自治体別 / 特別区
渋谷区職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
渋谷区の平均給与月額405,127円は、23区で下から2番目です。ラスパイレス指数は99.0で中位。
23区は地域手当がすべて20%で同じなので、この位置は「平均年齢」と「地域手当以外の手当」で説明がつきます。
そして総額の低さは、自分の水準の低さを意味しません。まず構造を確認してください。
渋谷区の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、渋谷区の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 渋谷区 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.0 |
| 平均年齢 | 39.5歳 |
| 平均給料月額 | 293,200円 |
| 諸手当月額 | 111,927円 |
| 平均給与月額 | 405,127円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 369,627円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 20% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 20% |
指数が同じ区と並べる
| 区 | ラスパイレス指数 | 平均年齢 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 目黒区 | 99.0 | 39.8歳 | 298,300円 | 147,318円 | 445,618円 |
| 中野区 | 99.0 | 40.1歳 | 296,800円 | 138,978円 | 435,778円 |
| 品川区 | 99.0 | 38.3歳 | 293,300円 | 140,037円 | 433,337円 |
| 渋谷区 | 99.0 | 39.5歳 | 293,200円 | 111,927円 | 405,127円 |
この4区は、ラスパイレス指数がすべて99.0で完全に一致しています。
平均年齢も38.3〜40.1歳の範囲に収まり、給料月額も293,200〜298,300円とほぼ同じ。それでも総額は、目黒区445,618円から渋谷区405,127円まで40,491円開きます。
指数が同じで、年齢も給料月額も近い。それでも総額がこれだけ違う。差はすべて、地域手当以外の手当の積み上がりから来ています。時間外、管理職、扶養、住居。
とくに渋谷区と品川区は、給料月額が100円しか違わないのに、諸手当で28,110円開きます。
23区の地域手当と諸手当の分布は千代田区職員の転職に、東京都の数字は東京都職員の転職に整理しています。
特別区は「市が担う仕事」を担っている
地方自治法第281条は、都の区は、これを特別区というと定め、第2項で、特別区は、法律又はこれに基づく政令により都が処理することとされているものを除き、地域における事務を処理すると規定しています。
つまり特別区は、原則として市と同じ仕事を担っています。福祉も保健も都市計画も区の仕事です。そして第282条により、財源は都と区の間で調整されます。
「区役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。区の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは千代田区職員の転職で整理しています。
区役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 区役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 駅とまちの一体整備・動線設計 | 用地開発、都市開発、施設企画 |
| バリアフリー・ユニバーサルデザイン | UX設計、ダイバーシティ推進、施設企画 |
| 都市計画、再開発、地区計画 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| IT・スタートアップの支援 | 事業開発、インキュベーション |
| 生活保護・福祉の現業と査察 | ケースマネジメント、公共系事業企画 |
| 保健・衛生の監視指導 | 品質保証、規制対応 |
| 区有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
| 都・他区との調整 | 渉外、アライアンス |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「使いにくさ」を設計で解いた経験
渋谷区役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律第1条は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性に鑑み、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造や設備の改善などについて定めるものだとしています。
注目してほしいのは、対象が並列で書かれていることです。
駅、車両、道路、駐車場、公園、建築物。それぞれ所有者も管理者も違います。鉄道会社、道路管理者、民間の建物所有者、そして区。
つまりこの法律が求めているのは、「持ち主が違うものを、つないで使えるようにする」ことです。
駅を直しても、そこから外に出る道が段差だらけなら意味がない。建物を直しても、そこまで行けなければ使えない。個別に基準を満たしても、経路として成立しなければ目的を果たしません。
実務としては、次のような作業になります。
- どの経路を対象にするかを決める
- 経路上の管理者をすべて洗い出す
- それぞれに、どこまで改善を求めるかを調整する
- 費用の負担を、誰がどう分けるかを決める
- 実際に通れるかを、当事者と一緒に確かめる
これは、民間のUX設計とまったく同じ構造です。
利用者から見れば、ひとつの体験です。しかし社内では、店舗、Webサイト、アプリ、コールセンター、配送が別々の部署にあります。部分ごとには最適化されていて、つなぐと使えない。この状態を、部署をまたいで直す役割が、いま多くの企業で空いています。
求人票では、UX設計、施設企画、ダイバーシティ推進、都市開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、基準の話に寄せないことです。対象にした経路の長さや数、関わった管理者の数、費用負担をどう分けたか、そして当事者と確かめて何が分かったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
渋谷で、どの経験が値になるか
1. 持ち主が違うものを、つないで使えるようにした経験
経路、動線、手続き。部分ごとには成立しているのに、つなぐと使えないという状態を直した経験は、UX設計や施設企画で必要とされます。
2. 当事者と一緒に検証した経験
図面では分からないことを、実際に通って確かめる。使う人と一緒に検証する手順を持っている人は、企業に多くありません。
3. 大規模再開発と交通結節点の整備
権利者が多く、期間が長く、利害が食い違う案件。合意をどう作ったかを書ければ、民間の開発事業でそのまま通じます。
4. IT企業やスタートアップを相手にしてきた経験
規制との調整、実証、場の提供。制度を知らない相手に、制度を届けた経験は、事業開発やインキュベーションの職務に接続します。
5. 都や他区との調整
特別区は、都と区、そして区どうしの調整が日常にあります。自分の区だけでは決められない前提で進めた経験は、複数拠点をまたぐ事業に読める経験です。
都内で探すときに、確かめておくこと
渋谷区で働いている方は、すでに都内の求人が通勤圏にあります。地理的な制約はほとんどありません。
そのぶん、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすくなります。順序を決めてください。
- 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
- 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
- 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)
この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、区役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
関わった管理者の数を書く
つなぐ仕事では、相手の数がそのまま難度を示します。何者と、どういう順序で話をつけたかを書いてください。
規模を必ず書く
区の人口、対象の件数、年間の処理件数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。区役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
高低差のある市街地の動線設計は、希少な経験になる
坂、段差、地下、デッキ。立体的につなぐ設計を扱える人は限られます。鉄道事業者と不動産開発の両方から求められる経験です。対象の規模と、関わった管理者の数で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
区内の企業の多くは、区役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 渋谷区の一般行政職はラスパイレス指数99.0、平均給与月額405,127円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 目黒・中野・品川・渋谷は、指数がすべて99.0で完全に一致します。年齢も給料月額も近い
- それでも総額は40,491円開きます。差はすべて、地域手当以外の手当の積み上がりです
- 渋谷区と品川区は給料月額が100円差なのに、諸手当で28,110円開きます
- 持ち主が違うものをつないで使えるようにした経験は、UX設計と同じ構造です(バリアフリー法1条)。UX設計、施設企画という求人名で出ています
- 基準の話ではなく、関わった管理者の数と費用負担の分け方を書いてください
よくある質問
総額が23区で下から2番目ですが、水準が低いのですか
その差は職員全体の働き方を映した数字です。目黒・中野・品川・渋谷は指数がすべて99.0で同じ、年齢も給料月額も近いのに、総額は40,491円開きます。差はすべて地域手当以外の手当の積み上がりで、個々人の水準ではありません。むしろ渋谷区は諸手当の比率が低く、条件で動く部分が小さいので、去年の源泉徴収票が物差しとして使いやすくなります。
バリアフリーの仕事は、事業の職種に移れますか
中身を見るとUX設計そのものです。利用者から見ればひとつの体験なのに、提供する側は部署ごとに分かれている。部分ごとには基準を満たしているのに、つなぐと使えない。企業でも店舗とWebとアプリがばらばらに最適化され、通して使うと破綻しています。これを部署をまたいで直す役割が空いています。
区外・都外の求人を見るとき、何に気をつければよいですか
地域手当20%が付かない前提で提示額を読んでください。23区の地域手当20%は全国で最も高い水準です。区外の企業では、この上乗せに相当する部分がない場合があります。複数年の源泉徴収票で実額とぶれ幅を把握し、そのうえで求人票の想定年収と比べてください。住居費まで含めた手元に残る額で考えると、見え方が変わることがあります。