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部署別 / 用地課

用地課から転職しやすい業界と職種

用地課からの転職には、行き先の地図が条文に書かれているという珍しい特徴があります。

土地収用法の条文に、事業の種類が列挙されています。

そして、その列挙が、そのまま「土地を必要とする業種の一覧」になっています。

この記事では、向いている5つの方向と、合いにくい方向を並べます。

言い換えは用地課の経験は民間で何と呼ばれるかに書いています。

条文の列挙が、そのまま行き先の一覧です

行き先を考える前に、この仕事の射程を条文で押さえます。

土地収用法第3条は、こう定めています。

土地を収用し、又は使用することができる公共の利益となる事業は、次の各号のいずれかに該当するものに関する事業でなければならない。

そして、号が並びます。

一 道路法による道路、……又は駐車場法による路外駐車場/二 河川法が適用され、若しくは準用される河川……又はこれらの河川に治水若しくは利水の目的をもつて設置する堤防、護岸、ダム、水路、貯水池その他の施設/三 砂防法による砂防設備……/三の二 ……地すべり防止施設又はぼた山崩壊防止施設/三の三 ……急傾斜地崩壊防止施設/四 運河法による運河の用に供する施設……

号は、この後も続きます。

ここが要点です。

この列挙は、「土地を必要とする事業」の一覧です。

道路、河川、砂防、運河。そしてこの先には、鉄道、電気、ガス、水道といった、生活を支える設備が続きます。

そして、それらの多くは、民間の会社が担っています。

つまり、用地の取得の技術を必要とする会社は、この条文の並びの分だけあるということです。

行き先を考えるときは、この視点で見てください。

見方どういう会社か
土地を買って建てるデベロッパー、住宅、物流施設
土地を通す・つなぐ鉄道、電力、ガス、通信
取得を支える建設コンサル、補償のコンサル
権利を整理する不動産の仲介、買取

どこに行っても、「土地を動かす」という中身は変わりません。

向いている5つの方向

1. 不動産デベロッパー・住宅・物流施設(用地の仕入れ)

項目内容
効く経験権利関係の調査、境界の確定、相続や共有の処理、地権者との交渉
求められる形候補地の調査、地権者との交渉、契約、決済まで
入りやすさ高い。一貫してできる人が採れない

書くときの注意。「相続や共有が絡む土地を動かした件数」を書いてください。民間の用地の担当者がいちばん苦手にするのが、ここです。権利者が多数に分かれた土地を、実際にまとめた経験は、それだけで通用します。

この方向に固有の制約もあります。民間では、買えない土地は諦めます。そして、その判断を早くすることが評価されます。行政では、諦めるという選択がありませんでした。だから、「見切る」という判断に、最初は違和感があるはずです。逆に言えば、粘り強さは前提として持っているので、見切りの基準さえ覚えれば戦力になります。

2. 鉄道・電力・ガス・通信(設備の用地)

項目内容
効く経験連続した土地の取得、線的な事業の進め方、公共性の説明
求められる形用地の取得、地権者との交渉、関係機関との協議
入りやすさ中〜高。構造が公共事業とほぼ同じ

書くときの注意。「代わりがきかない土地を取得した経験」を前に出してください。線路も、送電線も、管路も、途中が抜けたら成立しません。公共事業の道路と、まったく同じ構造です。

この方向に固有の制約もあります。設備の用地は、取得だけで終わりません。通した後も、点検や工事のたびに土地に入らせてもらう必要があります。つまり、契約したら関係が終わるのではなく、その後も続きます。行政の道路も同じですが、民間では、その関係の維持まで担当の仕事に含まれることがあります。「売ってもらって終わり」ではない——ここは、入る前に確かめておいてください。

3. 建設コンサルタント・補償のコンサルタント

項目内容
効く経験補償の算定の基準、物件の調査、算定の根拠の説明
求められる形自治体からの受託、調査と算定、資料の作成
入りやすさ高い。発注する側にいた経験が直接効く

書くときの注意。委託の仕様を書いていたなら、それを書いてください。何を求め、何を確認していたかを知っている人は、受託の側に回ったときに、求められる成果が分かります。

4. 不動産の仲介・買取(相続・共有・権利の調整)

項目内容
効く経験相続人の調査、共有の整理、未登記の建物、借地の権利
求められる形権利関係が複雑な物件の調査と調整、買取の判断
入りやすさ中〜高。扱える人が限られる分野

書くときの注意。「普通の売買は経験がない」ことを先に言ってください。そのうえで、「権利関係が複雑な案件は扱ってきた」と続けます。この分野では、後者のほうが希少です。

5. 自治体を顧客とする企業(用地の取得の受託)

項目内容
効く経験公共事業の進め方、年度の制約、庁内と議会の説明
求められる形用地の取得の支援、調査の受託、進捗の管理
入りやすさ中〜高。そのままの経験が業務になる

書くときの注意。年度と予算の制約を知っていることを書いてください。「いつまでに取得できるか」が事業の日程を決めるという感覚は、受託の側でも同じように必要です。

この方向に固有の制約もあります。受託では、交渉の主体は自治体のままです。自分は、調査や資料の作成で支える側になります。つまり、地権者と直接話す場面が減ります。交渉そのものを続けたい人には、物足りなく感じることがあります。逆に、調査と算定を深めたい人には、この方向が合います。

合いにくい方向

1. 個人向けの販売の営業(住宅の販売など)

買いたい人に売る仕事は、売りたくない人から買う仕事とは、まったく別です。

2. 短期の数字で評価される職種

1件に数年かける感覚とは、評価の周期が合いません。

3. 立ち上げ期の一人目

手続も前例もない環境で全部を作る役割です。この経歴は、基準と手順を積み上げることに強いため、それがない環境では時間がかかります。

4. 施工管理(現場)

用地を取得したことと、工事を管理できることは別です。

5. 研究職

研究の実績が前提です。行政の実務だけでは届きません。

役に立つ資格

取ってから動く必要はありません。応募しながらで構いません。

資格効く方向実際のところ
宅地建物取引士不動産、デベロッパー、仲介この経歴といちばん相性がよい。権利関係の知識が既にある
補償業務管理士補償のコンサル、用地の受託この分野の実務の資格。受託の要件になることがある
土地家屋調査士独立、測量、調査難易度は高いが、境界の実務をしてきた人には近い
測量士補コンサル、用地の調査技術系の受託会社では効く
不動産鑑定士鑑定、金融取得は重い。目指すなら長期の計画で

用地や不動産の方向なら、宅地建物取引士がいちばん効きます。補償の分野に進むなら、補償業務管理士です。

求人を探すときの検索語

庁内の言葉で検索すると、求人が出てきません。

探している仕事検索語
用地の仕入れ用地 仕入/用地 取得/土地 仕入/事業用地
設備の用地用地 交渉/地権者 交渉/プロジェクト 用地
補償のコンサル補償 コンサルタント/用地 補償/公共 補償
不動産の調査権利調整/相続 不動産/再販 仕入
自治体向け用地 業務 受託/公共 用地/公共 コンサルタント

「用地」という言葉は、民間でもそのまま通じます。この経歴は、検索語の置き換えがいちばん少なくて済む部類です。

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つまずきやすい点

1. 「困難案件に対応」で終える

類型ごとの手順を書いてください。そこがいちばん知りたい部分です。

2. 件数と面積を書かない

扱った量を示す中心の数字です。

3. 「普通の売買は経験がない」ことを隠す

先に言ってください。そのうえで、複雑な案件の経験を続けます。

4. 「見切る」判断に備えない

民間では、買えない土地を諦める判断が評価されます。そこは覚える部分です。

5. 検索語を置き換えすぎる

「用地」はそのまま通じます。この経歴は、言葉の翻訳が少なくて済みます。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

交渉の経験が浅く、調査と書類の作成が中心でした

それでも書けます。用地の仕事は、調査で決まる部分が大きいからです。登記と現況のずれを見つける、相続人を追う、未登記の建物を確認する、借地の権利を整理する。ここが正確でないと、交渉に入れません。書くなら、「権利関係の調査を年間◯件担当。相続の登記が未了の案件◯件について、相続人の範囲の確定までを実施」という形です。民間でも、調査と交渉は分かれていることが多いので、調査に強い人は、そのまま調査の担当として採られます。

用地の取得の経験が1件だけです。書けますか

1件でも、通していれば書けます。この仕事は、1件に数年かかることがあります。だから、件数の多さより、どこまで通したかが見られます。書くなら、「◯◯事業に伴う用地の取得について、調査から交渉、契約、登記までを担当。地権者◯人、面積約◯平方メートル」という形です。とくに、地権者の人数を書いてください。1件でも、権利者が多数いれば、それだけの交渉をしたということです。「1件だけなので」と引け目に思う必要はありません。

何社くらい受けるものですか

決まった数はありません。ただ、この経歴は、他の部署に比べて、書類の作り直しが少なくて済みます。用地の取得という中身が、どの業種でもほぼ同じだからです。現実的なのは、1通作って、複数の方向に同時に出す形です。たとえば、デベロッパーの用地と、鉄道や電力の用地は、どちらも「地権者との交渉ができるか」を見ています。書き方は用地課の職務経歴書に整理しています。

出典

  1. 土地収用法 第3条(土地を収用し、又は使用することができる事業)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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