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業界研究 / 建設コンサルタント

未経験から建設コンサルタントに入るには|公務員経験の使い方

「土木の技術がなく、民間で働いたこともない。それでも建設コンサルタントに入れるのか」——財政課の方からこの質問を受けたとき、当社の答えは「技術職には入れない。ただし、技術職ではない枠なら、財政課の経験が経験者として扱われる」です。

「未経験」と一括りにされているものは、3つの別のものです。土木の技術と資格がない(技術未経験)、民間企業で働いた経験がない(民間未経験)、自治体側の財源と意思決定の仕組みを知らない(発注者側未経験)。建設コンサルタントの会社が事務・企画系の枠で重く見るのは3つ目で、財政課の方はここだけは経験者です。前の2つが未経験であることは、枠を選べば入り口を閉じません。

この記事では、「未経験」の3つの分解、財政課の経験が効く入り口の枠、資格の位置づけ、在職中にできる準備の順序、公務員が使えない支援制度と使える機会、服務の線を整理します。業界の構造と職種ごとの評価は建設コンサルタントは公務員のどの経験を評価するかに、選考の流れは選考フローと面接で見られている観点に、志望動機は建設コンサルタントの志望動機に書いています。

業界構造の要点——「技術職」と「それ以外」の線

建設コンサルタントは、国・自治体が発注する測量、地質調査その他の調査(点検・診断を含む)、設計を受注する事業者です(公共工事の品質確保の促進に関する法律第2条第2項)。国土交通省の公式ページによれば、登録制度は主に土木に関する21部門、登録は任意ですが、登録部門ごとに技術管理者(原則として技術士等)を置く必要があります。技術者として基本測量・公共測量に従事する者は登録された測量士か測量士補でなければならず(測量法第48条第1項)、測量業を営むには測量業者の登録が要ります(同法第55条)。

この構造で押さえるべきことは、「技術職は資格と技術が前提で、財政課の経験では代替できない」線が法律と制度の側で引かれていることです。未経験から入る道は、この線の外側——計画・マネジメント系、営業・プロポーザル対応、管理部門——にあります。

「未経験」を3つに分ける

未経験の種類財政課の方の実態建設コンサルタントでの重み
発注者側未経験(自治体の財源と意思決定を知らない)経験者。起債、補助金、債務負担行為、基金、中期財政計画を実務で回している計画・マネジメント系と営業では最も重い。技術者が持っていない知識
民間未経験(会社で働いたことがない)未経験。ただし、事業者との折衝、契約、検査で「相手側」は見ている中程度。入社後の慣れで補える。選考では「提案して選ばれる側」への転換の理解で見られる
技術未経験(土木の技術と資格がない)未経験技術職では決定的。計画・マネジメント系、営業、管理部門では前提ではない

財政課の方が「未経験」と感じているのは後ろの2つですが、事務・企画系の枠で最も重いのは1つ目で、そこは経験者です。この認識を直すことが、応募できる枠を見つける最初の一歩です。

入り口になる枠——財政課の経験が効く順

1. 計画・マネジメント系のコンサルタント。総合管理計画・個別施設計画の策定支援(総務省が2014年に指針を示した公共施設マネジメント)、事業評価、PPP/PFIの導入支援、財政シミュレーション。財政課の経験が最も直接に効く枠で、技術者と事務系が混在しています。求人票に「公共施設マネジメント」「PPP/PFI」「事業評価」「財政」の言葉があるかで見分けます。

2. 営業・プロポーザル対応。自治体への提案、プロポーザルの企画書、入札の対応。財政課の方は、調達の相手側(予算の確保、仕様の作り方、査定の視点)を内側から知っているので、提案の時期と財源の組み方を示せます。技術提案の中身は技術者が書くので、技術者と組んで提案を作る役割です。

3. 管理部門(経理・総務・契約)。会社の経理、契約、入札参加資格の管理。公会計・財務会計の実務と官公庁向けの書類の作法が効きますが、民間の経理(企業会計、税務)は別途の学習が要ります。

4. 技術職(設計・調査・点検)。未経験からの入り口としては現実的ではありません。技術士(技術士法第4条により第一次試験と第二次試験があり、第一次試験の合格者は技術士補となる資格を有する)や測量士・測量士補の資格と、設計・調査の技術が前提です。財政課の経験だけで技術職に入る道は、当社の見る範囲では一般的ではありません。

入り口は1か2、という順序が現実的です。「未経験だから」と技術職の勉強から始める必要はなく、むしろ逆です。

資格の位置づけ——取るべきか

未経験の方から「技術士補や測量士補を取ってから応募すべきか」と聞かれます。答えは、事務・企画系の枠では前提ではなく、取ることで技術職の枠が開くわけでもないです。

技術士は技術士法第2条第1項により、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価等の業務を行う者として登録を受けた者で、第二次試験の合格が前提です。第一次試験に合格して技術士補となる資格を得ても、それだけで設計・調査の技術職として採用される道は一般的ではありません。事務・企画系の枠で入り、技術者と協働するうえで技術の語彙を持つために第一次試験の範囲を学ぶ、という位置づけなら意味がありますが、資格の取得を応募の前提にしないでください。

一方で、財政課の経験を示す材料として効くのは、資格より「施設と財源」の軸で棚卸しした業務の具体です。起債の協議、補助事業の査定、債務負担行為の設定、基金の積立と取崩し、更新費用の推計、中期財政計画——それぞれで自分が何を判断し、何を作ったか。これが職務経歴書の中心です。

自分の業務の棚卸しが、どの会社のどの枠に当たるのかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

在職中にできる準備——順序

1. 業務の棚卸し(技術の学習より先)。前述のとおり。「施設と財源」の軸で、自分が判断し、作ったものを書き出す。

2. 自分の自治体の総合管理計画と個別施設計画を、受注者の視点で読み直す。財政見通しの部分を「受注者がどう作ったか」「財政課としてどこに口を出したか」の視点で読むと、業務のイメージがつかめます。

3. 技術の語彙を、必要な分だけ。施設の劣化度の評価、長寿命化と更新の違い、点検の周期、設計の段階(基本設計・詳細設計)——技術者と会話するための語彙です。技術士第一次試験の建設部門の範囲を目安に使えますが、資格の取得を目的にしないでください。

4. 庁内の研修と、業務での機会。地方公務員法第39条は、職員に研修を受ける機会が与えられなければならないと定めています。公共施設マネジメントやPPP/PFIの庁内研修、営繕・土木の部署との合同の検討会は、在職中の正当な学習機会です。また、財政課として起債の協議、補助事業の査定、総合管理計画の財政見通しに深く関わることは、そのまま経験になります。転職のためではなく、現在の業務としてこれらに関わることが、結果として最も強い準備です。

公務員が使えない支援制度と、代わりの機会

雇用保険の教育訓練給付金(雇用保険法第60条の2)は、対象が雇用保険の被保険者または被保険者でなくなってから一定期間内の人で、支給要件期間が3年以上あることが条件です。地方公務員は、離職時に条例等で受ける給与の内容が求職者給付等を超える場合、雇用保険法の適用除外なので(同法第6条第6号)、在職中の公務員はこの給付の対象になりません。民間に転職した後、被保険者としての期間が要件を満たせば対象になります。

代わりに使えるのは、前述の庁内研修(地方公務員法第39条)と、自治体職員向けに開かれている外部の研修です。「転職の準備」としてではなく「今の業務の能率を上げる研修」として探すと、庁内の手続きも通りやすく、内容も業務に直結します。

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服務の線——在職中の準備で触れてはいけないこと

1つ目は、自治体の内部資料を学習や応募の材料に使うこと。地方公務員法第34条の秘密を守る義務により、未公表の資料(予定価格、査定の内訳、個別の事業者の評価、起債協議の未公表の内容)を持ち出して、勉強や課題の材料にすることはできません。棚卸しは「自分の頭の中にある業務の流れ」で行い、資料を持ち出さないでください。

2つ目は、報酬を得る副業的な準備。地方公務員法第38条は、任命権者の許可なく、報酬を得て事業や事務に従事することを制限しています。建設コンサルタントから「入社前に業務委託で手伝ってほしい」と言われた場合、許可なく報酬を受ければこの条文に触れます。在職中の副業・兼業の許可に、許可の仕組みを整理しています。

3つ目は、在職中に応募先の調達に関わっている場合。委託料の査定、プロポーザルの審査、契約の担当に該当する場合は、選考の中で隠さず伝え、応募の時期と入社後の担当の切り分けを会社側と相談してください。退職後に元の職場へ働きかけることは地方公務員法第38条の2で規制されています。再就職者による働きかけの規制に整理しています。

まとめ

よくある質問

技術士補の資格を取れば、技術職に応募できますか

技術士補となる資格は技術士法第4条第2項により第一次試験の合格で得られますが、設計・調査の技術職の採用では、技術士(第二次試験の合格と登録)や実務での設計・調査の経験が前提になることが一般的で、技術士補の資格だけで技術職に入る道は一般的ではありません。財政課の方が建設コンサルタントに入るなら、技術職ではなく計画・マネジメント系や営業の枠を探し、技術の学習は技術者と協働するための語彙として位置づけるほうが現実的です。

財政課で施設や起債を担当したことがありません。それでも入り口はありますか

一般会計の査定で施設の維持補修費、更新費用、委託料を見ていれば、「財源の側から施設の計画を見た」経験はあります。担当課の要求を単年度で組めない額と判断して分割した、委託料の積算根拠を求めて見直した、といった場面を棚卸ししてください。起債や総合管理計画に直接関わっていないことは正直に示し、自分の自治体の計画を読んで理解した内容を添えるほうが、面接で崩れません。枠は計画・マネジメント系より営業・プロポーザル対応のほうが近い場合もあります。

在職中に建設コンサルタントの勉強会や講習会に参加してよいですか

報酬を伴わず、勤務時間外で、内部の資料を持ち出さなければ、参加そのものは服務の線に触れません。報酬を得て登壇する、業務委託として手伝うといった形になると、地方公務員法第38条の許可の問題が生じます。また、主催する会社が自分の自治体の調達に関わっている場合は、在職中の関係の持ち方を慎重に扱う必要があるので、参加前に所属の服務担当に確認するのが安全です。在職中の副業・兼業の許可に、許可の要否の考え方を整理しています。

出典

  1. 公共工事の品質確保の促進に関する法律 第2条(定義)/第3条(基本理念)|e-Gov法令検索
  2. 技術士法 第2条(定義)/第4条(技術士試験の種類)|e-Gov法令検索
  3. 測量法 第48条(測量士及び測量士補)/第55条(測量業者の登録及び登録の有効期間)|e-Gov法令検索
  4. 地方財政法 第5条(地方債の制限)|e-Gov法令検索
  5. 地方公務員法 第34条(秘密を守る義務)/第38条(営利企業への従事等の制限)/第38条の2(再就職者による依頼等の規制)/第39条(研修)|e-Gov法令検索
  6. 雇用保険法 第6条(適用除外)/第60条の2(教育訓練給付金)|e-Gov法令検索
  7. 建設コンサルタント登録制度とは|国土交通省
  8. 公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進|総務省

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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