財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

部署別 / 用地課

用地課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで

用地課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。

「公共事業に係る用地取得及び補償に関する業務」

この1行で終わってしまいます。

読む側は、ここから「土地を買う手続をしていた人」という像しか作れません。実際には、土地の代金だけでなく、建物の移転、営業の損失、借家人の扱いまで含めて、生活の再建を設計してきたわけですが、それが書かれていません。

この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。

言い換えは用地課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は用地課から転職しやすい業界と職種に書いています。

補償は、土地の代金だけではありません

書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。

土地収用法第88条は、こう定めています。

第七十一条、第七十二条、第七十四条、第七十五条、第七十七条、第八十条及び第八十条の二に規定する損失の補償の外、離作料、営業上の損失、建物の移転による賃貸料の損失その他土地を収用し、又は使用することに……

通常受ける損失を、補償することになっています。

並んでいる言葉を見てください。

離作料。営業上の損失。建物の移転による賃貸料の損失。

ここが要点です。

土地の代金は、補償の一部にすぎません。

その土地で作物を作っていた人、商売をしていた人、部屋を貸していた人、借りていた人。それぞれに、失うものがあります。

そして、条文は「通常受ける損失」を補償すると書いています。

つまり、この仕事が扱っているのは、「土地の値段」ではなく、「その土地がなくなることで、その人の生活と事業がどう変わるか」です。

民間でいえば、これは損失の査定と、移転の設計にあたります。

書類には、この部分を書いてください。

「用地取得及び補償」ではなく、この3つです。

職務要約

冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。

悪い例

> ◯◯市役所の用地課に配属され、公共事業に係る用地取得及び補償に関する業務を担当しました。

件数も、面積も、範囲も入っていません。

良い例

> ◯◯市の用地の部門において、道路・河川等の公共事業に伴う用地の取得を担当しました。年間◯件・◯筆、面積約◯平方メートル、地権者約◯人を扱い、権利関係の調査、境界の確定、物件の調査と補償の算定、地権者との交渉、契約と登記までを一貫して実施しています。補償の項目は、土地、建物の移転、工作物、立木、営業の損失、移転に伴う雑費、借家人の補償まで扱いました。相続の登記が未了の案件◯件について、相続人の範囲の確定から同意の取得までを処理しています。

入っているもの

  1. 件数・筆数・面積・地権者の人数
  2. 「一貫して」という一語
  3. 扱った補償の項目
  4. 難しい案件の類型と件数

2つ目が要点です。民間では、調査・交渉・契約が分かれていることが多いため、一人で通していたことが、そのまま差になります。

担当業務

「用地取得及び補償」で丸めず、機能に分けて書いてください。

悪い例

> ・用地の取得交渉> ・補償金の算定> ・契約事務> ・その他庶務

良い例

> 【権利関係の調査(年間◯件)】> 登記、公図、現況の確認、相続人の調査、共有の整理、借地・賃貸借の確認。登記と現況が一致しないことが前提のため、契約の相手方を確定させるところから着手。>> 【境界の確定と測量(年間◯件)】> 隣接する方への事前の説明、立会いの段取り、測量の発注と成果の確認、分筆。隣接者は事業と無関係なため、日程は相手の都合に合わせて組む必要があり、測量の工程を逆算して調整。>> 【物件の調査と補償の算定】> 建物、工作物、立木、営業、移転に伴う雑費、借家人。土地の代金だけではないため、項目ごとに調査し、算定の根拠を資料として整理。>> 【交渉と合意(地権者約◯人)】> 説明、協議、条件の調整、移転先の相談。価格を交渉で決められないため、「なぜこの金額か」を根拠とともに説明する形で合意を形成。>> 【契約・支払い・登記(年間◯件)】> 契約の締結、補償金の支払い、登記の嘱託、建物の除却の確認、引渡し。支払いが年度で区切られるため、年度内に完了する工程を先に固定。>> 【進捗の管理と事業部門との調整】> 取得の進捗の管理、工事の着手の時期との調整、未取得の箇所の見通しの報告。

太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を整理していたかを1つずつ足してください。

実績

ここが書きにくい部分です。成果が、契約という1枚に見えるからです。

悪い例

> 公共事業の円滑な推進のため、用地の取得に努めました。

工程も数字も入っていません。

良い例(3つの型)

型1:止まっていた案件を動かした

> 長く取得が進んでいなかった◯筆について、登記の名義人が死亡しており、相続人が◯人に分かれていた。戸籍をたどって相続人の範囲を確定し、連絡が取れた方から順に説明。遠方の相続人には書面と電話で対応し、◯か月で全員の同意を取得して契約に至った。

型2:手順を作って速くした

> 権利関係の調査について、確認する項目(登記、公図、現況、相続、借地、未登記の建物)を一覧にした様式を作成。担当者が代わっても同じ順序で調査できる形にし、調査の漏れによる手戻りを減らした。

型3:事業の日程に間に合わせた

> ◯◯事業について、工事の着手の時期から逆算して、取得の工程を設計。境界の立会いの日程、測量の発注、算定、交渉、契約、登記までを月単位で並べ、年度内の支払いに間に合う形で◯件を完了させた。

型1が、この経歴でいちばん効く形です。「止まっていたものを動かした」という話は、民間の用地の仕入れで、そのまま同じことが求められます。

型3も強いです。逆算して工程を組んだという話は、期限のある案件を扱う仕事全般で通じます。

数字の出し方

手元の記録と、事業の資料から取ってください。

数字どこで使うか注意
件数・筆数・面積職務要約扱った量を示す中心の数字
地権者の人数職務要約、実績1件でも、人数が多ければ交渉の量が伝わる
相続・共有の案件の件数職務要約、実績民間がいちばん知りたい部分
借家人の補償の件数担当業務、実績扱える案件の幅を示す
扱った補償の項目職務要約土地の代金だけではないことが伝わる
調査から契約までの期間実績改善を示すならこれ
任意の契約により取得した割合実績交渉で解決できた証明
事業の総数と、担当した区間職務要約規模の背景

1行目から4行目が中心です。量・人数・難案件・借家人。この4つが揃うと、「複雑な案件を通せる人」として読まれます。

盛った数字は、面接で必ず確認されます。

自分の数字がどう読まれるかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

並べ替え:応募先によって前に出すものを変える

同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。

応募先1番目2番目3番目
デベロッパー・用地の仕入れ相続・共有の処理地権者との交渉契約と登記
鉄道・電力・ガス・通信連続した区間の取得事業の日程との調整公共性の説明
補償のコンサル補償の項目と算定物件の調査委託の仕様と成果の確認
不動産の仲介・買取権利関係が複雑な案件借家人との調整未登記の建物
自治体を顧客とする企業事業の進め方と年度の制約進捗の管理庁内と議会の説明

1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。

書いてはいけないこと

交渉の中身は、立場があるから知り得たものです。

書けるのは、「どういう類型を、何件、どういう手順で処理したか」と「規模」までです。

> ✕ 「◯◯地区の店舗の移転について、営業補償の額でもめたが、最終的に納得してもらった」> ○ 「営業を行っている物件の移転について、営業の損失の算定の根拠を項目ごとに整理した説明資料を作成し、◯件の合意に至る手順として定着させた」

後者のほうが、書類としても強くなります。個別の交渉ではなく、自分が整理した手順が書かれているからです。

LINEで短く聞くこともできます

つまずきやすい点

1. 「用地取得及び補償」で丸める

調査/境界/算定/交渉/契約/進捗の6つに分けてください。

2. 補償の項目を書かない

土地の代金だけではありません。扱った項目を並べてください。

3. 借家人の補償を書かない

扱える案件の幅を示す一行です。

4. 「一貫して」を入れない

民間では工程が分かれています。一人で通していたことが強みです。

5. 個別の交渉を書いてしまう

氏名、金額、経緯、地番。すべて書けません。類型と手順で書いてください。

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

まとめ

よくある質問

補償の算定は委託で、自分は交渉だけでした

それは、むしろ書きやすい形です。民間でも、査定は外部、交渉は自社という分担は普通にあります。書くなら、「補償の算定は委託により実施。委託の仕様の作成と成果の確認を行い、算定の根拠を地権者に説明のうえ、契約を締結」という形です。とくに「説明のうえ」という部分が重要です。金額に納得してもらう場面で矢面に立つのは、算定した人ではなく、交渉した人だからです。交渉の経験は、この分野でいちばん求められます。

立会いと測量の段取りが中心でした。交渉はしていません

それでも十分に書けます。境界の確定は、用地の取得で止まる理由の上位です。書くなら、「境界の確定について、隣接する土地の所有者◯人への事前の説明と立会いの調整を行い、年間◯件の測量を完了」という形です。とくに「隣接する所有者への事前の説明」を書いてください。事業に関係のない人に、時間を割いて立ち会ってもらう——この段取りができる人は、民間の用地でも重宝されます。測量の会社に発注していた経験も、委託の管理として書けます。

用地課に2年しかいません。書けることはありますか

2年でも、通した案件があれば書けます。この仕事は、1件が長いので、年数より「どこまで関わったか」が見られます。2年目に契約まで持っていった案件が1件でもあれば、それが書類の中心になります。書くなら、「◯◯事業について、権利関係の調査から交渉、契約、登記までを担当。地権者◯人、面積約◯平方メートル」という形です。まだ契約まで行っていない場合は、調査と境界の確定を前に出してください。そこだけでも、民間で必要とされる技能です。面接で聞かれることは用地課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。

出典

  1. 土地収用法 第88条(通常受ける損失の補償)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。