自治体別 / 政令指定都市
岡山市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
岡山市のラスパイレス指数は101.6です。政令指定都市20団体のなかで2番目に高い数字にあたります。平均給料月額341,700円も20団体で2位。
ところが地域手当は3.00%しかありません。諸手当87,032円の比率も20.3%と薄いほうです。
上乗せ手当ではなく、給料表そのものの水準が高い。この構造から読み解いてください。
岡山市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、岡山市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 岡山市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.6 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 341,700円 |
| 諸手当月額 | 87,032円 |
| 平均給与月額 | 428,732円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 385,734円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3.00% |
指数の上位と、総額の上位は一致しない
| 市 | ラスパイレス指数 | 平均給料月額 | 地域手当 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 仙台市 | 102.3 | 323,300円 | 6.00% | 435,308円 |
| 岡山市 | 101.6 | 341,700円 | 3.00% | 428,732円 |
| 北九州市 | 101.6 | 348,400円 | 3.00% | 421,889円 |
| 京都市 | 101.5 | 331,500円 | 10.00% | 431,948円 |
| 福岡市 | 101.2 | 311,700円 | 10.00% | 415,190円 |
指数の上位5市を並べても、総額の順序は一致しません。
岡山市は指数で2位、給料月額でも2位ですが、総額では5市中3位です。地域手当3.00%が理由です。逆に福岡市は給料月額311,700円が5市で最も低いのに、指数では101.2と高い位置にいます。
指数は学歴と経験年数を補正した給料表の位置、給料月額は補正なしの実額、総額はそこに地域手当を含む諸手当が乗ったもの。3つは別のことを示しています。
同じ県内の岡山県は、ラス100.3、給料月額331,200円、地域手当約1.73%、平均給与月額413,395円です。市のほうが指数も給料月額も上回ります。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、岡山県の数字は岡山県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 病院・診療所の開設許可と指導 | 薬事管理、品質保証、規制対応 |
| 介護・福祉施設の指定と監査 | コンプライアンス、品質保証、事業企画 |
| 都市計画、土地区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 広域交通の結節点としての調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 農業の産地形成・販路開拓 | 事業開発、産地開発、商品企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
医療機関を審査する側にいた経験
岡山市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
医療法第7条は、病院を開設しようとするとき、臨床研修等修了医師や臨床研修等修了歯科医師でない者が病院を開設しようとするときなどに、開設地の都道府県知事(保健所を設置する市の市長又は特別区の区長)の許可を受けなければならないと定めています。
病院は、届け出れば建てられるものではありません。許可が要ります。そして政令市は保健所を設置するため、この許可の事務を市が担っています。
医療と介護の分野は、いま人と資本が集まっている領域です。そして許認可と指導監査が事業の前提になります。
- 開設や増床が、そもそも認められる状況なのか
- 人員の基準を満たすには、何をどれだけ揃える必要があるのか
- 指導監査で何を見られ、何が是正の対象になるのか
- 施設の類型を変えるとき、どこから新たな手続きになるのか
- 記録や書類の整備は、実務上どの水準を求められるのか
この領域を行政の側から見てきた人は、事業者側にほとんどいません。医療の専門職は臨床を知っていますが、制度の運用でどこが論点になるかは、審査する側にいなければ分かりません。
求人票では、薬事管理、品質保証、規制対応、事業企画、コンプライアンスといった名前で書かれています。医療法人、介護事業者、医療機器メーカー、そして医療・介護に投資する企業が、この経験を探しています。
書くときのこつは、法律名を並べないことです。何件を、どういう観点で審査し、どこで判断が割れて、是正の指導をどう進めたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
岡山で、どの経験が値になるか
1. 医療・介護の許認可と監査を担当した経験
開設、指定、更新、監査、是正。事業者側が最も知りたいのは「どこを見られるか」です。扱った件数と、判断が割れた事例で書いてください。
2. 交通の結節点としての広域調整
鉄道と高速道路が交差し、四国とも結ばれる位置にあります。複数県にまたがる調整をした経験は、そのまま書いてください。広域の事業を組む企業に直接読める経験です。
3. 大都市の規模で、制度を運用してきた経験
対象が数十万人規模になると、運用の設計そのものが変わります。窓口の数、処理の順序、例外の扱い、システムとの接続。全国展開する企業の業務設計に対応します。
4. 市街地と農村部を、同時に扱ってきた経験
同じ市域に、都市機能と広い農地があります。同じ制度を、条件の違う区域に当てはめる。この経験は、全国展開する企業がいちばん苦労するところです。
5. 災害が比較的少ない地域での、事業継続の設計
大きな被害が少ない地域ほど、備えの優先順位を上げにくくなります。それでも備えを維持した経験は、同じ悩みを抱える企業に読める経験です。
拠点としての位置を、探し方に活かす
岡山市は交通の結節点にあり、中国・四国全域を担当エリアとする企業の拠点が置かれることがあります。この位置は、担当エリア型の求人を探すときに有利に働きます。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
審査と監査は「件数」と「争点」で書く
年間の処理件数、扱った施設の類型、指摘が争いになったときの決着のさせ方。この3つが揃うと、運用を知っている人として読まれます。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
医療・福祉施設の設計審査は、希少な経験になる
病室、動線、防火区画、設備。用途が特殊な建物の審査を扱える人は限られます。設計事務所と、施設を建てる事業者の両方から求められます。件数と、判断が割れた事例で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 岡山市の一般行政職はラスパイレス指数101.6、平均給与月額428,732円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数も給料月額も政令市で2位ですが、地域手当は3.00%。上乗せではなく給料表そのものの水準が高い構造です
- 指数の上位5市を並べても、総額の順序は一致しません
- 諸手当の比率20.3%は薄いほう。動く部分が小さいので、去年の源泉徴収票が物差しになります
- 医療機関を審査する側にいた経験は、事業者側に人がいません(医療法7条)。薬事管理、品質保証、規制対応という求人名で出ています
- 資格の有無ではなく、扱った件数と判断が割れた事例を書いてください
よくある質問
指数が政令市で2番目に高いので、転職すると下がりますか
この数字からは判断できません。ラスパイレス指数は国家公務員の給料表と比べた位置であって、応募先の民間企業と比べた位置ではありません。しかも岡山市は地域手当3.00%と薄いため、総額では指数の順位ほど上位ではありません。まず自分の経験がどこで希少になるかを決め、そのあとで水準の話をしてください。
医療や介護の許認可の経験は、資格がなくても使えますか
使えます。事業者が探しているのは臨床の専門家ではありません。臨床は現場の職員が担っています。足りないのは、制度の運用でどこが論点になるかを知っている人です。開設や指定の要件、人員基準の解釈、監査で見られる記録の水準。これは条文を読んでも分からず、審査する側にいなければ身につきません。
岡山県庁と比べて、市の水準は高いのですか
指数も給料月額も市が上回ります。岡山県はラス100.3・給料月額331,200円、岡山市はラス101.6・給料月額341,700円です。地域手当は県約1.73%、市3.00%。ただし団体の平均は全職種・全年齢を混ぜた数字なので、自分の水準を測る物差しにはなりません。源泉徴収票の支払金額を使ってください。