選考対策 / 立場・年代別
30代の公務員が転職するとき
複数の部署を経験し、担当の範囲が広がった段階です。
後進の指導が始まっている方もいらっしゃいます。
この記事では、評価される点と、書類の組み立てを扱います。
自分の職務についての記録があります
地方公務員法第23条第1項です。
> 職員の人事評価は、公正に行われなければならない。>> 2 任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする。
同法第23条の2第1項です。
> 職員の執務については、その任命権者は、定期的に人事評価を行わなければならない。
定期的に行われるという仕組みです。
つまり、自分の職務について、目標と実績を整理した記録が毎年作られているということです。
職務経歴書を書くときの材料は、すでに手元にあります。
評価の結果そのものを書類に載せる必要はありません。
評価の際に自分で書いた「何を担当し、何を達成したか」の記述が、材料になります。
過去数年分を読み返すところから始めてください。
何が見られているか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 担当した範囲 | 1人で完結する範囲の広さ |
| ② 判断の経験 | 例外や困難な事案の処理 |
| ③ 調整の経験 | 他課、他団体、事業者との折衝 |
| ④ 後進への指導 | 人数、方法、作った資料 |
| ⑤ 制度への対応 | 改正への対応、手順の整備 |
| ⑥ 次に何をしたいか | 条件の明確さ |
①と②が中心です。
20代との違いは、「言われたことをした」から「自分で決めた」へ移っている点です。
決めた範囲を書いてください。
書き方の例
悪い例
> ◯◯課で、申請の審査を担当しました。
良い例
> ◯◯課で、年間約◯件の申請の審査を担当。制度の要件に当てはまらない事案について、類似の事例と関係法令を確認したうえで判断の方針を整理し、◯件を処理。新任の担当者◯人に対し、確認の手順書と記入例を作成して指導。
後者は、「範囲」「判断」「指導」の3つが入っています。
これが、30代で求められる書き方です。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
複数の部署を経験している場合
| 書き方 | 内容 |
|---|---|
| 時系列で並べる | 在籍の一覧として |
| 機能でまとめる | 審査、調整、契約、説明などの軸で |
| 両方を書く | 一覧+機能のまとめ |
2行目です。
部署の名前を並べるだけでは、何ができるかが伝わりません。
「審査と決定」「契約と調達」「対外の説明」のように、機能でまとめ直してください。
異動が多い場合の整理は異動が多い公務員の職務経歴書の並べ方に整理しています。
両立している場合
| 事情 | 整理すること |
|---|---|
| 育児 | 勤務できる時間、急な対応の可能性 |
| 介護 | 同上 |
| 配偶者の勤務 | 転勤の可否、通勤の範囲 |
| 住まい | 転居の可否 |
勤務の条件に関わる範囲を、先に整理してください。
条件が決まっていれば、求人を絞る軸になります。
伝え方は家族への伝え方と、反対されたときの整理に整理しています。
求人を選ぶ軸
| 軸 | 内容 |
|---|---|
| 顧客が誰か | 行政、企業、消費者 |
| 担当の範囲 | 広いか、専門に絞るか |
| 判断の範囲 | どこまで自分で決めるか |
| 勤務の条件 | 時間、場所、転勤 |
| 育成の有無 | 人を見る立場になるか |
3行目です。
役所で自分の判断で進めてきた方が、手順に沿うだけの業務に移ると、合わないことがあります。
逆に、判断の負担を減らしたい場合もあります。
どちらを求めているかを、先に決めてください。
経験の言い換えから相談することもできます。
残るという判断
| 場面 | 考えること |
|---|---|
| 昇任の見込み | 段階が変われば、書けることが増えます |
| 希望する部署への異動 | 可能性と時期 |
| 制度・資格の機会 | 在職中に得られるもの |
| 条件を比べた結果 | いまのほうが合っている場合 |
1行目です。
次の段階に上がる見込みがあるなら、上がってから動くほうが、書けることが増えます。
焦って動く理由は、この年代では多くありません。
判断は、材料が揃ってからで差し支えありません。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 過去数年の人事評価の記述を読み返す |
| 2 | 担当した業務を、件数・対象・範囲で書き出す |
| 3 | 機能でまとめ直す |
| 4 | 続けたい部分と、負担だった部分を分ける |
| 5 | 求める条件を決める |
| 6 | 求人を読む |
| 7 | 職務経歴書を作る |
1と4が要です。
1は材料の収集、4は条件の決定にあたります。
この2つが終わっていれば、書類は1日で形になります。
逆に、この2つを飛ばすと、何度書き直しても定まりません。
在職中の進め方
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 記録を取る | 月に1回、数行 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 条件の見直し | 月に1回 |
| 書類の作成 | まとまった時間を1回 |
1行目です。
担当した件数と、その月に新しく扱ったこと。
この2つを残しておくと、書類を作るときに使えます。
思い出して書くより、記録から書くほうが正確です。
よくある失敗
1. 部署の名前だけを並べる
機能でまとめ直してください。
2. 人事評価の記述を読み返さない
材料は手元にあります。
3. 判断した範囲を書かない
30代で中心に見られる部分です。
4. 後進への指導を書かない
人数と作った資料を書いてください。
5. 勤務の条件を整理しない
求人を絞る軸になりません。
6. 判断の範囲を求人で確認しない
入社後に合わないことがあります。
7. 昇任の見込みを計算に入れない
段階が変われば書けることが増えます。
8. 「まだ何者でもない」と考える
担当し、決めてきた事実があります。
まとめ
- 地方公務員法第23条・第23条の2により、人事評価は定期的に行われ、任用・給与・分限その他の人事管理の基礎として活用されます。自分の職務についての記録が毎年作られています
- 人事評価の際に書いた記述が、職務経歴書の下敷きになります
- 見られているのは、担当した範囲、判断の経験、調整の経験、後進への指導、制度への対応です
- 「範囲」「判断」「指導」の3つを書いてください
- 複数の部署を経験している場合は、機能でまとめ直してください
- 判断の範囲を、求人で確認してください
- 昇任の見込みがあるなら、上がってから動くという選択もあります
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よくある質問
係長になったばかりで、管理の経験が浅いです
期間の長さより、何をしたかを書いてください。係の事務の進行の管理、困難な事案の折衝、新任の指導、他課との調整。これらは、期間が短くても書けます。書き方は、「係◯人の事務の進行を管理し、事業の計画に対する進捗を確認。遅れの見込まれる案件について、事業課と工程を調整」という形です。人数と、調整した相手を具体にしてください。なお、「管理職ではないので書けない」と考えないでください。中途採用で見られているのは、役職の名称ではなく、担った役割です。段階が変わったこと自体が、求められるものが変わった証になります。
転職を考えていると、いまの仕事に身が入りません
在職中の業務は、書類の材料になります。いま担当している業務の件数、扱った事案、作成した資料。これらは、職務経歴書に書ける内容です。この視点で業務を見ると、記録を取る動機が生まれます。また、転職しない判断をした場合も、記録は人事評価の資料として使えます。どちらに転んでも、無駄になりません。なお、検討に時間がかかること自体は、珍しいことではありません。求人を読む、条件を整理する、制度を確認する。これらは、月に数時間で進みます。日々の業務と並行して差し支えありません。
30代の後半になると、応募が難しくなりますか
求人の条件によります。労働施策総合推進法第9条は、募集及び採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならないと定めています。年齢の記載がある求人では、その理由が示されていることがあります。判断の目安は、求人票の「必須」の欄です。求められている経験が自分にあるかどうかで見てください。なお、行政が相手の事業では、実務の年数が長いほうが評価されることがあります。制度の理解、折衝の経験、判断の実績。これらは、年数とともに積み上がるものです。年代より、経験の中身で判断してください。