制度とお金 / 年金
共済期間と厚生年金期間の合算
共済に加入した期間と民間会社の厚生年金期間は、老齢年金の受給資格等を確認する際に合わせて扱います。ただし、「合算できる」という一言で、年金額やすべての特例の条件まで同じように数えるわけではありません。何の判定に使う期間なのかを先に分けます。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。地方公務員の共済期間がある方を中心とする一般的な整理です。本人の期間と適用される特例は、共済組合・年金事務所で確認してください。
「合算」は判定する目的を添えて読む
2015年10月の被用者年金一元化により、共済年金と厚生年金は厚生年金へ統一されました。厚生年金保険法第2条の5は、民間会社員、国家公務員、地方公務員、私学の期間に関係する実施機関を分けて定めています。
転職でそれまでの共済記録が消える制度ではありません。一方、加入制度が一元化されたことと、給付や記録の担当がすべて一か所になることは別です。
| 確認する目的 | 期間の見方 |
|---|---|
| 老齢年金の受給資格 | 納付済み、免除、合算対象期間等を区分して確認 |
| 老齢基礎年金の額 | 年齢や納付状況等を含む所定の期間で計算 |
| 老齢厚生年金の額 | 種別ごとの報酬と対象月数等に基づく |
| 加給年金の期間要件 | 複数の厚生年金種別の期間を合算する扱いを確認 |
| 特別支給や長期加入特例 | 対象年齢と、その特例で数える期間を確認 |
| 年金払い退職給付 | 共済独自の対象期間と受給条件を別に確認 |
同じ履歴でも、どの欄に使うかによって結論は変わります。担当へ尋ねる際も、「全部で何年ですか」だけでなく、「加給年金の期間要件では何月になりますか」のように制度名を添えてください。
受給資格の期間と金額の期間を区別する
国民年金法第26条は、老齢基礎年金の支給要件を定めています。日本年金機構は、保険料納付済期間、免除期間等を合わせた受給資格期間が十年以上ある場合の原則65歳からの受給を説明しています。
公務員と民間の厚生年金期間に加え、国民年金の納付済み・免除等の期間や合算対象期間が関係します。ただし未納、免除、学生納付特例等を同じ意味で扱うことはできません。通知の加入月数があることだけで、その全期間が同じ割合で金額に反映されるとは考えません。
日本年金機構の用語説明でいう「合算対象期間」は、受給資格を調べる際には数えるものの、年金額には反映されない期間です。公務員と会社員の厚生年金期間を合わせるという一般的な話と、この制度上の用語を混同しないでください。
老齢基礎年金の額は、原則として20歳から60歳になるまでの加入期間等に応じて計算されます。たとえば60歳以後も厚生年金へ加入している人の期間を、資格の判定と基礎年金額の計算へ無条件に同じように足すことはしません。対象外となる部分や経過的な加算等は、本人の生年月日と履歴で照会します。
厚生年金保険法第42条には、老齢厚生年金の年齢と資格期間の要件があり、第43条には報酬と月数を使う額の規定があります。十年の資格を満たしたことと、どれだけの額になるかは別の確認です。
報酬を一つにまとめて平均し直さない
公務員と民間の期間を持つ人の老齢厚生年金は、原則として実施機関がそれぞれの期間に基づいて決定・支給します。共済期間の記録を民間の現在の給与へ置き換えて計算するわけではありません。
各期間の標準報酬や標準賞与、加入時期、再評価等が関係します。過去の給与明細の総支給額を全部足して平均し、一つの式に当てはめれば通知額と一致すると考えないでください。給付の項目や一元化前の経過措置もあるため、見込額は各実施機関の案内で確認します。
同じ月に退職と採用がある場合や、複数の資格記録が並んでいる場合も、勤務した月を本人が二重に加算しません。資格取得日・喪失日と対象月を確認し、重複して見える記録の説明を担当へ求めます。合計年数だけでなく、月ごとの制度と実施機関を並べることが大切です。
また、国民年金の第三号被保険者と、地方公務員に係る第三号厚生年金被保険者は別の区分です。番号が同じ「第三号」という理由で同じ期間の扱いにしないでください。履歴表には制度名も書きます。
加給年金の二十年と長期加入の特例は別判定
加給年金には、一定の厚生年金期間のほか、生計を維持している配偶者・子等の要件があります。公立学校共済組合のQ&Aは、複数の種別の厚生年金期間を持つ場合、合算して二十年以上となるときの扱いを説明しています。原則として最も加入期間が長い実施機関の老齢厚生年金へ加算される仕組みで、各機関に同じ加算が重複するわけではありません。
しかし、別の特例の年数を同じ方法で数えるとは限りません。公立学校共済組合の65歳までの年金案内には、組合員期間四十四年以上等による長期加入者の特例があります。民間の一般厚生年金を含む全履歴をそのまま四十四年へ足せると決めず、当該特例で通算できる共済の範囲や退職要件を確認します。
特別支給の老齢厚生年金では、加入期間だけでなく生年月日・支給開始年齢等も関係します。既に特別支給の対象ではない世代が、期間を積めば65歳前の同じ給付を受けられる、という説明もできません。
本人の履歴について、「十年の受給資格」「加給の期間」「長期加入特例」を別々に照会します。加給年金と振替加算では、家族側の要件も整理しています。
一元化前の職域部分と退職給付は別に残す
2015年9月以前の共済期間については、経過的職域加算額等の扱いがあります。一元化後の年金払い退職給付とは対象期間や根拠が違います。古い職域部分と新制度を同じ名称で一つにまとめると、どの期間に対する通知か分かりにくくなります。
退職等年金給付は、公務員としての対象期間に基づく制度です。民間会社で厚生年金に加入する期間が、そのままこの給付の付与額を積み増す期間になるわけではありません。他の公務員共済へ移る場合の記録引継ぎと、民間企業年金への加入も別の話です。
転職の前後では、厚生年金の履歴、経過的職域の対象期間、年金払い退職給付の通知を分けて保管します。給付算定基礎額の残高は年金の原資に関する数字で、毎年の年金額と同じではありません。資料の比較では、制度名、基準日、年額か残高かを明記してください。
請求の受付と決定・支払は区別する
日本年金機構の一元化案内は、統一後の厚生年金の届書等について、ワンストップの受付を説明しています。一方、一元化前に権利が生じた共済年金や障害給付等には例外があります。どの請求も一つの窓口へ出せば終わる、とは考えません。
老齢厚生年金の共通請求でも、すべての加入履歴を記入・申告し、提出先の案内に従います。受付が一か所でも、決定通知と支払は実施機関ごとになる場合があります。受理先と支払元を分けて記録し、一部の通知だけで全期間分の決定が終わったと判断しないでください。
年金払い退職給付は別に共済の請求を確認します。各種手続きの控えには、何を、どこへ、いつ提出したかを書きます。不足書類の通知が届いたら、対象の給付名と返送先を確かめ、同じ書類を複数窓口へ無断で重ねて送らないようにします。
記録に相違がある場合は、共済期間を含む年金記録の確認を参照できます。共済記録のネット表示には更新時差もあるため、表示の未反映と加入漏れを即断しません。
照会用の表を準備する
勤務先、加入制度、取得・喪失日、月数、通知の名称を年月順に並べます。転職と同時に改姓した場合、別の基礎年金番号が記載された古い資料がある場合は、その事情も窓口へ伝えます。本人交付の書類が足りなければ、正式な再交付や照会を依頼します。
庁内の人事台帳や他職員の情報を私的に持ち出す必要はありません。給与明細や共済通知等の本人資料を使い、原本と提出する写しを区別してください。照会の回答は、どの判定についての月数なのかを控え、次の通知で照合します。
本人の希望で仕事の情報も並べる場合は、公務員向け求人情報を閲覧できます。年金の履歴を確認しただけで、応募や退職を決める必要はありません。
よくある質問
公務員から会社員へ移ると年金期間はゼロからですか
それまでの記録がなくなる制度ではありません。受給資格の判定と額の計算にどう使うかを、それぞれの実施機関で確認します。年金払い退職給付等は厚生年金と別に整理してください。
二つの制度に記録があれば月数を全部足せますか
同じ月の重複や、その判定で使える期間の範囲を確認する必要があります。本人の勤務年数を単純に加算せず、年月ごとの資格と制度名を窓口へ示します。
ワンストップ請求なら年金も一か所から振り込まれますか
受付と決定・支払は別です。老齢厚生年金は実施機関ごとの通知や支払になる場合があります。対象の全履歴が請求に含まれているかと、別途必要な共済の給付を確認します。
経験や希望を整理する場合の相談フォームは、在職中や情報収集だけでも利用できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。LINEの案内を読むことも任意です。年金記録の確認は共済・年金事務所等が窓口です。