制度とお金 / 休暇
休職からの復職と、そのあとの選択
病気休職から復職する時期は、転職を考える方が最も迷う時期です。「復職しても同じ職場に戻るだけではないか」「復職せずに転職したほうが早いのではないか」——面談で伺う迷いは、この2つに集約されます。
結論から書くと、復職してから転職を考えるほうが、制度の面でも、経歴の面でも、判断の面でも有利です。休職中に転職先を決めて退職する形は、傷病手当金、退職手当、経歴の説明のすべてで不利が重なります。
この記事では、休職からの復職の仕組み(当然終了、手続き、配属、給与)、段階的な復職の制度、そして復職後に転職を考える場合の時期と説明の仕方を整理します。復職の手続きと効果は自治体の条例によるので、人事の担当課で確かめてください。休職そのものは病気休暇と病気休職に書いています。
復職の仕組み——事由が消滅すれば当然に終了
| 規定 | 内容 |
|---|---|
| 地方公務員法第28条第2項第1号 | 心身の故障のため、長期の休養を要する場合に、意に反して休職することができる |
| 第28条第3項 | 休職の手続きと効果は、法律に特別の定めがある場合を除くほか、条例で定める |
| 国家公務員法第80条(国の例) | 休職期間中にその事故の消滅したときは、休職は当然終了したものとし、速やかに復職を命じなければならない。いかなる休職も、その事由が消滅したときは当然に終了したものとみなされる |
| 人事院規則一一―四第4条(国の例) | 休職中の職員は、休職にされた時占めていた官職または休職中に異動した官職を保有する |
休職は、療養という事由がある間の状態で、事由が消滅すれば当然に終了します。復職は、任命権者の裁量で認めるものではなく、事由の消滅を確認して速やかに命じるものです。自治体の条例も、国の例に準じた形が一般的です。
復職の手続き——事由の消滅の確認
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 主治医の診断 | 復職が可能である旨の診断書。勤務の形態(フルタイム、段階的)についての意見 |
| 産業医・指定医の面談 | 自治体の産業医や指定する医師が、復職の可否と条件を判断する自治体が多い |
| 復職の面談 | 所属と人事の担当課が、復職後の業務、配属、勤務の形態を本人と確かめる |
| 復職の発令 | 休職の終了と復職を命じる |
| 段階的な復職 | 自治体の制度により、休職中の「試し出勤」(慣らし勤務)や、復職後の短時間の勤務から始める形がある |
「事由の消滅」の判断は、主治医の診断だけでなく、自治体の産業医などの判断を経ることが多いです。主治医が復職可能と判断しても、自治体の側が業務に耐えられるかを確かめる手続きが入ります。復職の時期を焦らず、主治医と自治体の両方の判断が揃ってから復職するのが、再発を避ける形です。
復職後の配属と給与
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 配属 | 休職前の職を保有しているので、原則として休職前の職に戻る。再発の防止のため、業務の負荷の少ない部署や業務に配置する運用も多い(本人の同意を得て) |
| 給与 | 復職で通常の給与に戻る。休職中の減額・無給は終了 |
| 昇給 | 条例により、休職の期間は昇給の期間に算入されないか、復職時に調整(復職時調整)される |
| 傷病手当金 | 復職で給与が支給されるので、原則として終了。同じ病気で再び勤務できなくなった場合の扱いは、支給の開始からの期間(1年6か月)との関係で共済組合に確かめる |
| 退職手当 | 休職の期間は、国の例で在職期間から2分の1が除算される(国家公務員退職手当法第7条第4項)。復職後の期間は通常どおり算入 |
財政課で休職した方が、復職で財政課に戻るかどうかは、自治体の運用と本人の希望によります。負荷の少ない部署への配置は、降任ではなく、再発を防ぐための配慮として行われるのが一般的です。
復職後に転職を考える——時期と説明
| 点 | 内容 |
|---|---|
| 復職してから考える | 休職中の転職は、療養が前提の休職の趣旨に反し、傷病手当金の扱い、退職手当の除算、経歴の説明のすべてで不利。復職して勤務の実績を作ってから |
| 復職後の期間 | 復職の直後は再発のリスクがあり、転職先での勤務に耐えられるかの見極めが要る。一定の期間、安定して勤務してから転職活動を始めるのが、本人にとっても転職先にとっても安全 |
| 経歴の説明 | 休職の期間は、転職先には「病気で休職し、復職して○か月勤務している」と事実で説明できる。復職して働いていることが、回復の証明 |
| 病歴の申告 | 業務に支障がある場合など、限られた範囲で申告の義務が生じることがある。入社後の勤務に影響する場合は、伝えたうえで条件を確かめるのが双方のため |
| 転職先の選び方 | 休職の原因(業務量、人間関係、業務の性質)を自分で整理し、同じ原因が転職先にないかを確かめる |
「復職しても同じ職場に戻るだけ」という不安は、負荷の少ない配置の運用と、復職後に転職を考える自由があることで、和らぎます。復職は、転職を諦めることではなく、転職を有利に進めるための土台です。
休職の期間の満了——復職できない場合
休職の期間(国の例で3年を超えない範囲)が満了しても事由が消滅しない場合、第28条第1項第2号(心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、またはこれに堪えない場合)により、意に反する免職の対象になり得ます。この場合の退職は、自己都合退職ではなく、分限免職として、退職手当の扱いが条例で別に定められています。期間の満了が近づいている方は、人事の担当課に、満了時の扱いと退職手当を確かめてください。転職を考えるなら、満了の前に、回復の程度に応じて判断する必要があります。
転職するとどうなるか
休職中または復職後に転職を考えている方にとって、効いてくる点は3つです。
1. 復職してから転職を考える
休職中の転職は、傷病手当金、退職手当、経歴の説明のすべてで不利です。復職して勤務の実績を作ってから。
2. 復職後の一定の期間の勤務が、回復の証明になる
「復職して○か月勤務している」という事実が、転職先への最も確かな説明です。
3. 休職の原因を整理して、転職先に同じ原因がないかを確かめる
業務量、人間関係、業務の性質。同じ原因の転職先に移れば、再発の可能性があります。
手続きと期限
| 順序 | 手続き | 時期 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 回復が見えてきたら | 主治医に復職の可否と勤務の形態を相談 | 主治医の判断で | 主治医 |
| 復職の前 | 産業医などの面談、復職の面談(業務、配属、勤務の形態) | 復職の前 | 人事の担当課、所属 |
| 復職の前 | 段階的な復職の制度(試し出勤、短時間からの復帰)の有無を確かめる | 復職の前 | 人事の担当課 |
| 復職 | 復職の発令。給与が通常に戻る。傷病手当金の終了の手続き | 復職の日 | 人事の担当課、共済組合 |
| 復職後 | 一定の期間、安定して勤務する。休職の原因を整理する | 復職後 | ── |
| 転職を考えるなら | 安定した勤務の実績を作ってから活動を始める。転職先に同じ原因がないかを確かめる | 安定後 | ── |
| 休職の期間の満了が近い場合 | 満了時の扱いと退職手当を人事の担当課に確かめる | 満了の前 | 人事の担当課 |
誤解されやすい点
「復職は任命権者が認めるかどうかで決まる」と思い込む
事由が消滅すれば休職は当然に終了し、速やかに復職を命じるのが国の例です(国家公務員法第80条)。手続きとして産業医などの判断は入ります。
「復職すると必ず元の職場に戻される」と思い込む
休職前の職を保有していますが、再発の防止のために負荷の少ない配置をする運用が多いです。
「休職中に転職したほうが早い」と思い込む
傷病手当金、退職手当の除算、経歴の説明のすべてで不利です。復職の実績を作ってからのほうが、結果として早く、安定します。
「休職の経歴があると転職できない」と思い込む
復職して働いている事実が回復の証明です。事実で説明すれば、休職の経歴は一般的な事情として理解されます。
まとめ
- 休職は、療養という事由がある間の状態で、事由が消滅すれば当然に終了し、速やかに復職を命じるのが国の例です(国家公務員法第80条)。手続きと効果は条例で定めます(地方公務員法第28条第3項)
- 復職の手続きは、主治医の診断、産業医などの面談、復職の面談、発令の順で、段階的な復職(試し出勤、短時間からの復帰)の制度を設けている自治体もあります
- 休職前の職を保有していますが、再発の防止のために負荷の少ない配置をする運用が多く、給与は通常に戻り、傷病手当金は原則として終了します。休職の期間は退職手当の在職期間から国の例で2分の1が除算されます
- 休職中の転職は、傷病手当金、退職手当、経歴の説明のすべてで不利です。復職して一定の期間勤務してから転職を考えるのが、制度の面でも経歴の面でも有利です
- 「復職して○か月勤務している」という事実が、回復の最も確かな証明です。休職の原因を整理し、転職先に同じ原因がないかを確かめてください
- 休職の期間が満了しても事由が消滅しない場合は分限免職の対象になり得るので、満了が近い方は人事の担当課に扱いを確かめてください
よくある質問
復職したら財政課に戻されますか。戻りたくない場合はどうすればよいですか
休職前の職を保有しているので原則は財政課に戻りますが、再発の防止のために負荷の少ない部署に配置する運用が多く、本人の希望を復職の面談で伝えられます。人事院規則一一―四第4条の国の例では、休職中の職員は休職にされた時占めていた官職を保有するとされ、自治体も同様なので、復職の原則は休職前の職です。ただし、心身の故障による休職からの復職では、同じ業務の負荷で再発することを避けるため、業務の負荷の少ない部署や業務に配置する運用が一般的で、これは降任ではなく配慮として行われます。復職の面談で、主治医の意見(勤務の形態、避けるべき業務)と本人の希望を伝えれば、配属の判断の材料になります。「財政課の業務量が原因で休職したので、復職後は別の部署を希望する」と伝えることは、復職の面談の場では自然な希望です。配属の最終的な判断は任命権者ですが、主治医の意見が付いていれば、希望が考慮されることが多いです。復職後に、一定の期間勤務して安定してから、転職を考えるか、財政課に戻るか、別の部署で続けるかを改めて決められます。
復職して3か月です。転職活動を始めてよいですか
主治医が転職活動と転職先での勤務に耐えられると判断すれば、始められます。安定した勤務の実績が、転職先への説明の材料になります。復職後の転職活動を禁じる規定はなく、復職して勤務している職員は、他の職員と同じように勤務時間外に転職活動ができます。注意するのは、復職の直後は再発のリスクがあり、転職活動の負荷(面接、書類、転職先の選定)と、転職後の新しい環境の負荷が、回復の途中の方には大きいことです。主治医に「転職活動を始めてよいか、転職先での勤務に耐えられるか」を相談し、判断を優先してください。転職先への説明は、「病気で休職し、復職して3か月勤務している」と事実で伝えれば、休職は一般的な事情として理解されます。復職後の期間が長いほど、回復の証明として説得力が増すので、急がないなら、半年から1年の安定した勤務の後に活動を始めるほうが、転職先の評価も、転職後の安定も有利です。休職の原因(業務量、人間関係、業務の性質)を整理し、転職先に同じ原因がないかを内定の段階で確かめることも忘れないでください。
休職の期間がもうすぐ満了します。復職できない場合、どうなりますか
休職の期間が満了しても事由が消滅しない場合、心身の故障のため職務の遂行に支障があるとして、意に反する免職(分限免職)の対象になり得ます。満了の前に、人事の担当課に扱いと退職手当を確かめてください。地方公務員法第28条第1項第2号は、心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、またはこれに堪えない場合を、意に反する降任・免職の事由と定めています。休職の期間(国の例で3年を超えない範囲、自治体の条例による)が満了しても復職できない場合、この規定により免職されることがあります。分限免職は懲戒免職とは違い、退職手当は条例により支給されますが、自己都合退職とは別の区分で計算されるので、額を人事の担当課に確かめてください。満了の前に自分から退職を申し出る道もあり、その場合は自己都合退職または傷病による退職として扱われ、退職手当の区分が変わることがあります。どちらが有利かは条例の支給率によるので、満了の前に両方の見込額を聞いてください。傷病手当金は、退職前から受けていれば退職後も継続の仕組みがあり(短期給付とは何か)、退職後の健康保険は任意継続、国民健康保険、家族の扶養のいずれかです(退職後の健康保険、3つの選択肢)。回復の見込みがある場合は、主治医の診断書をもとに、休職の期間の延長(条例の上限の範囲内)が可能かも確かめてください。