制度とお金 / 退職の手続き
退職日の決め方|年度末と月末
退職日は、年度末か月末かという二択だけでは決まりません。年度末は担当業務の区切り、月末は保険料の月の計算に関係しますが、給与や退職手当、税、次の入社日はそれぞれ別の条件で動きます。複数の日付を並べ、本人の任用と家計に即して確認します。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。主に一般職の公務員からの転職を想定した一般的な説明です。本人の退職承認は人事担当、給与・退職手当は支給担当、保険は所属共済組合、年金は年金事務所、税は税務署と市区町村へ確認してください。
退職日と最終登庁日を分ける
退職日は職員としての身分を終える日です。最終登庁日は最後に職場で勤務する日であり、その後に承認された休暇を取得する場合などは一致しません。休暇を始める日を退職日と取り違えると、在職期間、保険、次の入社日を誤って伝えることになります。
希望する日付を書いた退職願を提出することと、その日付での退職が正式に決まることも区別します。国では人事院規則八―一二第51条に辞職の申出と承認の規定があります。地方では所属の規程と任命権者の手続きを確認します。入社先には、希望日なのか正式に確認できた日なのかを明示してください。
休暇の残日数があっても、本人が自由に勤務日と退職日を変更してよいわけではありません。必要な申請、引継ぎの予定、貸与品の返却、連絡方法を所属と調整します。提出時期や宛先は退職願の出し方でも説明しています。
年度末は業務の区切りとして考える
3月31日は自治体の会計年度の終わりに当たるため、予算や契約、事業報告などの区切りを整理するうえで候補になります。ただし、年度末が本人の担当業務の完了日とは限りません。決算や繰越事業、複数年度の契約など、翌年度に続く仕事もあります。
年度末を選ぶ場合も、引継ぎの相手がいつ決まるか、何を先に文書化するかを確認します。異動の内示後に初めて資料を作るのではなく、担当一覧、進行中の案件、期限、資料の保存場所、判断待ちの事項を整理しておくと、引継ぎ先が変わっても渡しやすくなります。
年度途中を候補にするときは、繁忙期や議会・予算の予定を材料に調整します。担当が忙しい時期に当たるという事情と、制度上の申出期限や承認手続きは別です。年度末まで待つのが全国共通の義務、年度途中なら手続きが不要、といった判断はしません。
次の会社の募集時期や業務開始時期も確認します。年度末を優先して数か月待つ場合と、年度途中に移る場合では、引継ぎだけでなく生活の予定も変わります。一方の組織の都合だけを前提にせず、所属と入社先の両方へ調整可能な期間を確かめます。
月末退職では共済の資格喪失日を見る
地方公務員等共済組合法第39条は、退職したときは原則として翌日から組合員の資格を失うと定めています。同法第114条では、通常、資格を取得した月から資格を喪失した月の前月までの各月について掛金等を徴収する仕組みです。資格を取得した月に喪失する場合などには別の規定があります。
たとえば継続して加入してきた組合員が3月31日に退職する場合、資格喪失日は4月1日となり、通常は3月分まで掛金等の対象です。3月15日に退職する場合は資格喪失日が3月16日となり、通常の月の計算では2月分までです。ただし、この差だけで「月の途中なら3月の保険料が全部なくなる」とは言えません。
退職翌日以降の医療保険をどうするかは別途決めます。共済の任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者、新勤務先の健康保険などについて、それぞれの加入条件と期限を確認します。保険料の月の計算と、医療を受ける日にどの資格があるかは別の問題です。
家族を扶養していた場合は、本人だけでなく家族の切替えも確認します。資格喪失後に旧資格を使って受診できると考えず、退職時に共済組合から案内される手続きを進めてください。申請中の受診方法も、加入する保険者や医療機関へ確認します。
年金と新勤務先の加入日をつなげる
日本年金機構は、厚生年金について、退職翌日に資格を失い、通常は資格喪失月の前月までの保険料を納めると説明しています。月末に退職すると翌月1日が資格喪失日になるため、退職した月分まで対象になります。同月に資格を取得・喪失する場合などには例外があります。
退職後しばらく次の勤務先に入らない場合は、年齢や配偶者の扶養などの条件に応じ、国民年金第1号または第3号などの手続きを確認します。最終的にその月の国民年金保険料の納付が不要になる場合でも、空白期間の資格の切替えまで不要とは限りません。
3月31日退職・4月1日入社という候補では、新勤務先で本当に4月1日から保険・年金の加入対象になるかを確認します。4月途中の入社なら、退職翌日から入社前日までの扱いも確認します。「入社月が同じだから、その前の期間も会社の保険になる」とは考えないようにします。
入社時期の調整が必要な募集かを知るために、行政に関わる求人の仕事内容を確認することもできます。保険の加入日は、採用条件と勤務先の担当者への確認が必要です。
給与・期末勤勉手当・退職手当は別に確認する
最終月の給与がどの期間を対象に、いつ支給されるかは、給与の条例・規則などで確認します。月末退職だから必ず同じ手取りになるとは限りません。日割りの有無、通勤手当などの精算、住民税や掛金の控除も関係します。
期末勤勉手当は、基準日、在職期間、勤務期間、退職後の身分など、適用する規程の条件を確認します。基準日の直前・直後という日付だけで全職員の支給可否や支給額を断定できません。「年度末に辞めれば賞与が有利」とまとめず、候補日ごとの支給条件を給与担当に聞きます。
退職手当の勤続期間も、カレンダー上の満年数だけでは判断しません。国家公務員退職手当法第7条では、在職期間を月数で計算する規定、休職月等の除算、年未満の端数処理などを定めています。地方職員は本人に適用される退職手当条例などを確認する必要があります。
たとえば退職日を同じ月の中で動かす場合と、翌月へ移す場合では、在職月数への影響が異なる可能性があります。ただし、月数が変われば必ず支給額が増えるわけではありません。本人の退職理由、勤続期間、計算の方式をそろえて、担当へ比較を依頼してください。
税の年度と支払日も退職日から切り離す
給与の所得税は暦年単位で扱うため、会計年度が終わる3月と税の年末は一致しません。転職先で前職分を含めて年末調整できるか、本人の確定申告が必要かは別途確認します。年度末退職だからその年の所得税の精算も終わるわけではありません。
退職手当は原則として退職所得として給与と分けて課税する制度があります。退職所得の受給に関する申告書の提出、源泉徴収票、過去の退職金や確定拠出年金の一時金との関係は、支給担当と税務署へ確認します。実際の振込日だけで税の対象年を決めないようにしてください。
給与から特別徴収されていた住民税には未徴収額が残る場合があります。退職後の一括徴収、普通徴収、新勤務先での継続は条件によって異なります。退職所得に対する住民税とも別のものです。詳細は退職後の住民税の普通徴収を参照し、所属と市区町村へ確認します。
退職手当と給与の振込予定、残る税や保険料、新勤務先の最初の給与支払日を一枚にすると、無収入に見える期間と実際に支出が必要な期間を把握できます。退職日を決めるときは、支給総額だけでなく支払日も家計に入れてください。
応募の進め方と入社時期を一緒に考えたい場合は、相談窓口で現在の経験と予定を整理できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。
候補日を比較してから希望を伝える
候補は二つ程度に絞り、それぞれについて、規程上の申出時期、承認の見込み、引継ぎ、休暇、最終給与、退職手当、保険・年金、税、入社日を確認します。担当に聞く際は「いつが得ですか」ではなく、「この二つの日で何の扱いが変わりますか」と尋ねると、制度上の違いを確かめやすくなります。
回答が出ていない項目は未確認のまま記録します。自分の予測で埋めた条件を、転職先や家族に確定事項として伝えないことも大切です。正式な日付が決まったら、勤務先間の予定、資格の手続き、引継ぎ計画を更新してください。
よくある質問
年度末以外の退職はできませんか
年度末だけが全国共通の退職日ではありません。本人に適用される規程の申出時期と承認手続きを確認し、業務の引継ぎや入社先の予定を調整します。希望日を書いたことだけで正式決定とは扱わないようにします。
月末の前日に退職すると保険料が安くなりますか
最後の共済の掛金等だけでは判断できません。資格喪失後に加入する医療保険・年金の負担、本人と家族の条件、新勤務先の資格取得日も確認する必要があります。同月の資格取得・喪失などの例外もあるため、具体的な日付で担当へ確認してください。
最終出勤日の翌日から次の会社で働けますか
最終出勤日と退職日は一致しない場合があります。休暇中も在職しているなら、服務上の制限や兼業に関する確認が必要です。正式な退職日と入社日を整理し、所属と新勤務先へ事前に確認してください。
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