自治体別 / 特別区
葛飾区職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
葛飾区の平均給与月額404,675円は、23区で最も低い数字です。
理由ははっきりしています。平均年齢38.6歳が23区で4番目に若く、諸手当115,775円も薄いほう。23区は地域手当がすべて20%なので、総額の差を作るのはこの2つだけです。
そして総額の低さは、給与水準の低さとは違います。まず構造を確認してください。
葛飾区の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、葛飾区の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 葛飾区 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 97.3 |
| 平均年齢 | 38.6歳 |
| 平均給料月額 | 288,900円 |
| 諸手当月額 | 115,775円 |
| 平均給与月額 | 404,675円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 364,656円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 20% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 20% |
総額が低い区を並べる
| 区 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 葛飾区 | 38.6歳 | 288,900円 | 115,775円 | 404,675円 |
| 渋谷区 | 39.5歳 | 293,200円 | 111,927円 | 405,127円 |
| 板橋区 | 39.4歳 | 296,200円 | 115,215円 | 411,415円 |
| 江東区 | 39.8歳 | 301,900円 | 111,909円 | 413,809円 |
総額が低い4区は、いずれも平均年齢が38.6〜39.8歳と若いほうです。
葛飾区の平均給料月額288,900円は、中央区287,700円に次いで23区で2番目に低い。しかし中央区の平均年齢は37.8歳、葛飾区は38.6歳。どちらも若い組織です。
若い職員の比率が高いほど、平均給料月額は低く出ます。これは給料表が勤続年数とともに上がる仕組みによるもので、給与水準の低さではありません。
補正済みのラスパイレス指数は97.3。23区では下から5番目ですが、中央区100.6との差は3.3ポイントで、年齢差0.8歳を考えると極端な開きではありません。
23区の地域手当と諸手当の分布は千代田区職員の転職に、東京都の数字は東京都職員の転職に整理しています。
特別区は「市が担う仕事」を担っている
地方自治法第281条は、都の区は、これを特別区というと定め、第2項で、特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務を処理すると規定しています。
つまり特別区は、原則として市と同じ仕事を担っています。福祉も保健も都市計画も区の仕事です。そして第282条により、財源は都と区の間で調整されます。
「区役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。区の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは千代田区職員の転職で整理しています。
区役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 区役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 公園の整備・管理・活用 | 施設運営、アセットマネジメント、集客企画 |
| 小規模製造業の支援・販路開拓 | 事業開発、パートナー営業、調達 |
| 観光・地域資源の活用 | 観光事業企画、地域ブランディング |
| 都市計画、再開発、地区計画 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 生活保護・福祉の現業と査察 | ケースマネジメント、公共系事業企画 |
| 保健・衛生の監視指導 | 品質保証、規制対応 |
| 区有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
| 都・他区との調整 | 渉外、アライアンス |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「無料で使われる場所」で、収支を考えた経験
葛飾区役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
都市公園法第1条は、この法律が都市公園の設置及び管理に関する基準等を定めて、都市公園の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とすると定めています。
公園は、基本的に無料で使われる場所です。
それでも設置には費用がかかり、管理は続きます。草を刈り、遊具を点検し、トイレを清掃し、樹木を手入れする。使う人が増えるほど費用も増えますが、収入は増えません。
この条件での実務は、次のような形になります。
- 限られた予算で、どの公園にどれだけ手をかけるか
- 老朽化した遊具を、直すのか撤去するのか
- 利用のルールを、どこまで厳しくするか
- 売店やイベントなど、収入を生む使い方をどこまで認めるか
- 管理を民間に委ねる場合、質をどう担保するか
「収入を直接生まない資産を、費用をかけて維持し、価値を出す」という仕事です。
企業でも、同じ性質の資産があります。
来客用のスペース、社員向けの施設、ブランドを支える店舗、研究開発の設備。どれも単体では収益を生まず、それでも維持しなければならない。そして予算を削られやすく、削ると効果が下がる。
さらに近年は、「収入を生む使い方」をどこまで認めるかが論点になっています。公園に売店やカフェを置く仕組みが広がり、行政の側にも収支の設計が求められるようになりました。
この両方を扱ってきた経験は、外から採用しにくいものです。
求人票では、施設運営、アセットマネジメント、集客企画、事業開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、施設名を並べないことです。管理した施設の数と面積、年間の維持費、優先順位をどう決めたか、そして収入を生む仕組みをどこまで入れたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
葛飾で、どの経験が値になるか
1. 収入を生まない資産を維持し、価値を出した経験
公園、広場、施設。費用の優先順位を決め、質を保った経験は、企業の施設運営でそのまま必要とされます。
2. 小規模な製造業を支えてきた経験
技術を持つ小さな事業者が集積する区です。数が多く、一社ごとが小さい相手を動かした経験は、調達やパートナー営業の職務に直接つながります。
3. 地域資源を観光に結びつけた経験
物語や風景を、来てもらう理由に変える。手元にあるものの価値を組み替えた経験は、地域ブランディングの職務に読めます。
4. 水害を前提にした土地利用と施設配置
河川に囲まれた低地を抱える区です。浸水を前提に設計した経験は、物流施設やデータセンターを扱う企業が求めています。
5. 都や他区との調整
特別区は、都と区、そして区どうしの調整が日常にあります。自分の区だけでは決められない前提で進めた経験は、複数拠点をまたぐ事業に読める経験です。
都内で探すときに、確かめておくこと
葛飾区で働いている方は、すでに都内の求人が通勤圏にあります。地理的な制約はほとんどありません。
そのぶん、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすくなります。順序を決めてください。
- 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
- 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
- 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)
この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、区役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
維持費と優先順位を書く
施設を扱ったなら、対象の数と面積、年間の維持費、そして優先順位をどう決めたか。この3つで、事業運営の経験として読まれます。
規模を必ず書く
区の人口、事業者の数、年間の処理件数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。区役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、建築士、造園施工管理技士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
点検と更新の判断は、これから増える職務になる
遊具、橋、施設。直すのか、撤去するのか、作り直すのか。この判断をした経験は、インフラ運営を受託する企業が探しています。対象の数と、判断の基準で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設の管理に関わったなら、対象の数、年間の維持費、優先順位の決め方で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
区内の企業の多くは、区役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 葛飾区の一般行政職はラスパイレス指数97.3、平均給与月額404,675円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 総額は23区で最も低いですが、平均年齢38.6歳が4番目に若いことが押し下げています
- 総額が低い4区は、いずれも平均年齢が若いほうです。年齢構成の効果がそのまま出ています
- 団体の総額は、いまいる職員の年齢構成と働き方を映した数字で、個々人の水準ではありません
- 収入を直接生まない資産を維持し、価値を出した経験は、企業の施設運営で必要とされます(都市公園法1条)
- 「維持した」ではなく、対象の数と年間の維持費、優先順位の決め方を書いてください
よくある質問
総額が23区で最も低いのですが、転職すれば上がりますか
その額は年齢構成の効果です。葛飾区の平均年齢38.6歳は23区で4番目に若く、給料表は勤続年数とともに上がるため平均が低く出ます。総額が低い4区は、いずれも年齢が若いほうです。団体の総額は個々人の水準ではないので、源泉徴収票の支払金額を使ってください。そのうえで、23区の地域手当20%は全国で最も高い水準です。
公園や施設の管理は、維持するだけの仕事ではありませんか
企業側から見ると、最も担い手のいない領域です。来客用のスペース、社員向けの施設、ブランドを支える店舗。単体では収益を生まず、それでも維持しなければならない。「いくらまでなら削ってよいか」を判断できる人が社内にいません。限られた予算で優先順位を付け、質を保ってきた経験は、そのまま通用します。
区外・都外の求人を見るとき、何に気をつければよいですか
地域手当20%が付かない前提で提示額を読んでください。23区の地域手当20%は全国で最も高い水準です。区外の企業では、この上乗せに相当する部分がない場合があります。複数年の源泉徴収票で実額とぶれ幅を把握し、そのうえで求人票の想定年収と比べてください。