制度とお金 / 服務と法令上の制限
ネット上の収入(アフィリエイト等)と兼業規制
ネット上の収入は、入金額だけで兼業の扱いが決まるものではありません。広告収益、制作物の販売、継続的な受託、不要品の売却では、本人がしている活動と契約が異なります。収入の名前より先に、何を誰に提供し、どのように続けるかを整理します。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の自営兼業制度は2026年4月から見直されていますが、ネット収入が全面的に自由になった制度ではありません。国・地方、任用区分、所属内規を確認し、活動を始める前に人事・服務担当へ相談してください。
収入の種類と本人の行為を組にして考える
内閣人事局・人事院の兼業Q&Aは、アフィリエイト収入を得ることだけで基本的に兼業に当たるわけではない一方、営利目的、投稿の継続性・反復性、規模等によって承認・許可が必要になる可能性を示しています。
同じ資料では、本人がたまたま所有している不要品の出品と、多数の物品を購入して定期的に出品する活動を区別しています。単発の制作物の売却等と、依頼を受けて定期的に制作し、報酬を継続して受け取る活動も分けています。
したがって、広告が表示された、入金があったという一つの事実だけで結論を出しません。反対に、趣味の発信と呼んでいるから規模や契約を確認しなくてよい、とも考えないことが必要です。
| 活動の例 | 整理する事実 |
|---|---|
| ブログ・動画の広告収益 | 発信内容、投稿頻度、収益化の方法、広告主との関係 |
| デジタル制作物の販売 | 単発か継続か、販売先、制作・更新・顧客対応 |
| ネット物販 | 不要品の処分か、仕入れ・在庫・反復販売を行うか |
| 記事や動画の受託 | 契約先、報酬、期間、定期的な作業や納品 |
| 過去の制作物の使用料 | 現在の制作・更新等の労務があるか、契約の内容 |
これらは承認可否の一覧ではなく、所属へ相談するための整理項目です。実際の活動が複数にまたがる場合は、一つの名称にまとめず、それぞれ伝えます。
国の103条と104条を分ける
国家公務員法第103条は、営利企業の役員等との兼業や、自ら営利企業を営むことを制限し、承認の制度を定めています。同法第104条は、報酬を得て職務以外の事業や事務に従事する場合等の許可を定めています。
人事院の2026年3月更新Q&Aは、個人名義で広く消費者等を相手に売買等の事業を営む自営と、兼業先から労務や仕事の完成等の対価を得て継続的・定期的に従事する兼業を区分しています。雇用契約という名前がない業務委託でも、104条の確認が必要になる場合があります。
例えば、自分の制作物を販売する事業と、特定の団体から継続的に記事作成を受託する仕事は、契約の相手と本人の関与が異なります。自営の承認を受けたことだけで、後から追加した受託業務もすべて扱えると考えないようにします。
国の規制には任用区分による適用の違いもあります。地方では地方公務員法第38条と所属の規則等を確認します。国の103条・104条の区分や承認基準を、そのまま全国の地方職員へ当てはめるものではありません。
2026年の見直しは承認できる事業の範囲を広げた制度
人事院は2026年4月施行の見直しで、職員の知識・技能を生かした事業や、社会貢献に資する事業について、一定の基準を満たす場合に自営兼業を承認できる仕組みを設けています。旧来の不動産賃貸や家業等だけを説明した資料で、現在の承認可能な範囲を決めないことが大切です。
現行Q&A問7は、ブログや動画配信による広告収入の事業も、自営の形態で行うことを一概に否定していません。ただし、事業計画等を踏まえ、官職との特別な利害関係、職務遂行への支障、公務の公正性・信頼性といった基準で判断するとしています。
つまり、広告収益の事業なら必ず承認される制度ではありません。内容や方法に問題がないか、職務上の立場を利用していないか、所属の肩書の扱いなどに条件が付くかも確認します。収益化の機能をオンにする前に、具体的な活動計画を担当へ示しましょう。
自営に当たるかどうかと、当たる場合に承認できるかは別の段階です。自営の判断には、客観的な営利目的、継続・反復、規模、営業設備等が関係します。本人が「趣味の延長」と考えていることだけでは決まりません。
少額の収入や休日の活動だけで対象外にしない
現行の自営兼業Q&Aは、知識・技能を生かす事業等の規模について、経費を差し引く前の年間収入見込みが20万円を超える場合を一つの判断の目安として示しています。同時に、規模だけでなく、営業設備等も含めて個別判断すると説明しています。
この額は、以下ならどの活動でも承認・許可・届出が不要という線ではありません。例えば、営業の外観や契約の継続性など、別の要素も関係します。104条の兼業や地方の規程へ、同じ数値を一律に使うこともできません。
また、税の所得と、規模判断で用いる経費控除前の収入は区別します。税務上の申告要否と服務上の承認要否は別で、税を申告したから兼業手続きも済むわけではありません。個別の税務は税務署等へ確認してください。
匿名アカウントや休日の作業でも、兼業の適用が自動的になくなるものではありません。勤務時間外に行うことは、職務への支障などの確認と関係しますが、それだけで他の要件や手続きが消えるわけではありません。
事前相談には画面と契約、作業の計画を用意する
相談資料には、公開予定の内容、使う媒体、販売・広告・受託の契約、相手先、作業時間、収入見込み、現在の職務との関係をまとめます。実際の契約条件がある場合は、名称だけでなく、更新、納品、継続的な作業の義務などを確認します。
仮の相談例なら、「個人で解説動画を継続配信し、広告収益を受け取る予定。公開情報だけを用い、制作は勤務時間外に行う。別途、特定企業から毎月の制作依頼もある」のように、自分の発信と受託を分けます。これは書き方の仮例で、承認される事例を示すものではありません。
事前に問い合わせることと正式な申請、承認・許可の決定は別です。活動の可否が未確認のまま注文を受けたり、履行義務のある契約を結んだりしないよう、相談時に開始可能な段階を聞きます。一般的な流れは兼業許可の申請手続きも参照できます。
副業紹介サイトや広告サービスの説明に「公務員向け」とあっても、本人の所属による承認の代わりにはなりません。申請の期限、様式、添付資料、許可の有効期間は、担当が示す現行案内で確認してください。
承認後も変更と発信内容を管理する
投稿の内容、広告の方法、契約先、販売規模、作業時間、本人の官職などが変わった場合は、従前の承認で扱えるかを確認します。承認された範囲と新たな活動を比べ、必要なら変更や再申請を行います。
国の現行Q&Aは、開始後に収入見込みが変わり自営の確認が必要になった場合、担当への報告と承認申請の要否の確認を求めています。入金が確定するまで待つのではなく、見込みや態様が変わった段階で相談します。どの活動にも共通の変更期限を記事で作らず、本人の承認条件を確認します。
国家公務員法第100条の守秘義務、第101条の職務専念義務なども別に守ります。承認を受けた発信でも、職務上の秘密、住民情報、他者の権利を侵害する素材を使わないことが必要です。私物の端末で作ることだけで情報管理の問題が解消するわけではありません。
収入があるアカウントを家族名義に変えたり、入金先を別人にしたりして、本人の活動を説明しない方法は取りません。実際に誰が企画・制作・販売・顧客対応をしているかを確認します。発信上の一般的な注意は職員のSNS投稿のルールもご覧ください。
他の仕事の内容や応募条件は求人情報で比較できます。現職継続を含め、本人の希望を整理するための情報収集として利用してください。
よくある質問
アフィリエイト収入が少なければ手続きは不要ですか?
少額だけで一律に決められません。実際の活動、契約、継続・反復、規模、所属内規等を確認します。国の自営の規模の目安を、すべての兼業の免除基準として使わないでください。
2026年の見直しで動画やブログの収益化は自由になりましたか?
全面的な自由化ではありません。一定の自営事業を承認できる範囲が広がった制度です。広告収益の事業も、官職との関係、職務への支障、公正性・信頼性等を確認し、必要な承認を受けます。
匿名で休日に活動し、税を申告すれば十分ですか?
匿名・休日・税申告だけで兼業の確認は終わりません。国・地方の法令、任用区分、所属規程に応じた手続きを行い、守秘や情報管理も別に確認します。
希望する働き方の整理は相談フォームをご利用ください。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。短い連絡にはLINEも利用できます。兼業の正式な判断と申請は所属の担当へ確認してください。