部署別 / 廃棄物・清掃課
廃棄物・清掃課出身者が面接で必ず聞かれること
廃棄物・清掃課から民間に移るとき、面接でいちばん来るのはこの形の質問です。
「施設の更新って、どうやって決まるんですか」
これは、雑談ではありません。
プラントメーカーも、コンサルタントも、自治体がいつ、何を見て、どう決めるかを知りたがっています。そして、その内側にいた人にしか答えられません。
この記事では、実際に聞かれる質問を7つ挙げて、避けたい答え方と、組み立て方を並べます。
書類の書き方は廃棄物・清掃課の職務経歴書、行き先の絞り方は廃棄物・清掃課から転職しやすい業界と職種に書いています。
最後は、自分たちがやる立場でした
答え方の前に、この仕事の立ち位置を条文で押さえます。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第19条の7第1項は、こう定めています。
……生活環境の保全上の支障が生じ、又は生ずるおそれがあり、かつ、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、市町村長は、自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができる。
「市町村長は、自らその支障の除去等の措置の……を講ずることができる」。
不法に捨てられたものがあり、原因者が対応しない、あるいは分からない。
そのとき、最後に処理するのは市町村です。
ここが要点です。
この仕事には、「誰もやらなければ、自分たちがやる」という前提があります。
逃げ場がない、ということです。
そして、民間には「やらない」という選択があります。採算が合わない案件は断りますし、条件が悪ければ受けません。
この違いを理解していることが、面接では効きます。
「行政と同じ感覚で、何でも引き受けます」と言う人は、事業の判断ができない人に見えます。
逆に、「最後の受け皿がある前提で回っていた仕事から、断る判断がある側に移る」と言える人は、構造を分かっている人として読まれます。
質問1:「廃棄物課では、どういうお仕事をされていたんですか」
避けたい答え方
> ごみの収集の委託と、施設の管理をしていました。
「現場の管理をしていた人」で固まります。
組み立て方
設備と容量の数字を、先に置いてください。
> 約◯万世帯、年間◯トンの処理を見ていました。施設は日量◯トンで、最終処分場の残余容量は◯年分です。収集運搬は委託◯件、車両約◯台で、仕様の作成から精算までを担当していました。あわせて、一般廃棄物処理計画の改定と、施設の整備に伴う生活環境影響調査と届出を扱っています。
「残余容量◯年分」という一言を、必ず入れてください。
この数字を言える人は、設備と容量を見ていた人だと、すぐに伝わります。
質問2:「不法投棄されたものは、結局どうなるんですか」
この質問は、意外によく来ます。処理業でも、開発の会社でも、現場で出くわす問題だからです。
組み立て方
制度の構造で答えてください。
> 原則は、捨てた人が片付けます。ただ、多くの場合、誰が捨てたかが分かりません。その場合、土地の所有者の管理の問題になり、それでも解決しなければ、最後は市町村が自ら措置を講じることになります。なので、実務としては、まず現地の確認と記録です。量、種類、いつからあるか、進入の経路。そのうえで、警察や県と情報を共有して、並行して所有者と話します。動かせないと判断した時点で、撤去の費用と時期を予算に乗せることになります。
「最後は自分たちがやる」という構造を説明できると、現場の判断を任せられる人として読まれます。
質問3:「施設の更新は、どうやって決まるんですか」
冒頭に挙げた質問です。ここが、いちばん値の付く場所です。
組み立て方
判断の材料と、時間の流れを分けて答えてください。
> 判断の材料は3つです。1つ目は、施設の状態——稼働からの年数、基幹的な改良をしたか、補修の費用が増えているか。2つ目は、処理量の見込み——人口が減る中で、どの規模が必要か。3つ目は、財源——交付金と、起債と、一般財源の組み合わせです。そして、時間がかかります。基本構想から供用まで、十年前後を見ます。だから、施設が限界に来てから検討を始めたのでは間に合いません。逆に言えば、検討が始まる時期は、施設の年齢から読めます。
最後の一文が効きます。
「どの自治体が、いつ動くかを読める」ということだからです。
質問4:「量の見込みは、どう立てていたんですか」
事業の前提を作れるかを見ています。
組み立て方
> 人口の推計だけでは足りません。世帯の規模によって、一人あたりの排出量が変わります。単身が増えると、人口が減っても、量はそこまで減りません。加えて、事業系の量は、景気と事業所の数で動きます。そして、自分たちの施策でも動きます。有料化をすれば減り、分別の区分を増やせば、燃やす量が減って資源化に回ります。なので、「人口の推計」「世帯の規模」「事業系」「施策の影響」の4つに分けて推計していました。
この4つを挙げられる人は、事業の前提を作れる人です。
廃棄物を原料とする事業では、この見込みが成否を決めます。
質問5:「うちの提案には、何が足りないと思いますか」
この質問が来たら、かなり関心を持たれています。
組み立て方
受け取る側の事情から答えてください。
> 担当者は、その資料をそのまま上司と議会への説明に使います。なので、「なぜこの方式なのか」「なぜこの規模なのか」を、素人にも説明できる形で書いてあるかが、実はいちばん見られます。技術の優位性を並べた資料は、そのままでは使えません。それから、費用の内訳です。建設だけでなく、二十年の維持管理まで含めた総額を示してもらえると、財政の部署と話ができます。逆に、そこが曖昧だと、庁内で止まります。
「担当者が、そのまま使える資料かどうか」——これは、外から来た人には見えない視点です。
質問6:「うちで、何ができると思いますか」
| 応募先 | 当てる工程 |
|---|---|
| プラント・施設 | 自治体が動く時期の読みと、庁内で通る資料の形 |
| 収集運搬 | 委託の仕様と、実績の確認で見られる点 |
| 自治体を顧客とするコンサル | 計画の作り方と、見込みの立て方 |
| エネルギー | 搬入される量と質の見込み、自治体との協定 |
| 企業の廃棄物管理 | 委託先の選び方と、記録の残し方 |
> 御社が自治体に提案しているのであれば、入って最初にできるのは、提案の資料を「担当者がそのまま庁内で使える形」に直すことだと思います。あわせて、近隣の自治体の施設の年齢から、どこがいつ動くかの見当をつけることもできます。逆に、技術の設計そのものは分からないので、そこは技術の方に頼ることになります。
できないことを1つ添えると、できることの信用が上がります。
質問7:働き方と条件について
組み立て方
> 年末年始の収集で出ていましたし、災害のときは仮置場に詰めていました。止まらない業務の感覚はあります。確かめたいのは、緊急時に呼び出しがある場合の体制と、振替の扱いです。
「止まらない業務に慣れている」は、施設の運営や物流で、そのまま評価されます。
働き方の違いは廃棄物・清掃課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しました。
逆質問で聞いておくこと
3つに絞ってください。
1. 「自治体の案件は、どの段階から関わりますか」
基本構想の前から入るのか、発注が出てから動くのか。前者なら、この経歴が中心になります。
2. 「受注できなかった案件は、どう振り返りますか」
この分野は、案件の数が限られます。負けた理由を検証しているかどうかで、会社の体質が分かります。
3. 「長期の案件を、どういう単位で評価しますか」
十年がかりの案件では、単年度の評価が合いません。どう見られるかを、先に確かめてください。
つまずきやすい点
1. 「収集と施設の管理」で始める
処理量・施設の能力・残余容量を先に置いてください。
2. 更新の判断を「老朽化したから」で終える
施設の状態・処理量の見込み・財源の3つと、十年という時間で答えてください。
3. 量の見込みを「人口が減るので減ります」で答える
世帯の規模、事業系、施策の影響まで分けてください。
4. 提案への意見を、技術の話で返す
「担当者がそのまま庁内で使えるか」が、外から見えない視点です。
5. 「何でも引き受けます」と言う
民間には断る判断があります。そこを分かっていることが信頼になります。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 廃棄物処理法第19条の7は、「市町村長は、自らその支障の除去等の措置……を講ずることができる」と定めています
- つまり、誰もやらなければ自分たちがやる——逃げ場のない立場にいました
- 民間には「やらない」選択があります。この違いを分かっていることが、面接では効きます
- 施設の更新は、施設の状態・処理量の見込み・財源の3つで決まり、十年前後かかります
- 「検討が始まる時期は、施設の年齢から読める」——これが言える人は、外からは採れません
- 提案への意見は、「担当者がそのまま庁内で使える資料か」という視点で答えてください
よくある質問
施設の更新に関わっていません。この質問にどう答えますか
知らないことは、知らないと言ってください。そのうえで、分かる範囲で構造を話せば十分です。たとえば、「自分は運用の担当だったので、更新の検討には入っていません。ただ、施設の補修の費用が年々増えていたことと、残余容量から逆算して次の検討の時期が見えていたことは把握しています」という形です。正確に線を引いて話すほうが、知ったかぶりより評価されます。そして、日常の運用の話——搬入の管理、補修の発注、委託の仕様——は、それだけで十分な中身です。
元の職場に営業に行くことになりそうです。問題ありませんか
制度上の問題はありません。ただし、線を引いてください。1つ目は、在職中に知った非公開の情報を使わないこと。予定価格、他社の提案、内部の検討の状況。2つ目は、元の同僚に便宜を求めないこと。3つ目は、職務上知り得た秘密を守る義務は、退職後も続くという点です。この3つを自分から面接で言っておくと、むしろ信頼されます。採用する側は、「前の職場を使い倒す人」ではなく、「行政の考え方が分かる人」を求めています。
転職の理由を、どう説明すればよいですか
「作る側・運ぶ側に回りたい」——この形が、この経歴ではいちばん通ります。発注する側にいると、決めることはできても、実際に作るのも運ぶのも他社です。その工程を自分で持ちたい、という理由は、嘘がありません。注意点は、いまの仕事を下げないことです。「行政は遅い」「無駄が多い」という言い方をすると、入ってから同じことを社内で言う人に見えます。「制度を分かったうえで、今度は実際に手を動かす側で使いたい」——この言い方にしてください。