制度とお金 / 服務と法令上の制限
OB・OGからの働きかけの規制
再就職したOB・OGから仕事に関する連絡を受けたときは、以前の役職や親しさではなく、相手の現在の立場、契約・処分との関係、求められた行為を確認します。元職員との会話がすべて禁止されるわけではありませんが、挨拶や相談という名目だけで対象外とも判断できません。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国家公務員法第106条の4と地方公務員法第38条の2を中心に、現職の受け手と退職者の双方の確認手順を整理します。具体的な違反の有無は、適用法令と事実関係に基づいて正式な窓口へ確認してください。
規制は再就職者による契約等の要求・依頼を対象にする
国と地方の法令は、営利企業等の地位に就いた元職員などを再就職者として、元の組織の役職員に対する一定の要求・依頼を規制しています。営利企業等には一定の非営利法人も含まれ、対象から除かれる任用や退職派遣等の区分もあります。
規制の対象になるのは、法令が定める契約や行政上の処分に関する事務について、職務上の行為をする、又はしないよう要求・依頼することです。「不正なことをしてほしい」と明言された場合だけを検討する制度ではありません。
例えば再就職先に有利な契約条件の変更、処分の取扱い、未公表情報の提供などを求められた場合は、具体的な内容を確認します。ただし、個別の言葉だけを取り出して記事から違反と決めず、相手、対象事務、時期、職務との関係、例外を合わせて照会します。
連絡の方法は、電話、メール、面談、私的な会合などに分けて記録します。公用の窓口以外で話を受けたことだけで、職務に関する要求が私的な会話に変わるわけではありません。第三者が同席していた場合も、誰が何を求めたのかを明確にします。
原則の二年間と職務の範囲を一緒に確認する
国の第106条の4第1項、地方の第38条の2第1項は、離職前5年間に在職した所定の組織の役職員等に対し、離職前5年間の職務に属する契約等事務について、離職後2年間、一定の要求・依頼を禁じる枠組みです。
この説明の「2年間」だけを見て、退職者が元の職場のすべての人と話せないと受け取る必要はありません。一方、受け手が直接の旧同僚でないことや、現在の担当部署が変わっていることだけで規制と無関係とも言えません。法令上の組織と対象事務の範囲を確認します。
| 確認する要素 | 具体的にそろえる事実 |
|---|---|
| 再就職者の区分 | 元の任用、現在の法人・地位、適用除外の有無 |
| 期間 | 離職日、連絡を受けた日、適用される規制期間 |
| 元の職務 | 離職前の所属、担当事務、過去の職位 |
| 相手と契約等事務 | 再就職先や子法人と契約・処分との関係 |
| 求められたこと | どの職務上の行為をする・しないよう求めたか |
| 例外 | 法令・契約等に基づく行為か、正式な承認の有無 |
国では部課長等や局長等の経験者に関する範囲の拡大があります。地方でも同法第38条の2第4項の規定や、第8項に基づく条例による拡大があります。単に「退職前5年間だけ調べればよい」と決めず、過去の職位と所属の規定を確認してください。
自ら決定した契約・処分は二年だけで終わらない
国の第106条の4第4項、地方の第38条の2第5項は、在職中に締結や処分を自ら決定した案件についての規制を定めています。この規定には、離職後2年間という限定がありません。
したがって、2年が過ぎればどの案件にも自由に働きかけられるという理解はできません。再就職先等との契約・処分との関係や、本人が自ら決定した範囲を確認します。担当者として資料を作ったこと、会議に参加したこと、決定権限を行使したことを同一視しないようにします。
本人の役職名だけで、自ら決定した案件はないと推測することも避けます。正式な記録と権限を所属側の担当が確認できる形で照会します。退職者が内部資料の写しを自宅に保管して証明する方法は取りません。
青森県人事委員会の公式案内も、原則の期間と、自ら決定した契約・処分について期間の定めがないことを区分しています。同県の案内にある対象範囲の拡大は県の制度を含むため、他自治体の職位へそのまま当てはめるものではありません。
挨拶・公開情報・契約履行も内容を確かめる
国法第106条の4第5項、地方法第38条の2第6項には例外が列挙されています。法令や契約に基づく権利の行使・義務の履行、法令上の申請・届出、一定の競争手続、公開情報の提供依頼など、それぞれの要件に即して確認します。
挨拶にとどまり、契約や処分について職務上の行為を求めていない場合と、挨拶の後に契約条件や処分の取扱いの変更を求める場合は分けます。青森県のQ&Aも、単なる再就職の挨拶にとどまることを条件に届出不要と説明しています。名刺を渡したから必ず違反、挨拶と言えば必ず対象外、という説明はしません。
公開が予定される情報についても、予定日より前に開示するよう求める行為は、公開情報の例外と同じに扱えません。国・地方の条文はこの点を明示しています。公式サイトで公開された資料への案内と、未公表資料の先行提供を求める依頼を区別してください。
契約履行のための連絡も、名称だけで一律に対象外にはしません。どの契約上の権利・義務に基づく行為か、実際には別の便宜を求めていないかを確認します。また、公務の公正性に支障が生じない場合の承認制度は、所定の手続きによる承認が必要です。現職の上司との口頭の了解だけで代用しないようにします。
現職の受け手にも届出が必要になる
国の国家公務員法第106条の4は、禁止される要求・依頼を受けた職員について、所定の例外を除き、再就職等監察官への届出を定めています。地方公務員法第38条の2第7項は、人事委員会又は公平委員会への届出を定めています。
働きかけに応じなかったとしても、要求・依頼を受けたこと自体の届出が不要になるとは限りません。「断ったので終わり」「上司に口頭で話したので提出は済んだ」と考えず、本人の適用制度の様式と経路を確認してください。
青森県の案内は、同県や公平委員会事務を委託する団体に関する受付、届出様式、提出方法を示しています。他の自治体の職員が同じ窓口へ一律に提出するものではありません。自分の人事委員会・公平委員会等の案内を確認します。
判断がつかない段階でも、連絡の内容を人事・退職管理担当へ照会できます。相談したことと正式な届出が受理されたことは分け、届出が必要と分かったら指定経路で手続きを行います。個別の違反認定や処分は、記事や本人の推測で決めません。
受けた連絡は事実を分けて記録する
記録には、連絡日時、方法、相手の氏名・現在の法人と地位、同席者、対象案件、求められた行為、自分の返答をそろえます。相手の発言と自分の解釈を区別し、分からない職歴や意図を推測で埋めないことが大切です。
仮の記録例なら、「元職員から再就職の挨拶。その後、当該企業の契約に関する未公表の情報を求められた。情報の提供はせず、正式窓口での確認が必要と伝えた」のように、時系列と対応を分けます。実在の案件や違反認定の例ではありません。
関連するメールや書面は所属の管理下で保全し、私用メールへ転送して証拠を作ることはしません。追加のやり取りがある場合も、資料の扱いと回答経路を上司・担当窓口と確認します。相手に合わせて秘密情報を提供したり、経緯を隠す約束をしたりしないようにしましょう。
自分が退職後に連絡する側になる場合も、現在の勤務先へ担当できる範囲を伝えます。元職場との人脈を使う役割を採用条件として求められたら、就職を約束する前に規制との関係を確認してください。届出制度は再就職の届出制度に整理しています。
仕事内容や担当範囲を比較する際は求人情報も利用できます。現職を続ける判断と並べて、本人が希望する役割を整理してください。
よくある質問
元上司から挨拶の連絡があれば、必ず届出が必要ですか?
連絡があっただけで一律に決まるものではありません。挨拶にとどまるか、契約・処分について要求・依頼があるか、法令上の対象と例外を具体的に確認します。
退職から二年が過ぎればどの案件でも働きかけできますか?
自ら決定した契約・処分に関する規制には、2年間という限定がありません。過去の職位による範囲の拡大も含め、本人の職務と案件に即して確認してください。
要求を断った現職の職員は何もしなくてよいですか?
応じなかった場合でも、禁止される要求・依頼を受けたことについて届出が必要になる場合があります。国は再就職等監察官、地方は人事委員会・公平委員会等の正式な経路を確認します。
希望する仕事の整理には相談フォームをご利用ください。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。短い連絡にはLINEも利用できます。具体的な働きかけの判断と届出は、所属・旧所属の正式な窓口へ確認してください。