選考対策 / 立場・年代別
出先機関・出資団体からの転職
本庁ではない場所で働いている方からのご相談です。
出先機関と出資団体では、前提が異なります。
この記事では、それぞれの位置づけと、経験の示し方を扱います。
出先機関は、条例で設けられています
地方自治法第155条第1項です。
> 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、条例で、必要な地に、都道府県にあつては支庁(略)及び地方事務所、市町村にあつては支所又は出張所を設けることができる。
同条第2項です。
> 支庁若しくは地方事務所又は支所若しくは出張所の位置、名称及び所管区域は、条例でこれを定めなければならない。
所管する区域が、条例で定められているということです。
つまり、自分が担当した区域の範囲は、文書で確認できます。
「◯◯地域を所管する◯◯事務所において」という書き方ができます。
出資団体の経営状況は、議会に提出されます
地方自治法第243条の3第2項です。
> 普通地方公共団体の長は、第二百二十一条第三項の法人について、毎事業年度、政令で定めるその経営状況を説明する書類を作成し、これを次の議会に提出しなければならない。
団体が出資する法人については、経営状況の書類が議会に提出されるという仕組みです。
この書類は、公表されていることが多く、確認できます。
自分が所属する団体の位置づけを整理するときに使えます。
また、転職先が出資団体である場合の調査にも使えます。
⚠ 出資団体の職員の身分の扱いは、団体によって異なります。退職手当、共済、年金の扱いを含め、必ず所属に確認してください。
出先機関の経験の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ① 現場に近い | 実際の事業、施設、事業者 |
| ② 完結する範囲が広い | 受付から処理まで一貫して担当 |
| ③ 所管区域が明確 | 対象が特定される |
| ④ 少人数 | 1人が複数の事務を担当 |
| ⑤ 本庁との連携 | 照会、報告、協議 |
②が、民間で読まれる中心です。
工程を一貫して担った経験は、規模の大きい組織では得にくいものです。
⑤について。
本庁との連携は、「本部と拠点のやり取り」にあたります。
支店や営業所を持つ会社では、同じ構造があります。
出資団体の経験の特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ① 公と民の間 | 公共の目的と、収支の両方 |
| ② 収支の管理 | 利用料金、委託料、補助 |
| ③ 契約 | 委託、発注、受託 |
| ④ 施設の運営 | 利用者の対応、維持管理 |
| ⑤ 行政との関係 | 報告、協議、評価への対応 |
①と②が、民間で評価されやすいです。
公共の目的を持ちながら、収支を意識して運営した経験は、指定管理や受託の事業でそのまま使えます。
⑤について。
行政に報告し、評価を受ける側の経験は、受託する会社で直接必要とされます。
書き方の例
悪い例
> ◯◯事務所で、許認可の事務を担当しました。
良い例
> ◯◯地域(◯市◯町を所管)の◯◯事務所において、◯◯に関する許可の事務を担当。年間約◯件の申請について、受付、現地の確認、審査、決定の起案、通知の発送までを一貫して実施。管内の事業者◯者に対する立入検査を年◯件実施し、是正の指導を担当。
「所管区域」「件数」「一貫した工程」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
言い換えの対応
| 役所の言葉 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| 所管区域 | 担当エリア |
| 本庁への報告 | 本部への報告 |
| 現地の確認 | 現地の調査、実査 |
| 施設の管理 | 施設の運営、設備の保全 |
| 利用料金の収受 | 収益の管理 |
| 指定管理の評価への対応 | 委託元への報告、改善の対応 |
1行目です。
「担当エリア」という言い方に置き換えると、民間で通じます。
支店や営業所の担当と、構造が同じだからです。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 何を担当したか | 区域、件数、工程 |
| どこまで自分で決めたか | 専決できた事項 |
| 本庁・行政とのやり取り | 報告、協議の経験 |
| 収支への意識 | 出資団体の場合は特に |
| 身分・処遇の前提 | 在職の形態 |
5行目です。
出資団体の場合、身分の扱いが団体によって異なります。
自分の在職の形態を、正確に説明できるようにしておいてください。
なお、特定の事業者や利用者が分かる説明は避けてください。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 所管区域と分掌を確認する(条例・規則) |
| 2 | 担当した工程を書き出す |
| 3 | 件数、対象、範囲を確認する |
| 4 | (出資団体)身分・処遇の前提を確認する |
| 5 | 民間の言葉に置き換える |
| 6 | 求人を読む |
4が、出資団体の方には必須です。
退職手当、共済、年金の扱いが、団体によって異なります。
所属の担当に確認してください。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録 | 担当した件数、区域、工程 |
| 資料の確認 | 条例・規則、分掌、(出資団体)経営状況の書類 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 日程の確保 | 繁忙期を避ける |
2行目です。
出資団体の経営状況の書類は、自分の団体の位置づけを説明する材料になります。
事業の内容、収支の構造、行政との関係。
面接で説明する際に使えます。
よくある失敗
1. 所管区域を書かない
担当エリアとして読まれます。
2. 一貫した工程を書かない
出先ならではの経験です。
3. 規模が小さいことを理由に小さく書く
範囲の広さとして書けます。
4. 本庁との連携を書かない
本部と拠点のやり取りにあたります。
5. (出資団体)身分・処遇を確認しない
団体によって異なります。
6. (出資団体)収支への意識を書かない
受託の事業で直接必要とされます。
7. 現地の確認の経験を書かない
実査として読まれます。
8. 特定の事業者が分かる説明をする
守秘の義務は退職後も続きます。
まとめ
- 地方自治法第155条は、支庁・地方事務所・支所・出張所を条例で設けるとし、位置・名称・所管区域を条例で定めるとしています
- 所管した区域は、文書で確認できます。「担当エリア」として書いてください
- 出先機関の強みは、工程を一貫して担ったことです
- 地方自治法第243条の3第2項により、出資する法人の経営状況を説明する書類が議会に提出されます
- 出資団体の強みは、公共の目的と収支の両方を担ったことです
- 出資団体の身分・処遇の扱いは、団体によって異なります。必ず確認してください
- 「どちらでもない」ではなく「両方が分かる」と書いてください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
出資団体の職員は、公務員として書いてよいですか
在職の形態を、正確に書いてください。団体の性格(公社、事業団、財団、株式会社など)と、自分の在職の形態によって扱いが異なります。職務経歴書には、団体の名称と、自分の職名、担当した業務を書けば足ります。「公務員」と書くかどうかより、何をしてきたかが読まれます。なお、退職手当、共済、年金の扱いは、団体の制度によります。転職の前に、必ず所属の担当に確認してください。扱いを誤ると、手続きの時期や資金の計画に影響します。金額と時期を含めて確認してください。
出先機関の経験は、本庁より評価が低いですか
そのようなことはありません。中途採用で見られているのは、何を担当し、何を決めたかです。出先では、受付から決定までを一貫して担うことが多く、全体の工程を理解しているという強みがあります。また、現場の実情を知っている点も評価されます。自治体向けの事業を行う会社では、現場でどう運用されるかを知っている人が求められます。書き方は、「受付から決定までを一貫して実施」「管内の事業者◯者を担当」という形です。本庁と出先の両方を経験している場合は、役割の違いを分けて書いてください。
出資団体から、同じ分野の民間企業へ移れますか
分野によっては、経験が直接重なります。施設の運営、地域の振興、住宅、道路の管理、文化の施設、スポーツの施設。これらの分野では、指定管理や受託を行う民間企業があります。探し方は、自治体の公表資料から、その分野の事業を担っている会社を調べる方法です。指定管理者の指定の議案、入札の結果、プロポーザルの選定の結果。これらは公表されています。扱いは応募前の企業調査で見るべき資料に整理しています。同じ分野であれば、業務の内容が近く、説明もしやすくなります。