自治体別 / 政令指定都市
神戸市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
神戸市の平均給料月額は332,600円で、政令指定都市20団体のなかで3番目に高い額です。
しかもラスパイレス指数100.1、地域手当12.00%。給料表の水準も、上乗せ手当も、どちらも中位より上という珍しい組み合わせになっています。
結果として平均給与月額463,403円は20団体で2番目。まず数字を確認してください。
神戸市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、神戸市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 神戸市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.1 |
| 平均年齢 | 43.3歳 |
| 平均給料月額 | 332,600円 |
| 諸手当月額 | 130,803円 |
| 平均給与月額 | 463,403円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 401,859円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 12.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 12.00% |
「給料月額が高い団体は地域手当が低い」の例外
ここまで確認してきた団体では、給料月額が高い団体ほど地域手当が低いという関係が見られました。地域手当がその地域の民間賃金水準を反映する仕組みである以上、構造的にそうなります。
| 市 | 平均給料月額 | 地域手当 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|
| 北九州市 | 348,400円 | 3.00% | 421,889円 |
| 岡山市 | 341,700円 | 3.00% | 428,732円 |
| 神戸市 | 332,600円 | 12.00% | 463,403円 |
| 浜松市 | 330,400円 | 3.00% | 401,853円 |
| 新潟市 | 329,900円 | 3.00% | 418,566円 |
給料月額の上位5市のうち、神戸市だけが地域手当12.00%です。残る4市はいずれも3.00%。
この結果、神戸市の総額463,403円は、給料月額で上回る北九州市より41,514円多くなります。平均給与月額(国ベース)401,859円も、川崎市に次いで政令市で2番目です。
平均年齢43.3歳は政令市で2番目に高く、この年齢構成も給料月額を押し上げています。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、兵庫県の数字は兵庫県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 建築確認・完了検査、違反是正 | 設計審査、品質管理、規制対応 |
| 都市計画、再開発、土地区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 港湾・臨海部の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画、事業開発 |
| 医療・医薬の許認可と監視 | 薬事管理、品質保証、規制対応 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 防災・復興の計画と進行管理 | BCP策定、リスクマネジメント、PMO |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
建物が建つかどうかを判断してきた経験
神戸市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
建築基準法第4条は、政令で指定する人口25万以上の市は、その長の指揮監督の下に、第6条第1項の規定による確認に関する事務その他この法律の規定により建築主事の権限に属するものとされている事務をつかさどらせるため、建築主事を置くと定めています。
つまり建築確認の事務は、市が担っています。
この領域の経験が、いま民間で強く求められています。理由は単純で、建物を建てる側は、確認が通るかどうかで事業の成否が決まるからです。
- 計画した規模が、そもそも建てられるのか
- 用途の変更は、どこから手続きになるのか
- 既存の建物を改修するとき、どこまで現行基準が適用されるのか
- 検査でどこを見られ、何が是正の対象になるのか
- 図面のどの段階で、何を確認しておくべきか
設計事務所や建設会社にも有資格者はいます。しかし審査する側がどこを見るかを知っている人は、また別です。確認申請を出してから、想定していなかった指摘で計画が戻る。この手戻りが、工期と費用を直撃します。
求人票では、設計審査、品質管理、規制対応、開発企画といった名前で書かれています。不動産開発、建設、住宅、そして大規模な設備を持つ事業会社が、この経験を探しています。
書くときのこつは、法律名を並べないことです。年間の処理件数、扱った用途と規模、指摘が争いになったときの決着のさせ方、そして是正の指導をどう進めたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
神戸で、どの経験が値になるか
1. 建築と都市計画を、審査する側から見てきた経験
確認、検査、是正、開発許可。建てる側が最も知りたいのは「どこで止まるか」です。扱った件数と、手戻りを防ぐための着眼点を書いてください。
2. 港湾と臨海部を扱った経験
港湾計画、用地、再開発、関係機関の調整。物流と都市開発が交差する場所での実務は、インフラ企画や不動産開発の職務につながります。
3. 医療・医薬の分野を行政側から見てきた経験
医療機関の集積がある都市です。許認可、監視指導、医療機器や医薬の分野。薬事管理や品質保証の職務は、審査する側にいた経験をそのまま求めています。
4. 災害からの復興に関わった経験
計画、合意形成、同時並行の事業管理。期限があり、関係者が多く、あとから検証される案件を回した経験は、民間の事業再編やPMOと構造が同じです。
5. 市街地と山・海が近接する条件での実務
限られた平地に都市機能が集中し、背後に山、前に海がある。制約の強い場所で土地利用を組み立てた経験は、条件の厳しい立地を扱う企業に読める経験です。
大阪の求人も、視野に入れてよい
神戸市からは大阪への通勤が現実的で、市外の求人が普通に選択肢に入ります。
ただし、地域手当12.00%という水準は地域の賃金相場を反映したものです。大阪の求人の想定年収が高く見えても、その差の一部は通勤時間と生活費の差です。手元に残る額と、通勤にかかる時間の両方で考えてください。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
審査の件数と用途を書く
建築や開発の審査に関わったなら、年間の処理件数と、扱った用途・規模を必ず入れてください。これがないと、経験の幅が伝わりません。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
一級建築士、技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
既存不適格と改修の判断は、希少な経験になる
古い建物を改修するとき、どこまで現行基準が適用されるか。この判断ができる人は限られます。建物の更新が増えているいま、設計事務所と不動産の両方から求められます。件数と、判断が割れた事例で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 神戸市の一般行政職はラスパイレス指数100.1、平均給与月額463,403円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額332,600円は政令市で3番目に高く、地域手当12.00%も中位より上。この組み合わせは珍しい形です
- 給料月額の上位5市のうち、神戸市だけが地域手当12.00%。残る4市はいずれも3.00%です
- 総額には年齢構成43.3歳の効果も含まれます。自分が平均より上か下かは、平均からは分かりません
- 建物が建つかどうかを判断してきた経験は、建てる側の企業が探しています(建築基準法4条)。設計審査、品質管理、規制対応という求人名で出ています
- 行き先は確認検査機関だけではありません。不動産開発、建設、住宅、自社で施設を建てる事業会社が対象です
よくある質問
総額が政令市で2番目ということは、転職すると下がりますか
勤務地と職種によります。神戸市の総額には、地域手当12.00%と平均年齢43.3歳という年齢構成の効果が両方含まれています。自分が平均より上か下かは、平均からは分かりません。そして地域手当は勤務地に紐づくので、同じ関西圏の企業なら相応の水準が提示されます。複数年の源泉徴収票で自分の実額を把握してから、求人票の想定年収と比べてください。
建築確認の経験は、民間の確認検査機関でしか使えませんか
行き先はもっと広いです。確認を出す側、つまり不動産開発、建設、住宅、自社で施設を建てる事業会社が、この経験を探しています。申請してから想定外の指摘で計画が戻ると、工期と費用に直撃するからです。設計事務所にも有資格者はいますが、審査する側がどこを見るかを知っている人は別で、社内にいないことが多い。企画の段階で見立てられる人が求められています。
給料月額が高いのに地域手当も高いのは珍しいのですか
珍しい組み合わせです。ここまでの団体では、給料月額が高い団体ほど地域手当が低いという関係が見られました。地域手当がその地域の民間賃金水準を反映する仕組みだからです。給料月額の上位5市のうち、神戸市だけが12.00%で、残る4市は3.00%です。結果として、給料月額で上回る北九州市より総額で41,514円多くなります。