制度とお金 / 服務と法令上の制限
兼業規制の緩和の動き
公務員の兼業をめぐっては、国の自営兼業の対象を広げる見直しや、地方の許可基準を具体化する動きがあります。ただし、「副業解禁」という見出しだけで、自分の活動を始められるとは判断できません。誰の制度が、いつから、どの活動について変わったかを分けて確認します。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の2026年4月施行の見直しと、総務省の地方向け通知、千葉県の具体例を整理します。個別の承認・許可の要否は、本人の任用区分と所属の現行基準で確認してください。
国の制度改正と地方の基準整備は別の動き
国では国家公務員法第103条が営利企業の役員等との兼業や自営を制限し、承認を定めています。同法第104条は、それ以外の報酬を得る事業・事務への関与の許可を定めています。2026年の見直しは、この区分全体をなくすものではありません。
地方では地方公務員法第38条による任命権者の許可が基本となります。地方の許可基準を見直す動きと、国の第103条に関する承認基準の変更は同一ではありません。国の施行日が来たから自治体の規則もすべて同じ内容へ変わった、とは扱いません。
| 時点 | 公表・施行された内容 | 読むときの区別 |
|---|---|---|
| 2025年6月11日 | 総務省が地方の兼業許可等の留意事項を通知 | 地方への技術的助言であり、全国一律の個人許可ではない |
| 2025年12月19日 | 人事院が自営兼業の見直しを公表 | 公表日と施行日を分ける |
| 2026年3月 | 人事院が関連Q&Aを更新 | 旧版より更新後の説明を確認する |
| 2026年4月1日 | 国の新しい自営兼業制度を施行 | 本人の事業と承認基準への適合を確認する |
| 2026年4月1日以後に開始する兼業 | 千葉県が見直した許可基準を運用 | 同県の対象と条件であり全国共通ではない |
ニュース、審議会の提案、通知、改正された規則、運用開始の案内は、それぞれ意味が違います。自分の予定日に有効な規定を探すことが先です。
国では新しい自営の承認枠ができた
人事院は、知識・技能をいかした事業と、社会貢献に資する事業について、2026年4月1日から承認可能とする見直しを施行しています。従来の不動産等賃貸や家業継承等とは別の枠です。
更新後Q&Aは、本人が制作した物品等の販売、スポーツ・芸術の教室での指導等を知識・技能型の例として説明しています。地域振興の催しや生活支援サービス等は、社会貢献型の例に挙げられています。
一方、本人が「特技を使う」「地域のため」と考えるだけで承認されるものではありません。利害関係又はその発生のおそれ、職務遂行への支障、公務の公正性・信頼性等を踏まえ、承認権者が判断します。
Q&Aは、定型化されたサービスをアプリ等へ登録して個人で提供する形態や、付加価値を付けずに仕入れ品を転売する事業について、今回の知識・技能型の見直しで想定する事業ではないと説明しています。例にない事業を自動的に禁止と断定するのでもなく、どの区分で確認するかを担当へ相談します。
自営の承認と団体からの継続受託は同じではない
新しい枠があることから、どの会社の仕事でも自由に受けられるとはなりません。人事院Q&Aは、自営と第104条の兼業を区別しています。
自分の名義で広く販売等を行う事業と、団体から報酬を受け、継続的・定期的にその事業や事務へ従事する場合では、確認する制度が異なります。自営の承認を得ていても、第104条の許可が必要になる場合があります。
雇用契約がない、業務委託と呼んでいる、個人名義で請ける、といった形式だけでは判断できません。契約先、業務内容、期間、回数、報酬を所属へ伝えます。具体的な依頼の整理は講演・執筆の報酬は許可が要るかも参考になります。
仕事内容の比較には公務員経験に対応する求人情報を参照できます。外部活動を増やす前に、求人票の業務名を調べるだけでも構いません。
総務省の通知は地方の許可基準を具体化するもの
2025年6月11日の総務省通知は、地方公務員の兼業について、地域の実情に応じた具体的な許可基準の設定や公表等を求めています。任命権者による許可制を前提とした技術的助言です。
通知は、地方では基本的な原則を満たす場合に、任命権者の判断で営利企業の従業員との兼業を認めることが可能と説明しています。国の原則的な取扱いを、地方へそのまま当てはめることを避ける内容です。
確認する基本的な観点として、職務遂行上の能率、公正性と利害関係、品位が挙げられています。報酬や時間、許可後の実態確認も、活動の内容に応じて扱います。
この通知が出たこと自体で、各職員の予定する兼業が許可されたわけではありません。本人の自治体で、対象活動、許可条件、申請経路、実績報告がどのように具体化されたかを確認します。
千葉県の例では活動区分と時間基準を見直している
千葉県は2026年4月1日以後に開始する兼業について基準を見直しています。公式案内は、社会課題の解決に資する営利企業等の従業員との兼業、知識・技能をいかした個人事業、公益に資する個人事業等を示しています。
営利企業等の従業員の類型には、広く不特定多数の利益の増進や人材不足等に関する条件が示されています。どの企業でも、希望すれば勤務できるという案内ではありません。
同県は時間基準の見直しや、一部の兼業について実績報告と本務の時間外勤務を含めた時間管理も案内しています。新しい対象活動だけでなく、開始後の条件まで確認する必要があります。
これは千葉県の具体例です。別の自治体が同じ時期に同じ内容で見直したと推測したり、同県の勤務時間の枠を全国共通の権利として扱ったりしないようにします。
緩和後も残る確認事項
国の新しい自営枠では、事業計画書等、活動する日と時間、承認期間、変更時の対応等が重要です。承認の対象となった計画と実際の活動を照合します。
守秘や職務専念、倫理上の制限も、兼業の対象が広がったことによって消えるわけではありません。公務で知った情報を事業へ使う、勤務中に私的な顧客対応をする、職名を営業上の保証のように利用する、といった点は別に確認します。
非常勤等への適用も、本人の区分と法令で異なります。適用除外がある場合でも、守秘や勤務、情報管理等の確認まで不要とは扱いません。
過去に相談したときと制度が変わっている場合は、現在の計画と規定で再確認します。以前は難しいと言われたことだけで現在の結論を決めず、以前は認められたことから将来の活動もすべて認められるとも判断しません。
本人の利用を考えるための確認手順
まず、自分の職員区分と、やりたい活動を一文で書きます。次に、現行の規則・通知・手引の施行日を確かめ、国の制度か、本人の自治体の制度かを区別します。
そのうえで、相手方、内容、継続性、報酬、作業時間、本務との関係を担当へ相談します。検討段階なら未確定と伝え、営業や受託を始める前の手続きを確認します。申請の詳細は兼業許可の申請手続きで整理しています。
勤務先の公表資料に新基準が見当たらない場合は、公開されていない内部の取扱いがあるか、担当へ照会します。検索で見つからないことだけで、禁止・自由のどちらかへ決めないようにします。
比較用のメモには、確認日、資料名、施行日、本人の対象区分、予定活動、未確認事項を残します。これにより、今後見直しがあったときも、どの前提を更新すればよいかが分かります。将来の検討案をメモへ加える場合は、未施行と明記して現行条件と混ぜません。
利用しない選択も制度の前提にある
総務省通知は、兼業を職員の自発的な活動とし、本人の意に反した動員的な運用とならないよう留意を求めています。兼業の機会があることから、職員全員が外部活動を行うべきだとは読みません。
仕事、休息、療養、育児・介護など本人の生活条件を先に確認します。制度上の時間枠に収まるかだけでなく、実際に続けられるかを考えます。希望しない場合まで、成長意欲がないという評価へ結び付ける説明は避けます。
働き方の比較は無料相談の案内から相談できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。制度の承認・許可判断は所属へ確認します。
よくある質問
2026年から公務員の副業は全面解禁ですか
全面的な自由化ではありません。国は新しい自営の承認枠を施行していますが、対象と条件があります。地方は本人の自治体の許可基準を確認します。
総務省の通知があれば営利企業で働けますか
通知だけで個人の許可が出るわけではありません。地方では基本的な原則と任命権者の判断を前提に、本人の活動について手続きを確認します。
兼業をしないと転職の準備になりませんか
必須ではありません。現職の経験を整理し、求人票や採用条件を比較することから準備できます。兼業を利用しない選択も尊重されます。
相談方法の確認にはLINEの案内も利用できます。まずは情報収集だけでも構いません。