部署別 / 会計課・出納室
会計課・出納室の面接|聞かれることと、答え方の型
会計課・出納室からの面接で詰められる場所は、だいたい決まっています。
「正確に処理できること」は、誰も疑いません。そこは前提として通ります。聞かれるのは、その先です。判断したことがあるか。止めたことがあるか。止めたときに何を根拠にしたか。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは会計課・出納室の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は会計課・出納室からの転職先、書類は職務経歴書に分けて書いています。
会計課は「毎月、外部に説明する」部署です
答え方の前に、この部署の性格を確認します。そのまま答えの組み立て方になります。
地方自治法第235条の2第1項は、普通地方公共団体の現金の出納は、毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならないと定めています。
第2項では、監査委員は必要があると認めるとき、又は長の要求があるときは、指定された金融機関が取り扱う公金の収納又は支払の事務について監査することができるとしています。
そして第3項は、検査の結果に関する報告を、議会及び長に提出しなければならないとしています。
毎月、外部の目が入る。そして結果は議会に報告される。
民間で毎月これがある企業は多くありません。会計課の担当は、常に第三者が見る前提で、帳簿と証拠書類を説明できる形に整えてきたことになります。
面接の答え方も同じです。自分の感覚ではなく、根拠を示して説明する。この型が、いちばん合います。
質問1:「なぜ転職しようと思ったのですか」
最初に来ます。そしてつまずきやすい質問でもあります。
避けたい答え方
「同じ作業の繰り返しで成長が感じられない」「もっと裁量のある仕事がしたい」。
いまの仕事を否定する形に聞こえると、次の職場でも同じことを言うと思われます。しかも管理部門は、民間でも繰り返しの多い仕事です。
組み立て方
やってきたことを起点にします。
> 会計課で6年、支出審査と決算を担当してきました。審査の基準をそろえる仕事に関わるうちに、審査そのものより、不備が起きない形に手前を直すほうが効くと考えるようになりました。ただ、会計課の立場では発注の手前まで踏み込むことが難しく、そこに関われる場所を探しています。
否定していません。やってきたことの延長線上に、次の希望を置いています。
会計課の場合、この形は作りやすいはずです。差し戻しを繰り返していれば、「手前を直したい」と思った場面が必ずあります。
質問2:「これまでで、いちばん難しかった判断を教えてください」
内部統制や経理の面接で必ず出ます。会計課でいちばん強く答えられる質問です。
組み立て方
状況 → 何を根拠にしたか → どう決着したかの順で話します。
> 年度末に、契約の検収記録が整っていない状態で支払の指示が回ってきたことがありました。急ぎの案件で、担当課からは期限までに払えないと困ると強く言われました。ただ、債務が確定していることを確認しないまま払うことはできない立場だったので、支払を止めたうえで、検収の記録をどう整えれば通せるかを担当課と一緒に確認しました。結果として、当日中に記録が整い、期限内に支払っています。
押し切られなかったことと、相手を突き放さなかったことの両方が入っています。これが理想の形です。
地方自治法第232条の4第2項が、命令を受けても確認できなければ支出してはならないと定めています。個人の頑固さではなく、職務として止めたのだと説明できると、話が通ります。
質問3:「うちの会社で、その経験はどう使えますか」
応募先の方向によって、答えを完全に変えます。
| 応募先 | 前に出すこと |
|---|---|
| 経理・財務 | 決算の調製、公会計の財務書類、支払の件数と締めの管理 |
| 内部統制・内部監査 | 審査の基準、差し戻しの実績、毎月の検査に対応してきた習慣 |
| 購買・調達の管理 | 発注と検収と支払の整合、契約書と予算費目の確認 |
| 自治体を顧客にする企業 | 支出命令が回る流れ、必要な書類、どこで止まるか |
| 監査法人・会計コンサル | 決算、監査対応、公会計の財務書類 |
同じ経歴でも、出す順番を変えるだけで通り方が変わります。
質問4:「簿記の資格はお持ちですか」
経理・財務の面接で出ます。持っていない場合の答え方を用意しておいてください。
避けたい答え方
「持っていません」で止めることです。事実ですが、そこで話が終わります。
組み立て方
> 簿記の資格は持っていませんが、公会計の財務書類の作成を担当していたので、発生主義の考え方は実務で通っています。貸借対照表と行政コスト計算書を作る過程で、現金の動きと費用の発生がずれる処理は扱ってきました。資格としての証明が必要であれば、取得を進めます。
作っていない場合は、決算の調製と支払審査を前に出します。
> 公会計の財務書類は担当していませんが、決算の調製と、支出負担行為が法令と予算に適合しているかの確認を6年担当しています。仕訳そのものより、証拠書類と処理が合っているかを見てきた経験になります。
無いものを埋めようとせず、有るものに寄せてください。
質問5:「ミスをしたときの話を聞かせてください」
管理部門の面接では定番です。隠さず、再発防止まで話すのが正解です。
> 支出の審査で、予算費目の誤りを見落として支払を実行してしまったことがあります。翌月の例月出納検査で指摘を受け、更正の処理をしました。原因を見ると、費目の確認が担当者の目視だけに依存していたので、頻出する費目の組み合わせをチェックリストにして、審査の最初に見る項目を固定しました。
会計課の場合、毎月の検査で指摘を受ける仕組みがあること自体が説明の材料になります。「発見される仕組みの中で仕事をしてきた」と言えると、内部統制の理解がある人として読まれます。
質問6:「意思決定のスピードに耐えられますか」
行政経験者に対する定番の質問です。稟議の段数を責めているのではなく、自分の判断で動かした範囲があるかを確認しています。
組み立て方
> 決裁の段数は多い組織でしたが、審査を通すか差し戻すかの判断は、担当が一次で持っていました。年間◯件のうち、上に相談せずに担当限りで判断したものが大半です。判断が割れる案件では、根拠になる条文や要領を示して、その場で担当課と詰めていました。
段数の話ではなく、自分が決めた範囲の話に切り替える。これが答え方の要点です。
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
最後の「何か質問はありますか」は、確認の機会です。会計課からの転職では、次の2つを必ず聞いてください。
1. 統制の仕組みがどの段階にあるか
規程が整備されている会社と、これから作る会社では、求められることがまったく違います。会計課の強みは決まった要件に照らして判断することなので、照らす先が無い環境では力が出にくくなります。逆に、作る側に回る前提なら合います。
2. 締めの周期と、繁忙の形
月次で締めるのか四半期なのか。会計課は年度末と出納整理期間に山が来る働き方をしてきているので、山の来かたが変わることを先に知っておいたほうがよいです。
つまずきやすい点
1. 制度の説明が長くなる
支出負担行為や調定の仕組みを丁寧に説明してしまい、自分の話に入る前に時間が過ぎます。制度は1〜2行で畳んでください。
2. 数字を持っていない
「たくさんの支出を審査しました」では答えになりません。年間の審査件数、差し戻した件数、審査項目の内容、決算を通した回数。この4つは暗記しておいてください。概数で構いません。
3. 「正確さ」を強みとして繰り返す
前提として扱われます。判断と、止めた経験に置き換えてください。
4. 止めた話を用意していない
質問2は高い確率で出ますが、準備していない方が多い質問です。1件は必ず用意しておいてください。
5. 資格が無いことを理由に、応募先を自分で狭める
簿記が無いから経理は無理、と決めてしまう例があります。内部統制や自治体向け企業の方向では、資格より実務の理解が効きます。先に方向を決めてください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地方自治法第235条の2は、現金の出納を毎月監査委員が検査し、結果を議会と長に報告すると定めています。会計課は常に第三者に説明する前提で仕事をしてきた部署です
- 面接でも自分の感覚ではなく、根拠を示して説明する型が合います
- 「正確に処理できること」は前提として通ります。聞かれるのは判断したことがあるか、止めたことがあるかです
- 止めた話は、制度を1〜2行で置いてから事例に入ってください。順番を逆にすると衝突の話に聞こえます
- 簿記が無い場合は、無いものを埋めようとせず、公会計や決算の経験に寄せてください
- 逆質問では、統制の仕組みがどの段階かと締めの周期を確認します
よくある質問
行政経験しかないことを、面接でどう扱えばいいですか
隠すより先に触れたほうが通りやすい、というのが実務的な感覚です。ただし「行政しか知らないので不安です」と言う必要はありません。違いを把握していることを示してください。「売上目標が個人に立つ働き方は経験していないので、そこは入ってから慣れる部分だと考えています」と言えれば、準備してきた証拠として読まれます。
会計課の仕事は、面接官に理解してもらえますか
自治体を顧客にしている企業なら理解されます。それ以外では、理解してもらう前提で説明を用意してください。有効なのは、社内の似た機能に置き換えることです。「発注した部署とは別に、支払う前に契約書と検収記録を確認する部署です。御社でいうと経理の支払審査や購買統制に近いと考えています」と言えば、その先の話が早くなります。
何社くらい受けるものですか
決まった数はありません。ただ、会計課からの転職では方向が複数あり、方向ごとに求められる説明が変わるため、1方向に絞ると選択肢が少なくなります。経理・財務と内部統制のように、説明の型が近い2方向を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。方向ごとの違いは会計課・出納室からの転職先に整理しています。