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制度とお金 / 服務と法令上の制限

利害関係者との付き合いの線引き

利害関係者との付き合いは、相手が民間企業か、以前からの知人かという呼び名だけでは線を引けません。本人が担当する事務と相手の関係を整理し、そのうえで食事、贈答、旅行、講演など予定する行為を確認します。仕事上の必要な接触と、個人として利益や便宜を受けることも区別します。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の国家公務員倫理規程と福岡市の規準を具体例に、接触前の確認手順を説明します。自分に適用される規定や個別行為の判断は、所属の倫理・服務担当へ確認してください。

最初に相手ではなく自分の担当事務を書く

国の倫理規程第2条は、職員が職務として携わる事務の区分に応じて利害関係者を定めています。許認可、補助金、立入検査等、契約など、それぞれの事務と相手方の状況を対応させて読みます。

契約事務であれば、現在の契約相手だけでなく、契約の申込みをしている事業者等や、申し込もうとしていることが明らかな事業者等も条文に含まれます。「契約書にまだ署名していない」という理由で対象外と判断できません。

一方、相手が行政と関係する企業であるという一点から、全職員にとって同じ利害関係者だと決めるのでもありません。本人の担当事務、権限、相手の申請や契約等の状況を具体的にします。訓令等による除外も、自己判断ではなく所属の規定で確かめます。

接触前に整理すること確認する事実
本人の仕事審査、契約、検査、補助金確認等の担当範囲
相手の立場受注者、申請者、申込予定者、代理人等
現在の手続き審査中、契約中、終了後などの状況
以前の関係異動前に担当していた業務と異動日
接触の内容会議、食事、贈答、報酬付きの依頼等

相談では「業者の知人と会ってよいか」だけでなく、こうした事実を示すと、どの規定を確認するべきかが明確になります。本人が把握していない相手の状況は、推測せず未確認と伝えます。

異動した直後は前の担当との関係も確認する

国の規程第2条第2項には、異動前の官職に係る利害関係者だった者が、異動後もその官職に係る他の職員の利害関係者である場合の定めがあります。原則として異動日から3年間、その異動した職員の利害関係者とみなす仕組みです。

ただし、その期間内に相手が当該官職に係る他の職員の利害関係者でなくなった場合には、その日までとされています。すべての過去の取引先が理由を問わず3年間対象になる、あるいは部署が変わった当日からすべて自由になる、という説明は正確ではありません。

同条第3項には、他の職員への官職に基づく影響力を使わせて利益を図るために接触していることが明らかな場合の規定もあります。自分が直接契約担当ではないという一点で確認を終えないようにします。

仮に、別部署へ異動した後、以前の契約相手から「前の部署へ一言伝えてほしい」と依頼された場合を考えます。単なる近況連絡と扱わず、依頼内容、現在の契約関係、本人に求められる働きかけを担当へ相談します。実際の内部判断や連絡先を私的に提供して応じることは避けます。

私的な友人なら例外になるかを別に判断する

国の規程第4条は、職員の身分に関わらない私的関係がある利害関係者について、一定の場合の例外を定めています。職務上の関係、交友の経緯と現在の状況、予定する行為の態様などを踏まえ、公正な職務執行への疑惑や不信を招くおそれがないと認められることが条件です。

同級生や親族、趣味の仲間という説明だけで、すべての贈答や飲食が自由になるわけではありません。知り合った時期、職務上の接点が生じた時期、これまでの付き合い、相手の費用負担などを整理します。

条文は、判断できない場合には倫理監督官に相談し、その指示に従うことも定めています。例外が使えると自分だけで決め、相談せずに参加する手順にしないことが大切です。

私的関係の説明に必要な情報と、家族や友人の不要な個人情報は分けます。相談担当から求められた範囲を指定経路で伝え、参加者全員へ私生活の詳細を広める必要はありません。

仕事の呼び方を比較したい場合は、公務員経験に対応する求人情報を参照できます。職務上の関係先への私的な依頼や情報提供と、一般の求人を調べることは分けて考えます。

会うことと利益を受けることを分ける

業務の打合せを予定するときは、目的、参加者、場所、費用を整理します。業務上必要な会議であることから、相手が用意するすべてのサービスを受けてよいと判断しません。

国の規程第3条は贈与、無償の役務提供、供応接待、遊技・ゴルフ、旅行等の禁止を定めています。自己負担ならあらゆる行為が許されるわけではありません。飲食とゴルフ、業務上の移動と私的旅行では条文の扱いが違います。

同条には、職務上の会議での茶菓や簡素な飲食物等の例外もあります。ただし、会議という名前を付けるだけで例外になるわけではありません。具体的な提供内容と会合の実態を担当に説明します。

国の規程第8条では、利害関係者の負担によらない飲食でも、自己の飲食費が1万円を超えるときは、条文上の例外を除き事前の届出が必要です。やむを得ず事前にできなかった場合の扱いもありますが、予定の段階で確認できるものを後回しにする理由にはしません。

会費を払う場合は、会費額だけでなく、飲食費等に対して相手の負担がないかを確認します。交通、宿泊、記念品などが別に含まれるなら、その部分も伝えます。「会費制」という表示だけで一連の提供を判断しません。

地方では本人の自治体の規定へ戻る

福岡市の倫理行動規準第5条は、職務に関連性を有する事業を行う事業者等をすべての職員について掲げるなど、利害関係者の範囲を定めています。国の分類だけで確認を終えることはできません。

また同市の規準第7条第1項第8号では、自己負担の飲食について、倫理監督者への事前の届出等を条件とする例外を定めています。国の1万円超という条件を同市の条件として使うことはしません。

同市の規準第10条には、利害関係者か、禁止行為に当たるか、私的関係の例外を使えるか等に疑義がある場合の相談を定めています。自分の自治体でも、対象者、行為、例外、相談先を一組として読みます。

相談してから返答するための確認票

誘いを受けた時点では、「所属の規定を確認してから返答します」と伝える方法があります。参加や受領を確約する前に、確認に必要な資料を依頼します。

相談票の項目例は、本人の所属・担当事務、相手の名称と業務上の関係、案内を受けた日、予定日と場所、参加者、行為の内容、費用と負担者、私的関係の有無です。これは全国共通の法定様式ではなく、相談前の整理用です。所属の様式があればそれを使います。

担当の回答を受けたら、承認や届出が別に必要か、誰へいつまでに提出するかを確認します。会場や費用負担、参加者、謝礼の有無が変われば、回答の前提も変わるため再相談します。

返答後も、当日の案内と実際の提供が一致しているかを確認します。予定外の贈り物や二次会、無料の送迎等を提示された場合は、当初の確認に含まれていると決めつけません。その場で判断できない内容は受諾を保留し、所属の担当へ確認する形を取ります。

すでに参加や受領をした後に疑問が出た場合は、実際の経過を速やかに説明します。記録を隠す、受領者を別人へ変更したことにする、参加していないことにする対応は勧められません。返却や訂正の要否を担当に確認します。

受領後の報告は贈与等の報告の仕組みを参照してください。報告の対象金額を、受領してよい金額と読み替えないことが重要です。

働き方を比較したい場合は無料相談の案内を利用できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。倫理上の可否は所属の担当へ照会してください。

よくある質問

異動すれば以前の取引先との関係はなくなりますか

国には一定の前提で異動後も利害関係者とみなす規定があります。異動日、以前の担当事務、相手と後任の関係を確認します。地方では本人の自治体の規定へ照会してください。

昔からの友人なら相談しなくてもよいですか

私的関係の例外には条件があります。国の規程は判断できないときの相談を定めています。交友の経緯に加え、現在の職務関係と予定する行為を示して確認します。

相手が利害関係者でなければ接待を受けられますか

無条件ではありません。国の規程第5条は、利害関係者でない事業者等からの過度な接待等も制限しています。費用を別の事業者に付け回すこと等も含め、適用規定を確認します。

相談方法の案内にはLINEも利用できます。職務上の相手方の個人情報や未公開資料を送らず、進路の情報収集として必要な範囲で利用してください。

出典

  1. 国家公務員倫理規程 第2条〜第5条・第8条〜第10条
  2. 福岡市職員倫理行動規準 第5条〜第10条
  3. 人事院 経済団体、民間企業等の皆様へ

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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