財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

制度とお金 / 共済

退職後の健康保険、3つの選択肢

退職の翌日から、共済組合の組合員証は使えません。その日から、別の健康保険に入っている必要があります。

選択肢は、任意継続組合員、国民健康保険、転職先の健康保険の3つです。転職先に翌日入社するなら3つ目で決まり、間があくなら1つ目か2つ目を選びます。家族が勤務先の健康保険に入っていれば、その扶養に入るという4つ目の道もあります。

この記事では、それぞれの要件、期限、保険料の決まり方、家族の扱いを、地方公務員等共済組合法、国民健康保険法、健康保険法の条文で整理します。保険料の額は人によって逆転するので、この記事は選び方の枠組みです。自分の額は、共済組合と市区町村の両方で見込みを聞いてください。共済の短期給付そのものは短期給付とは何かに書いています。

出発点——何もしなければ国民健康保険の被保険者になる

国民健康保険法第5条は、都道府県の区域内に住所を有する者は国民健康保険の被保険者とすると定め、第6条が、健康保険の被保険者、共済組合の組合員、それらの被扶養者などを適用除外としています。

つまり、退職して共済組合の組合員でなくなり、他の健康保険にも入っていなければ、法律上は自動的に国民健康保険の被保険者です。「入らない」という選択はありません。届出をしていなくても被保険者になっていて、保険料は遡って発生します。

選択肢1:任意継続組合員——共済の短期給付を続ける

地方公務員等共済組合法第144条の2の仕組みです。

項目内容
要件退職の日の前日まで引き続き1年以上組合員であったこと
期限退職の日から起算して20日を経過する日までに申出
期間最長2年(任意継続組合員となった日から2年で資格喪失)
保険料在職中の短期給付・福祉事業の掛金に、自治体の負担金相当を加えた額を本人が負担。組合が政令の基準で定める上限あり
家族在職中と同じ被扶養者の扱いが続く。家族の分の保険料は増えない
給付医療費の給付は続く。傷病手当金・出産手当金は支給されない
注意初回の掛金を払込期日までに払わないと不成立

在職中の掛金のおよそ2倍が目安です(自治体の負担金相当が加わるため)。ただし、掛金の算定の基礎になる標準報酬に上限を設けている組合が多いので、給与が高かった方は2倍より小さくなることがあります。共済組合に見込みを聞いてください。

選択肢2:国民健康保険——市区町村の制度に入る

項目内容
要件住所を有し、他の健康保険に入っていないこと(国民健康保険法第5条・第6条)
期限資格の取得を世帯主が市区町村に届け出る(第9条)。多くの市区町村が退職後14日以内と案内
期間転職先の健康保険に入るまで
保険料前年の所得と世帯の構成で市区町村が計算
家族扶養の概念がなく、家族も1人ずつ被保険者になり、世帯の人数に応じて保険料が計算される
給付医療費の給付。傷病手当金は原則としてない

退職した年度の保険料は、前年(在職中)の所得が基礎なので高めに出ることがあり、翌年度は退職の年の所得が基礎なので下がります。家族が多いほど保険料が増える点が、任意継続との大きな違いです。

選択肢3:転職先の健康保険——空白なく切り替わる

転職先が健康保険の適用事業所なら、入社日から健康保険の被保険者になります。退職日の翌日が入社日なら、空白はありません。保険料は転職先の健康保険(健康保険組合か協会けんぽ)の料率で、標準報酬に応じて労使で負担します。家族は、要件を満たせば被扶養者になります。

入社日が退職日の翌日でなければ、その間だけ選択肢1か2が要ります。空白が短くても、退職の翌日から入社の前日までの分は、任意継続か国民健康保険のどちらかです。

選択肢4:家族の扶養に入る——保険料がかからない

配偶者や親が勤務先の健康保険に入っていれば、その被扶養者になる道があります。健康保険法第3条第7項は、被扶養者を、被保険者の配偶者・子・父母などで主としてその被保険者により生計を維持するものと定めています。年収の要件があり、実務では原則として130万円未満などの基準が用いられています。

被扶養者になれば、本人の保険料はかかりません。ただし、退職の年の収入や、失業者の退職手当などの給付の受給の状況によっては要件を満たさないことがあります。家族の勤務先の健康保険に、要件と手続きを確かめてください。

4つを並べる

任意継続国民健康保険転職先の健康保険家族の扶養
保険料在職中の掛金+自治体の負担金相当前年の所得と世帯の構成転職先の料率で労使負担かからない
家族の分増えない1人ずつ増える被扶養者なら増えない──
期限退職の日から20日資格喪失後速やかに入社日家族の勤務先の定め
期間最長2年入社まで在職中要件を満たす間
向いている扶養する家族が多い、空白が長い単身、退職の年の所得が低い翌日入社空白の間に収入がない

どれが安いかは、人によって逆転します。扶養する家族が多い方は任意継続が有利になりやすく、単身で退職の年の所得が低い方は国民健康保険が有利になることがあります。額の比べ方は、後の記事で扱います。

転職するとどうなるか

転職を考えている方にとって、健康保険の選択で効いてくる点は3つです。

1. 空白があるかを先に確かめる

退職日の翌日が入社日なら、何もしなくてよい。空白があれば、任意継続か国民健康保険です。

2. 家族の人数と、退職の年の所得で、有利なほうが変わる

共済組合と市区町村の両方に見込みを聞いて、並べてください。

3. 任意継続は20日、国民健康保険は速やかに

期限を過ぎると任意継続は選べません。国民健康保険は届出が遅れても遡って被保険者になり、保険料も遡ります。

手続きと期限

選択肢手続き期限場所
任意継続申出と初回の掛金の払込み退職の日から20日以内、払込期日まで共済組合
国民健康保険世帯主が資格取得の届出(第9条)資格喪失後速やかに(多くの市区町村が14日以内と案内)市区町村
転職先の健康保険転職先が資格取得の届出入社日転職先
家族の扶養家族の勤務先を通じて被扶養者の届出家族の勤務先の定め家族の勤務先

退職後に受診する予定がある方は、切替えの手続きを退職前に段取りしておいてください。保険証が届く前に受診した場合は、いったん全額を負担し、後から加入している制度に療養費を請求する形になります。

誤解されやすい点

「空白が短ければ健康保険に入らなくてよい」と思い込む

法律上は自動的に国民健康保険の被保険者です(国民健康保険法第5条)。届出をしなくても保険料は遡って発生します。

「任意継続の保険料は在職中と同じ」と思い込む

自治体の負担金相当が加わるので、およそ2倍が目安です(第144条の2第2項)。

「国民健康保険にも扶養がある」と思い込む

扶養の概念がなく、家族も1人ずつ被保険者です。家族が多いと保険料が増えます。

「任意継続は後からでも選べる」と思い込む

退職の日から20日を過ぎると選べません。

財政・会計の経験が効く求人を見てみる

まとめ

よくある質問

退職から入社まで10日だけ空きます。健康保険はどうすればよいですか

10日でも、その間は他の健康保険に入っていなければ法律上は国民健康保険の被保険者です(国民健康保険法第5条)。選択肢は、任意継続か国民健康保険です。10日だけなら、市区町村で国民健康保険の資格取得の届出をして、入社後に転職先の健康保険に切り替わったら喪失の届出をするのが一般的な形です。保険料は月単位で計算されるので、退職の月と入社の月の関係で1か月分が発生するかどうかが変わります。任意継続は2年の制度なので、10日の空白のために選ぶ方は少ないですが、比べたい場合は共済組合に見込みを聞いてください。受診の予定がなければ、届出だけして保険証を受け取っておく形で足ります。

扶養している配偶者と子が2人います。任意継続と国民健康保険のどちらが安いですか

扶養する家族が多い方は、任意継続が有利になりやすいです。任意継続の掛金は、在職中の掛金に自治体の負担金相当を加えた額で、被扶養者の人数が増えても掛金は変わりません(地方公務員等共済組合法第144条の2)。国民健康保険は扶養の概念がなく、配偶者と子2人も1人ずつ被保険者になり、世帯の人数に応じて保険料が計算されます。4人分の国民健康保険の保険料と、1人分の任意継続の掛金を比べる形です。ただし、任意継続の掛金には標準報酬の上限があり、国民健康保険の保険料は前年の所得で変わるので、額は人によって逆転します。共済組合と市区町村の両方に見込みを聞いて、並べてください。

退職後、配偶者の勤務先の健康保険の扶養に入れますか

要件を満たせば入れます。健康保険法第3条第7項は、被扶養者を、被保険者の配偶者などで主としてその被保険者により生計を維持するものと定めています。実務では年収の要件(原則として130万円未満などの基準)が用いられ、退職後の収入の見込みで判断されます。退職の年の給与は退職までの分で、退職手当は一時金なので、扱いは配偶者の勤務先の健康保険の認定の基準によります。失業者の退職手当などの給付を受ける場合は、その日額によって要件を満たさないことがあります。配偶者の勤務先を通じて、要件と必要な書類を確かめてください。被扶養者になれば本人の保険料はかからないので、空白の間に収入がない方には有利な道です。

出典

  1. 地方公務員等共済組合法 第144条の2(任意継続組合員に対する短期給付等)|e-Gov法令検索
  2. 国民健康保険法 第5条(被保険者)/第6条(適用除外)/第9条(届出等)|e-Gov法令検索
  3. 健康保険法 第3条(定義)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。