選考対策 / 退職と在職中の進め方
同僚・上司にいつ伝えるか
退職を上司に伝えた後、次に来るのが「誰に、いつ伝えるか」です。
自分の判断で広げないでください。
この記事では、伝える範囲と順番を扱います。上司への伝え方は退職を切り出すタイミングと相手にあります。
組織は、系統的に構成されています
情報が流れる順序にも、組織の構造が関わります。
地方自治法第138条の3第1項です。
> 普通地方公共団体の執行機関の組織は、普通地方公共団体の長の所轄の下に、それぞれ明確な範囲の所掌事務と権限を有する執行機関によつて、系統的にこれを構成しなければならない。
系統的に構成する。
権限も、責任も、系統に沿って配置されています。
退職の情報も、同じ系統に沿って流れるのが自然です。
直属の上司 → 所属の長 → 人事 → 同僚 → 関係先。
この順を飛ばすと、上の立場の人が後から知ることになります。
それは、その後の調整に影響します。
伝える範囲と時期
| 相手 | 時期 | 決める人 |
|---|---|---|
| 直属の上司 | 入社日が確定した直後 | 自分 |
| 所属の長 | 上司の判断 | 上司 |
| 人事の担当 | 書面の提出時 | 規程による |
| 係・課の同僚 | 所属の長の了解を得てから | 所属の長 |
| 他課の関係者 | 引継ぎの段階 | 上司と相談 |
| 外部の関係先 | 退職の直前 | 上司と相談 |
4段目以降は、自分では決めません。
「いつ、誰に、どこまで伝えてよいか」を、上司に確認してください。
この確認を1回しておけば、判断に迷いません。
なぜ自分で広げないのか
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 業務の割り振りに影響する | 所属の長が調整する前に広がると、混乱します |
| 後任の検討に影響する | 人事の作業が動いていることがあります |
| 関係先への説明の順序 | 組織としての連絡の段取りがあります |
| 周囲の受け止め | 経路によって、受け止め方が変わります |
1つ目が、実務上いちばん影響します。
人が抜けることが分かると、業務の割り振りを考え直す必要があります。
その検討が済む前に情報が広がると、周囲が落ち着きません。
聞かれたときの答え方
伝えてよい範囲が決まる前に、同僚から聞かれることがあります。
| 状況 | 答え方 |
|---|---|
| 「辞めるって本当?」 | 「上司と相談しているところです」 |
| 「どこに行くの?」 | 伝える範囲が決まってから |
| 「いつまでいるの?」 | 「日程が固まったらお伝えします」 |
否定する必要はありませんが、詳細を述べる必要もありません。
「相談中」という答え方であれば、嘘にもなりません。
範囲が決まったら、改めて伝えてください。
同僚に伝えるとき
了解が得られたら、自分から伝えてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時期 | 所属の長が決めた時期 |
| 範囲 | 係の中か、課の中か |
| 内容 | 退職日と、引継ぎの予定 |
| 転職先 | 業種程度で足ります |
| 理由 | 詳しく述べる必要はありません |
> ◯月◯日をもって退職することになりました。引継ぎについては、◯月中に進める予定です。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
3文で足ります。
理由を聞かれた場合も、詳しく答える必要はありません。
この一言は、伝える相手の人数分だけ繰り返すことになります。短くしておくほど、負担が小さくなります。
関係先に伝えるとき
外部への連絡は、所属の判断に従ってください。
| 相手 | 伝えること |
|---|---|
| 他課の担当 | 後任の氏名と連絡先 |
| 事業者 | 担当が変わる旨(時期は所属の判断で) |
| 関係機関 | 同上 |
| 住民の相談者 | 所属の判断で。自分から伝えない |
4つ目に注意してください。
継続して相談を受けている方がいる場合、伝え方は所属の判断です。
自分から「辞めます」と伝えると、相手が不安になることがあります。
「担当が変わります」という形で、組織として伝えるのが通常です。
範囲を決めるときの相談の仕方
上司に確認するときは、次の3点を具体的に聞いてください。
| 聞くこと | なぜ必要か |
|---|---|
| いつから伝えてよいか | 業務の割り振りの検討の状況による |
| どこまでの範囲か | 係の中か、課の中か、部の中か |
| 誰が伝えるか | 自分か、上司か、所属の長か |
3つ目を確認しておくと、重複や行き違いが防げます。
所属によっては、朝礼や会議の場で、所属の長から周知されることがあります。その場合、自分から個別に伝える必要はありません。
逆に、「自分から伝えてほしい」と言われることもあります。その場合は、上司が示した範囲の中で、直接伝えてください。
確認に要するのは数分です。伝えた直後の相談の中で、あわせて聞いておくと効率的です。
引継ぎの相手には、早めに伝わる
範囲が限られていても、引継ぎの相手には早い段階で伝わります。
| 相手 | 理由 |
|---|---|
| 後任 | 引継ぎの計画を立てる必要があります |
| 係の中で業務を分担する職員 | 割り振りの調整が生じます |
| 他課で同じ案件を担当する職員 | 進行中の案件の相手として |
3つとも、業務の必要から伝わる相手です。
この範囲は、所属の長が判断します。
自分から先に伝えるのではなく、「引継ぎの相談をしてよいか」を確認してください。
伝えた後の過ごし方
| ✕ | ○ |
|---|---|
| 業務への関与を減らす | 最後まで通常どおり担当する |
| 引継ぎを後回しにする | 早い段階から資料を作る |
| 転職先の話を広げる | 聞かれた範囲で答える |
| 不満を漏らす | 述べない |
1つ目が、周囲の受け止めにいちばん影響します。
伝えた後も、退職日までは職員です。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、伝える範囲が広がるほど、問い合わせも増えます。同じ説明を何度もすることになるため、退職日と引継ぎの予定だけを短く伝える形にしておくと、対応が楽になります。
よくある失敗
1. 上司の了解を得ずに同僚に伝える
業務の割り振りの検討に影響します。
2. 「まだ内緒で」と言って伝える
その形で広がります。
3. 辞める理由として不満を述べる
残る人の立場が難しくなります。
4. 転職先を詳しく話す
業種程度で足ります。
5. 住民の相談者に自分から伝える
所属の判断に従ってください。
6. 伝えた後に業務への関与を減らす
退職日までは職員です。
まとめ
- 地方自治法第138条の3第1項は、執行機関の組織を系統的に構成するとしています。情報も、系統に沿って流れるのが自然です
- 順番は、直属の上司 → 所属の長 → 人事 → 同僚 → 関係先です
- 同僚以降は、自分で決めません。「いつ、誰に、どこまで」を上司に確認してください
- 範囲が決まる前に聞かれたら、「上司と相談しているところです」で足ります
- 辞める理由として不満を述べない。残る人の立場が難しくなります
- 伝えた後も、退職日までは職員です。業務への関与を減らさないでください
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よくある質問
同僚に先に相談してしまいました
上司に伝える時期を早めてください。同僚から先に伝わると、上司が最後に知ることになります。その状態が続くほど、関係に影響します。伝えるときに、経緯を詳しく説明する必要はありませんが、「先に同僚に相談してしまいました」と一言添えるほうが、後から判明するより誠実です。なお、相談した同僚には、範囲が決まるまで伏せてもらうよう依頼してください。ただし、依頼しても広がることがあります。その前提で、早めに正式に伝えることを勧めます。
送別の会を開くと言われました
所属の慣行に従って構いません。参加するかどうかは、自分で決められます。なお、在職中に転職先の詳細を広く伝える場にはしないでください。とくに、その会社が自治体と取引がある場合、具体的な話をすると誤解を招くことがあります。「民間の会社に移ります」という程度にとどめてください。また、送別の会の費用について、所属の慣行がある場合は確認してください。なお、参加を辞退することも可能です。事情があれば、上司に伝えれば足ります。
退職後も連絡を取ってよいですか
個人的な連絡であれば、問題ありません。ただし、業務上の働きかけには制限があります。地方公務員法第38条の2により、離職前5年間の職務に属する契約等の事務について、離職後2年間、元の組織の職員への働きかけが制限されます。自治体を顧客とする会社に移る場合は、この線を確認してください。詳しくは内定から入社までにやることにあります。また、業務の照会に答える場合も、守秘の義務は退職後も続きます。答えられるのは、一般的な事柄までです。