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自治体別 / 都道府県

長野県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

長野県庁の給与データには、はっきりした特徴があります。平均年齢45.0歳。これまで見てきた都道府県のなかで、最も高い水準です。

ベテラン層が厚いということは、上のポストが詰まりやすいということでもあります。40代・50代からの相談が多いのは、この構造と無関係ではありません。

この記事では、まず公表されている数字を正しく読み解き、そのうえで県庁の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。

長野県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、長野県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目長野県
ラスパイレス指数100.0
平均年齢45.0歳
平均給料月額327,900円
諸手当月額67,282円
平均給与月額395,182円
平均給与月額(国ベース)360,633円
地域手当(国の指定基準)1.7%
地域手当(実際の支給割合)約1.96%

平均年齢45.0歳という数字

他県と並べると、この数字の位置が見えます。

県平均年齢平均給料月額ラスパイレス指数
長野県45.0歳327,900円100.0
新潟県44.2歳332,500円99.5
山形県43.7歳331,100円100.2
千葉県40.1歳306,300円99.6

給料は年齢が上がれば上がるので、平均年齢が高い団体は平均給料月額も高く出ます。長野県の327,900円という数字は、この年齢構成を含んだものです。

一方でラスパイレス指数は、学歴や経験年数の差を補正して計算されます。長野県は100.0で、国とちょうど同じ水準です。

なお地域手当は、国の指定基準1.7%に対し実際の支給割合が約1.96%。上乗せは小さく、額面が読みやすい構造です。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
市町村への助言・支援・調整パートナー支援、カスタマーサクセス
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
産業支援・技術支援の施策産学連携、技術企画、事業開発
農業の産地形成・輸出支援事業開発、産地開発、海外展開
観光の誘客・受入環境整備観光事業企画、地域ブランディング
森林・環境政策サステナビリティ、GX事業企画
医療・福祉の計画と指導規制対応、事業企画
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

長野で、どの経験が値になるか

1. 市町村支援の密度が、全国でも高い

長野県は市町村の数が多く、規模の幅も大きい県です。中核市から人口数百人の村まで並んでいます。

つまり、市町村支援の経験の密度が、他県より濃いということです。担当が1人で何役も兼ねている村と、専門部署がある市とでは、同じ制度でも進め方がまったく違う。この幅を実際に相手にしてきた経験は、自治体を顧客にする企業から見て、そのまま実務能力です。

売る側からいちばん見えないのが、この規模ごとの違いです。同じ提案が通る自治体と通らない自治体があり、その理由が分からない。県の立場で全域を回ってきた方は、この地図を頭の中に持っています。

2. 縮小と再編を前提にした計画づくり

公共施設の統廃合、地域交通の再編、上下水道の広域化、学校の再編。「増やす計画」ではなく「減らす計画」を、住民の合意を取りながら通した経験は、全国の自治体でこれから必要になるのに、実際に通した人はまだ多くありません。

自治体向けコンサルティング、施設管理、インフラ運営の企業が、いま探している領域です。

3. 精密・電子のものづくりと企業支援

精密機械、電子部品。長野県には特色ある製造業の集積があり、県庁には企業支援と誘致の実務があります。補助制度の設計、人材確保の支援、取引先とのマッチング、用地とインフラの手当て。

4. 農業と観光

高原野菜、果樹、そして山岳観光。産地形成、輸出支援、誘客、受入環境の整備。行政の立場で座組みを作った経験は、食品・観光関連の事業者や地域商社から見て希少です。

5. 医療・福祉の計画

高齢化が進む地域を抱える県として、医療・介護の提供体制の計画と調整の実務があります。制度の枠のなかで、限られた資源をどう配分するか。医療・介護事業者やヘルスケア領域の企業から見て、この経験は読みやすいものです。

行政が相手の求人を見てみる

40代・50代からの動き方

平均年齢45.0歳という組織にいると、40代は「まだ中堅」という感覚になります。しかし民間の中途採用では、進め方そのものを変えたほうがうまくいく年代です。

年数がなければ積めない経験を軸にする

若手と同じ土俵で伸びしろを売ると分が悪くなります。特定の制度領域を通しで回した、大きな再編を合意まで持っていった、複数部署をまたぐ案件を仕切った。こういう実績は若手には書けません。職務経歴書の1行目を、この種の実績から始めてください。

役職と権限を具体的に書く

「係長」とだけ書いても、民間の読み手には権限の範囲が分かりません。部下の人数、決裁できた範囲、予算の管理単位。この3つを添えると、マネジメント経験として読まれます。

応募先を絞り、1社ごとの準備を厚くする

数を打つ進め方は、この年代では通用しにくくなります。書類の段階で「この経験を求めている求人か」を見極めてください。

「年下の上司でも大丈夫か」に備える

40代以降の転職では、ほぼ必ず出る質問です。構えて否定するより、実際にそういう場面をどう扱ってきたかを話すほうが伝わります。年下の担当者と組んだ案件、若手に判断を委ねた場面。庁内にも材料はあるはずです。

引継ぎの期間を見込んでおく

係長級以上であれば、担当案件の引継ぎに時間がかかります。内定から入社まで、他の年代より長めに見ておいたほうが安全です。

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

相手にした市町村の数と幅を書く

「市町村との連絡調整」ではなく、何団体を担当し、規模の違いをどう扱い分けたかを書いてください。複数顧客を持つアカウント業務の経験として読まれます。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

山地・積雪と防災の実務は特殊な資産になる

急峻な地形での道路、砂防、森林管理、積雪期の対応。この条件下での設計と維持管理を経験した技術者は、同じ条件を持つ地域の事業では強く求められます。管理延長ではなく、限られた予算でどう優先順位を付けたかを書いてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

平均年齢が高い組織にいると、転職で不利になりますか

組織の年齢構成そのものは、選考では見られません。見られるのは自分の実績です。ただし影響はあります。周囲に年上が多いと、自分の経験を「まだ足りない」と感じやすくなる。実際には、40代で係長級の経験があれば、民間では十分に説明できる材料が揃っています。庁内の相対評価を、外の基準だと思わないでください。

市町村支援の経験は、県外でも評価されますか

評価されます。むしろ県外のほうが強く求められる場面があります。自治体を顧客にする企業にとって、規模の違う自治体で意思決定の進み方がどう違うかは最も分かりにくい部分です。ここを説明できることは、そのまま実務能力になります。書くときは「市町村との連絡調整」ではなく、担当した団体の数と規模の幅を具体的に書いてください。

50代からでも転職できますか

選択肢は狭くなりますが、ゼロではありません。この年代で通るのは、特定の領域で通しの経験があり、それを求めている求人に当たった場合です。数を打つ進め方は機能しません。加えて、退職手当の区分がどこにあるかを条例で確認したうえで、制度の側と市場の側を並べて判断してください。判断材料を揃えずに動くのも、揃えないまま待つのも、どちらも避けたいところです。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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