自治体別 / 特別区
足立区職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
足立区の諸手当は月額137,790円で、23区で5番目に厚い数字です。比率は31.5%。
平均年齢39.8歳、平均給料月額299,900円はどちらも23区の中位。それでも平均給与月額437,690円は23区で4番目に来ます。
総額を押し上げているのは諸手当。23区は地域手当が同じなので、この構造ははっきり見えます。
足立区の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、足立区の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 足立区 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.7 |
| 平均年齢 | 39.8歳 |
| 平均給料月額 | 299,900円 |
| 諸手当月額 | 137,790円 |
| 平均給与月額 | 437,690円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 374,521円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 20% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 20% |
年齢が同じ区と並べる
| 区 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 足立区 | 39.8歳 | 299,900円 | 137,790円 | 437,690円 |
| 目黒区 | 39.8歳 | 298,300円 | 147,318円 | 445,618円 |
| 江東区 | 39.8歳 | 301,900円 | 111,909円 | 413,809円 |
| 北区 | 39.8歳 | 298,900円 | 121,235円 | 420,135円 |
この4区は、平均年齢が39.8歳でまったく同じです。給料月額も298,300〜301,900円と3,600円の幅に収まります。
それでも総額は、目黒区445,618円から江東区413,809円まで31,809円開きます。
年齢も、地域手当も、給料月額もそろっている。残る差は、地域手当以外の手当の積み上がりだけです。足立区の137,790円は、この4区では2番目に厚い位置になります。
23区の地域手当と諸手当の分布は千代田区職員の転職に、東京都の数字は東京都職員の転職に整理しています。
特別区は「市が担う仕事」を担っている
地方自治法第281条は、都の区は、これを特別区というと定め、第2項で、特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務を処理すると規定しています。
つまり特別区は、原則として市と同じ仕事を担っています。福祉も保健も都市計画も区の仕事です。そして第282条により、財源は都と区の間で調整されます。
とくに足立区は、人口の規模が中核市を上回ります。「区役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前と、区の人口を書いてください。詳しくは千代田区職員の転職で整理しています。
区役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 区役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 生活困窮者の相談支援・伴走 | ケースマネジメント、カスタマーサクセス |
| 生活保護の現業と査察 | ケースマネジメント、公共系事業企画 |
| 就労支援・学習支援の設計 | 人材開発、事業企画 |
| 都市計画、再開発、地区計画 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 大規模な住民サービスの運営 | 業務設計、オペレーション改善 |
| 保健・衛生の監視指導 | 品質保証、規制対応 |
| 区有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
| 都・他区との調整 | 渉外、アライアンス |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「離れていく相手を、つなぎ止める」実務
足立区役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
生活困窮者自立支援法第1条は、この法律が生活困窮者自立相談支援事業の実施、生活困窮者住居確保給付金の支給その他の生活困窮者に対する自立の支援に関する措置を講ずることにより、生活困窮者の自立の促進を図ることを目的とすると定めています。
「相談支援事業」が、最初に書かれています。
給付ではなく、相談から始まる仕組みです。そしてこの仕事の難しさは、相手が自分から来てくれるとは限らないところにあります。
- 困っている人ほど、窓口に来ない
- 来ても、本当の事情はすぐには話さない
- 制度を紹介しても、手続きの途中で離れてしまう
- 複数の課題(仕事、住まい、健康、家族)が絡んでいる
- 一度つながっても、状況が変われば元に戻る
「離れていく相手を、つなぎ止めながら伴走する」という仕事です。
これは、民間のカスタマーサクセスとまったく同じ構造です。
契約したあと、使われないまま解約されるサービス。離れる前に気づき、理由を聞き出し、使い方を作り直す。そして相手は、こちらの都合では動きません。
さらに難しいのは、複数の課題が絡んでいる場合です。社内では、営業、サポート、開発がそれぞれの窓口を持ち、相手から見るとたらい回しになる。この状態をつないで解決する役割が、いま多くの企業で不足しています。
求人票では、カスタマーサクセス、ケースマネジメント、事業企画、人材開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度名を並べないことです。担当した件数、つながり続けた割合、離れそうになったときに何をしたか、そして複数の課題をどう並べ替えて手をつけたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
足立で、どの経験が値になるか
1. 離れていく相手をつなぎ止めた経験
相談、伴走、再接触。相手がこちらの都合で動かない前提での関係づくりは、カスタマーサクセスの職務でそのまま必要とされます。
2. 複数の課題を並べ替えて、手をつけた経験
仕事、住まい、健康、家族。どれから手をつけるかを決めた判断は、課題が絡み合う顧客を扱う職務で読まれます。
3. 就労や学習の支援を設計した経験
何をどう教え、どこまで伴走し、どこで手を離すか。人材開発の職務と同じ設計です。
4. 大きな規模で、制度を運用してきた経験
人口の規模が中核市を上回る区です。対象が多いと、運用の設計そのものが変わります。全国展開する企業の業務設計に直接対応します。
5. 都や他区との調整
特別区は、都と区、そして区どうしの調整が日常にあります。自分の区だけでは決められない前提で進めた経験は、複数拠点をまたぐ事業に読める経験です。
都内で探すときに、確かめておくこと
足立区で働いている方は、すでに都内の求人が通勤圏にあります。地理的な制約はほとんどありません。
そのぶん、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすくなります。順序を決めてください。
- 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
- 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
- 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)
この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、区役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
「離れた件数」も書く
伴走する仕事では、全員が最後までつながることはありません。離れた理由を説明できる人は、見立てを持っている人として読まれます。
人口の規模を書く
足立区の人口は、中核市を上回ります。この規模を1行入れるだけで、読まれ方が変わります。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。区役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
河川に囲まれた低地の実務は、希少な経験になる
浸水想定、排水、堤防、避難。水害を前提に施設と土地利用を設計した経験は、物流施設やデータセンターを扱う企業が求めています。対象の規模と、条件の整え方で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。相談支援に関わったなら、担当件数、つながり続けた割合、就労や自立に至った数で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
区内の企業の多くは、区役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 足立区の一般行政職はラスパイレス指数98.7、平均給与月額437,690円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 諸手当137,790円は23区で5番目に厚く、比率は31.5%。総額を押し上げているのは諸手当です
- 足立・目黒・江東・北は平均年齢が39.8歳でまったく同じ、給料月額も3,600円の幅。それでも総額は31,809円開きます
- 条件で動く部分が3割を超えるので、複数年の源泉徴収票でぶれ幅を見てください
- 離れていく相手をつなぎ止める実務は、カスタマーサクセスと同じ構造です(生活困窮者自立支援法1条)
- つながり続けた割合と、離れた理由を書いてください
よくある質問
年齢も給料月額も中位なのに、総額が4番目なのはなぜですか
諸手当が厚いからです。足立区の諸手当137,790円は23区で5番目。平均年齢が同じ39.8歳の4区(足立・目黒・江東・北)で比べても、総額は31,809円開きます。23区は地域手当がすべて20%なので、残る差は地域手当以外の手当の積み上がりだけです。
対人の仕事しかしてこなかったので、事業の職種に移れますか
カスタマーサクセスという職種が、まさにその仕事です。契約したあと使われないまま解約されるサービスを、どう食い止めるか。離れる前に気づき、理由を聞き出し、使い方を作り直す。相手はこちらの都合では動きません。社内では営業・サポート・開発がそれぞれ窓口を持ち、相手から見るとたらい回しになります。この状態をつないで解決できる人が不足しています。
全員を支援しきれたわけではありません
離れた話があるほうが、見立ての精度が伝わります。伴走する仕事では、全員が最後までつながることはありません。離れた理由を説明できる人は、どこで手を打てば止められるかを知っている人として読まれます。担当件数、つながり続けた割合、そして離れた理由を書いてください。