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制度とお金 / 服務と法令上の制限

守秘義務の範囲|何が秘密か

公務員の守秘義務は、書類に「秘密」と書いてあるかだけで決まるものではありません。一方、非公開の情報すべてを、同じ意味の法的な秘密と扱うのも正確ではありません。情報の内容と公表状況、守るべき利益、本人が知った経緯を分け、判断に迷う情報は外へ出す前に確認します。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国家公務員法・地方公務員法と公式解説を基に、一般的な考え方を整理します。具体的な情報の秘密該当性や個別の適法性を判断するものではありません。所属の情報管理・服務担当、必要に応じて正式な相談窓口等へ確認してください。

国の100条と地方の34条が定める義務

国家公務員法第100条は、職務上知ることのできた秘密を漏らすことを禁止し、退職後も同様としています。地方公務員法第34条も、職務上知り得た秘密を漏らすことを禁止し、退職後の義務を定めています。

義務は紙の文書だけを対象とするものではありません。口頭、メール、画像、SNS、面談中の説明など、情報を伝える方法ごとに確認が必要です。相手が一人であっても、勤務時間外であっても、守るべき情報の取扱いは別に考えます。

同僚や家族、転職先の採用担当、外部の相談相手だから無条件に話せる、という説明にはしません。相手の立場、相談や提供の目的、伝える必要のある範囲、正当な経路を確認します。

国と地方の条文には、法令による証人等として職務上の秘密を発表する場合の許可に関する定めもあります。これは一般の転職面接で、上司の一言があればどのような秘密も話せるという意味ではありません。行為の根拠と必要な手続きを担当に確認します。

秘密は表示だけでなく実質を確認する

消費者庁の公益通報者保護法の公式逐条解説は、国家公務員法第100条の秘密について、形式的な秘扱いの指定だけでは足りず、非公知で、実質的にも秘密として保護する価値があるものという考え方を説明しています。最高裁の決定を踏まえた解説です。

この説明は、「秘密」の印がなければ公表できるという意味ではありません。表示の有無だけでなく、情報の内容や守るべき利益を確認する必要があります。反対に、印があることから法律上の秘密該当性がすべて確定するとも扱いません。

地方の具体的な公式案内として、千葉市のSNSガイドラインFAQも、一般に知られていない事実と保護する利益を踏まえ、個々の事実に応じた判断が必要と説明しています。自分の所属の指針や情報管理規程も併せて確認します。

分けて確認する観点整理する内容
情報そのもの誰のどのような事実か、資料のどの部分か
公表状況公式に公開された範囲と、未公表の補足
保護する利益個人、事業者、公務等への影響
知った経緯公表資料で知ったのか、職務上知ったのか
予定する提供相手、目的、方法、必要な範囲

自分で秘密ではないと判断して外へ出すための表ではありません。担当に具体的な確認を依頼する際の、事実の整理に使います。

非公開情報と法的な秘密、管理上の制限を分ける

内部のメモ、検討段階の資料、個人情報、契約関係の情報などは、同じ理由で扱われるとは限りません。秘密の該当性とは別に、文書管理、個人情報保護、情報セキュリティ等の規定も関係します。

「法的な秘密と断定できないから、私用の端末へコピーしてよい」という結論にはなりません。業務上の文書やデータを外へ持ち出す権限があるか、私的利用が認められるかを別に確認します。

一つの資料にも、公表済みの説明、個人名、未公表の判断、内部の連絡先等が混在することがあります。表紙や一部の数値が公開されていることから、資料全体の提供が認められるとは扱いません。

仮の例として、公表済みの決算資料と、査定途中の内部コメントが入った作業ファイルを考えます。同じ事業に関係する資料でも、公表範囲と内容が異なります。採用担当に説明するために作業ファイルを持ち出すのではなく、公開資料を参照し、本人の担当範囲を言葉で整理します。

インターネットに出ている情報も出所を確認する

公式サイトで公開されている情報は、公表された版と範囲を確かめます。公開資料に、自分が業務で知った未公表の背景や個人の事情を補うと、別の情報提供になる場合があります。

噂、第三者の投稿、流出したと思われる画像等を見て、「既にネットにあるから自由」と判断しないようにします。事実確認、公表主体、真正性、本人が新たに認める内容等を分け、疑問があれば担当へ確認します。

公表された情報であっても、画像や文章の利用条件、個人のプライバシー等を別に確認します。公知性の議論と、資料の再配布や画像利用が認められるかという確認を一つにしないことが大切です。

求人票の仕事と経歴を比較する場合は公務員経験に対応する求人情報を参照できます。内部資料を使わず、公開可能な担当業務から比較を始められます。

応募書類は資料の写しではなく担当範囲を書く

職務経歴書には、公表可能な所属・職務の概要、本人の担当、用いた手順や調整の範囲を記します。非公開の相手方名、住民の記録、審査や交渉の細部、内部の評価等を説明の材料にしないようにします。

金額や件数を書く場合も、その数値が公開されているか、本人の経歴として外部へ説明できるかを確認します。根拠が不明な数字を補ったり、他人の仕事を自分の成果へ置き換えたりすることは避けます。

面接では、答えにくい質問に対して「具体的な相手方や内部判断は説明できませんが、担当した手順はこの範囲です」と、話せる内容を分ける方法があります。機密を守ることを、能力や経験の不足と同一視する必要はありません。

外部の相手と秘密保持契約を結んだ場合も、職場の秘密を渡す権限が新たに生じるわけではありません。採用担当や相談者から資料を求められたときは、公開資料や本人の説明で代替できるかを検討します。

退職後も情報と書類の扱いを分ける

国公法第100条と地公法第34条は、退職後も守秘義務が続くことを定めています。退職した、かなり前の仕事である、知人との雑談であるという事情だけで、何でも話せるとは判断できません。

退職時には、業務データ、メール、メモ、印刷物、外部媒体等を所属の保存・引継ぎ・返却手順に従って整理します。経験を忘れないためとして、業務記録を私的に複製して保管する方法は勧められません。

本人へ交付された給与・税・資格等の書類と、住民や業務の記録は分けます。保管する書類の考え方は退職後に保管しておく書類を参照してください。自分の経歴に関わる記録でも、業務資料全体を私有できるわけではありません。

正式な相談や公益通報と一般への公開を分ける

守秘義務があることは、職場の問題について何も相談できないという意味ではありません。服務、情報管理、職員相談、公益通報等は、対象と受付経路、必要な情報を確認して利用します。

公益通報者保護法第9条は、一般職の国家公務員等への取扱いを定めています。消費者庁の公式解説は、法定の要件に該当する公益通報と守秘義務の関係を説明する一方、通報に必要のない第三者の営業秘密や国の安全に関わる情報等を漏らす場合は別の問題が生じ得るとしています。

「公益のため」と本人が考えれば、どのような資料もSNSへ公開してよいという制度ではありません。通報先により要件も異なるため、内容、目的、相手、必要な範囲を確認します。個別の保護要件や適法性は記事で代行判断しません。

直属の上司以外の窓口が必要な場合は、所属の内部・外部窓口や、案件に対応する相談先を確認します。相談のための記録保全と、資料の私的持出し・無制限の転送を同一視せず、扱う情報に応じた方法を確かめてください。

伝えてよいか迷ったときの確認手順

情報のどの部分を、誰へ、何のために、どの方法で伝えたいかを具体的にします。公表された版があるならその資料名と範囲、本人が業務で加える説明があるならその内容を分けます。

担当への照会では、秘密該当性だけでなく、資料の複製や持出し、職務経歴への記載、原稿やSNSでの発信について、必要な確認を聞きます。相談したことだけで提供全体が承認されたとせず、回答の対象範囲を記録します。

資料の一部を見せる必要がある場合は、所属が指定する経路で提供し、私用アカウントや外部サービスへ流さないようにします。目的や相手が変わった場合も、以前の回答を無条件に使い回しません。

もし誤送信や誤投稿が疑われたら、日時、送信先、情報の種類、分かる範囲の状況を指定窓口へ報告します。削除だけで終えず、拡大防止と記録の取扱いを確認します。SNSの考え方は職員のSNS投稿のルールで整理しています。

経験の整理には無料相談の案内を利用できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。秘密や個別の法的判断は、所属の正式窓口や適切な専門相談先へ確認してください。

よくある質問

秘密の表示がなければ話してもよいですか

表示だけでは決まりません。情報の公表状況と実質的な保護の必要性等を確認します。管理上の持出し制限等も別にあるため、迷う情報は提供前に照会してください。

退職後なら以前の案件を説明できますか

退職後も守秘義務が続きます。公表可能な担当範囲や手順は整理し、非公開の相手方情報や内部判断等と区別します。

守秘義務があると公益通報もできませんか

一律にできないわけではありません。法定の要件に該当する通報と守秘義務の関係は公式解説でも示されています。不要な秘密の提供まで認められるとせず、適切な窓口と必要な範囲を確認します。

相談方法の確認にはLINEの案内も利用できます。内部資料を送らず、公開できる経歴と希望から情報収集を進めてください。

出典

  1. 国家公務員法 第100条
  2. 地方公務員法 第34条
  3. 消費者庁 公益通報者保護法逐条解説 第9条 特に7頁の秘密・守秘義務の説明
  4. 公益通報者保護法 第9条
  5. 千葉市 職員のソーシャルメディアの利用に関するガイドラインFAQ

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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