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業界研究 / 観光・地域振興

観光・地域振興の志望動機|公務員からの転職でどう組み立てるか

観光・地域振興の志望動機で、いちばん多く見かける書き出しがあります。

「この地域が好きで、力になりたいと考えました」

気持ちは伝わります。ただし、これだけでは選考で効きません。

理由は2つあります。1つは、その地域に住んでいる人なら誰でも書けること。もう1つは、「力になりたい」が、役所にいてもできることだからです。

相手が知りたいのは、「なぜ行政の側ではないのか」です。

その答えの手がかりは、法律が行政と事業者の役割をどう書き分けているかを見ると、はっきりします。この記事では、そこから志望動機を組み立てる手順を扱います。業界の構造は未経験から観光・地域振興に入るには、条件の確かめ方は観光・地域振興の年収と働き方にあります。

法律は、行政と事業者を書き分けています

観光立国推進基本法第4条第1項です。

> (地方公共団体の責務)第四条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、観光立国の実現に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、自主的かつ主体的に、その地方公共団体の区域の特性を生かした施策を策定し、及び実施する責務を有する。

地方公共団体は、「施策を策定し、及び実施する責務」です。

そして、同法第6条です。

> (観光事業者の努力)第六条 観光に関する事業(第十六条において「観光事業」という。)を営む者(以下「観光事業者」という。)は、その事業活動を行うに際しては、住民の福祉に配慮するとともに、観光立国の実現に主体的に取り組むよう努めるものとする。

観光事業者は、「その事業活動を行うに際して」です。

この2つの条文の違いを見てください。

地方公共団体(第4条)観光事業者(第6条)
何をするか施策を策定し、実施する事業活動を行う
書かれ方責務を有する努めるものとする
立ち位置区域の特性を生かす住民の福祉に配慮する

行政は施策を作る。事業者は事業を行う。

⚠ どちらが上ということではありません。役割が違うということです。

そして、この業界の仕事は、右の列です。

志望動機は、ここに接続させてください

「地域を良くしたい」は、第4条の側でもできます。

言うべきなのは、「施策を作る側ではなく、事業として回す側に移りたい」です。

この違いは、具体的な場面で説明できます。

行政の側事業の側
補助金を交付して、事業者の取組を支援する自分たちで事業を組み立て、原資を確保する
計画を作り、目標を示す目標に向けて、実際に人を集める
実績の報告を受け、検証する実績を作り、報告する
公平に配分する選んで、集中して投じる
単年度で区切る続けるか、やめるかを自分で決める

右の列が、この業界の仕事です。

役所にいて、左の列に物足りなさを感じた場面があるなら、それが志望動機の材料になります。

3つの層に分けます

層問い材料の出どころ
① 機能なぜ、事業を回す側なのか役所での担当の経験
② 組織なぜ、この組織・この地域なのか公表資料と求人票
③ 立場なぜ、行政ではなく事業者の側なのか自分の考えの変化

① 事業を回す経験は、役所にもあります

役所での担当接続する場面
補助金の交付と実績の確認申請する側、事業を実施する側
イベント・行事の実施集客の企画と運営
観光・物産の計画の策定事業の設計
地域の事業者との調整会員・関係者との関係づくり
広報・情報の発信発信の企画
施設の管理・指定管理の所管施設の運営

書き方は、「担当しました」で止めないでください。何を自分で決めたかを書きます。

> 市の物産展の実施を担当し、出展する事業者の選定、会場の構成、告知の手順を組み立てました。前年度の来場の状況から、時間帯ごとの人の流れに合わせて配置を変え、滞在の時間を延ばすことを狙いました。

「自分で決めて、結果を見た」という形になっています。これが、事業を回す側の経験です。

② 組織と地域は、公表資料から取ります

資料志望動機に使える材料
組織の事業の計画・報告どの事業に力を入れているか
自治体の観光の計画その地域が何を目指しているか
決算・収支の資料財源の構成
求人票の仕事内容その職の日々の中身
施設や催事の情報実際に何をやっているか

⚠ 自治体の観光の計画は、公表されています。これを読んでから面接に行くと、話が具体的になります。

使い方は、「読みました」ではなく「読んで、どこに反応したか」です。

> 市の観光の計画を拝見し、通過型から滞在型への転換が課題として挙げられていることを確認しました。私が担当していた自治体でも同じ課題がありましたが、宿泊の受け皿を増やす話と、夜の過ごし方を作る話は、別の取組が要ると感じていました。

この書き方は、計画を読んでいないとできません。

③ 行政ではなく、事業者の側である理由

必ず問われます。相手が確かめたいのは2つです。

相手の懸念確かめたいこと
行政の目線のまま来ないか事業者の側に立てるか
条件を分かっているか土日の勤務、収入を作る仕事

答え方の型は、「配分する側から、実施する側へ」です。

> 補助金を交付する側として、地域の事業者の取組を支援してきました。交付する側は、公平に配分し、実績を確認するところまでが役割です。実際に人を集め、続けるかどうかを判断しているのは、事業者の側です。そちらに移りたいと考えました。

もう一つの型は、「単年度で区切らずに続けたい」です。

> 単年度の事業として実施し、翌年度に継続するかは予算の査定で決まる、という進め方をしてきました。育てるには時間がかかる取組が、年度で切れてしまう場面を見てきました。続けるかどうかを、現場で判断できる立場に移りたいと考えました。

⚠ 避けてください——役所の批判から入る書き方です。「行政は単年度主義で」「縦割りで動けない」。読む側から見ると、次は当社の悪いところを外で言う人に見えます。

⚠ そして、「地域が好き」を最初に持ってこないでください。①②③を組み立てたうえで、最後に一言添えるなら効きます。

公務員の経験が効く場所・効きにくい場所

効く場所

経験志望動機での使い方
補助金の交付と実績の確認申請する側に回れる
計画の策定事業の設計に直結
地域の事業者との調整会員・関係者との関係づくり
イベント・行事の実施集客の企画と運営
会議体の運営理事会・総会の運営
統計・調査の取りまとめ事業の検証

効きにくい場所

経験の不足面接での扱い方
売上を作るできる範囲を具体的に示す
価格の設定構造の理解を示す
土日・連休の勤務確認してきたことを示す
少人数での兼務分掌の外を拾った経験を出す

材料を集める順番

順やること目安
1自分で決めて結果を見た経験を3つ書き出す1時間
2応募先の自治体の観光の計画を読む1時間
3組織の事業の計画・報告を読む1時間
4財源の構成を確認する30分
5③の型(配分する側から/単年度で区切らずに)を決める20分
6土日の勤務について、家族と話す—
7①②③をつなげて300字にまとめる40分

6つ目を飛ばさないでください。面接で聞かれてから考え始めると、その場で答えられません。

経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。

面接で聞かれやすいこと

聞かれること何を確かめられているか
なぜ行政ではないのですか③の中身
土日の勤務について、どうお考えですか確認してきたか
収入を作ることについて、どうお考えですかできる範囲を示せるか
地域の事業者と話した経験はありますか調整の経験
行政との協議で、どちらの立場に立ちますか元の所属に引きずられないか

5つ目は、必ず聞かれます。「事業者の側に立ちます。ただし、行政の側の制約も分かるので、通らない要望を出さないで済みます」が自然です。

⚠ 「元の所属に配慮します」と答えないでください。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

よくある質問

出身地ではない地域でも、志望動機は書けますか

書けます。むしろ、出身であることを理由の中心に置かないほうが強いことがあります。採る側から見ると、「出身だから」は、続ける理由としては弱いからです。書くべきなのは、その地域の課題と、自分の経験の重なりです。「通過型から滞在型への転換が課題として挙げられている地域で、私は◯◯の取組に関わってきました」。これは、出身かどうかと関係なく成り立ちます。なお、縁が無い地域の場合、なぜその地域かは必ず聞かれます。答えは、課題の性質と、自分の経験が合うからで構いません。⚠ そのうえで、移住を伴う場合、住まい・通勤・家族の見通しを確認してきたことを示してください。

観光の仕事は初めてです。志望動機が弱くなりませんか

弱くなりません。この分野で効くのは、観光の知識より、補助の制度・計画の策定・地域の調整の経験です。商工、農林、文化、生涯学習、企画の部署にいた方は、材料を持っています。とくに、補助金の交付事務は、部署を問わず評価されます。書き方は、「観光の実務は初めてですが、補助の申請の審査と、地域の事業者との調整を◯年担ってきました」という形です。そのうえで、その地域の観光の計画を読んでおくと、話が通じます。⚠ 知らないことを知っているように書かないでください。入ったあとに差が出ますし、面接で突っ込まれたときに答えられません。

志望動機は、何組織ぶん書き分ける必要がありますか

①は共通で構いません。②と③は、組織ごとに書き直してください。①は「なぜ事業を回す側か」なので、同じ経験が材料になります。②はその地域の計画と組織の資料から取った材料なので、使い回すと読んでいないことが分かります。③も、組織の性格で説得力のある型が変わります。受託が中心の法人なら「配分する側から実施する側へ」、自主事業を伸ばしている組織なら「単年度で区切らずに続けたい」。同じ言葉でも、置く場所で意味が変わります。なお、⚠ 応募先を決める前に、再就職に関する規程の確認を済ませておいてください。

出典

  1. 観光立国推進基本法 第4条(地方公共団体の責務)/第6条(観光事業者の努力)|e-Gov法令検索
  2. 旅行業法 第3条(登録)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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