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制度とお金 / 給与・手当

減給処分の仕組みと期間

減給という言葉は、懲戒処分、欠勤した時間の給与減額、職務や役職の変更による給与の変化など、異なる場面で使われます。まず、何を根拠に、いつからいつまで、どの金額を減らすのかを分けて読む必要があります。

この記事では、主に一般職の地方公務員の懲戒としての減給を扱います。地方公務員法が処分の種類を定め、具体的な手続と効果は条例で定める仕組みです。国の規則を参考にしつつ、所属の条例と自分の処分文書を確かめます。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。個別の処分の適法性や不服申立てについては、人事委員会・公平委員会の窓口や弁護士に確認してください。

減給処分は懲戒の一つで、期間を区切って行う

地方公務員法第29条第1項には、懲戒処分として戒告、減給、停職、免職が列挙されています。対象となるのは、法令等への違反、職務上の義務違反や職務の懈怠、全体の奉仕者としてふさわしくない非行に該当する場合です。同条第4項は、法律に特別の定めがある場合を除き、懲戒の手続と効果を条例で定めるとしています。

このため、「公務員の減給は全国で必ず同じ割合、同じ月数になる」とは言えません。自治体の懲戒に関する条例を確認し、さらに処分の内容を記した文書を読みます。条例が示す上限と、個別に決定された割合や期間は別の情報です。上限の数字を見つけたからといって、自分にもその最大限の処分が適用されるわけではありません。

処分基準や指針が公開されている場合は、それも手掛かりになります。ただし、基準に示された標準的な処分の種類と、実際の処分は同一とは限りません。事情の考慮に関する定めも含めて読む必要があります。この記事から、特定の行為なら減給になると予測することはできません。

また、職務を続けながら給与の一定額が減る減給と、職務に従事しない停職は異なります。名称を省略せず、文書に記載された処分の種類から確認します。口頭で聞いた「給料が減る」という説明だけでは、懲戒の種類までは判断できません。

国の規則は「発令日に受ける俸給」を基準にする

国家公務員の例では、人事院規則12―0第3条が、減給の期間を1年以下とし、発令の日に受ける俸給月額の5分の1以下に相当する額を給与から減ずると定めています。さらに、その減ずる額が現に受ける俸給月額の5分の1を超える場合には、その額を上限とする定めがあります。

ここでは、基準になる俸給月額、減ずる割合、処分期間をそれぞれ読みます。給与明細の振込額から単純に一定割合を引くという意味ではありません。俸給と各種手当を合わせた給与総額、税や社会保険料などを引いた手取り額は、いずれも別の数字です。

地方公務員は、国のこの規則をそのまま適用するのではなく、所属の条例で確認します。条例がどの時点の給料月額を基準にしているか、処分期間中に給料額が変わる場合の扱いはどうかも読みます。処分の途中で昇給などがあった場合に、自分で減額を計算し直して確定額とするのは避けてください。

文書で確認する事項確認する理由
根拠となる条例・規則自分に適用される上限と計算方法を特定する
処分の発令日と期間最初と最後の給与計算を確認する
減給の基準となる額給料と給与総額、手取りを混同しない
減ずる割合または額毎月の明細に反映される内容を確かめる
月の途中の取扱い初月と最終月の計算を担当に尋ねる

仕事の選択肢を調べる場合は、行政が相手の求人を見てみることもできます。処分の確認と応募の判断は、分けて整理します。

給与が減る他の仕組みと混同しない

欠勤等による減額は、勤務しなかった時間に応じた給与の計算です。減給という懲戒処分とは根拠が違います。処分の対象になる行為があり、同時に不勤務時間の給与計算も発生する場合は、一つの減額だとまとめず、それぞれの根拠と金額を確認します。

職務や役職の変更に伴う給与の変化も、一定期間だけ減額する懲戒の減給と同じものではありません。処分期間が終わったからといって、役職手当などが自動的に以前と同じ状態に戻るとは限りません。職務や級の変更がある場合は、その発令を別に確認します。

賞与や昇給への影響も、月例の減給とは別の確認事項です。期末手当、勤勉手当、昇給のそれぞれに関する規定を給与担当に示してもらいます。懲戒処分による毎月の減額が終了したことだけで、次の賞与や昇給まで影響がなくなったとは判断できません。反対に、根拠を確かめず将来も減り続けると考える必要もありません。

給与の変化全体は、給与が減額される場面でも整理しています。今回はどの欄に当たるかを分けると、担当者への質問も具体的になります。

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説明書を受け取ったら、期限を先に確認する

地方公務員法第49条は、懲戒その他の不利益処分を行う際に、処分の事由を記載した説明書を交付することを定めています。説明書には、人事委員会または公平委員会への審査請求ができる旨と、その期間を記載する定めもあります。処分の理由と不服申立ての案内は、給与計算の照会とは別に確認します。

同法第49条の3では、審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内で、処分があった日の翌日から起算して1年を経過したときはできないとされています。実際の期限や手続は、説明書の教示と委員会の窓口で早めに確認してください。給与担当への質問や所属との話合いをしている間も、期限の確認を後回しにしないことが大切です。

手元には、処分の文書と説明書、受け取った日が分かる記録、根拠として案内された条例や規則、給与明細、担当への照会と回答を残します。記録を作る際は、職務上の秘密や第三者の個人情報を私用の端末へ持ち出さないよう、所属の情報管理ルールに従います。相談に必要な資料の扱いが分からなければ、委員会や弁護士に相談します。

説明に納得できないことと、給与計算に誤りがあることも別の問題です。計算の確認は給与担当、不服申立ての手続は人事委員会・公平委員会というように窓口を分けます。一つの窓口に相談しただけで、すべての手続が始まったとは考えないでください。

民間企業の減給制裁には別の上限がある

民間企業への転職後は、公務員の懲戒の規則ではなく、労働法令と会社の就業規則などが判断の基礎になります。労働基準法第91条では、減給の制裁を定める場合、1回の額は平均賃金1日分の半額を超えず、総額は一賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。

この上限を、そのまま地方公務員の減給処分に使うことはできません。地方公務員法第58条第3項は、労働基準法の一定の規定を適用除外としており、第91条もその範囲に入ります。公務員と民間では根拠が違うため、数字だけを並べて重い、軽いと判断しないようにします。

民間でも、労働基準法第91条があらゆる給与減額を同じように制限するわけではありません。勤務しなかった期間の扱いや職務変更に伴う給与の変化などは、減給の制裁と区別して考えます。入社を検討する会社では、賃金規程、懲戒規程、賞与の算定方法をそれぞれ確認する必要があります。

転職を考える場合は、経緯と今後の対応を分ける

処分を受けたからといって、退職が唯一の選択になるわけではありません。現職で職務を続ける場合の条件、再発防止に向けた対応、給与の見通しを確認した上で、外の仕事を比較する順番もあります。生活費の見込みに減給が影響するなら、まず現在の勤務を続けた場合の収支を整理します。

応募時に処分歴を尋ねられた場合は、質問事項に沿って事実を正確に伝えます。応募書類の記載範囲や説明に迷う場合は、自己判断で事実を隠す方法を探すのではなく、専門家に相談します。処分の理由、確認できている事実、再発防止の取組、今後担える仕事を分けると、説明の論点を整理しやすくなります。

仕事の経験の整理から始める場合は、LINEで短く聞くこともできます。法的な手続の相談と、経歴をどう説明するかの相談を分けて進めます。

よくある質問

減給処分の期間が終われば、手取りは元に戻りますか

月例給与からの処分による減額が終了しても、手当、賞与、税や社会保険料などの条件が同じとは限りません。減給が終わる支給月と、そのほかの項目への影響を給与担当に確認してください。振込額だけでは、処分が続いているかどうかを判断できません。

国の1年以下、5分の1以下が自治体にも適用されますか

所属の条例で確認する必要があります。地方公務員法第29条第4項は、懲戒の手続と効果を原則として条例で定めるとしています。国の規則と似た規定があっても、条文の基準額や計算方法を読み、自分の処分文書に示された期間と割合を確かめます。

処分に疑問があるときは、人事担当に聞けば足りますか

給与の計算を確認することと、処分について審査請求をすることは別です。説明書に書かれた不服申立ての案内と期限を読み、人事委員会・公平委員会の窓口や弁護士に手続を確認してください。担当との相談だけで、審査請求の手続まで完了したとは考えないようにします。

出典

  1. 地方公務員法 第29条・第49条・第49条の3・第58条
  2. 人事院規則一二―〇(職員の懲戒)第3条・第5条
  3. 労働基準法 第91条
  4. 厚生労働省 減給処分として賞与を全額不支給とすることは可能か

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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