制度とお金 / 給与・手当
病気休暇中の給与
病気休暇を取ると、休んだ日から給料が減るのか。療養中の家計を考えるときは、休める期間と給与が支給される期間を分けて確認する必要があります。病気休暇と病気休職も、同じ制度ではありません。
国の常勤一般職では、承認された病気休暇は原則として有給です。ただし、長期の病気休暇には給与の減額に関する別の定めがあります。地方公務員の扱いは所属の給与条例や勤務時間・休暇の条例、規則で確認します。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。会計年度任用職員などは勤務条件が異なるため、常勤職員の取扱いをそのまま当てはめないでください。
病気休暇の承認と給与の計算は別に確かめる
一般職の職員の給与に関する法律第15条は、勤務しない時間に応じた給与の減額を定めていますが、休暇による場合などをその対象から外しています。承認を受けた病気休暇は、無断で勤務しなかった時間と同じ扱いにはなりません。人事院の制度概要でも、国の病気休暇は原則連続90日まで、有給と説明されています。
ここでいう有給を「明細のすべての項目が前月と同額になる」と読むのは適切ではありません。勤務実績によって計算する手当と、月額で支給される給料では、支給の条件が違います。まず給料の減額の有無を確認し、その後に手当ごとの扱いを確かめます。給与条例の本文だけで決まらず、支給規則や運用通知に条件が置かれていることもあります。
地方公務員法第24条第5項は、給与や勤務時間その他の勤務条件を条例で定めるとしています。同法第25条では、給与の支給条件や支給方法も給与条例に定める事項です。国の90日という説明は制度を理解する参考になりますが、自分の自治体の休暇上限や減額の始まる日を決める根拠にはなりません。
確認を依頼するときは「病休なら給料は出ますか」だけで終わらせず、「私の任用区分で、今回承認される期間の給料と各手当はどうなりますか」と尋ねます。自分の区分、休暇の初日、療養予定期間を伝えると、担当者も該当する規定を確認しやすくなります。
病気休暇と病気休職で、給与の根拠が変わる
病気休暇は、勤務義務のある時間について休暇の承認を受けるものです。病気休職は、人事上の休職の発令を受けるものです。名称が似ていても、休暇の延長として給与が同じ条件で続くわけではありません。
| 確認する項目 | 病気休暇 | 病気休職 |
|---|---|---|
| 手続の起点 | 休暇の申請と承認 | 休職の発令 |
| 給与の確認先 | 休暇中の給与と減額に関する規定 | 休職者の給与に関する規定 |
| 最初に押さえる日 | 承認された休暇の開始日と終了日 | 辞令に記載された発令日 |
| 家計の見通し | 給料・手当・控除を分ける | 支給割合に加えて支給期間を確認する |
休暇が長くなったときは、次の期間も病気休暇として承認されるのか、休職の発令を受けるのかを人事担当に確認します。病気休職中の給与の仕組みは、休職中の給与に整理しています。どちらの制度を使うかを、給与額だけで本人が選べるとは限りません。療養の必要性や勤務の可否、所属の手続を合わせて確かめます。
転職先の制度を比べる段階なら、掲載中の求人を見てみることもできます。応募を決める前に、休暇制度の確認項目を整理しておく使い方でも構いません。
長引く病気休暇には、別の減額規定がある
国の給与法附則第6項には、公務上の傷病などを除き、人事院規則で定める病気休暇等の開始から90日を超えて引き続き勤務しないとき、対象となる日の俸給の半額を減ずる規定があります。病気休暇が通常は有給であることと、例外的に長く続いた病気休暇にこの規定があることは両立します。
ただし、休暇の制度上の期間計算と、給与半減の期間計算を同じものと決めつけないでください。以前の病気休暇が通算されるか、間に勤務した日がどう扱われるか、異なる疾病の場合の扱いなど、規則に沿った判定が必要です。「一度出勤すれば日数がすべて戻る」と考えて復帰日を組むのも適切ではありません。
人事院の概要資料には、一定の病気休暇の後に再び取得する場合、前後の期間を連続とみなす取扱いも示されています。療養と勤務を繰り返している場合は、直近の休暇だけでなく、過去の取得期間も一覧にして照会します。自分だけで数えた日数を給与の確定日として使わないことが大切です。
地方では、給与の減額条件も所属の条例・規則によります。人事担当には、減額の有無だけでなく、該当する条項、計算の起点、減額が反映される支給月を書面や案内資料で確認します。療養予定が変わったときは、当初の試算がどこまで有効かも確認してください。
給料、手当、控除を分けて明細を見る
病気休暇中の資金の見通しは、給料だけでは作れません。次の順に明細を確認すると、前月との差の理由を整理できます。
給料本体は、病気休暇として承認された期間に減額があるか、ある場合はどの日からかを確認します。月の途中で条件が変わるなら、その月の計算方法も質問します。支給日に変化が見えなくても、後日精算される予定がないかを確認しておきます。
各種手当は、実際の勤務や通勤に関係するものと、それ以外を分けます。時間外勤務手当のように勤務実績が関係する項目を、病気休暇前の平均額のまま見込まないようにします。通勤手当も、支給単位期間や払戻し・返納の条件を担当者に尋ねます。手当の名前だけで全国共通の結論は出せません。
期末手当と勤勉手当は、毎月の給料とは別に確認します。病気休暇の取得期間が、在職期間や勤務期間の計算、成績率にどう関係するかを質問します。「病気休暇は有給だから賞与も変わらない」とは限りません。支給見込みを聞く際は、どの時点の療養予定を前提とした試算かも記録します。
税や共済の掛金などの控除は、支給額と同じ比率では変わりません。一般的な取扱いとして、税や社会保険にはそれぞれ独自の算定方法があります。給料が減る時期の納付方法や精算は、所属の給与担当、共済組合、税の担当窓口で確認してください。額面と手取りを分けた見積りが必要です。
自分の経歴の整理も並行したい場合は、在職中でも、情報収集だけでも構いません。給与や給付の判定は所属の窓口に確認し、転職の相談では仕事の経験と希望条件を整理します。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。
人事担当へ伝えることと、回答を残すこと
最初に、休暇の申請先と給与の照会先が同じかを確認します。申請は所属長、給与は人事や総務の担当というように窓口が分かれている場合は、どちらかへの連絡だけで両方の確認が済んだと考えないようにします。
照会用のメモには、任用区分、休暇の予定期間、過去の関連する休暇期間、現在の支給項目を記載します。診断書などの提出が必要なら、書式、必要な記載事項、提出期限、更新の方法を尋ねます。病名や治療の情報は、指定された窓口と方法に従って取り扱います。
回答をもらったら、病気休暇の承認期間、給与の扱いが変わる日、次の書類提出日を別々に記録します。給与の見込みが立っても、休暇の延長手続が済んだことにはなりません。延長が必要になった際に、どの時点で連絡すべきかも確認しておくと、療養中の手続を減らせます。
給与明細が届いたら、見込みとの差を確認します。差があった場合は、休暇の承認が計算締切に間に合ったか、手当の精算があるかなど、項目ごとに理由を聞きます。振込額だけを見て、承認が取り消された、制度が変わったと判断する必要はありません。
転職先との比較は、入社直後の条件も含める
民間企業の病気休暇や病気休職の制度は、就業規則などで確認します。公務員と同じ名称でも、有給か無給か、対象となる勤続期間、休職できる期間が同じとは限りません。内定後に確認するときは、「病気休暇はありますか」に加え、「入社直後にも利用できますか」「給与と手当はどうなりますか」と具体的に尋ねます。
今の制度を使って療養を続ける場合と、退職して療養する場合では、身分と給与の前提が変わります。共済の給付が関係するなら、退職後の資格と給付の条件を共済組合に確認してください。病気休暇中の給与が転職先へ持ち越されるわけではありません。入社日を決める前に、治療や通院との両立も主治医と相談します。
経験の言い換えから整理したい場合は、LINEで短く聞くこともできます。制度の確認結果と、仕事選びの相談内容を分けておくと、必要な窓口につなげやすくなります。
よくある質問
病気休暇なら、すべての手当も同額ですか
同額とは限りません。給料の減額の有無と、勤務実績や通勤などに関係する手当の支給条件は別に確認します。賞与に当たる期末手当・勤勉手当も、毎月の給料と同じ計算ではありません。給与明細の項目を示して、休暇期間中と休職へ移った場合の扱いを所属の給与担当に尋ねてください。
国の原則90日を、自治体でも使えますか
国の制度を自分の自治体へそのまま当てはめることはできません。地方公務員の給与や勤務条件は条例で定められ、任用区分による違いもあります。所属の病気休暇の上限、通算の条件、給与の減額規定を確認します。過去の取得歴があるときは、今回だけの日数で判断しないようにします。
給与が減る前に退職を決めるべきですか
給与の見通しだけで退職を急ぐ必要はありません。療養の見通し、今の職場で利用できる制度、復職後の勤務条件、退職した場合の保険や給付を分けて確認します。共済組合や人事担当、必要に応じて主治医に相談し、現職で療養を続ける選択も含めて比較してください。