選考対策 / 退職と在職中の進め方
育休中・産休中の転職
育児休業の期間に、今後のことを考える方がいらっしゃいます。
時間の使い方が変わり、働き方を見直す機会になるためです。
この記事では、制度上の位置づけと、確認すべき点を扱います。
⚠ 手当金・保険・税の扱いは、制度と規程によって異なります。この記事は一般的な整理にとどめます。金額や要件は、必ず共済組合と所属に確認してください。
育児休業は、在職中の状態です
地方公務員の育児休業等に関する法律第2条第1項です。
> 職員(略)は、任命権者の承認を受けて、当該職員の子(略)を養育するため、当該子が三歳に達する日(略)まで、育児休業をすることができる。
「職員」が「承認を受けて」休業する、という構造です。
つまり、育児休業中も職員の身分は続いています。
同法第5条第1項は、承認が効力を失う場合を定めています。
> 育児休業の承認は、当該育児休業をしている職員が産前の休業を始め、若しくは出産した場合、当該職員が休職若しくは停職の処分を受けた場合又は当該育児休業に係る子が死亡し、若しくは当該職員の子でなくなった場合には、その効力を失う。
この条文が前提としているのも、職員であることです。
職員でなくなれば、育児休業という状態も続きません。
したがって、育児休業中の転職は「休業からそのまま転職する」のではなく、「退職して、次の勤務先に入る」という手順になります。
何を確認するか
| 順 | 確認すること | 確認先 |
|---|---|---|
| 1 | 手当金の扱い(退職した場合にどうなるか) | 共済組合 |
| 2 | 保険の切替え | 共済組合・転職先 |
| 3 | 退職手当の扱い | 所属の給与担当 |
| 4 | 復職を前提とした制度の扱い | 所属 |
| 5 | 転職先での育児に関する制度 | 転職先の人事 |
1を最初に確認してください。
育児休業の期間に支給されるものは、育児休業をしていることを前提としています。
退職すると前提が変わるため、扱いを確認する必要があります。
金額と要件は制度によって異なるため、共済組合に直接お尋ねください。
5——転職先の制度を、応募の段階で確認する
ここが見落とされやすいです。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 育児に関する休業・休暇の制度 | 就業規則にどう定められているか |
| 勤続の要件 | 入社直後は対象外となる場合があります |
| 短時間勤務の制度 | 有無と要件 |
| 子の看護に関する休暇 | 有無と要件 |
| 実際の運用 | 取得の実績があるか |
2つ目に注意してください。
育児に関する制度には、勤続の年数など、対象となる要件が定められていることがあります。
入社してすぐに利用できるとは限りません。
応募の段階で、求人票と就業規則の内容を確認してください。
5つ目も確認に値します。制度があることと、使われていることは別です。
産前産後休業中の場合
| 項目 | 一般的な整理 |
|---|---|
| 身分 | 職員のままです |
| 出産に関する給付 | 共済組合の制度によります |
| 転職活動 | 体調が優先です |
| 手続きの時期 | 出産の前後は手続きが重なります |
3つ目です。
産前産後の期間は、体調の変化が大きい時期です。
この期間に無理に進める必要はありません。
育児休業に入ってから検討を始めても、時間は取れます。
面接で聞かれることへの備え
育児の事情は、話す義務のあるものではありません。
ただし、勤務の条件に関わる範囲は、伝えておくほうが後の齟齬が減ります。
| 伝える範囲 | 例 |
|---|---|
| 勤務できる時間 | 始業・終業の時間の希望 |
| 勤務できる日 | 土日の可否 |
| 出張・転勤 | 対応の可否 |
| 保育の段取り | 見込みが立っているか |
4つ目は、聞かれることがあります。
「保育園が決まっているか」という趣旨です。
決まっていない場合、その旨と見込みを伝えて差し支えありません。
なお、採用の可否は勤務の条件で判断されるものです。
家庭の事情そのものを詳しく説明する必要はありません。
時期の組み立て
| 時期 | できること |
|---|---|
| 育児休業の前半 | 情報を集める、制度を確認する |
| 中盤 | 求人を見る、条件を絞る |
| 後半 | 応募、面接 |
| 復職の前 | 判断 |
この順で組むと、無理がありません。
ただし、保育の段取りが先に決まる場合、時期は前後します。
保育の確保と、入社の時期を合わせる必要があるためです。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中にできること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職務経歴書の下書き | 時間の取れるときに |
| 共済組合への照会 | 制度の照会として |
| 転職先の制度の確認 | 求人票の段階で |
| 面談 | オンラインで短時間から |
2つ目は、退職の意思を伝えずにできます。
「退職した場合の取扱い」を制度の照会として聞く形です。
退職の意思を伝える時期
育児休業中でも、意思を伝える手順は在職中と同じです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 伝える相手 | 所属長(所属の定めによります) |
| 時期 | 次の職の見込みが立ってから |
| 方法 | 所属の定めによります |
| 引継ぎ | 休業中のため、担当の業務がない場合があります |
2つ目です。
休業中であっても、次の職が決まる前に退職の意思を伝える必要はありません。
4つ目は、在職中の方と異なる点です。
休業に入る際に引継ぎを済ませている場合、退職時の引継ぎは書類の手続きが中心になります。
ただし、復職を前提に人員の配置が組まれていることがあります。
早めに伝えるほうが、所属の調整がしやすいという面はあります。
この点は、次の職の見込みとの兼ね合いで判断してください。
よくある失敗
1. 手当金の扱いを確認せずに退職の時期を決める
共済組合に確認してください。
2. 転職先の育児に関する制度を確認しない
入社直後は対象外となる場合があります。
3. 保育の段取りと入社の時期がずれる
先に確認してください。
4. 産後すぐに進めようとする
体調が優先です。
5. 復職するかどうかを先に決めようとする
情報を集めてからで構いません。
6. 家庭の事情を詳しく説明しようとする
勤務の条件に関わる範囲で足ります。
まとめ
- 地方公務員の育児休業等に関する法律第2条は、任命権者の承認を受けて、子が3歳に達する日まで育児休業をすることができると定めています。育児休業中も職員の身分は続いています
- 同法第5条は承認が効力を失う場合を定めており、いずれも職員であることが前提です
- 手当金の扱いは、退職した場合に変わることがあります。金額と要件は共済組合に確認してください
- 転職先の育児に関する制度は、応募の段階で確認してください。勤続の要件がある場合があります
- 産前産後の期間は、体調が優先です。育児休業に入ってからでも時間は取れます
- 復職するかどうかを先に決める必要はありません。情報を集めることと両立します
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よくある質問
育児休業中に応募して、いつから働けるかを聞かれました
保育の段取りと合わせて答えてください。「保育の確保ができ次第」という答え方では、採用する側が予定を立てられません。目安の時期を示したうえで、確定していない旨を添える形が現実的です。たとえば、「◯月の入園を申し込んでおり、結果は◯月に出ます。決まれば◯月から勤務できます」という伝え方です。不確定であること自体は、珍しいことではありません。伝えずに進めて、後から時期が合わないほうが問題になります。なお、入社の時期を調整できる求人もあります。応募の段階で、時期の相談が可能かを確認してください。
復職せずに退職すると、手当金を返すことになりますか
制度と規程によって異なります。一般的な整理としては、支給の要件を満たしていた期間について支給されるものですが、取扱いは制度によって違います。この点は、共済組合に直接確認してください。「復職せずに退職した場合の取扱いを知りたい」という照会で、一般的な説明が得られます。なお、確認は在職中にできます。退職の意思を伝える前に、制度の照会として聞いて差し支えありません。金額に関わる部分なので、人づての情報ではなく、制度を所管するところに確認してください。
復職してから転職するほうがよいのでしょうか
どちらにも理由があります。復職してから動く場合、手当金や保険の扱いを気にせずに進められるという面があります。また、復職後の働き方を実際に経験したうえで判断できます。一方、育児休業中に動く場合、時間が取れるという面があります。面接の日程も組みやすいです。判断の材料は、保育の段取り、体調、家族との調整、制度の扱いの4つです。この4つを並べて、無理のないほうを選んでください。なお、復職してから改めて検討するという進め方も、検討をやめたことにはなりません。時期をずらす判断です。