部署別 / 廃棄物・清掃課
廃棄物・清掃課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで
廃棄物・清掃課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「ごみの収集、処理施設に関する業務」
この1行で終わってしまいます。
読む側は、ここから「現場の作業をしていた人」という像しか作れません。実際には、将来の量を見込み、設備の能力を決め、調査をして、根拠の書類を作って、数十年使う施設を通してきたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは廃棄物・清掃課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は廃棄物・清掃課から転職しやすい業界と職種に書いています。
施設を作るには、影響を調べて、書類にします
書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第9条の3第1項は、こう定めています。
市町村は、……一般廃棄物処理施設を設置しようとするときは、環境省令で定めるところにより、第八条第二項各号に掲げる事項を記載した書類及び当該一般廃棄物処理施設を設置することが周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。
「周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類」。
ここが要点です。
施設を作るには、まず影響を調べます。大気、騒音、振動、悪臭、水質、交通。そして、その結果を書類にして、届け出ます。
つまり、この仕事の中心にあるのは、「根拠の書類を作ること」です。
何をどう調べ、どう評価し、どう示すか。
そして、その書類は、住民に説明する材料になり、議会で問われる資料になり、県の審査を通る文書になります。
民間でいえば、これは投資の判断の根拠資料です。技術の検討、影響の評価、費用の算定、対外的な説明。数十億の判断を通すために、この一式を作る。
書類には、この部分を書いてください。
- どの段階を担当したか(構想、方式の比較、調査、届出、交付金、発注、建設、稼働)
- 調査と評価で、何を扱ったか
- 誰に、どう説明したか(住民、議会、県、他市)
「処理施設に関する業務」ではなく、この3つです。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所の廃棄物・清掃課に配属され、ごみの収集と処理施設に関する業務を担当しました。
規模も、範囲も、数字も入っていません。
良い例
> ◯◯市(人口約◯万人、約◯万世帯)の廃棄物の部門において、一般廃棄物処理計画の策定と、収集運搬・処理の運用を担当しました。年間の処理量は約◯トン、処理施設は日量◯トン、最終処分場の残余容量は◯年分です。収集運搬は委託◯件(車両約◯台)で、仕様の作成から実績の確認、精算までを扱っています。あわせて、施設の整備(生活環境影響調査、届出、交付金の申請、住民説明会◯回)の実務を担当しました。
入っているもの
- 処理量・施設の能力・残余容量(=設備と容量の規模)
- 委託の件数と車両の台数
- 計画の策定
- 施設の整備で、どの手続を通したか
1つ目が要点です。この3つの数字を並べられる人は、設備と容量を見ていた人として読まれます。
担当業務
「ごみの収集と処理施設」で丸めず、機能に分けて書いてください。
悪い例
> ・ごみ収集業務の委託> ・清掃施設の管理> ・リサイクルの推進> ・その他庶務
良い例
> 【計画と見込み】> 一般廃棄物処理計画の策定と改定、人口の推計と原単位からの発生量の見込み、資源化の目標の設定。予測の前提が自らの施策で動くため、有料化や分別の変更を織り込んだ推計を作成。>> 【収集運搬の運用と委託(委託◯件・車両約◯台)】> 区域と曜日の設計、順路の見直し、仕様の作成、契約、運行の確認、精算。集積所の位置を行政では動かせないため、固定された拠点を前提に区域を割り振り。>> 【施設の管理(日量◯トン)】> 搬入の管理、運転の委託の監督、維持補修の計画と発注、停止時の対応、最終処分場の残余容量の把握。補修は搬入の少ない時期にしか行えないため、年間の計画を先に固定。>> 【施設の整備】> 基本構想、処理方式の比較、生活環境影響調査、県への届出、交付金の申請、住民説明会、事業者の選定。>> 【資源化と減量(資源化率◯%)】> 分別の区分の設計、集団回収の支援、有料化に関する検討と周知。区分を増やすと便数と費用が増えるため、費用と資源化率の両方を示して比較。>> 【不法投棄・災害廃棄物】> 現地の確認と対応、災害廃棄物処理計画、仮置場の選定、処理先の確保。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を設計していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、予定どおり動いたこととして現れるからです。
悪い例
> 廃棄物の適正な処理と、資源化の推進に努めました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:見込みを立て直した
> 発生量の見込みについて、人口の推計だけで置いていた従来の方法を見直し、世帯の規模別の排出の原単位と、事業系の量を分けて推計する方式に変更。あわせて、有料化と分別の変更の影響を織り込んだ。その結果、実績との差が◯%から◯%に縮まり、施設の稼働の計画と委託の規模を実態に合わせられるようになった。
型2:手続を通した
> 処理施設の整備について、基本構想から、処理方式の比較、生活環境影響調査、住民説明会◯回、県への届出、交付金の申請までを担当。調査の項目と地点を設定し、委託の仕様を作成。住民からの主な懸念(◯◯と◯◯)について、調査の結果を用いた説明資料を作成し、合意を得て着手につなげた。
型3:費用と能率を動かした
> 収集運搬の委託について、地区ごとの排出量と所要時間を1年分集計。実態と割り振りのずれが大きい区域を見直し、同じ体制で◯地区を吸収。次期の契約で車両◯台分の仕様を縮小した。
型2が、この経歴でいちばん効く形です。「十年がかりの案件の、重い部分を通した」という話は、プラントメーカーでも、コンサルタントでも、そのまま評価されます。
型1も強いです。予測の方法を変えて、実績との差を縮めたという話は、民間の需要予測でまったく同じことをします。
数字の出し方
公表されている資料と、事業の概要から取ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 年間の処理量(トン) | 職務要約 | 扱っていた量。公表されている |
| 施設の処理能力(日量) | 職務要約、担当業務 | 設備の規模を示す中心の数字 |
| 最終処分場の残余容量(年数) | 職務要約、担当業務 | 容量を見ていた証明。書く人がいない |
| 委託の件数と車両の台数 | 職務要約、実績 | 外注の規模 |
| 資源化率(年度別) | 実績 | 改善を示すならこれ |
| 住民説明会の回数と参加人数 | 実績 | 施設の整備では、ここが重い |
| 発生量の見込みと実績の差 | 実績 | 予測の精度。民間でそのまま通じる |
| 災害廃棄物の量と仮置場の数 | 担当業務 | 経験者が少ない |
1行目から3行目が中心です。処理量・施設の能力・残余容量。この3つが揃うと、設備と容量を扱っていた人として読まれます。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
自分の数字がどう読まれるかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| プラント・施設の運営 | 整備で担当した段階 | 施設の能力と搬入の管理 | 補修の計画と発注 |
| 収集運搬・リサイクル | 委託の仕様と車両の台数 | 順路と区域の設計 | 実績の確認と精算 |
| 自治体を顧客とするコンサル | 計画の策定と見込みの立て方 | 生活環境影響調査 | 交付金と住民説明 |
| エネルギー(発電・燃料化) | 搬入される量と質 | 施設の稼働の状況 | 自治体との協定 |
| 企業の廃棄物管理 | 許可と委託の考え方 | 記録と実績の確認 | 法令の分野 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
施設も、委託も、住民の反応も、立場があるから知り得たものです。
- 委託先の事業者の名称、経営の状況、入札の予定価格
- 住民説明会での個別の発言や、反対の運動に関すること
- 用地の候補地で、公表されていないもの
- 施設の点検で判明した不具合のうち、公表されていないもの
- 不法投棄の実行者に関すること
- 他市との協議のうち、合意に至っていない内容
- 特定の自治体の内部の状況や、部署の評判に関すること
書けるのは、「どの手続を、どういう順で、どれだけの規模で通したか」と「数字」までです。
> ✕ 「◯◯地区での建設に強い反対があったが、説明会を重ねて理解を得た」> ○ 「施設の整備について、住民説明会を◯回実施。主な懸念の項目ごとに、生活環境影響調査の結果を用いた説明資料を作成し、質疑の内容と回答を記録として残す運用にした」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の経緯ではなく、自分が整理した手順が書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「ごみの収集と処理施設」で丸める
計画/収集と委託/施設の管理/施設の整備/資源化/不法投棄と災害の6つに分けてください。
2. 残余容量を書かない
日常的に見ていた数字なのに、書類には書かれていません。
3. 生活環境影響調査を書かない
調査の設計をしていたなら、それは環境影響の評価の実務です。
4. 「委託していたから自分の実績ではない」と考える
仕様を書き、案を判断し、説明したのは自分です。
5. 個別の案件を書いてしまう
事業者、発言、候補地、不具合。すべて書けません。手続と規模で書いてください。
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
まとめ
- 廃棄物処理法第9条の3は、施設の届出に「周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査の結果を記載した書類」を添えることを求めています
- つまり、この仕事の中心にあるのは「根拠の書類を作ること」です。民間でいう投資の判断の根拠資料にあたります
- 職務要約には、処理量・施設の能力・残余容量・委託と車両・通した手続を入れてください
- 担当業務は、6つの機能に分けて書きます
- 実績は、①見込みを立て直した ②手続を通した ③費用と能率を動かしたの3つの型で書けます。②がいちばん効きます
- 「委託していたから自分の実績ではない」と考えないでください。決めていたのは、こちらです
よくある質問
施設の整備に関わったことがありません。書けることはありますか
十分に書けます。施設の整備は、数十年に一度の案件なので、関わっていない人のほうが多いのが実情です。その場合は、日常の運用と計画を前に出してください。収集の委託の仕様、順路の設計、搬入の管理、補修の発注、資源化の施策、計画の改定。どれも、毎年動いている実務です。とくに、委託の仕様を書いていたことと、発生量の見込みを立てていたことは、それだけで十分な実績になります。「整備の経験がないから弱い」ということはありません。
一部事務組合に派遣されていました。どう書けばよいですか
組合での経験は、そのまま書けます。むしろ、複数の市町村が共同で運営する組織にいたことは、説明の材料が増えます。書くなら、「◯市町で構成する一部事務組合に派遣され、処理施設(日量◯トン)の管理と、構成市町との調整を担当」という形です。とくに、負担金の算定、搬入量の配分、施設の整備の合意形成は、民間でいう共同出資の会社の運営や、複数の株主との調整と同じ構造です。「出向していた」ではなく、「共同運営の組織で何をしたか」を書いてください。
有料化やごみ袋の指定の担当でした。技術的な内容がありません
技術の内容は、この経歴では求められていません。有料化の担当は、制度の設計、条例の改正、住民への説明、指定袋の供給の体制、導入後の効果の測定という、一連の事業の立ち上げです。書くなら、「家庭系ごみの有料化について、料金の水準の検討、条例の改正、住民説明会◯回、指定袋の供給体制の構築、導入後◯年の排出量の分析を担当」という形です。負担が増える制度を、説明して通して、効果を測った——これは、民間の価格改定とまったく同じ工程です。面接で聞かれることは廃棄物・清掃課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。