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選考対策 / 職務経歴書

公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本

公務員の職務経歴書で、いちばん多い書き出しはこれです。

「◯◯市役所に入庁後、一般行政事務に従事。税務課、市民課、福祉課、財政課を経て現在に至る。」

3行で、20年が終わります。

読む側は、ここから「役所で事務をしていた人」という像しか作れません。実際にやっていたのは、税の賦課と滞納整理、住民記録の管理、生活保護の決定、予算の査定です。どれも民間に同じ形の仕事があります。それが書かれていないだけです。

この記事では、職務経歴書の型そのものを扱います。書き出しの5行は職務経歴書の要約欄|最初の5行で何を書くか、自己PRの作り方は自己PRの作り方|公務員の実績を民間の言葉にするに分けました。

結論:3つの層に分けて、上から順に読ませる

職務経歴書は、3つの層でできています。

層何を書くか目安の分量
職務要約組織の規模、担当した機能、判断していた範囲5行
担当業務部署ごとではなく、機能ごとに分けるA4で1ページ弱
実績自分が設計した部分を、3つの型で3〜5項目

全体はA4で2枚。3枚を超えると、読まれるのは1枚目だけになります。

順番が大事です。採用の担当者は、最初の5行で「読み進めるかどうか」を決めています。そこに「一般行政事務に従事」と書かれていると、残りの2枚は読まれません。

「能力の実証」という言葉は、役所の側にも書かれています

書き方に入る前に、この書類の性格を押さえます。

地方公務員法第15条です。

> 職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。

「能力の実証に基づいて」。つまり、役所の人事も、熱意や人柄ではなく、実証された能力で人を動かす建て付けになっています。昇任の選考も、人事評価も、この条文の下にあります。

職務経歴書は、民間側の「能力の実証」の書類です。やってきたことの範囲と、そこで自分が決めた部分を示す。構造は、役所の中で使っている書類と変わりません。

違うのは、読む側が前提知識をまったく持っていないことです。庁内の異動希望調書は、人事が「財政課の査定係」と書けば何をする係か分かる前提で書かれています。民間の採用担当者は、査定係が何をする係か知りません。

だから、機能で書き直す必要があります。能力が足りないからではなく、言葉が通じていないだけです。

職務要約——最初の5行

悪い例

> ◯◯市役所に入庁後、一般行政事務に従事。税務課、市民課、福祉課を経て、現在は財政課に在籍。

規模も、判断の範囲も読めません。役所の中では十分に通じる書き方ですが、外では情報がゼロです。

良い例

> 人口約◯万人の市において、税務・福祉・財政の3分野を担当。市税の賦課と滞納整理(対象約◯件)、生活保護の決定(担当約◯世帯)を経て、現在は財政課で一般会計約◯億円の予算査定を担当。◯部局の要求の査定と、査定結果の説明を担当。

同じ経歴です。足したのは、人口・件数・世帯数・予算規模・部局の数だけです。

数字は「約」で構いません。正確な数字を出すことよりも、桁が分かることのほうが大事です。

担当業務——部署名ではなく、機能で分ける

ここが、公務員の職務経歴書でいちばん効く直し方です。

✕ 部署名で並べる○ 機能で分ける
税務課(3年)債権の管理と回収:市税の賦課、滞納整理、差押えと換価、分納の折衝
市民課(2年)個人情報を扱う窓口の運用:住民記録の異動処理、証明の交付、窓口の手順の整備
福祉課(4年)個別の審査と決定:生活保護の申請の審査、決定、訪問による状況の確認
財政課(3年)予算の編成と配分:査定、歳入の見積り、決算の分析、起債の管理

左は「どこにいたか」。右は「何をしていたか」です。採用の担当者が知りたいのは、右です。

機能で分けると、異動が多いことが弱点ではなくなります。「4つの部署を回った人」ではなく、「債権管理・窓口運用・審査・予算編成の4機能を担った人」として読まれます。

部署名は、機能の後ろに括弧で添えるだけで足ります。

自分の経験がどの機能に当たるかは、自治体の部署別 仕事ガイドに部署ごとに整理しています。

実績——3つの型で書く

実績欄がいちばん書きにくいのは、成果が「何も起きなかったこと」として現れる仕事が多いからです。滞納が減った、事故が起きなかった、苦情が来なかった。どれも、数字にしにくい。

それでも、次の3つの型のどれかには必ず当てはまります。

型1:手順や基準を作った

> 滞納整理の着手の基準を、金額と経過月数で区分して整理。担当者ごとに異なっていた着手の時期を統一し、引継ぎの様式を作成。

型2:数字を動かした

> 現年度分の収納率について、催告の時期と方法を見直し、◯年度の◯%から◯年度の◯%に変化(出典:市の決算に関する公表資料)。

型3:動かない相手を動かした

> 予算の査定において、◯部局との協議を担当。要求額の根拠を事業ごとに分解し、単価と件数の前提を揃えたうえで、◯件の事業の見直しに合意。

3つとも、「担当した」ではなく「自分が決めた」で書かれています。ここが、実績欄の芯です。

型3は、公務員の経歴でいちばん評価されやすい部分です。権限で動かせない相手を、根拠と説明で動かした経験は、民間の調整の仕事でそのまま求められます。

数字の出し方——規模・量・変化の3種

数字は、3種類に分けると出しやすくなります。

種類何を書くか例
規模自分が相手にしていた大きさ人口約◯万人、一般会計約◯億円、職員約◯人、対象約◯施設
量自分が処理した数年間約◯件、担当約◯世帯、査定した事業約◯件
変化前と後で変わった数収納率、処理の日数、書類の枚数、会議の回数

変化が出せない仕事のほうが多いので、規模と量だけで構いません。それでも、何もない状態よりはるかに読まれます。

数字が出せない仕事の扱いは、この後の記事で別に整理します。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。経験の言い換えから相談することもできます。

よくある失敗

1. 部署名で並べる

機能で分けてください。異動の多さが、担った機能の多さに変わります。

2. 「〜に従事」で終わる

「従事」は、何もしていないのと同じ意味に読まれます。何を判断したかを書いてください。

3. 根拠の法令を並べる

法令名は、読む側が知りません。「地方税法に基づき」ではなく、「時効の管理が必要な債権を、期限のある手続きで回収していた」と書いてください。

4. 全部書いて、A4で5枚になる

2枚に収めてください。応募先に関係のない機能は、1行に圧縮して構いません。

5. 守秘の線を越える

地方公務員法第34条は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと定めています。この義務は「その職を退いた後も、また、同様とする」と書かれています。退職しても消えません。

特定の事業者の名前、個人が特定できる事案、未公表の内部の検討の経緯。これらは書類にも面接にも出せません。

6. 5を恐れて、何も書かない

これがいちばん多い失敗です。書けるのは、「どこで」ではなく「どうやって」です。相手の名前を伏せ、自分が使った方法と、決めた範囲で書けば、守秘の線は越えません。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

よくある質問

技術職(土木・建築)ですが、同じ型で書けますか

同じ型で書けます。機能の分け方だけが変わります。技術職の場合は、計画・設計・発注・監督・維持管理の5つに分けると整理しやすくなります。「道路課で3年」ではなく、「年間約◯件、総額約◯億円の工事の発注と監督。設計の照査、施工の計画の確認、工程と出来形の管理を担当」という形です。技術職は、規模と件数が出しやすいぶん、事務職より書きやすい面があります。むしろ注意が要るのは、資格と、扱った構造物の種類を書き落とすことです。どの工種を、どの規模で、何件。これが揃っていると、建設コンサルタントや施工管理の求人では、それだけで読まれます。部署ごとの整理は自治体の部署別 仕事ガイドにあります。

民間の経験がまったくありません。職務経歴書を書く資格がありますか

職務経歴書は、民間の経験を書く書類ではありません。働いてきた内容を書く書類です。新卒で入庁して、そのまま20年勤めた方でも、書く中身はあります。むしろ、役所で20年の方のほうが、担った機能の数は多いことが多いです。3年ごとに異動していれば、6〜7の機能を経験していることになります。民間で同じ期間なら、2〜3職種であることが珍しくありません。書き方で気をつけるのは、その経験を「役所の中での経験」として書かないことだけです。機能で書けば、経験年数はそのまま経験年数として読まれます。

定型の様式はありますか。指定された形式で出すべきですか

応募先から様式の指定があれば、それに従ってください。指定がない場合は、A4の2枚で、職務要約・担当業務・実績の順であれば、形式は問われません。日付・氏名・職務要約・職務経歴・活かせる経験と知識・保有資格・自己PR、という並びが一般的です。手書きである必要はありません。気をつけるのは、履歴書と職務経歴書で書いてある内容がずれることです。在籍の期間、異動の時期、役職に就いた年。この3つは必ず突き合わせてください。面接で食い違いを指摘されると、中身とは関係のないところで確認に時間を取られます。要約欄の書き方は職務経歴書の要約欄|最初の5行で何を書くかに分けて書きました。

出典

  1. 地方公務員法 第15条(任用の根本基準)・第34条(秘密を守る義務)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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