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新潟県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

新潟県庁の給与データには、読み違えやすい特徴があります。平均給料月額が全国的に見ても高い水準にある一方で、ラスパイレス指数は国を下回っているのです。

一見矛盾するこの2つは、同じ原因から来ています。職員の年齢構成です。この読み方を間違えると、自分の市場価値の見積もりまでずれます。

この記事では、まず数字を正しく読み解き、そのうえで県庁の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。

新潟県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、新潟県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目新潟県
ラスパイレス指数99.5
平均年齢44.2歳
平均給料月額332,500円
諸手当月額80,019円
平均給与月額412,519円
平均給与月額(国ベース)364,767円
地域手当(国の指定基準)1.5%
地域手当(実際の支給割合)約1.51%

平均年齢44.2歳という数字

他県と並べると、この数字の意味が見えます。

県平均年齢平均給料月額ラスパイレス指数
新潟県44.2歳332,500円99.5
山形県43.7歳331,100円100.2
富山県43.2歳322,000円99.2
千葉県40.1歳306,300円99.6

新潟県の平均年齢44.2歳は、際立って高い水準です。そして給料は年齢が上がれば上がるので、平均年齢が高い団体は、平均給料月額も高く出ます。

千葉県と比べると分かりやすいはずです。平均年齢で4.1歳の差があり、平均給料月額では26,200円の差がある。ところがラスパイレス指数は新潟99.5、千葉99.6でほぼ同じです。

この指数は学歴や経験年数の差を補正して計算されるため、年齢構成の影響を取り除いた比較ができます。つまり、給与水準そのものはほぼ同じだということになります。

なお地域手当は、国の指定基準1.5%に対し実際の支給割合も約1.51%。ほぼ基準どおりで、上乗せはありません。額面が読みやすい構造です。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
農林水産の産地形成・輸出支援事業開発、産地開発、海外展開
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
港湾・貿易の振興インフラ企画、物流ネットワーク設計
エネルギー関連の計画・調整事業企画、規制対応
除雪・災害対応の計画と実行BCP、リスク管理、オペレーション設計
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
市町村への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

新潟で、どの経験が値になるか

1. 広域を、条件の悪い環境で回してきた経験

新潟県は県土が広く、山間部と離島を抱え、冬季には積雪の影響を受けます。限られた人員で、移動条件の悪い広域をどう回すか。これは民間で言えば、支店網や広域の営業拠点を持つ企業の業務設計とまったく同じ課題です。

とくに除雪や災害対応の実務は、期限も予算も決まっているなかで、優先順位を付けて資源を配分する仕事です。BCPやオペレーション設計の経験として書けば、そのまま職務能力になります。

2. 農業と食品の産地形成・輸出

米を中心とした農業の比重が大きく、食品加工も集積しています。産地形成、輸出支援、担い手対策、補助事業の設計。輸出は許認可と補助金の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力です。食品メーカーや商社、農業法人から見て希少な経験になります。

3. ものづくりとエネルギー

金属加工、化学、機械。そしてエネルギー関連の施設。立地に伴う地元調整、安全に関する協議、環境の手続き。これらは事業者から見て、自分たちが最も苦労する部分です。

4. 市町村を相手にしてきた経験

政令市から小規模町村まで、規模の幅が大きい県です。同じ制度でも、相手の体制によって進め方をまったく変えなければならない。この経験は、自治体を顧客にする企業から見ると、そのまま実務能力です。

売る側からいちばん見えないのが、この規模ごとの違いです。県の立場で全域を回ってきた方は、この地図を頭の中に持っています。

行政が相手の求人を見てみる

40代からの動き方

平均年齢44.2歳という組織にいると、40代は「まだ中堅」という感覚になりがちです。しかし民間の中途採用では、40代は進め方を変えたほうがうまくいく年代です。

年数がなければ積めない経験を軸にする

若手と同じ土俵で伸びしろを売ると分が悪くなります。特定の制度領域を通しで回した、大きな再編を合意まで持っていった、複数部署をまたぐ案件を仕切った。こういう実績は若手には書けません。職務経歴書の1行目を、この種の実績から始めてください。

役職と権限を具体的に書く

「係長」とだけ書いても、民間の読み手には権限の範囲が分かりません。部下の人数、決裁できた範囲、予算の管理単位。この3つを添えると、マネジメント経験として読まれます。

応募先を絞り、1社ごとの準備を厚くする

数を打つ進め方は40代では通用しにくくなります。書類の段階で「この経験を求めている求人か」を見極めてください。

引継ぎの期間を見込んでおく

係長級以上であれば、担当案件の引継ぎに時間がかかります。内定から入社まで、他の年代より長めに見ておいたほうが安全です。

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

本庁と地域機関を書き分ける

本庁は制度の設計と全県調整、地域機関は現場対応と個別案件の処理と、職務の性質がまったく違います。どちらをどれだけ経験したかを書き分けると、読み手が配属をイメージできます。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

雪と災害の実務は特殊な資産になる

積雪地の道路管理、河川、砂防。この条件下での設計と維持管理を経験した技術者は、同じ条件を持つ地域の事業では強く求められます。管理延長ではなく、限られた予算でどう優先順位を付けたかを書いてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。災害対応で即断した経験があるなら、それが最も分かりやすい材料になります。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

平均給料月額が高いのは、恵まれているということですか

年齢構成の影響が大きいので、そう単純には言えません。新潟県の平均年齢44.2歳は際立って高い水準で、平均給料月額はその影響を受けます。年齢構成を補正したラスパイレス指数では99.5と、国をやや下回ります。自分の給与が同年代の他県職員と比べてどうかを知りたいなら、団体の平均ではなく、自分の給料表の号給を見てください。

除雪や災害対応の経験は、県外でも評価されますか

評価されます。期限も予算も決まっているなかで優先順位を付け、資源を配分し、現場を動かす。これはオペレーション設計とリスク管理そのものです。積雪地であれば同じ条件の地域で直接効きますし、そうでなくても「限られた条件で回した経験」として読まれます。書くときは、動員した人員や事業者の数、判断が割れた場面をどう決着させたかで書いてください。

県外に出たほうが選択肢は広いですか

職種によります。エネルギー、インフラ、食品、自治体向け事業といった分野では、県外に本社を置く企業が県内に担当を配置しているケースがあり、県内勤務のまま本社基準の給与体系になる組み合わせもあります。この種の求人は勤務地から検索すると視界に入りません。県外を考える前に、まず職種で探してみてください。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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