選考対策 / 求人の探し方
口コミサイトとの付き合い方
応募先を調べる過程で、口コミの記載を目にすることがあります。
判断の材料にしてよいのか、迷うところです。
この記事では、読み分け方と、自分が書く側になるときの注意を扱います。
先に——自分が書く側の注意
地方公務員法第34条第1項です。
> 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
「その職を退いた後も」と書かれています。
退職しても、義務は続きます。
同条第2項は、法令による証人、鑑定人等となる場合について、任命権者の許可を要するとしています。
つまり、例外は手続きを経たものに限られる構造です。
匿名であっても、職務上知り得た秘密にあたる内容を書くことはできません。
| 内容 | 扱い |
|---|---|
| 職務上知り得た秘密 | 書けません(退職後も同様) |
| 特定の個人が分かる内容 | 避けてください |
| 進行中の案件 | 避けてください |
| 一般に公表されている事項 | 公表の範囲で |
判断に迷う内容は、書かないでください。
匿名の投稿でも、内容から所属や時期が特定されることがあります。
読む側——何が分かり、何が分からないか
| 分かること | 分からないこと |
|---|---|
| 投稿した人が感じたこと | 書いた人の立場・部署・時期 |
| 具体的な出来事の記述 | それが今も続いているか |
| 複数に共通する記載 | 全体の傾向かどうか |
| 制度の有無の記載 | 実際の運用 |
右の列が重要です。
部署が違えば、同じ会社でも状況が異なります。
役所でも、課によって忙しさや進め方が違ったはずです。
同じことが、民間でも起きています。
偏りの構造
| 要因 | 内容 |
|---|---|
| 書く動機 | 不満があるときのほうが書かれやすい |
| 退職者の比率 | 在職者より書きやすい立場です |
| 時期のずれ | 数年前の記載が残ります |
| 部署の偏り | 特定の部署の話に寄ることがあります |
| 件数の少なさ | 規模の小さい会社では数が限られます |
1行目と3行目です。
満足している人は、わざわざ書きません。
そして、記載には日付があります。
古い記載が上位に出ることがあります。
投稿の時期を確認してください。
読み分けの方法
| 区分 | 例 | 扱い |
|---|---|---|
| ① 事実の記載 | 「◯◯の制度がある」「拠点は◯か所」 | 確認できます |
| ② 出来事の記述 | 「◯◯という対応があった」 | 個別の事例 |
| ③ 評価の記載 | 「働きやすい」「合わなかった」 | 書いた人の感想 |
①を拾ってください。
事実の記載は、求人票や会社の資料と突き合わせられます。
合っていれば、記載の信頼性が上がります。
合っていなければ、面接で確認する項目になります。
③は、そのまま受け取らないでください。
「働きやすい」の中身は、人によって違います。
使い方——質問に変える
| 口コミの記載 | 面接での聞き方 |
|---|---|
| 残業が多い | 「繁忙の時期と、その際の対応を伺えますか」 |
| 制度が使いにくい | 「◯◯制度の取得の実績を伺えますか」 |
| 部署によって違う | 「配属予定の部署の体制を伺えますか」 |
| 離職が多い | 「この職種の在籍の年数の傾向を伺えますか」 |
記載をそのままぶつけないでください。
「口コミで見たのですが」と切り出すと、確認ではなく指摘になります。
確認したい事項だけを、自分の言葉で聞いてください。
行政が相手の会社の場合
| 確認できること | 資料 |
|---|---|
| 担っている事業 | 自治体の公表資料 |
| 指定・受託の期間 | 議会の議案、契約の公表 |
| 事業の評価 | 指定管理者の事業報告書 |
| 選定の理由 | プロポーザルの結果 |
口コミより、こちらのほうが確かな材料です。
役所で扱ってきた種類の資料でもあります。
扱いは応募前の企業調査で見るべき資料に整理しています。
経験の言い換えから相談することもできます。
見るときの手順
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 投稿の時期を確認する |
| 2 | 事実の記載だけを拾う |
| 3 | 求人票・会社の資料と突き合わせる |
| 4 | 合わない点を質問にする |
| 5 | 評価の記載は参考にとどめる |
| 6 | 時間を区切る |
6です。
読み続けると、判断が偏ります。
1社あたり10分から15分を目安にしてください。
在職中の投稿について
| 場面 | 注意 |
|---|---|
| 現職について書く | 守秘義務があります |
| 前職について書く | 退職後も同様です |
| 応募先について書く | 選考の過程は書かないでください |
| 特定できる記述 | 避けてください |
3行目です。
選考の過程で知った情報には、公表されていないものが含まれます。
書かないでください。
なお、これは口コミサイトに限りません。
会員制の交流の場でも同じです。
突き合わせの例
事実の記載は、他の資料で確認できます。
| 口コミの記載 | 突き合わせる先 |
|---|---|
| 「拠点が増えている」 | 会社のウェブサイト、設備の状況 |
| 「◯◯の事業が中心」 | セグメントの情報、発表 |
| 「在宅勤務の制度がある」 | 求人票、採用のページ |
| 「官公庁の案件が多い」 | 自治体の公表資料、事業等のリスク |
| 「人が増えている」 | 従業員数の推移 |
4行目です。
行政が相手の事業が中心かどうかは、自治体の側の資料で確認できます。
指定管理者の指定、入札の結果、契約の公表。
口コミの記載が裏づけられれば、その部分は信頼できます。
一方、突き合わせて合わない記載があれば、その項目は面接で確認してください。
この作業をすると、口コミが「確認の出発点」に変わります。
読んで終わりにしないための手順です。
よくある失敗
1. 評価の記載をそのまま受け取る
書いた人の感想です。
2. 投稿の時期を見ない
数年前の記載が残ります。
3. 読み続ける
時間を区切ってください。
4. 記載を面接でそのままぶつける
確認ではなく指摘になります。
5. 事実の記載を突き合わせない
確認できる部分を使ってください。
6. 自治体の公表資料を見ない
より確かな材料があります。
7. 自分が書く側の注意を忘れる
退職後も義務は続きます。
まとめ
- 地方公務員法第34条第1項は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないとし、その職を退いた後も同様と定めています。匿名でも、書けない内容があります
- 読む側では、書いた人の立場・部署・時期が分からない点を前提にしてください
- 不満があるときのほうが書かれやすいという偏りがあります
- 事実の記載を拾い、求人票や会社の資料と突き合わせてください
- 評価の記載は、参考にとどめてください
- 読んだ後に、質問を作ってください。記載をそのままぶつけないでください
- 行政が相手の会社は、自治体の公表資料のほうが確かな材料です
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
悪い記載が多い会社は、応募を避けるべきですか
記載の数だけで判断しないでください。投稿の数は、会社の規模と、在籍した人の数にも左右されます。規模が大きいほど、記載の数も増えます。見るべきは、同じ内容が複数の時期にわたって繰り返されているかどうかです。特定の時期に集中している場合、その時期に何かがあったという読み方になります。組織の変更や事業の見直しがあった時期かもしれません。会社の発表や有価証券報告書の記載と突き合わせると、背景が分かることがあります。読み方は有価証券報告書の読み方|転職者が見るべき箇所に整理しています。気になる点は、面接で確認してください。
現職の口コミを書いてもよいですか
職務上知り得た秘密にあたる内容は、書けません。地方公務員法第34条第1項は、在職中も、退職した後も、この義務が続くと定めています。匿名であっても同じです。また、内容から所属や時期が特定されることがあります。加えて、特定の個人が分かる記述は、別の問題を生じさせます。判断に迷う内容は、書かないでください。なお、書かないことで不利益が生じるものではありません。転職の活動に、口コミの投稿は必要ありません。読む側として使うにとどめてください。
選考の過程で知ったことを、書いてもよいですか
書かないでください。選考の過程では、公表されていない情報に触れることがあります。組織の体制、事業の計画、募集の背景、選考の内容。これらは、公開を前提としたものではありません。また、守秘に関する取り決めを求められる場合があります。その場合は、取り決めの範囲に従ってください。取り決めがない場合でも、公表されていない情報を書くことは避けてください。なお、面接で聞いた内容を、他の応募先の面接で話すことも同様です。選考の過程で得た情報は、自分の判断のために使うという位置づけにしてください。