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北海道職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
北海道庁で働いてきた方が転職を考えるとき、最初に困るのは「自分が何をしてきた人なのか」を外向けに説明する言葉です。庁内では所属と職名を言えば通じますが、民間の採用担当には、そこから何ができる人なのかが読み取れません。
この記事では、まず北海道が公表している資料から道庁の職員構成を数字で押さえ、そのうえで、どの部門の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。数字は北海道が公表している「給与・定員管理等について(令和6年度公表)」から引いています。
北海道庁の職員構成を数字で見る
公表資料によると、令和6年4月1日現在の職員数は次のとおりです。
| 部門 | 職員数 | 前年からの増減 |
|---|---|---|
| 一般行政部門 | 12,674人 | △183人 |
| 教育部門 | 36,323人 | △311人 |
| 警察部門 | 11,726人 | △25人 |
| 普通会計 小計 | 60,723人 | △519人 |
| 公営企業等会計部門 | 900人 | △2人 |
| 合計 | 61,623人 | △521人 |
一般行政部門の内訳は、総務2,246人、農林水産3,558人、土木2,135人、衛生1,876人、民生1,247人、税務730人、商工475人、労働341人、議会66人です。
ここでまず押さえたいのは、「北海道庁の職員6万人」という数字の大部分が教育部門と警察部門であることです。いわゆる知事部局の事務・技術職にあたる一般行政部門は12,674人で、全体の2割ほどにとどまります。人口10万人当たりでは一般行政部門250人、全体で1,207人という水準です。
もう一点、合計で前年から521人減っているという事実も重要です。条例定数は68,239人ですから、定数と実員には開きがあります。人が減りながら業務量が減らない構造は、庁内にいる方の実感と一致するはずです。
減っている部門を見ると、経験の希少さが分かる
一般行政部門の内訳を、前年からの増減で並べ直すと別の景色が見えます。減っているのは土木(△67人)、衛生(△65人)、農林水産(△62人)、商工(△10人)、税務(△1人)。増えているのは総務(+13人)、民生(+5人)、労働(+3人)、議会(+1人)です。
この動きは、そのまま同じ仕事を経験した人が庁外にも増えにくいことを意味します。土木や農林水産の実務を、発注者の立場で通しでやってきた人は、これから庁内でも減っていきます。民間側から見れば、その経験は年々見つけにくくなる。人員が減っている部門ほど、外に出たときの希少性は上がります。
減員が続く現場にいると「自分の部署は縮小されている=価値が下がっている」と受け取りがちですが、労働市場での希少性は逆に動きます。ここは切り分けて考えてください。
給与水準はどう公表されているか
同じ資料から、一般行政職の状況を見ます(令和6年4月1日現在)。
| 区分 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 平均給与月額(国比較ベース) |
|---|---|---|---|
| 北海道 | 42.5歳 | 318,816円 | 362,290円 |
| 国 | 42.1歳 | 323,823円 | 405,378円 |
| 都道府県平均 | 42.4歳 | 321,156円 | 362,985円 |
北海道の水準は都道府県平均とほぼ同じで、国の水準とは差があります。ラスパイレス指数について、公表資料は令和6年4月1日の数値が3年前と比べて0.2ポイント下がっており、その要因を職員構成の変動等としています。
この表を、自分の市場価値の物差しに使わないでください。平均年齢42.5歳の全体平均であって、特定の職種・年代の水準ではありません。転職の判断材料としては、次に見る「何をしてきたか」のほうがはるかに重要です。
道庁の経験は、民間で何と呼ばれるか
部門ごとに、求人票で使われる言葉に置き換えます。
| 道庁での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 総務・人事・給与制度 | 人事制度企画、労務、コーポレート |
| 税務、賦課徴収、滞納整理 | 与信管理、債権回収、審査 |
| 農林水産、商工の振興・補助金 | 事業開発、公共調達支援、地域連携 |
| 土木の設計・積算・工事監督 | 発注者支援、施工管理、アセットマネジメント |
| 衛生、民生の許認可・指導 | 規制対応、コンプライアンス、渉外 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
| 全庁横断の計画策定 | PMO、事業企画 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめてあります。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
北海道という土地の事情
道内での転職を考えるとき、避けて通れない事情が2つあります。
1. 一次産業と公共インフラの比重が大きい
農林水産部門に3,558人、土木部門に2,135人という人員配置は、道庁の仕事の重心がどこにあるかを示しています。そして同じ重心は、道内の民間企業にもあります。建設コンサルタント、測量、農業関連、食品加工、物流。これらの業界では、行政の許認可と補助金の流れを知っていること自体が実務能力です。
2. 広域であることが、そのまま仕事の条件になる
振興局を含む広域の行政を回してきた経験は、支店網や広域の営業拠点を持つ企業では、そのまま業務設計の経験として読まれます。「移動を含めた段取りを組める」という点も、実務上は評価されます。
道内の事業者を相手にしてきた方であれば、その関係性の作り方自体が資産です。広い地域で、担当が変わっても続く関係をどう維持するか。民間の営業がいちばん苦労するところを、行政の立場で先に経験していることになります。
3. 道内と道外で、同じ経験の値段が変わる
同じ土木の発注者経験でも、道内の建設コンサルタントと、首都圏で自治体向け事業を展開する企業とでは、評価の軸が違います。前者は地域の事情に通じていることを、後者は行政の意思決定プロセスを説明できることを見ています。どちらを狙うかで、職務経歴書に書く順番が変わります。先に方向を決めてから書き始めてください。
職務経歴書に、道庁の仕事をどう落とすか
言い換えの表は分かっても、実際に書くとなると手が止まります。押さえる点は3つです。
担当した制度ではなく、判断したことを書く
「〇〇補助金の交付事務を担当」ではなく、何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう処理したかを書きます。制度名は読み手には意味を持ちませんが、判断の手順は職務能力として読まれます。
振興局と本庁の違いを説明する
北海道は振興局を通じた広域行政が特徴です。本庁での企画立案と、振興局での現場対応では、職務の性質がまったく違います。どちらをどれだけやったのかを書き分けると、読み手が配属をイメージできます。両方を経験しているなら、それは「制度を作る側と回す側の両方を見た」という強い材料になります。
異動の多さを弱みとして書かない
数年ごとの異動を「専門性がない」と書いてしまう方がいますが、それは自分から評価を下げる書き方です。異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間では立ち上げとキャッチアップの速さとして読まれます。並べ方を編年式にして、それぞれで何を早期に習得したかを添えるだけで、印象が変わります。
退職手当の見方には注意が要る
同じ公表資料に退職手当の項目があります。ここは誤読が多いので、丁寧に見ます。
支給率は令和6年4月1日現在で次のとおりです。北海道は国と同じ率を採っています。
| 勤続年数 | 自己都合 | 応募認定・定年 |
|---|---|---|
| 20年 | 19.6695月分 | 24.586875月分 |
| 25年 | 28.0395月分 | 33.27075月分 |
| 35年 | 39.7575月分 | 47.709月分 |
| 最高限度 | 47.709月分 | 47.709月分 |
そして資料には「1人当たり平均支給額 2,352千円」という数字も載っています。
退職手当の仕組みそのものは退職手当の仕組み|何で金額が決まるのかで詳しく扱っています。
動く時期は、年度と議会から逆算する
地方自治法は、予算を年度開始前に議会の議決を経ることを定めています(第211条)。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算のほうは、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。
この制度の枠があるため、道庁の1年は議会の日程に強く縛られます。定例会の会期中と、予算編成の山にあたる時期は、平日日中の面接を入れるのが現実的に難しくなります。逆に言えば、その山を外した時期に活動を始めれば、選考は落ち着いて進みます。
在職中に進めるのが基本です。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。応募先が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。
まとめ
- 北海道庁の職員は合計61,623人ですが、一般行政部門は12,674人で全体の2割ほどです(令和6年4月1日現在)
- 合計で前年から521人減っています。条例定数68,239人との開きは、庁内の実感と一致するはずです
- 一般行政職の平均年齢は42.5歳、平均給料月額318,816円。都道府県平均とほぼ同水準です
- 退職手当の「1人当たり平均支給額」は全職種の退職者の平均であり、自分の見込額ではありません。支給率の表を見てください
- 道内では、農林水産・土木の比重が大きい産業構造がそのまま転職先の分布に表れます
- 動く時期は、議会日程と予算編成の山を外して組むと無理がありません
よくある質問
道庁から民間に移ると、給与は下がりますか
一概には言えません。公表資料の平均給与月額は全体の平均であって、個人の水準ではありませんし、移った先の職種と等級で決まります。実務的に言えば、下がる前提で探すか、下がらない前提で探すかで、応募先の選び方が変わります。行政を顧客にする企業や、専門性がそのまま値付けされる職種では、必ずしも下がりません。まず「自分の経験がどこで希少になるか」を決めてから、水準の話をしたほうが順序として整理しやすくなります。
教育部門・警察部門からの転職も同じ考え方でよいですか
基本は同じですが、経験の翻訳の仕方が変わります。教職員や警察職員の場合、行政の予算プロセスよりも、対人業務の量と、制度の中で判断してきた経験のほうが説明の軸になります。詳しくは立場別の記事で扱いますが、いずれにしても「庁内の職名」ではなく「実際にやっていたこと」から言葉を組み直すという手順は変わりません。
道外への転職も考えたほうがよいですか
選択肢を広げる意味はありますが、先に決めるべきは職種のほうです。勤務地から絞ると、職種の選択肢が急に狭くなります。自治体を顧客にしている企業は全国に拠点を持つことが多く、道内勤務のまま条件が合う場合もあります。リモート可の求人も増えています。地域を条件に入れる前に、「どの経験に値が付くのか」を先に確かめてください。