制度とお金 / 給与・手当
退職する年の期末・勤勉手当はどうなるか
退職日を決めるとき、多くの人が気にするのが「その年の6月や12月の手当は出るのか」という点です。公務員のいわゆるボーナスは期末手当と勤勉手当の2つで、どちらも基準日を軸に支給が決まります。退職日が基準日の前か後か、前ならどれだけ前かで、受け取れるかどうかと額が変わります。
この記事では、退職する年の期末・勤勉手当について、退職日ごとの扱い、額が下がる理由、支給されない場合、退職手当や転職先の賞与との関係を整理します。期末手当そのものの仕組みは期末手当の記事に、退職時期の決め方全体は退職時期の記事にまとめているので、ここでは「退職する年」に絞って書きます。
地方公務員の期末・勤勉手当は、各自治体が条例と規則で基準日や割合を定めます。ここでは国の条文を例に、一般的な形を示します。自分の扱いは、所属の給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
2つの手当に共通する「基準日」と「前1か月以内」
地方自治法第204条第2項は、期末手当と勤勉手当を、条例で支給できる別々の手当として挙げています。国の給与法では、2つの手当が同じ形の規定を持っています。
| 項目 | 期末手当(第19条の4第1項) | 勤勉手当(第19条の7第1項) |
|---|---|---|
| 基準日 | 6月1日・12月1日 | 6月1日・12月1日 |
| 支給の対象 | 基準日に在職する職員 | 基準日に在職する職員 |
| 退職者の扱い | 基準日前1か月以内に退職した職員も対象 | 基準日前1か月以内に退職した職員も対象 |
| 支給日 | 6月30日・12月10日 | 6月30日・12月10日 |
支給日は人事院規則9-40第14条と別表第三で定められています。基準日が同じなので、退職日による「出る・出ない」の境目は、2つの手当でそろっています。
退職日ごとの扱い——国の形での早見表
国の条文の形にあてはめると、退職日と、その年の手当の関係は次のようになります。
| 退職日 | 6月の期末・勤勉手当 | 12月の期末・勤勉手当 |
|---|---|---|
| 3月31日(年度末) | 対象外(6月1日の1か月より前) | 対象外 |
| 4月30日 | 対象外 | 対象外 |
| 5月中(6月1日前1か月以内) | 対象 | 対象外 |
| 6月1日以後〜10月31日 | 対象(基準日に在職) | 対象外 |
| 11月中(12月1日前1か月以内) | 対象 | 対象 |
| 12月1日以後 | 対象 | 対象 |
「前1か月以内」の境目が何日になるかは、条例と規則の書き方で確かめてください。また、基準日に在職していれば、支給日の前に退職しても支給の対象になる作りです。ただし、基準日から支給日の前日までに懲戒免職の処分を受けた職員などには支給しないとされています(第19条の5、勤勉手当は第19条の7第5項で準用)。
退職する年に額が下がる2つの理由
対象になっても、満額になるとは限りません。退職する年の手当が下がりやすいのは、次の2つの理由です。
1. 退職日現在の額で計算する
期末手当基礎額は、退職した職員については退職した日現在の俸給などの月額で計算するとされています(第19条の4第4項)。勤勉手当でも、退職した職員は退職した日現在の額を使います(第19条の7第2項)。年度途中の昇給の前に辞めれば、その分は反映されません。
2. 勤務期間が短くなる
期末手当では在職期間の割合、勤勉手当では期間率が掛かります。どちらも基準日以前6か月以内の期間で見ます。たとえば5月31日に退職した場合、6月の手当の対象期間は12月2日から5月31日までのおよそ6か月になり、割合は大きく下がりません。一方、11月15日に退職した場合、12月の手当の対象期間は6月2日から11月15日までの5か月半ほどになり、割合が下がります。
勤勉手当の期間率は15日刻みで、別表第二は次のように定めています(抜粋)。
| 勤務期間 | 期間率 |
|---|---|
| 6か月 | 100分の100 |
| 5か月15日以上6か月未満 | 100分の95 |
| 5か月以上5か月15日未満 | 100分の90 |
| 4か月15日以上5か月未満 | 100分の80 |
期末手当の在職期間の割合は4段階で、5か月以上6か月未満なら100分の80です(第19条の4第2項)。同じ退職日でも、2つの手当で下がり方が違います。
勤勉手当の成績率は、退職する年でも基準日以前における直近の業績評価の結果で決まります(人事院規則9-40第13条)。成績率と人事評価の結びつきは勤勉手当の記事にまとめています。
支給されない場合——公務員どうしで移るとき
基準日前1か月以内の退職でも、支給されない場合があります。人事院規則9-40第2条(期末手当)と第8条(勤勉手当)は、次のような人を除くとしています。
| 該当する場合 | 扱い |
|---|---|
| 退職の後、基準日までに給与法の適用を受ける職員や特別職の国家公務員などになった | 支給しない |
| 退職に引き続き、一定の法人の職員や地方公務員(人事院の定める者)になった | 支給しない |
民間企業へ転職する場合はこの除外に当たりませんが、国や他の自治体に移る場合は、移り先の扱いとあわせて人事担当課で確かめてください。給与法第19条の6には、離職後に一定の事情があるとき支給を一時差し止める規定もあります。
転職するとどうなるか
1. 退職手当とは別に計算される
国の退職手当の基本額は、退職の日の俸給月額を基礎に計算するとされています(国家公務員退職手当法第3条第1項)。期末・勤勉手当は入りません。年度途中に退職したときの退職手当の扱いは年度途中に辞めると退職手当はどうなるかに書いています。
2. 転職先の最初の賞与は満額にならないことが多い
民間企業の賞与は会社の規程で決まり、査定期間に在籍していないと満額にならない作りが一般的です。退職の年は、公務員側の手当が在職期間の分だけ下がり、転職先の最初の賞与も在籍期間の分だけ少ない、という両側の目減りが重なりやすくなります。内定の段階で、最初の賞与の査定期間と在籍要件を確かめてください。
3. 退職の年の源泉徴収票を受け取る
退職する年の期末・勤勉手当も給与として源泉徴収の対象になるのが一般的な取扱いです。転職先で年末調整を受けるには、前の勤務先の源泉徴収票が必要です。手続きは年末調整は誰がやるかにまとめています。
応募先が決まっていない段階のほうが、整理する意味があります。相談の申込みはこちら
手続きと期限
1. 退職日を決める前に、条例と規則を確かめる
基準日、「前1か月以内」の扱い、在職期間の割合と期間率、除算される期間は条例と規則に書かれています。人事担当課に聞けば、自分の退職日での扱いを確かめられます。
2. 退職の申出の時期を決める
退職の申出から退職日までの期間は、自治体の規程や職場の慣行で違います。後任の配置や引継ぎもあるので、早めに相談するのが一般的です。
3. 最後の明細を保管する
退職する年の期末・勤勉手当の明細と源泉徴収票は、転職先での年末調整や確定申告で使います。
誤解されやすい点
「基準日の前に辞めたら手当は出ない」と思い込む
国の形では、基準日前1か月以内の退職なら支給の対象です(給与法第19条の4第1項、第19条の7第1項)。
「対象になれば満額出る」と思い込む
退職日現在の額で計算し、在職期間の割合と期間率が掛かります。勤勉手当の期間率は15日刻みです(人事院規則9-40別表第二)。
「国や他の自治体に移っても同じ」と思い込む
公務員どうしで移る場合は、前の勤務先からは支給されないことがあります(人事院規則9-40第2条・第8条)。
まとめ
- 期末手当と勤勉手当は、国ではどちらも6月1日・12月1日の基準日で支給が決まり、基準日前1か月以内の退職者も対象(給与法第19条の4第1項、第19条の7第1項)
- 年度末の3月31日に退職すると、国の形ではその年の6月・12月の手当はどちらも対象外
- 退職する年の額は、退職日現在の額と、基準日以前6か月以内の勤務期間で決まる。勤勉手当の期間率は15日刻み
- 退職の後に国の職員や一定の地方公務員などになると、支給されないことがある(人事院規則9-40第2条・第8条)
- 退職手当とは別の計算。転職先の最初の賞与の査定期間もあわせて確かめる
よくある質問
11月末で退職すると、12月の期末・勤勉手当はどうなりますか
国の形では、12月1日の基準日前1か月以内の退職なので、どちらも支給の対象になります。額は退職した日現在の俸給などで計算し、基準日以前6か月以内の在職期間・勤務期間の割合が掛かります。11月30日の退職なら、6月2日からの勤務期間はほぼ6か月になります。勤勉手当の成績率は、直近の業績評価の結果で決まります。自治体の扱いは条例と規則で定められているので、人事担当課で確かめてください。
退職後に別の自治体に採用される場合はどうなりますか
国の規則では、退職に引き続き一定の地方公務員になった場合などは、前の勤務先から支給しないとされています。人事院規則9-40第2条第3号と第8条は、退職に引き続き人事院の定める地方公務員などになった者を除くとしています。自治体どうしの移動の扱いは、それぞれの条例で定められているので、退職する側と採用する側の人事担当課の両方で確かめてください。在職期間の通算の扱いもあわせて聞いておくと確実です。
定年で退職する年の手当は、ほかと違いますか
期末・勤勉手当の基準日と退職日の関係は、定年退職でも同じ形です。国家公務員法第81条の6第1項は、定年に達した日以後の最初の3月31日か、任命権者があらかじめ指定する日のいずれか早い日に退職するとしています。年度末に退職する場合、退職する年度の6月と12月の手当は在職中に受け取り、翌年度の6月の手当は対象外になります。地方公務員の定年退職日は条例で定められ、退職後に再任用される場合などは扱いが変わることがあるので、所属の人事担当課で確かめてください。退職手当の支給の時期は退職手当はいつ振り込まれるかにまとめています。