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制度とお金 / 定年・再任用と任用形態

公務員の再任用|フルタイムと短時間の制度・任期・条件の違い

再任用の「フルタイム」「短時間」を比べる前に、どの制度による任用かを確認する必要があります。定年を引き上げる途中の現在は、定年前再任用短時間勤務と暫定再任用が併存しています。

定年まで常勤のまま働き続ける場合も、再任用とは別です。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の一般職の制度を中心に説明し、地方公務員は所属自治体の条例・募集案内で確認する点を示します。

まず三つの働き方を分ける

働き方国の制度上の位置付け最初に確認すること
定年まで常勤で勤務定年引上げ後の在職継続本人に適用される定年、役職、給与措置
定年前再任用短時間勤務60歳以後に退職した一定の職員を短時間官職に採用退職歴、対象官職の定年退職日相当日、選考
暫定再任用定年引上げ期間中の経過措置。常勤・短時間の官職がある対象者区分、任期、更新、勤務形態

「60歳以後は全員が再任用になる」「再任用なら毎年同じ契約になる」という整理ではありません。生年月日、適用される定年、退職する時点によって、使う制度が変わります。

手元の意向調査に単に「再任用」と書かれている場合は、人事担当に正式な制度名を聞きます。希望する勤務日数だけを先に決めるより、いつまでどの身分で勤務するかを確認すると、比較する条件が明確になります。定年引上げの経過措置もあわせて確認してください。

定年前再任用短時間勤務はフルタイムの選択制度ではない

国家公務員法第60条の2は、60歳に達した日以後に退職した一定の者を、従前の勤務実績などに基づく選考により短時間勤務の官職へ採用できると定めています。臨時的職員、任期を定めて任用される職員、非常勤職員などについては、同条の対象に関する除外があります。

任期は、採用の日から、その短時間官職に係る定年退職日相当日までです。この制度の任期と、暫定再任用の一年以内という任期を混同しないことが大切です。また、定年前再任用短時間勤務から常勤官職へ当然に戻せる制度でもありません。同条には任用先に関する制限があります。

人事院のQ&Aは、実際にこの制度による任用を行うか、いつから行うかは任命権者の裁量によると説明しています。本人の希望提出だけで採用が決まるわけではありません。退職の申出を確定する前に、選考の予定、提示可能な官職、勤務場所、任期の終期を人事担当へ照会します。

暫定再任用は常勤と短時間がある

人事院の現行案内では、暫定再任用の対象官職は、指定職を除く常勤官職または短時間勤務の官職です。対象者には定年退職者、勤務延長後の退職者、定年前再任用短時間勤務の任期満了による退職者などがあり、各区分の条件を確認します。

国の暫定再任用の任期は一年を超えない範囲で任命権者が定めます。更新も一年を超えない範囲で行うことができ、最大で65歳到達年度の末日までです。最初の任期からその末日までの在職が一括して決まる、という意味ではありません。

一方、国の定年引上げに関するQ&Aには、定年退職者などの再任用希望者を年金支給開始年齢まで再任用する取組方針も示されています。この方針と、本人が望む勤務地・職務内容・勤務形態がすべて実現することは別です。Q&Aも、人事管理上の事情によって希望どおりになるとは限らないとしています。

案内を読む際は「希望者をどう扱う方針か」と「選考・任期・配置をどう決定するか」の両方を見ます。更新の意向確認時期、面談、提出書類、結果通知の予定は、本人の任命権者の案内で確かめます。

勤務時間は週の総時間と割振りを確認する

国の勤務時間法第5条では、通常の勤務時間を休憩を除き週38時間45分とし、定年前再任用短時間勤務は週15時間30分から31時間の範囲で定めます。暫定再任用についても、人事院の案内はフルタイムを週38時間45分、短時間を週15時間30分から31時間の範囲としています。

ただし、週の総時間だけでは、何曜日に勤務するか、毎日の始業・終業時刻は決まりません。交替制などの勤務形態も含め、本人の割振りを確認します。

国の暫定再任用では、短時間の年次休暇は勤務日数・時間数に応じて計算されます。また、定年退職日の翌日に暫定再任用されても、退職前の年次休暇残日数は引き継がれないと人事院は案内しています。「勤務先が同じだから残日数も同じ」と判断しないようにします。

給与は退職前の月額をそのまま比例させない

国の給与法第8条は、定年前再任用短時間勤務職員について、職務の級ごとの基準となる額と勤務時間の割合を用いる仕組みを定めています。暫定再任用も、人事院の案内ではフルタイムは級ごとの基準俸給月額、短時間はその額を基に勤務時間に応じた額となっています。

したがって、短時間の給与を「退職前の俸給月額に時間割合を掛ければよい」と計算するのは適切ではありません。適用俸給表、職務の級、基準額、手当の対象要件、期末・勤勉手当の計算をそれぞれ確認します。国の案内には住居手当なども掲載されており、「再任用は一律に手当が付かない」という古い説明を使うことも避けます。

地方公務員については、国の金額や支給条件をそのまま当てはめず、自治体の給与条例と提示条件を確認してください。退職手当も制度を分けて確認する項目です。国の暫定再任用の案内では、退職手当は支給されないとされています。

医療保険と年金は同じ区分になるとは限らない

短時間勤務だから保険に加入できない、フルタイムだから退職時の手続きがすべて不要、とはいえません。勤務時間、任期、加入要件などにより判定が必要です。医療の短期給付、厚生年金の被保険者区分、雇用保険を別々に確認します。

裁判所共済組合の案内では、一定の任期の暫定再任用フルタイム勤務と、暫定・定年前の再任用短時間勤務とで、厚生年金の第2号被保険者資格の扱いや退職届の要否を分けています。短期の共済に加入することと、年金の実施機関・被保険者区分が以前と同じことは同義ではありません。

本人の勤務条件を示して、医療の資格取得日、年金の届出、掛金・保険料、家族の被扶養者認定の扱いを共済担当に聞きます。過去の案内の加入基準だけで現在の資格を決めず、適用日を含めて回答を受けてください。

申出前に条件を一枚に整理する

比較表には、制度名、開始日、任期の終期、更新手続き、勤務場所、職務、週時間と割振り、給与の根拠、医療・年金の手続きを記入します。まだ決定していない欄は「未確定」とし、回答予定日を書きます。

人事担当への照会は、例えば「今回の意向調査はどの任用制度を対象にしていますか」「提示条件はいつ確定しますか」「勤務形態について希望と異なる提案を受けた場合、相談できる期間はありますか」と具体化できます。これは質問の例であり、全国共通の受付手順を示すものではありません。口頭説明を受けたら、募集案内や通知の該当箇所も確認し、回答日と担当窓口を記録します。前年に再任用された同僚の条件を本人の決定条件と置き換えないことも大切です。

勤務中に退職や別の就職を考える場合も、任期満了と途中辞職を分けます。再任用中の退職手続きを確認し、次の勤務先の開始日と辞職承認の日を独断で一致させないよう調整します。

比較の材料として公務員経験を生かせる求人を確認できます。現職での継続も含めた整理は相談フォームから任意でご相談いただけます。LINEでの情報収集も利用できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。

よくある質問

定年前再任用でもフルタイムを選べますか?

国の定年前再任用短時間勤務は短時間官職への任用制度です。常勤で定年まで在職する場合や、暫定再任用のフルタイムとは区別します。本人が利用できる制度を人事担当に確認してください。

暫定再任用を希望すれば同じ部署で更新できますか?

国には希望者の再任用に関する取組方針がありますが、勤務地、職務内容、勤務形態が必ず希望どおりになるわけではありません。任期と更新の手続き、提示される配置を確認します。

短時間なら共済と年金を両方やめるのですか?

一律ではありません。勤務条件による加入判定と、短期共済・厚生年金の区分は別です。本人と家族の資格、必要な届出を、任用条件を示して共済担当へ確認してください。

出典

  1. 国家公務員法 第60条の2
  2. 一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律 第5条
  3. 一般職の職員の給与に関する法律 第8条
  4. 人事院 国家公務員の60歳以降の働き方 令和8年4月版
  5. 人事院 定年引上げに関するQ&A 令和8年4月版
  6. 人事院 暫定再任用制度
  7. 裁判所共済組合 令和6年4月以降に常勤職員から再任用職員となる方へ

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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