選考対策 / 立場・年代別
3年目の転職は早すぎるか
「3年は続けたほうがよい」と言われた、というご相談を伺います。
この目安に、根拠はあるのでしょうか。
この記事では、制度の前提と、判断の材料を扱います。
年数を定めた規定はありません
民法第627条第1項です。
> 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
期間の定めのない雇用では、いつでも解約の申入れができるという原則です。
「◯年勤めなければならない」という定めは、置かれていません。
なお、公務員の勤務関係は任用によるものです。
退職の手続きは、条例・規則によって定められています。
申出の時期や手続きの流れは、所属の人事担当に確認してください。
いずれにしても、「3年」という年数に、法令上の根拠があるわけではありません。
目安として語られているものです。
では、何を基準にするか
| 基準 | 確認すること |
|---|---|
| ① 続けにくい理由が、配置で解消するか | 異動の周期と、希望の仕組み |
| ② その分野で身につくものが残っているか | 次の段階で担う業務 |
| ③ 条件の合う求人が存在するか | 実際に探してみる |
| ④ 説明できる状態か | 変わる理由を言葉にできるか |
| ⑤ 体調・生活 | 続けられる状態か |
この5つで判断してください。
年数ではなく、材料で決めるという形です。
④が揃っていない段階で動くと、次も同じ理由で続きにくくなります。
①——配置で解消するか
| 続けにくい理由 | 配置で変わるか |
|---|---|
| 業務の量 | 課によって異なります |
| 扱う内容 | 変わります |
| 対外の対応の多さ | 変わります |
| 人との関わり | 変わることがあります |
| 組織の全体の風土 | 変わりにくい |
| 働き方の制度 | 団体全体の制度による |
5行目と6行目です。
これらは、配置が変わっても残ります。
一方、上の4つは、課が変われば変わることがあります。
役所は、数年で配置が変わる仕組みになっています。
次の異動で状況が変わる可能性を、材料に入れてください。
3年目で書けること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 担当した業務 | 件数、対象、範囲 |
| 制度への対応 | 改正、新しい事業 |
| 対外の対応 | 相手と内容 |
| 改善 | 様式、手順、記入例 |
| 使ったシステム | 名称と、何をしたか |
1行目です。
3年あれば、年間の業務の周期を複数回経験しています。
当初予算の編成、議会の時期、決算、異動。
1年目には見えなかった全体の流れが見えているはずです。
これは、書類に書ける内容です。
書き方は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
面接での説明
| 避けたい説明 | 置き換え |
|---|---|
| 3年目なので、そろそろ | 何をしたいかを述べる |
| 合わなかった | 続けたい部分と、続けにくい部分を分ける |
| 周りも辞めている | 自分の理由を述べる |
| 成長できない | 何を身につけたいかを述べる |
1行目です。
年数を理由にすると、次も年数で動くと受け取られます。
理由は、業務の中身で語ってください。
「担当した◯◯の業務のうち、◯◯の部分を続けたいと考えた。いまの職場では、その部分の比重が小さい」という形です。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 続けにくい理由を、業務の要素に分ける |
| 2 | 配置で変わるものか見分ける |
| 3 | 異動の希望の仕組みを確認する |
| 4 | 求人を読み、条件の合うものがあるか確認する |
| 5 | 職務経歴書を1通作る |
| 6 | 判断する |
4と5を、判断の前に置いてください。
条件の合う求人が存在するかを知らないまま判断すると、想定が立ちません。
5について。
書いてみると、自分の経験の整理がつきます。
書けることが思ったより多いということも、少ないということも分かります。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業務の記録 | 月に1回、数行 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 制度の確認 | 異動の希望、退職の手続き |
| 条件の見直し | 月に1回 |
3行目です。
退職の手続きの期間は、制度の照会として確認できます。
退職の意思を伝える必要はありません。
扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
3年目に確認しておくこと
| 項目 | 確認先 |
|---|---|
| 異動の希望の仕組み | 人事担当 |
| 次の段階で担う業務 | 上司、先輩 |
| 退職の手続きの期間 | 人事担当 |
| 退職手当の扱い | 給与担当 |
| 研修・資格の機会 | 人事担当 |
2行目です。
次の段階で何を担うことになるかを、先に聞いておいてください。
いまの業務の延長なのか、別の役割が加わるのか。
これが分かると、②の判断ができます。
5行目について。
在職中に得られる研修や資格の機会があります。
取得してから動くという選択もあります。
時期と要件を確認してください。
資格は、在職中に取るほうが負担が小さいことがあります。
よくある失敗
1. 年数だけで判断する
材料で判断してください。
2. 配置で変わるかを見分けない
課によって変わるものがあります。
3. 異動の希望の仕組みを確認しない
手段が1つ減ります。
4. 求人を見ずに決める
条件の合うものがあるか分かりません。
5. 面接で年数を理由にする
業務の中身で語ってください。
6. 3年目で書けることを少なく見積もる
周期を複数回経験しています。
7. 体調の問題を年数の話に混ぜる
先に対処してください。
8. 書類を作らずに判断する
書くと整理がつきます。
まとめ
- 民法第627条第1項は、期間の定めのない雇用では、いつでも解約の申入れができると定めています。「◯年勤めなければならない」という定めはありません
- 公務員の退職の手続きは、条例・規則によります。所属に確認してください
- 判断は、①配置で解消するか ②身につくものが残っているか ③条件の合う求人があるか ④説明できる状態か ⑤体調・生活の5つで行ってください
- 組織の風土と働き方の制度は、配置が変わっても残ります
- 3年目は、年間の周期を複数回経験している時期です。書けることがあります
- 面接で年数を理由にしないでください。業務の中身で語ってください
- 3年経ったから動く、という理由にもなりません
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
3年未満で応募すると、書類で落ちますか
求人の条件によります。応募条件に「◯年以上の実務経験」と書かれている場合、その年数が必要です。一方、「基礎的な事務の経験」「行政での実務経験」と書かれている場合は、年数が明示されていません。この場合、経験の中身で判断されます。なお、未経験を前提とする募集では、年数より学ぶ姿勢と基礎的な処理の力が見られることがあります。判断の目安は、求人票の「必須」の欄です。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。条件を読んでから判断してください。
周りに相談すると、続けるよう言われます
相談する相手によって、返ってくる答えが変わります。役所の中で相談すれば、続ける前提の助言が返ってくることが多いです。これは、相手がその立場で見ているからであって、助言が間違っているという意味ではありません。材料の1つとして受け取ってください。そのうえで、外の情報も集めてください。どんな仕事があるか、条件はどうか、自分の経験がどう読まれるか。両方の材料が揃って、初めて比べられます。なお、相談した相手に決めてもらう必要はありません。判断は、ご本人のものです。材料を集める作業を、相談と並行して進めてください。
異動の希望を出すのと、転職を考えるのは両立しますか
両立します。異動の希望を出したうえで、外の求人も見るという進め方で差し支えありません。どちらも、材料を集める作業だからです。異動が通れば、続けにくい理由が解消するかもしれません。通らなければ、外の選択肢を検討する材料になります。なお、異動の希望を出したことが、転職の意思として受け取られることはありません。希望を出す仕組みは、通常の人事の手続きです。求人を読むことも、応募の意思がなくてもできます。並行して進めて、結果が出た段階で判断してください。