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部署別 / 広報広聴課

広報広聴課の面接|聞かれることと、答え方の型

広報広聴課の面接で、いちばん多い落ち方はこれです。

「広報紙やSNSの運用は分かりました。ただ、成果はどう測っていましたか」

ここで止まってしまう方が多くいます。

自治体の広報は、売上や応募数のような獲得の数字で測る仕組みになっていないからです。ところが企業の面接では、測り方を持っているかどうかが必ず確認されます。

ただ、測っていなかったと答える必要はありません。自治体の広報にも、測っていたものがあります。それを企業の言葉に置き換えられるかが分かれ目です。

この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。

言い換えは広報広聴課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は広報広聴課からの転職先、書類は職務経歴書に分けています。

「批判の宛先が制度として用意されている組織」で発信してきました

答え方の前に、この部署の発信がどういう環境で行われてきたかを条文で確認します。

地方自治法第13条は、住民の請求権について、こう定めています。

日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する。

続く第2項では、議会の議員、長、副知事若しくは副市町村長、指定都市の総合区長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職を請求する権利が定められています。

つまり、住民は、組織そのものを解散させ、トップを辞めさせるよう請求できます。

企業の広報が置かれている環境と、ここが決定的に違います。批判の最終的な宛先が、制度として用意されているわけです。

この環境で発信するということは、こういうことを意味します。

面接では、この経験を強みとして出してください。「厳しい環境でした」ではなく、「取り下げられない前提で書く訓練を受けている」と言い換えます。

企業でも、一度出したリリースは取り消せません。そこで慎重になりすぎず、かつ後で説明できる形で出すという判断は、まさに求められているものです。

質問1:「広報広聴課では、どういうことをされていたんですか」

最初に来ます。ここで枠を作れるかどうかが、その後の質問の向きを決めます。

避けたい答え方

「広報紙の編集やホームページ、SNSの運用、市民の声の対応などを担当していました」。

経路が並んでいるだけで、発信の作業をしていた人という像で固定されます。

組み立て方

規模 → 担当の広さ → 判断の中身の順です。

> 人口約◯万人の市で、住民向けの情報発信の全体を担当していました。月1回・約◯万部の広報紙、公式サイトとSNS、年間◯件の報道発表、それに年間◯件の広聴です。中心の工程は、各課から上がってくる制度の説明文を「対象は誰か・いつまでに・どこへ」の3点に整理し直すことと、掲載の可否を所管課と調整することでした。

3つ目が効きます。「整理し直す」「可否を調整する」と言った瞬間に、判断していた人に変わります。

質問2:「成果はどう測っていましたか」

この経歴でいちばん詰められる質問です。

避けたい答え方

「自治体の広報なので、売上のような指標はありませんでした」。

事実ですが、測っていなかったと聞こえます。

組み立て方

測っていたものを、企業の言葉に置き換えます。

> 売上の代わりに置いていたのは、制度が実際に使われた件数です。たとえば◯◯制度の案内では、広報紙の一斉告知だけだった状態から、対象世帯への個別通知とサイトの三経路に分けた結果、申請件数が◯件から◯件になりました。もっとも、制度側の要件も同じ年に変わっているので、発信だけの効果とは言えません。そこは分けて見ていました。あわせて、サイトの該当ページの閲覧数と、窓口・電話での問い合わせ件数も追っています。

ポイントは2つです。

1つ目は、「申請件数」「問い合わせ件数」という行動の数字を出すこと。閲覧数だけだと弱くなります。

2つ目は、他の要因を自分から切り分けること。ここで正直に分けられる人は、数字の扱いが分かっている人として読まれます。盛るより効きます。

質問3:「炎上や、厳しい反応を受けた経験はありますか」

ほぼ必ず出ます。

避けたい答え方

「幸い、大きな問題は起きませんでした」。

起きなかったこと自体は良いのですが、答えとしては材料がありません。

組み立て方

大きな事案がなくても、判断の話に変えられます。

> 大きな炎上は経験していませんが、投稿への批判が集まったことは何度かあります。そのときに決めていたのは、削除するかどうかを、内容ではなく理由で判断するということです。事実に誤りがあれば訂正して経緯を残す、表現が不適切なら修正して理由を書く、批判が意見の相違によるものなら残す。この3つに分けて、判断の記録を残していました。あわせて、投稿前の確認手順を2名の目を通す形に変えています。

「削除するかどうかを、内容ではなく理由で判断する」という答えは、企業のソーシャル運用でそのまま必要になります。

事案の詳細は話さないでください。判断の型だけで十分です。

質問4:「出すか出さないかで迷った経験を教えてください」

危機管理広報の求人で出ます。

組み立て方

制約 → 判断の基準 → 実行の順です。

> 事実関係が固まりきっていない段階で発表を求められる場面があります。そこで基準にしていたのは、確認できている範囲と、確認中の範囲を分けて出すことでした。分からないことを「調査中」と書いたうえで、次にいつ出すかを明示します。出さない判断をするときも、「今は出さない」ではなく「いつ出すか」を決めて共有していました。個人が特定される情報は、その時点で除外します。

「いつ出すかを決めて共有する」が答えの核です。企業の危機管理広報でも同じ判断が求められます。

質問5:「なぜ転職しようと思ったのですか」

避けたい答え方

「自治体の広報では、やれることに限界があった」。

組織への不満に聞こえます。そして、企業にも制約はあります。

組み立て方

> 広報広聴課で◯年、発信の設計から広聴の還元までを担当してきました。届いていない層に届ける工夫は続けてきましたが、発信の効果を数字で確かめて、次の設計に戻すところまでは、仕組みとして持てませんでした。測って改善する回し方が仕組みとして入っている場所で、同じ仕事をしたいと考えています。

否定していません。やってきたことの延長に、次の希望を置いています。

質問6:「うちで何ができますか」

応募先の方向によって、答えを完全に変えます。

応募先の方向前に出すこと
企業広報報道発表、事実確認の手順、出す・保留の判断
危機管理広報災害時の運用切り替え、段階的な発表の設計
オウンドメディア編集継続発行の体制、委託事業者のディレクション
自治体を顧客にする企業プロポーザルの選定側の経験、発注の実際
マーケティング広聴の分類と還元、届き方を変えた実績

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質問7:希望する条件について

給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。

「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。

なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

逆質問で聞いておくこと

1. 広報の成果を、社内で何の数字で見ているか

ここが曖昧な会社は、入ってから評価の基準が揺れます。リリースの本数で見ているのか、掲載の件数か、問い合わせの件数か、採用の応募数か。測り方が決まっているかどうかを聞いてください。

2. 出すか出さないかを、最終的に誰が決めるか

広報部門が決めるのか、法務が決めるのか、経営が決めるのか。自治体では所管課と調整して決めていたので、同じ形なら進め方がそのまま使えます。一方、広報が最終責任を持つ形なら、覚悟が要ります。

3. 危機対応の手順が、文書として存在するか

ないと答える会社のほうが、この経歴は活きます。自治体には地域防災計画があり、発信の手順が定められています。手順を作った経験そのものを持ち込めます。

つまずきやすい点

1. 最初の質問で経路を並べる

規模 → 担当の広さ → 判断の中身の順です。

2. 「測りにくい」で答えを終える

制度が使われた件数という行動の数字を出してください。

3. 他の要因を切り分けない

申請件数が増えた理由は発信だけとは限りません。自分から分けて話すほうが信頼されます。

4. 炎上の事案を詳しく話す

判断の型だけで話してください。個別の事案、相手方、内部の経緯は話せません。

5. 制作物を無条件に持参する

公表済みのものに限ります。個人が写り込んでいる誌面は避けてください。

答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。どの経験に値が付くのかから相談できます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

大きな炎上を経験していないのですが、不利ですか

不利にはなりません。聞かれているのは事案の大きさではなく、判断の基準を持っているかです。批判が集まった投稿への対応、投稿前の確認手順、削除の判断基準。小さな場面でも、基準を言葉にできていれば答えになります。むしろ、大きな事案の詳細を話してしまうほうが、守秘の線が甘い人として見られる危険があります。

「自治体の広報は緩い」と思われないか心配です

規模と期限で示すと、その心配は減ります。「月1回・約◯万部を◯年間、発行日を一度も落とさずに出した」「年間◯件の報道発表を、事実確認の手順を通して出した」。期限が動かない仕事を、継続して回してきたことが伝われば、働き方の疑いは残りません。発行日は動かせないという点は、こちらから先に言ってしまって構いません。

自治体の制度の知識は、面接で役に立ちますか

応募先によります。自治体を顧客にする企業では、そのまま価値になります。一般の事業会社では、制度の詳細より「制度の文章を、使う人に届く形に直せる」という能力のほうが読まれます。専門用語で書かれた仕様や規約を、顧客や社員に伝わる形に直す仕事は、企業でも人が足りていません。制度に詳しいことではなく、翻訳できることを前に出してください。

出典

  1. 地方自治法 第13条(解散及び解職の請求)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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