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地域手当とは|支給割合は何で決まるか
同じ給料表、同じ級と号給でも、勤務地によって月々の支給額が違う。その差の大きな部分を占めているのが地域手当です。給与明細では毎月同じ額が入っているので、仕組みを気にしたことがない方も多いかもしれません。
地域手当は、勤務する地域の民間の賃金水準を基礎に、物価等も考慮して、給料などに一定の割合を掛けて支給する手当です。国では、どの地域を何級地にするか、各級地の割合をいくらにするかが法律と人事院規則で定められています。この記事では、地域手当の条文、支給割合の決まり方、2024年の見直しと経過措置、異動したときの扱い、転職との関係を整理します。
地方公務員の地域手当は、各自治体が条例で支給地域と割合を定めます。この記事では特定の自治体の割合を示しません。自分の割合は、所属の給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
地域手当の根拠——地方自治法第204条と給与条例
地方自治法第204条第2項は、条例で支給できる手当の1つに地域手当を挙げています。同条第3項は、手当の額と支給方法を条例で定めなければならないとしています。
地方公務員法第24条第2項は、職員の給与は生計費、国や他の自治体の職員の給与、民間事業の従事者の給与などを考慮して定めるとしています。地域ごとの民間賃金の差を給与に反映させる手段の1つが、地域手当です。
自治体の給与条例では、地域手当について次のようなことが定められているのが一般的です。
| 定めること | 内容 |
|---|---|
| 支給の対象 | どの地域・どの機関に勤務する職員に支給するか |
| 支給割合 | 給料などの合計に掛ける割合 |
| 算定の基礎 | 割合を掛ける対象(給料、扶養手当など) |
| 異動したときの扱い | 割合の低い地域へ移ったときの経過的な扱い |
国の地域手当——給与法第11条の3
国家公務員の地域手当は、給与法第11条の3に定められています。多くの自治体の制度はこれを参考にしているので、国の形を知っておくと自分の条例も読みやすくなります。
第1項は、地域手当を「当該地域における民間の賃金水準を基礎とし、当該地域における物価等を考慮して人事院規則で定める地域に在勤する職員」に支給するとしています。近接する地域で、民間賃金や物価等の事情がこれに準ずる地域にある官署で人事院規則が定めるものに在勤する職員も同様です。
第2項は、月額の計算方法を定めています。
| 級地 | 支給割合(第11条の3第2項) |
|---|---|
| 1級地 | 100分の20 |
| 2級地 | 100分の16 |
| 3級地 | 100分の12 |
| 4級地 | 100分の8 |
| 5級地 | 100分の4 |
月額は、俸給、俸給の特別調整額、専門スタッフ職調整手当、扶養手当の月額の合計額に、この割合を掛けた額です。どの地域が何級地かは人事院規則で定め(第3項)、人事院規則9-49は、支給地域を別表第一、官署を別表第二に掲げるとしています(第2条・第3条)。月額に1円未満の端数があるときは切り捨てます(第15条)。
このほか、特別の事情がある大規模な空港の区域に在勤する職員(第11条の4)や、医療職俸給表(一)の適用を受ける職員など(第11条の5)について、別の割合を定める規定もあります。
2024年の見直しと、令和10年3月までの経過措置
人事院の令和6年の勧告・報告の概要では、給与制度のアップデートの1つとして、地域手当を都道府県単位(中核的な市は個別指定)とし、級地を5段階に削減したうえで最新の民間賃金を反映すること、激変緩和を措置すること、異動保障を3年間に延長することが示されています。実施は令和7年4月とされています。
いまの給与法第11条の3第2項が5つの級地を定めているのは、この見直しを受けたものです。ただし、すぐに新しい割合へ切り替わるわけではありません。人事院規則9-49の附則は、令和10年3月31日までの間、支給地域を附則別表の地域とし、級地の区分を1パーセント級地から20パーセント級地まで、1パーセント刻みの17区分とする経過措置を置いています。
つまり、国の地域手当は、新しい5段階の割合へ向かって数年かけて段階的に動いている途中です。いまの自分の割合と、経過措置が終わった後の割合が違うことがあります。
自治体がこの見直しをどう取り入れるかは、条例改正によります。国と同じ時期・同じ内容で見直す自治体もあれば、時期や割合が違う自治体もあると考えられます。自分の自治体の扱いは、条例と人事担当課の通知で確かめてください。
割合の低い地域へ異動したとき——給与法第11条の7
国には、地域手当の割合が高い地域から低い地域へ異動したときの異動保障があります。給与法第11条の7は、異動の前日まで引き続き6か月を超えて在勤していたことなどを条件に、異動の日から3年を経過するまでの間、次の割合で地域手当を支給するとしています。
| 期間 | 支給割合 |
|---|---|
| 異動の日から1年まで | 異動前の支給割合 |
| 1年を超え2年まで | 異動前の支給割合の100分の80 |
| 2年を超え3年まで | 異動前の支給割合の100分の60 |
いずれも、異動後の地域の割合を下回るときだけに働く仕組みです。異動後の割合のほうが高くなれば、そちらが使われます。自治体の異動保障は、条例で期間や割合が定められています。
地域手当が連動するもの
地域手当は、ほかの給与の計算にも入ります。
| 連動するもの | 国の規定 |
|---|---|
| 時間外勤務の手当などの時間単価 | 俸給月額とこれに対する地域手当などの合計から計算(給与法第19条) |
| 期末手当の基礎額 | 俸給、扶養手当などの月額と、これらに対する地域手当などの合計(第19条の4) |
一方で、国の退職手当の基本額は、退職の日の俸給月額を基礎に計算するとされています(国家公務員退職手当法第3条第1項)。地域手当は入りません。毎月の支給額には効いていても、退職手当には効かない、という違いがあります。仕組みは基本額の計算の考え方に書いています。
転職するとどうなるか
1. 地域手当は公務員の制度で、民間に同じものがあるとは限らない
民間企業にも勤務地によって手当を付ける会社はありますが、名前も計算方法も会社ごとに違い、置いていない会社もあります。公務員の月給から地域手当を抜いた額と、民間の基本給を比べると、差を大きく見誤ります。比べるときは、地域手当を含めた年間の額で並べてください。
2. 勤務地が変わると、比べる相手も変わる
都市部の自治体から地方の企業へ、またはその逆へ移るときは、地域手当の有無だけでなく、生活費の違いも含めて考える必要があります。地域手当はもともと、地域の民間賃金と物価等の差を反映させるための手当です。
3. 公務員どうしの転職でも割合は変わる
ほかの自治体や国に移る場合は、移った先の条例や規則の割合が適用されます。経験者採用で移るときは、給料表の位置と合わせて、地域手当の割合も確かめてください。給料表の位置の確かめ方は給料表の読み方にまとめています。
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誤解されやすい点
「地域手当は住んでいる場所で決まる」と思い込む
国の地域手当は、在勤する地域や官署で決まります(給与法第11条の3第1項)。住所ではなく勤務地です。自治体の扱いも条例で確かめてください。
「地域手当は給料だけに割合を掛ける」と思い込む
国では、俸給に加えて扶養手当などの月額も合計してから割合を掛けます(第11条の3第2項)。家族が増えて扶養手当が増えると、地域手当もわずかに増えます。
「割合は一度決まれば変わらない」と思い込む
国では、令和10年3月31日まで経過措置が置かれていて、割合が段階的に動いています。自治体でも条例改正で割合が変わることがあります。
「退職手当にも地域手当が入る」と思い込む
国の退職手当の基本額は、退職の日の俸給月額が基礎です(国家公務員退職手当法第3条第1項)。地域手当は入りません。
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まとめ
- 地域手当は、地方自治法第204条第2項にもとづき条例で支給できる手当の1つ。支給地域と割合は自治体の条例で決まる
- 国では、民間の賃金水準を基礎に、物価等を考慮して人事院規則で定める地域に在勤する職員に支給する(給与法第11条の3第1項)
- 国の月額は、俸給・扶養手当などの合計×級地の割合。級地は1級地100分の20から5級地100分の4までの5段階(同条第2項)
- 令和6年の勧告を受けた見直しで、令和10年3月31日までは経過措置として1〜20パーセントの17区分が使われる(人事院規則9-49附則)
- 割合の低い地域へ異動したときは、国では3年間の異動保障(1年目100%、2年目80%、3年目60%)がある(給与法第11条の7)
- 時間単価と期末手当の基礎には入るが、国の退職手当の基本額には入らない。転職では地域手当を含めた年間の額で比べる
よくある質問
自分の地域手当の割合はどこで分かりますか
給与条例と、その規則・別表で確かめられます。自治体の地域手当は、条例で支給地域と割合が定められていて、例規集で公開されていることが多いです。給与明細には地域手当の額だけが載っていることが多いので、割合を知りたいときは、明細の地域手当の額を、給料月額と扶養手当などの合計で割ってみると目安が分かります。ただし、算定の基礎に何を含めるか、経過措置で割合が段階的に動いているかどうかは自治体ごとに違います。正確な割合と今後の見込みは、人事担当課や給与担当に尋ねてください。
出向や派遣で勤務地が変わったら、地域手当はどうなりますか
勤務地が変わると、地域手当の割合も変わる可能性があります。国の地域手当は在勤する地域や官署で決まるので、勤務地が変われば適用される割合も変わります。割合の低い地域へ移った場合は、条件を満たせば一定期間、異動前の割合を基にした地域手当が支給される異動保障があります(給与法第11条の7)。自治体から国や他の団体へ派遣される場合は、どちらの給与制度が適用されるか、派遣の取決めによって扱いが違います。出向や派遣が決まったときは、人事担当課に地域手当の扱いを確かめてください。
地域手当の割合が高い自治体ほど、給与水準が高いのですか
月々の支給額は高くなりやすいですが、それだけで給与水準を比べることはできません。地域手当はもともと、地域の民間賃金や物価等の差を反映させるための手当です。割合が高い地域は、民間の賃金水準も高い傾向にある地域とされます。自治体の給与水準を比べる指標としては、総務省の調査結果や各自治体の「給与・定員管理等の状況」で公表されているラスパイレス指数や平均給与月額がありますが、それぞれ何を含めた数字かが資料に注記されています。転職先と比べるときは、地域手当を含めた年間の額と、その地域での生活費を合わせて考えてください。