制度とお金 / 服務と法令上の制限
兼業許可の申請手続き
兼業の申請は、全国共通の一枚の書類を出す手続きではありません。国の自営等の承認、報酬を得る継続的な活動の許可、地方の任命権者による許可、倫理上の承認等を分けます。活動の内容を整理して事前相談し、必要な決定を受けてから始め、変更・報告・更新まで管理することが基本です。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国の現行制度と地方の具体例を説明します。本人の任用区分、活動の分類、申請様式と提出期限は、所属の服務・兼業担当へ確認してください。
申請の前に適用法と活動区分を確認する
国では国家公務員法第103条が営利企業の役員等との兼業や自営の制限と承認を、第104条がそれ以外の報酬を得る事業・事務への関与の許可を定めています。自分で事業を営む場合と、団体の業務へ継続的に従事する場合では、確認する区分が異なります。
地方公務員法第38条は役員等、自営、報酬を得る事業・事務について任命権者の許可を定めています。一定の非常勤職員には適用除外がありますが、短時間勤務の職やフルタイムの会計年度任用職員等は除外から除かれています。
国の規則にも非常勤職員等に関する定めがあります。職員であるというだけで、全員が同じ承認・許可の対象とは決めません。任命通知等の本人の区分を担当に示して確認します。
| 相談の入口 | 区別する内容 |
|---|---|
| 国の第103条 | 役員等との兼業、自営の承認 |
| 国の第104条 | 報酬を得る事業・事務への関与の許可 |
| 地方の第38条 | 本人の任用と自治体の許可基準 |
| 倫理上の手続き | 利害関係者、講演等の承認、贈与等報告等 |
| 勤務・情報管理 | 活動する時間、端末や資料、職名使用等 |
事前相談には決まっている事実と未定事項を持参する
相談用には、相手方、仕事内容、期間、回数、報酬、活動日と時間、場所、契約の形、本務との関係をまとめます。自営なら事業の名義、販売先、設備、運営体制も整理します。
依頼書、委嘱状、契約案、事業計画の下書き等があると、実態を伝えやすくなります。担当に必要な範囲と提出経路を聞き、取引先等の個人情報を私用の共有場所へ集めないようにします。
予定が固まっていない場合も、未定と記して相談できます。ただし、未定の条件を承認済みと扱いません。契約や活動開始を確約する前に、どの情報を確定すれば正式な審査に進めるかを確認します。
仮に、休日の一回の講座を頼まれ、その後も毎月の開催を検討している場合を考えます。申請時に一回分だけを示して継続予定を伏せず、現在の依頼と追加の構想を分けて伝えます。単発と継続の判断に必要な事実を担当へ示すためです。
様式と添付資料を活動区分ごとに準備する
国の規則14-8運用通知には、自営の種類に応じた様式や添付資料の定めがあります。不動産等賃貸では物件の状況、収入、管理方法等を明らかにする資料が挙げられています。新たな知識・技能型や社会貢献型の自営では、事業計画書等による確認があります。
人事院の2026年3月更新Q&Aは、新しい自営枠について、事業の目的と業務内容、営業日・営業時間、収入の予定年額等を具体化することを説明しています。金融機関等向けの計画書に必要事項が含まれていれば、それを使える場合もありますが、提出の扱いは担当へ確認します。
開業届の写し等が関係する場合も、税務上の届出と公務上の承認を同一視しません。Q&Aは、承認の相談時には下書き等を基に相談する流れを示しています。開業届を出したことから兼業が認められたと判断せず、活動開始前の承認と書類提出の順序を担当に確認します。
第104条の許可について、内閣人事局の概要は、日時・報酬・業務内容等が分かる契約案等、移動の経路・時間、兼業先に関する資料等を挙げています。同じ書類をすべての活動に一律添付するのではなく、自分に必要な資料を担当と照合します。
仕事内容の比較には公務員経験に対応する求人情報を利用できます。兼業を始めることを、転職のための必須の段階にする必要はありません。
時間・利害関係・情報の扱いを説明する
兼業時間は、活動の本番だけでなく、所属が申請・報告対象として確認する時間を明確にします。準備、移動、連絡、修正等の扱いと、他の兼業がある場合の合算を確認します。
国の新しい自営枠に関するQ&Aは、原則として週休日に行うことや、勤務日の活動を認める場合の取扱い等を示しています。国の時間の目安を全国の地方職員へ共通の上限として使わず、本人の制度と承認条件に従います。
特別な利害関係又はその発生のおそれも、相手先と本務の事務に即して説明します。担当する許認可、補助金、検査、契約等と相手の関係を整理し、自分は窓口ではないという一点で対象外と判断しません。
業務用端末、住民や取引先の情報、未公開資料を使わないこと、職名を広告等に使う場合の確認も重要です。無給の作業や休日の活動でも、情報管理等の条件は残ります。
提出と決定を混同しない
正式な申請では、提出先、経由する部署、必要な決裁、回答の方法を確認します。直属の上司への相談、申請書の受付、権限を持つ者の承認・許可は同じ段階ではありません。
国の自営承認には規則上の権限委任があり、第104条の許可にも所定の手続きがあります。地方では任命権者と内部の決裁経路を確認します。本人が他機関へ直接送れば済むと判断しないようにします。
全国共通で開始日の何日前に出せばよい、何日以内に回答される、といった期限を根拠なく設定しません。所属の審査期間や内部締切を確認し、相手方にも開始が決定前であることを伝えます。
決定を受けたら、活動内容、相手先、期間、時間、報酬等の条件と付された留保を読みます。必要な許可等が得られるまでは、申請しただけで活動を始めません。不承認や条件付きの場合は、修正可能な計画があるかを担当に確認します。
倫理上の承認・報告は別に照合する
国の倫理規程第9条は、利害関係者からの依頼による報酬付きの講演等について、事前承認を定めています。同条には第104条の許可を得て行うものを除く定義もあるため、すべての活動で同じ二重手続きが必要と一括しません。
同規程第11条等による報告も、兼業の許可とは別に確認します。報告すれば禁止行為が認められるわけではありません。地方では本人の倫理条例・規則へ照会します。
単発の講演や原稿の依頼は講演・執筆の報酬は許可が要るか、相手との関係は利害関係者との付き合いの線引きを参照してください。
承認後は実績と変更を管理する
開始後は、承認された内容と実際の活動を照合します。従事日、時間、仕事内容、報酬等について、所属が求める記録と報告を整えます。千葉県の2026年の案内も、一部の兼業について実績報告と本務の時間外勤務を含めた時間管理を示しています。
新しい相手から仕事を受ける、活動日を増やす、サービスを変える、報酬や運営体制が変わる場合は、必要な変更申請を事前に確認します。国の新しい自営枠のQ&Aは、内容変更前に改めて承認を得ることを説明しています。
官職の異動や転勤でも、本務との利害関係等が変わる可能性があります。運用通知の再承認等の定めと本人の条件を確認し、以前の部署で認められたという説明だけで継続しません。
契約の終了、事業の休止・廃止にも必要な連絡があるかを確認します。事業をやめたことだけで実績報告や関連する精算が消えるとは限りません。
更新期限は承認書と制度ごとに見る
国の新しい知識・技能型と社会貢献型の自営は、2年を超えない期限を付して承認する取扱いです。Q&Aは継続の再承認について、遅くとも期限到来の1月前までに必要書類をそろえて担当へ相談するよう示しています。これは当該制度の案内であり、全国すべての兼業申請の共通期限ではありません。
同じQ&Aは、不動産賃貸や家業継承の農業等について、原則期限を付さない取扱いと、期限を付す場合があることも説明しています。自分の承認書に期限があるか、条件に変更がないかを確認します。
更新日を予定表へ入れるだけでなく、資料の更新、相手先との契約延長、担当の審査を見込んで相談します。期限が過ぎても自動継続するとは考えず、回答が得られるまでの活動の扱いを担当へ確かめます。
働き方の比較は無料相談の案内から相談できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。兼業の承認・許可は所属の正式窓口へ確認してください。
よくある質問
上司へ相談すれば活動を始められますか
相談と正式な承認・許可は別です。必要な手続き、権限者、決定の確認方法を担当へ確かめ、申請書を出しただけで開始しないようにします。
自営の承認があれば他の受託もできますか
承認内容によります。国では自営の承認があっても、団体の業務へ報酬を得て継続的・定期的に従事する場合に第104条の許可が必要になることがあります。新たな仕事の前に確認します。
どの兼業も2年ごとの更新ですか
一律ではありません。国の新しい自営枠には期限の定めがありますが、活動区分や本人の承認・許可で異なります。承認書と所属の案内を確認してください。
相談方法はLINEの案内でも確認できます。申請書や機密情報を送る必要はなく、まず公開できる経歴と働き方の希望から比較してください。