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山形県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

山形県庁で働いてきた方の相談には、他県とは少し違う特徴があります。40代前半からの相談が多いことです。

理由のひとつは、公表されている数字からも見えます。山形県の一般行政職の平均年齢は43.7歳。東北のなかで最も高い水準です。ベテラン層が厚く、その分だけ上のポストが詰まりやすい。この構造が、40代での意思決定を後押ししているように見えます。

この記事では、まず数字で自分の位置を確認し、そのうえで県庁の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。

山形県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、山形県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目山形県
ラスパイレス指数100.2
平均年齢43.7歳
平均給料月額331,100円
諸手当月額73,315円
平均給与月額404,415円
平均給与月額(国ベース)357,183円
地域手当支給なし

ラスパイレス指数100.2は、東北のなかで最も高い水準です。近隣は青森県96.8、岩手県99.4、宮城県100.0、秋田県100.1、北海道99.0。

平均給料月額331,100円も東北で最も高く、これも地域手当がゼロの状態で達成されています。上乗せ手当ではなく、給料表そのものの水準が高いという構造です。

平均年齢43.7歳をどう読むか

ここが山形県の数字でいちばん重要な点です。平均年齢が高いということは、平均給料月額が高いことの一因でもあります。年齢が上がれば給料も上がるので、平均年齢が高い団体は平均給料月額も高く出ます。

つまり、「山形県は給与水準が高い」と単純に読むのは正確ではありません。ラスパイレス指数は学歴と経験年数の差を補正した指数なので、こちらが100.2ということは、年齢構成の影響を除いても国と同水準以上だと言えます。しかし平均給料月額のほうは、年齢構成の影響を含んだ数字です。

2つの数字は、意味が違います。混ぜて読まないでください。

転職の判断にどう使うか

この平均は自分の給与ではありません。民間の求人票の提示額と比べるときは、自分の源泉徴収票の支払金額を使ってください。

そして40代の方に伝えたいのは、平均年齢が高い組織にいると、自分の給与を「同年代の標準」だと思いにくくなるということです。周囲に年上が多ければ、自分の水準は低く見えます。外の相場と比べるときは、庁内の感覚をいったん外してください。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
農林水産の産地形成・輸出支援事業開発、産地開発、海外展開
公共施設の再編・長寿命化アセットマネジメント、施設戦略
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
保健福祉の許認可・指導規制対応、コンプライアンス
市町村への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

山形で、どの経験が値になるか

1. ものづくりの現場を持つ県での企業支援

電子デバイス、金属加工、機械。山形県は製造業の集積があり、県庁には企業支援と誘致の実務があります。用地の確保、インフラの手当て、補助制度の設計、地元との調整。進出する企業から見れば、自分たちが最も苦労する部分です。

2. 農業と食品の販路・輸出

さくらんぼ、米、日本酒。山形県は農産物と加工品のブランドを持つ県で、輸出支援の実務があります。輸出は許認可と補助金の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力です。食品メーカー、商社、輸出商社から見て希少な経験になります。

3. 縮小を前提にした計画づくり

公共施設の統廃合、地域交通の再編、上下水道の広域化。「増やす計画」ではなく「減らす計画」を、住民の合意を取りながら通した経験は、全国の自治体でこれから必要になるのに、実際に通した人はまだ多くありません。自治体向けコンサルティングやインフラ運営の企業が、いま探している領域です。

4. 市町村を相手にしてきた経験

規模も体制もばらばらな市町村を相手に、温度差をどう埋めたか。これを「連絡調整」と書くと弱くなりますが、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。

小規模町村を相手にしてきた経験はとくに値がつきます。担当が1人で何役も兼ねている、専任の技術職がいない、予算が小さいから提案の刻み方を変えなければならない。こうした事情は、売る側からはほとんど見えません。県の立場で市町村を回ってきた方は、この地図を頭の中に持っています。

5. 内部管理部門の経験

人事、財政、総務、会計。県庁の内部管理部門の仕事は、民間企業のコーポレート部門とほぼ同じ構造です。制度の設計と運用、全部署の調整、決裁と記録。製造業の管理部門や、支社の総務・経理といった職と噛み合います。転居を伴わずに職種を変えたい場合、この方向は現実的な選択肢になります。

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職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

役職と権限を具体的に書く

40代であれば係長級以上の経験があるはずです。「係長」とだけ書いても、民間の読み手には権限の範囲が分かりません。部下の人数、決裁できた範囲、予算の管理単位。この3つを添えると、マネジメント経験として読まれます。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

数年ごとの異動を「専門性がない」と書くのは、自分から評価を下げる書き方です。異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「年下の上司でも大丈夫か」

40代の転職では、これがほぼ必ず出ます。庁内では年次が意味を持ちますが、民間では役職と年齢が一致しないことが普通です。構えて否定するより、実際にそういう場面をどう扱ってきたかを話すほうが伝わります。年下の担当者と組んだ案件、若手に判断を委ねた場面。庁内にも材料はあるはずです。

40代で動くときの、現実的な進め方

年代に応じて、進め方そのものを変えたほうがうまくいきます。

応募先を絞る

20代・30代なら数を打つ進め方も成立しますが、40代では通用しにくくなります。書類の段階で「この経験を求めている求人か」を見極めて、応募先を絞る。そのぶん1社ごとの準備を厚くしたほうが、結果として早く決まります。

面談から入れる求人を使う

いきなり応募するのではなく、カジュアル面談や情報交換から入れる求人があります。在職中で、辞めると決めていない段階では、この形のほうが動きやすい。話を聞いたうえで応募しない、という選択もできます。

家族との合意を先に作らない

順序の話です。何も決まっていない段階で家族に相談すると、材料がないまま反対されて終わります。求人を見て、話を聞いて、条件が具体的になってから相談する。そのほうが、議論が現実的になります。もちろん隠す必要はありませんが、切り出す時期は選べます。

引継ぎの期間を見込んでおく

40代で係長級以上であれば、担当している案件の引継ぎに時間がかかります。内定から入社まで、他の年代より長めに見ておいたほうが安全です。入社日を交渉できる求人かどうかも、早い段階で確認してください。

動く時期は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。

この枠があるため、予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。その山を外して始めれば、選考は落ち着いて進みます。

在職中に進めるのが基本です。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

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まとめ

よくある質問

平均年齢が高い組織にいると、転職で不利になりますか

組織の年齢構成そのものは、選考では見られません。見られるのは自分の実績です。ただし影響はあります。周囲に年上が多いと、自分の経験を「まだ足りない」と感じやすくなる。実際には、40代前半で係長級の経験があれば、民間では十分に説明できる材料が揃っています。庁内の相対評価を、外の基準だと思わないでください。

山形県内に、県庁の経験が活きる求人はありますか

あります。製造業の管理部門、自治体を顧客にする企業の東北担当、建設コンサルタント。ただし県内に本社がある企業とは限らず、県外に本社を置きながら現地に担当を配置しているケースが多くあります。この場合は給与体系が本社基準になります。勤務地から検索すると視界に入らないので、職種で先に絞ってください。

40代で年収が下がるのは避けられませんか

職種と応募先によります。同じ40代でも、行政を顧客にする事業で「発注側を知っている人」として採用される場合と、未経験職種で一から入る場合とでは、提示される水準がまったく違います。先に「自分の経験がどこで希少になるか」を決めてから水準の話をするほうが、結果として条件は良くなります。水準から入ると、選択肢が不必要に狭まります。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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