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自治体別 / 特別区

中央区職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

中央区の平均給与月額432,374円のうち、144,674円が諸手当です。比率にして33.5%。

これは、ここまで確認してきた都道府県47・政令市20・特別区23の90団体のなかで最も高い数字です。総額の3分の1を、給料表の外側が作っています。

一方で平均給料月額287,700円は、23区で最も低い額。なぜこの組み合わせになるのかから読み解いてください。

中央区の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、中央区の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目中央区
ラスパイレス指数100.6
平均年齢37.8歳
平均給料月額287,700円
諸手当月額144,674円
平均給与月額432,374円
平均給与月額(国ベース)361,655円
地域手当(国の指定基準)20%
地域手当(実際の支給割合)20%

平均年齢37.8歳は、90団体で最も若い

中央区の平均年齢37.8歳は、都道府県47・政令市20・特別区23のなかで最も若い数字です。

団体平均年齢平均給料月額ラスパイレス指数
中央区37.8歳287,700円100.6
文京区38.0歳292,600円99.2
品川区38.3歳293,300円99.0
葛飾区38.6歳288,900円97.3
千代田区38.9歳291,400円100.4

給料表は勤続年数とともに上がるため、若い職員の比率が高いほど平均給料月額は低く出ます。中央区の287,700円が23区で最も低いのは、この効果です。

そして補正済みのラスパイレス指数は100.6で、23区で最も高い数字です。額面の低さと、給料表の水準の高さが同居しています。

諸手当の比率33.5%が意味すること

23区はすべて地域手当20%で揃っています。それでも中央区の諸手当144,674円は、墨田区111,364円を33,310円上回ります。

地域手当が同じである以上、この差は時間外、管理職、扶養、住居といった手当の積み上がりから来ています。

23区の地域手当と諸手当の分布は千代田区職員の転職に、東京都の数字は東京都職員の転職に整理しています。

特別区は「市が担う仕事」を担っている

地方自治法第281条は、都の区は、これを特別区というと定め、第2項で、特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務並びにその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされているものを処理すると規定しています。

つまり特別区は、原則として市と同じ仕事を担っています。福祉も保健も都市計画も区の仕事です。そして第282条により、財源は都と区の間で調整されます。

「区役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。区の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは千代田区職員の転職で整理しています。

区役所の経験は、民間で何と呼ばれるか

区役所での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
都市計画、再開発、地区計画用地開発、開発企画、都市開発
人口急増に対応した施設整備拠点戦略、需要予測、施設企画
商業・観光の振興店舗開発、観光事業企画
生活保護・福祉の現業と査察ケースマネジメント、公共系事業企画
保健・衛生の監視指導品質保証、規制対応
防災・帰宅困難者対策BCP策定、リスクマネジメント
区有施設の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
窓口・住民対応の業務設計カスタマーサポート、業務設計
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備
都・他区との調整渉外、アライアンス

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

「上に伸ばす」ことを前提にした都市計画の実務

中央区役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。

都市再生特別措置法第36条の2は、都市再生特別地区に関する都市計画には、都市の再生に貢献し、土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、道路の上空又は路面下において建築物等の建築又は建設を行うことが適切と認められる場合の定めを置くことができる、としています。

道路の上空や路面下にも建物を建てられるという規定です。

これは、土地が足りない場所で、どう空間を作り出すかという発想です。中央区のような高密度市街地では、都市計画は「土地をどう配分するか」ではなく、「限られた敷地から、どれだけ価値を引き出すか」という問題になります。

実務としては、次のような判断が続きます。

この「緩和と負担の交換」という設計は、民間の事業でもそのまま起きます。

取引条件の設計、提携の枠組み、共同開発。一方が譲る代わりに、もう一方が何を出すか。この交換を設計し、契約に落とし、長期にわたって維持する。

そして人口が急増する区では、需要予測と施設整備も実務になります。保育、学校、施設。増えると分かってから作ったのでは間に合わない。この判断は、企業の拠点戦略とまったく同じです。

求人票では、用地開発、開発企画、都市開発、拠点戦略といった名前で書かれています。

書くときのこつは、制度名を並べないことです。何を緩め、その見返りに何を出させたか。需要をどう見積もり、どこまで先回りして整備したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。

行政が相手の求人を見てみる

中央で、どの経験が値になるか

1. 緩和と負担を交換する設計をした経験

容積、空地、通路、施設。一方が譲る代わりに何を出させるかを設計した経験は、民間の提携や共同開発でそのまま必要とされます。

2. 需要が急増する前提で、先回りして整備した経験

保育、学校、施設。増えてから作ったのでは間に合わないという条件での判断は、企業の拠点戦略と同じです。予測の方法と、外れたときの手当てを書いてください。

3. 商業集積を相手にしてきた経験

大規模な商業地を抱える区です。事業者と行政の関係を、日常的に扱ってきた経験は、店舗開発や商業施設の運営に接続します。

4. 高密度市街地の防災

帰宅困難者、密集した建物、地下空間。住民以外まで含めた防災設計は、大規模施設を持つ企業が求めている経験です。

5. 若いうちから責任のある仕事を任された経験

平均年齢37.8歳は90団体で最も若い組織です。年次の割に任されてきたことがあるなら、それは職務経歴書に書ける材料です。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。

都内で探すときに、確かめておくこと

中央区で働いている方は、すでに都内の求人が通勤圏にあります。地理的な制約はほとんどありません。

そのぶん、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすくなります。順序を決めてください。

  1. 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
  2. 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
  3. 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)

この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

職務経歴書に、区役所の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

交換の中身を書く

緩和と負担、条件と見返り。何を譲り、何を出させたかを書ける人は、交渉と設計ができる人として読まれます。

年次の割に任された範囲を書く

若い組織では、早く責任のある仕事が回ってきます。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。区役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

高度利用と複合用途の審査は希少な経験になる

容積の割増、複合用途、地下や上空の利用。制度を組み合わせて成立させる設計を審査した経験は、扱える人が限られます。不動産開発と設計事務所の両方から求められます。件数と、判断が割れた事例で書いてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

区内の企業の多くは、区役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

平均給料月額が23区で最も低いのですが、水準が低いのですか

年齢構成の効果です。中央区の平均年齢37.8歳は90団体で最も若く、給料表は勤続年数とともに上がるため平均が低く出ます。補正済みのラスパイレス指数は100.6で、23区では最も高い数字です。しかも地域手当20%は全国で最も高い水準。団体の平均は自分の水準を測る物差しにならないので、源泉徴収票の支払金額を使ってください。

諸手当の比率が3分の1ということは、転職で不利になりますか

比べ方に注意が必要です。地域手当20%は区内で働く限り変わりませんが、時間外や管理職の手当は業務と役職で動きます。総額の3分の1が条件次第で動く部分だということです。複数年の源泉徴収票を並べて実額の幅を把握し、そのうえで求人票の想定年収と比べてください。区外・都外の求人では、地域手当20%が付かない前提で読む必要があります。

まだ役職がないのですが、転職には早いですか

中央区の場合、その認識は実態とずれていることが多いです。平均年齢が90団体で最も若い組織では、早く責任のある仕事が回ってきます。同じ年次でも、他の団体なら上司が決めていたことを自分で決めている可能性があります。この1年で自分の判断で決めたことを書き出してください。案を作ったもの、交渉で条件を動かしたもの、前例がなくて筋道を自分で考えたもの。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等・市区町村)|総務省
  2. 都市再生特別措置法 第36条の2(道路の上空又は路面下における建築物等の建築又は建設)|e-Gov法令検索
  3. 地方自治法 第281条(特別区)/第282条(特別区財政調整交付金)/第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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