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部署別 / 広報広聴課

広報広聴課からの転職先|向いている5方向と、合いにくい方向

広報広聴課からの転職では、行き先の幅がかなり広くなります。

編集、報道対応、ウェブ、SNS、広聴。担当していた範囲によって、活きる方向がまったく違うからです。

ここを整理しないまま求人を探すと、「広報」という言葉だけで検索して、合わない求人ばかり見ることになります。

この記事では、向いている5方向と、合いにくい方向、それに資格と検索語を並べます。

仕事の言い換えは広報広聴課の経験は民間で何と呼ばれるかに書いています。

「届きにくい人に届ける」が、法律に書かれている仕事です

方向の話に入る前に、この部署のいちばん強い材料を条文で確認します。

災害対策基本法第56条第1項は、市町村長について、災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたときなどは、地域防災計画の定めるところにより、当該予報若しくは警報又は通知に係る事項を関係機関及び住民その他関係のある公私の団体に伝達しなければならないと定めています。

「伝達しなければならない」です。努力目標ではありません。

そして、第2項がこう続きます。

市町村長は、前項の規定により必要な通知又は警告をするに当たつては、要配慮者に対して、その円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとする。

届きにくい人に届ける配慮が、法律に書かれています。

これが、この部署の経験の芯です。平時の広報も同じ構造で、届きやすい層に出して終わりではなく、届いていない層をどう拾うかを考える仕事になっています。

そして、この発想は企業の広報にあまりありません。企業は、届く見込みのある層に資源を集中させるのが合理的だからです。だからこそ、持ち込む価値があります。

向いている5つの方向

1. 企業の広報・コーポレートコミュニケーション

いちばん直線的につながる方向です。

報道発表、記者からの問い合わせ対応、事実関係の確認、出せる範囲の判断。やっていることの構造がほぼ同じです。

とくに評価されるのが、危機管理時の情報発信の経験です。

災害、事故、感染症、不祥事。事実が固まりきる前に、何を出し、何を保留し、いつ次を出すかを決めた経験は、企業の広報でそのまま求められます。そして、この経験を持っている人は民間側に多くありません。

見るべき求人前に出す経験
広報・IR部門の中途採用報道発表、メディア対応、危機管理時の発信
事業会社のコーポレート広報全社の情報を集約して出す経験
広報の立ち上げポジション発信の仕組みをゼロから作った経験

2. オウンドメディア・コンテンツ編集

広報紙を、期限どおりに、一定の品質で、何年も出し続けた経験が効きます。

企業のメディア運営で最大の課題は、続けられるかどうかです。立ち上げは外注でもできますが、毎月出し続ける体制を回した人は貴重です。

発行回数・部数・ページ数・継続年数を必ず書いてください。「月1回・24ページ・約◯万部・◯年間」という書き方だけで、規模と継続性が伝わります。

3. 自治体を顧客にする企業

広告代理店、印刷会社、シティプロモーションの支援会社、自治体向けのウェブ制作・SNS運用の会社。

発注する側にいた経験が、そのまま提案の材料になります。

さらに大きいのが、入札・プロポーザルを審査する側にいた経験です。どういう提案が通り、どこで落ちるかを内側から見ています。提案書の書き方、見積の組み方、仕様書の読み解き方。受注側に回ると、そのまま武器になります。

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4. マーケティング・ユーザーコミュニケーション

広聴の経験がここで効きます。

住民から寄せられた意見を分類し、所管課に返し、回答を組み立てる。この流れは、顧客の声を製品側に返す仕事と同じ構造です。

ただし、企業では「声を集めること」より「集めた声をどう意思決定に使ったか」が問われます。分類しただけで終わらず、それによって何が変わったかを1件でも用意してください。

もう一つ、広聴の経験で見落とされやすいのが、苦情への回答を組み立てた経験です。事実関係を確認し、答えられる範囲を決め、相手が納得しなくても記録として残る形で返す。企業でも、問い合わせ対応の型を作る場面で同じことが求められます。件数と、回答までの日数の目安を控えておいてください。

5. 非営利・公益系の組織

医療法人、社会福祉法人、学校法人、業界団体、公益財団。

収益が第一の目的ではない組織の広報は、自治体の広報と目的の置き方が近くなります。「売る」ではなく「知ってもらい、使ってもらう」ことが目的になる点が共通です。

規模が小さいぶん、編集・ウェブ・報道対応を一人で回すことになりがちですが、広報広聴課はもともと一人で複数の経路を回しているので、この点は合います。

方向を決める順番としては、担当範囲が広い順に見ていくのが早いです。報道対応まで担当していたなら企業広報から、編集が中心なら②から、広聴が長いなら④から当たると、書類の作り直しが少なく済みます。

合いにくい方向

正直に書いておきます。

1. 広告代理店の営業職

支援会社への転職は方向として合いますが、営業職として入る場合は話が変わります。新規の受注目標を持ち、提案を持ち込む仕事です。発注側の経験は提案の質を上げますが、数字を追う働き方そのものは別の適性になります。制作・ディレクション側のポジションかどうかを確認してください。

2. デジタル広告の運用

広報と広告は別の仕事です。広告運用は、配信の設計と数値の改善が中心で、編集の経験がそのまま効く領域ではありません。興味があるなら、入ってから覚える前提で見てください。

3. スタートアップの広報(一人目)

発信の仕組みをゼロから作る経験が求められます。自治体の広報広聴課は、すでにある広報紙・サイト・記者クラブという仕組みの上で回すことが多いため、ゼロから設計した経験がないと、入ってから苦しくなることがあります。立ち上げに関わった経験がある方なら、逆に強い方向です。

4. 報道機関

取材を受ける側と、する側は別の仕事です。記者クラブ対応の経験があっても、取材・執筆・締切の働き方は別のものとして考えてください。

役に立つ資格

必須の資格はありません。ただし、方向によっては書類の通りやすさが変わります。

資格効く方向補足
ウェブ解析士オウンドメディア、マーケティング数字で語れることの証明になる
PRプランナー企業広報、PR会社業界の共通言語が身につく
日商簿記2級IR寄りの広報決算の話についていける
各種のSNSマーケティング認定ソーシャル運用実務の裏づけとして補助的に
防災士危機管理広報、自治体向け企業災害時の発信経験と組み合わせると効く

優先順位をつけるなら、ウェブ解析士です。広報広聴課の経験でいちばん弱くなりやすいのが「数字で効果を語る」部分なので、そこを補えます。

求人を探すときの検索語

「広報」だけで探さないでください。

見たい方向検索語
企業広報コーポレート広報/メディアリレーション/プレスリリース
危機管理広報クライシスコミュニケーション/リスク広報
編集オウンドメディア/コンテンツ編集/編集ディレクター/社内報
自治体向け企業自治体向け/シティプロモーション/地方創生/公共
広聴の経験を活かすVOC/お客様の声/カスタマーインサイト
非営利法人広報/団体広報/会報誌

「自治体」「公共」を含む検索は、必ず一度は回してください。発注側の経験を求めている求人は、この語で出てきます。

LINEで短く聞くこともできます

つまずきやすい点

1. 「広報」という職種名だけで探す

業務内容の欄で選んでください。「プレスリリース」と「オウンドメディア」の両方が書かれている求人が、いちばん近くなります。

2. 広聴の経験を落とす

民間の広報部門にはあまりない工程です。VOCの収集と分析として書けば、マーケティング方向にも届きます。

3. 危機管理時の発信を書かない

いちばん評価される材料です。公表済みの範囲で、対応の型として書いてください。

4. 数字で効果を語れない

閲覧数、問い合わせ件数、申請件数の変化。公表されている範囲で控えておいてください。ウェブ解析士の学習で補う方法もあります。

5. 方向を1つに絞りすぎる

企業広報とオウンドメディア編集は、説明の型が近いので並行して見られます。書類の作り直しが少なく済みます。

どの方向で値が付くかは、募集の出方で変わります。どの経験に値が付くのかから相談できます。

まとめ

よくある質問

広報紙の編集しか担当していませんが、選べる方向は狭いですか

編集系に寄りますが、狭いとは限りません。定期刊行物を期限どおりに出し続けた経験は、企業のメディア運営でそのまま求められます。むしろ、発行回数・部数・継続年数を書かないことのほうが不利です。そのうえで、報道対応や広聴の経験が加わると企業広報やマーケティングの方向にも届くようになるので、異動の見込みがあるなら待つ判断もあります。

SNS運用の経験は、どのくらい評価されますか

フォロワー数より、運用の中身が読まれます。自治体のアカウントは母数が人口に制約されるため、企業と単純には比べられません。評価されるのは、投稿の頻度と体制、災害時に運用を切り替えた経験、炎上を避けるための確認手順です。とくに災害時の切り替えは、企業のソーシャル運用でも同じ判断が必要になるため、経験として強く出せます。

何社くらい受けるものですか

決まった数はありません。ただ、この経歴は方向によって求められるものが大きく変わるため、1方向に絞ると選択肢が少なくなります。企業広報とオウンドメディア編集のように、説明の型が近い2方向を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。書き方は職務経歴書、聞かれることは面接に整理しています。

出典

  1. 災害対策基本法 第56条(市町村長の警報の伝達及び警告)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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