出に対応できますか
対応できます。この業界は中途採用が中心なので、在職中の応募が前提になっています。一次面接をオンラインで行う、平日の夜に設定するといった対応も一般的です。課題の提出がある場合、期限は相談できます。「現職の状況から、◯日いただけますか」と伝えて構いません。⚠ むしろ、短い期限で急がせる会社は、入ったあとの進め方も同じである可能性があります。なお、課題に時間をかけすぎないでください。求められているのは完成度ではなく、考え方の筋道です。半日で書ける分量に収めて、「誰に、何から話しに行くか」が明確であれば足ります。
資格を取ってから応募すべきですか
必須要件でなければ、先に応募して構いません。この業界の中途採用では、実務の経験が先に見られます。行政での計画の策定、事業の実施、権利者との折衝。これらの経験があるなら、資格の有無で足切りされない募集があります。⚠ ただし、必須要件に挙げられている募集には応募できません。求人票で確認してください。また、「取得支援あり」と書かれている会社は、入ってから取る前提で採用しています。この場合、学習を始めていることを伝えると、意欲が伝わります。⚠ 試験の要件については、実施する機関の公表を確認してください。当社が確認していない内容はお伝えできません。
複数の会社を並行して受けても問題ありませんか
問題ありません。中途採用では一般的です。ただし、この業界では会社の数が限られるため、同じ地域で複数社を受けると、業界内で話が伝わることがあります。隠す必要はありませんが、それぞれの会社に対して志望動機を書き分けておくことは、より重要になります。⚠ また、応募先を決める前に、再就職に関する規程の確認を済ませておいてください。複数社に応募してから確認して、その大半が候補から外れるという事態を避けられます。進め方のこつは、日程を少しずらすことです。条件を比べる時間を確保できます。