制度とお金 / 服務と法令上の制限
不動産賃貸は副業にあたるか
不動産を持っていることと、賃貸事業が兼業規制上の自営に当たることは分けて確認します。貸している建物や土地、駐車場の規模、賃貸料収入、設備、本人の関与を整理し、所属の担当へ相談します。管理会社に任せている、相続した物件であるというだけで、承認の確認が不要になるわけではありません。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の現行運用にある基準を説明し、地方の自治体職員へ同じ数値を一律に適用するものではありません。具体的な算定と承認の要否は、本人の所属の服務・兼業担当へ確認してください。
自営に当たるかと承認されるかは別の判断
国家公務員法第103条は、営利企業の役員等との兼業や自営を制限し、承認に関する規定を置いています。人事院規則14-8と運用通知が、自営の取扱いと承認基準等を具体化しています。
不動産や駐車場の賃貸では、まず自営として扱う規模等に当たるかを確認します。そのうえで、該当する場合に、官職との利害関係、職務への支障、公務の公正性・信頼性等の承認基準を確認します。
数値に当たれば必ず承認される、当たらなければどのような運営でも自由という二つの一般化を避けます。複数の種類を組み合わせる場合や、本人以外の名義で運営する場合も、実態を担当へ示します。
2026年4月施行の見直し後の運用を確認することも重要です。古い解説記事や同僚の過去の申請例にある金額を、現在の基準として使わないようにします。
国の現行基準は棟数・室数だけではない
人事院の規則14-8運用通知「第1項関係」第4項第2号は、不動産又は駐車場の賃貸を自営として扱う場合を定めています。主な条件は次のとおりです。
| 種類・条件 | 国の運用通知の基準 |
|---|---|
| 独立家屋の賃貸 | 5棟以上 |
| 独立家屋以外の建物 | 貸与可能な独立した区画が10室以上 |
| 土地の賃貸 | 賃貸契約が10件以上 |
| 娯楽集会・遊技等の設備がある不動産 | 劇場、映画館、ゴルフ練習場等に関する定め |
| 特定業務に用いる建物 | 旅館、ホテル等に関する定め |
| 建築物・機械設備のある駐車場 | 台数とは別に対象とする定め |
| その他の駐車場の台数 | 10台以上 |
| 賃貸料収入 | 年額1,000万円以上。ただし建物賃貸のみで床面積合計600㎡未満の場合は、この収入条件から除外 |
これは国の通知にある制度上の判定基準の説明です。収益を勧めるための数値ではありません。表の条件をすべて同時に満たす必要があるのではなく、該当する条件を個別に確認します。
通知の室数は、実際に入居中の室だけではなく、貸与することができる独立した区画を基準としています。空室を除いて数えればよい、と自己判断しないことが大切です。
駐車場も、10台という台数だけを見ません。建築物である駐車場や機械設備を設けた駐車場について、別の条件があるためです。単なる土地の賃貸なのか、駐車設備を含む事業なのかも整理します。
収入基準と床面積の例外を切り離さない
現行通知の賃貸料収入の基準は年額1,000万円以上です。不動産と駐車場を併せて貸す場合は、その賃貸料収入を合計する規定になっています。本人の給与年収や、経費控除後の利益を示す基準として読み替えません。
建物の賃貸だけを行う場合に、建物の床面積の合計が600㎡未満なら、当該収入条件から除く規定があります。これは、他の棟数・室数等の条件まで一括して適用しないという意味ではありません。
仮に、建物賃貸のみで床面積が600㎡未満であっても、貸与可能な室数が10室以上なら、室数の条件を別に確認します。逆に、室数が少ないことだけで、設備や収入等の確認を省くこともできません。
独立家屋と共同住宅を併せて持つ、共有持分がある、複数物件の賃料がある場合は、内訳を担当へ示して数え方を確認します。通知には同様の事情にあると認められる場合の定めもあるため、表にない組合せを自己判断で対象外にしないようにします。
仕事内容の比較は公務員経験に対応する求人情報から始められます。賃貸事業を持つことや、収入を増やすことを転職準備の条件にする必要はありません。
管理会社への委託は承認基準の一部
国の運用通知は、不動産又は駐車場の賃貸に係る自営の承認基準として、官職との特別な利害関係又はその発生のおそれがないことを挙げています。さらに、管理業務を事業者へ委ねること等により、職務の遂行に支障が生じないことが明らかであることなどを定めています。
入居者募集、賃料の集金、維持管理等を誰が行うかを説明します。委託契約があっても、本人が日常の問合せ、修繕の手配、現地対応等をどの程度行うかによって、実際の負担が異なります。
管理委託は、自営に当たらなくなるための一律の免除ではありません。「すべて管理会社に任せれば申請不要」という整理にしないでください。物件の規模等で自営に当たるかと、委託により職務への支障を防げるかを分けます。
また、公務で関係する相手が入居者や取引先になる場合などは、具体的な関係を担当へ伝えます。賃貸契約の形式があれば、公務上の利害関係も消えるわけではありません。
相続した物件もまず事実を整理して相談する
相続で取得した物件についても、取得の事情と賃貸事業の実態を分けます。自分で新規購入していないことを理由に、兼業上の確認を省くことはできません。
引き継いだ契約、物件の種類と規模、収入、管理者、今後の予定を整理します。相続前から賃貸されていた場合は、いつどの範囲を引き継いだかを明らかにし、速やかに所属へ相談します。相続なら全国共通で一定期間は手続き不要、という猶予を一般記事から作らないようにします。
国の通知には、本人以外の名義でも本人が営利企業を営むと客観的に判断される場合を自営とする説明があります。家族名義へ変更すれば手続きが不要になるとは考えず、本人の関与をそのまま伝えます。
取得前に相談できる場合は、購入や運営開始を確約する前に承認の要否と必要な資料を確認します。融資や税務上の手続きが進んでいることから、公務上の承認まで済んだとは扱いません。
申請資料と変更後の確認をそろえる
国の運用通知の申請に関する定めでは、不動産の状況、賃貸料収入、管理方法等を明らかにする資料が挙げられています。登記関係の資料、図面、賃貸契約書、管理委託契約書等を、本人の担当へ必要な範囲と提出経路を確認して準備します。
資料に入居者等の個人情報がある場合は、外部の転職相談先や私用の共有場所へ送らないようにします。正式な兼業担当に提出する情報と、他の相談目的の資料は分けます。
提出前には、物件一覧と契約書の件数、予定収入、委託内容が一致しているかを照合します。不明な空欄を推測で埋めず、未確認事項と担当へ質問したい点を分けて添えます。
承認後に物件を増やす、用途や管理方法を変える、本人の官職が変わる場合は、承認時の条件と照合します。変更や異動時の再承認等の取扱いは通知と所属の指示で確認し、以前の承認をどの事業にも使えるものと扱いません。
申請の流れは兼業許可の申請手続きで整理しています。契約や承認の個別判断を代行する記事ではないため、予定する変更の前に担当へ具体的に照会してください。
地方職員は自治体の基準を確認する
地方公務員法第38条は、役員等、自営、報酬を得る事業・事務について任命権者の許可を定めています。一定の非常勤職員に関する適用除外もあり、本人の任用区分を確認します。
棟数、室数、駐車台数、収入等について、国と同じ基準を採用しているかは自治体の規則や運用によります。国の2026年見直しで、地方の条件も自動的に変わったとは扱いません。所属の最新様式と担当窓口で確認してください。
働き方を比較したい場合は無料相談の案内を参照できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。賃貸の承認は所属、税務上の判断は税務署等へ確認します。
よくある質問
一室だけ貸すなら申請は不要ですか
室数だけでは決まりません。物件の種類、設備、他の賃貸、収入等を確認します。国の表の基準を地方へ一律適用せず、本人の担当へ照会してください。
管理会社に任せれば兼業に当たりませんか
委託は職務への支障を確認する材料であり、自営該当性を一律になくすものではありません。規模等による判定と、承認のための管理方法を分けて確認します。
相続した物件も報告が必要ですか
相続の事情と現在の運営を担当へ伝え、必要な承認・届出を確認します。家族名義や本人が望まず取得したことだけで、全国一律に手続き不要とはいえません。
相談方法の確認にはLINEの案内も利用できます。物件契約や入居者情報を送る必要はなく、進路の情報収集として利用してください。