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給与が減額される場面|欠勤・休職・処分
公務員の給与は、条例に定めた額が毎月決まって支払われる、という印象が強いかもしれません。実際には、勤務しなかった時間や処分によって、条文の定めにしたがって減る場面があります。
減り方は、場面によって根拠も大きさも違います。承認のない欠勤、長期の病気休暇、休職、懲戒処分(減給・停職)、降給の5つに分けると整理しやすくなります。この記事では、それぞれの根拠と、月給だけでなく期末手当・勤勉手当や退職手当にどう波及するかを、国の法律と人事院規則を例に整理します。
地方公務員の給与は条例で定めるので(地方公務員法第24条第5項、第25条第1項)、減額の細かな率や期間は自治体ごとに違います。自分の扱いは、所属の給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
減額が起きる5つの場面
| 場面 | 根拠(国の例) | 減るもの |
|---|---|---|
| 承認のない欠勤・遅刻・早退 | 給与法第15条 | 勤務しない1時間につき、勤務1時間当たりの給与額 |
| 長期の病気休暇 | 給与法附則第6項 | 90日(規則で定める場合は1年)を超えた日の俸給の半額 |
| 休職 | 国家公務員法第80条、給与法第23条 | 原則として無給。病気休職などは一定期間、一定割合を支給できる |
| 懲戒処分(減給・停職) | 国家公務員法第82条・第83条、人事院規則12-0 | 減給は俸給月額の5分の1以下を1年以下。停職中は給与なし |
| 降給 | 国家公務員法第75条、地方公務員法第27条第2項 | 号給や級が下がり、以後の給料月額が下がる |
地方公務員でも、この5つの形はおおむね共通です。休職と降給は「この法律又は条例で定める事由」による場合に限られ(地方公務員法第27条第2項)、懲戒は地方公務員法で定める事由による場合に限られます(同条第3項)。
欠勤と病気休暇——時間単位の減額と、90日を超えた後の半減
給与法第15条は、職員が勤務しないときは、休日、休暇による場合、その他勤務しないことにつき特に承認のあった場合を除き、勤務しない1時間につき勤務1時間当たりの給与額を減額すると定めています。
つまり、年次休暇や病気休暇、特別休暇で休んだ時間は減額されません。減額されるのは、承認を得ずに勤務しなかった時間です。勤務1時間当たりの給与額は、俸給月額と地域手当などの月額の合計に12を掛け、週の勤務時間に52を掛けたもので割って求めます(第19条)。算式の読み方は給与の計算の仕組みに書いています。
病気休暇は休暇なので、原則として減額されません。ただし国では、公務・通勤によらない負傷や疾病の療養で、病気休暇の開始から90日(人事院規則で定める場合は1年)を超えて引き続き勤務しないときは、その期間経過後の日につき俸給の半額を減ずるとされています(給与法附則第6項)。病気休暇の日数の上限や休職との関係は病気休暇と病気休職にまとめています。
休職——原則は無給、例外として一定割合
国家公務員法第80条は、休職者は職員としての身分を保有するが職務に従事せず、給与に関する法律で別段の定めをしない限り、何らの給与を受けてはならないとしています。その別段の定めが給与法第23条です。
| 休職の事由(国の例) | 支給 |
|---|---|
| 公務上・通勤による負傷や疾病 | 休職の期間中、給与の全額 |
| 結核性疾患 | 満2年に達するまで、俸給・扶養手当・地域手当・住居手当・期末手当などの100分の80を支給できる |
| その他の心身の故障 | 満1年に達するまで、同じく100分の80を支給できる |
| 刑事事件で起訴された場合 | 俸給などの100分の60以内を支給できる |
地方公務員の休職の手続と効果は条例で定めます(地方公務員法第28条第3項)。病気休職中の給与と共済の傷病手当金の関係は病気休暇と病気休職で詳しく扱っています。
懲戒処分——減給と停職
地方公務員法第29条第1項は、懲戒処分として戒告、減給、停職、免職を定め、その手続と効果は条例で定めるとしています(同条第4項)。国の例で額と期間を見ると、次のとおりです。
- 減給:1年以下の期間、発令の日に受ける俸給の月額の5分の1以下に相当する額を、給与から減ずる(人事院規則12-0第3条)
- 停職:期間は1日以上1年以下(同規則第2条)。停職者は職員としての身分を保有するが職務に従事せず、停職の期間中は給与を受けることができない(国家公務員法第83条)
- 戒告:責任を確認し、将来を戒めるもの(同規則第4条)。それ自体で月給は減らない
懲戒の対象になる行為の考え方は信用失墜行為に、懲戒免職と退職手当の関係は退職手当の支給制限に書いています。
降給——以後の給料月額が下がる
国家公務員法第75条第2項は、法律または人事院規則で定める事由に該当するときは降給されるものとしています。地方公務員は、条例で定める事由による場合でなければ、その意に反して降給されることはありません(地方公務員法第27条第2項)。降給は、減給と違って期間を区切った減額ではなく、号給や級そのものが下がるため、以後の給料月額と、それに連動する手当や退職手当の基礎に影響します。
なお、60歳を超えた職員の給料月額が当分の間7割水準になる仕組みは、処分ではなく制度上の措置です。定年の引上げをご覧ください。
月給以外への波及——手当と退職手当
減額は、その月の給与だけで終わらないことがあります。国の例では次のとおりです。
| 波及先 | 扱い(国の例) |
|---|---|
| 期末手当 | 基準日に無給の休職者・刑事休職者・停職者である職員には支給しない(人事院規則9-40第1条) |
| 勤勉手当 | 給与法第15条で給与を減額された期間、休職の期間、病気で勤務しなかった期間が30日を超える場合のその全期間などを、勤務期間から除算(同規則第11条第2項) |
| 退職手当 | 休職や停職などで現実に職務をとることを要しない月(休職月等)は、その月数の2分の1を在職期間から除算(退職手当法第6条の4、第7条第4項。公務上の傷病による休職などは除く) |
勤勉手当の勤務期間の数え方は勤勉手当の仕組みに、期末手当は期末手当の仕組みに、退職手当の在職期間は勤続年数の数え方にまとめています。
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転職するとどうなるか
1. 民間でも「働かなかった分は払わない」が基本
民間企業でも、欠勤や遅刻の時間分を差し引く扱いは一般的です。ただ、病気休暇のような有給の休暇が何日あるか、休職中に給与が出るかは、会社の就業規則によって大きく違います。公務員の病気休暇や休職の給与は法律と条例で定められているので、転職先の就業規則と並べて確かめてください。
2. 処分の記録と退職手当
懲戒免職は、退職手当の支給制限につながることがあります(退職手当の支給制限)。減給や停職の期間中に退職する場合も、停職の月は退職手当の在職期間の除算に関わります。
3. 減額の途中で退職する場合
減給の期間中に退職すれば、減給はその時点で終わりますが、すでに減額された分が戻るわけではありません。退職月の給与と期末手当の扱いは、条例と人事担当課で確かめてください。
手続きと確認のしかた
- 欠勤の扱い:休暇の承認を得たか、得ていないか。承認のない時間は減額の対象(給与法第15条)
- 病気休暇の通算:何日目から俸給が半減するか。国は90日(附則第6項)。自治体は条例による
- 休職の給与:事由と期間、支給割合。国は病気休職で満1年まで100分の80を支給できる(第23条第3項)
- 処分の内容:減給の割合と期間、停職の期間。辞令や処分説明書で確かめる
- 波及の見込み:次の期末手当・勤勉手当、退職手当の在職期間への影響
給料と手当は条例で、細目は規則で定められています。自分の明細で何がいつ減るかは、人事担当課と給与の担当で確かめてください。
誤解されやすい点
「病気で休めば、その分の給与は必ず減る」と思い込む
病気休暇は休暇なので、承認を得て休んだ時間は給与法第15条の減額の対象外です。国で俸給が半減するのは、90日(規則で定める場合は1年)を超えて引き続き勤務しない場合です(附則第6項)。
「減給は給与が5分の1になる」と思い込む
国の減給は、俸給月額の5分の1以下を、1年以下の期間減ずるものです(人事院規則12-0第3条)。給与が5分の1になるのではありません。
「停職中も一部の給与は出る」と思い込む
国では、停職者は停職の期間中、給与を受けることができません(国家公務員法第83条)。
「休職すれば必ず無給になる」と思い込む
休職は原則無給ですが、公務上の傷病による休職は全額、病気休職は国では満1年まで100分の80を支給できる定めがあります(給与法第23条)。
在職中でも、情報収集だけでも構いません。LINEで短く聞くこともできます
まとめ
- 給与が減る場面は、承認のない欠勤、長期の病気休暇、休職、懲戒処分(減給・停職)、降給の5つ
- 承認のない勤務しない時間は、1時間につき勤務1時間当たりの給与額を減額(給与法第15条)。休暇で休んだ時間は減額されない
- 国では、病気休暇が90日を超えると、その後の俸給が半額になる(附則第6項)
- 休職は原則無給。病気休職は国では満1年まで100分の80を支給できる(第23条)
- 国の減給は俸給月額の5分の1以下を1年以下、停職中は給与なし(人事院規則12-0、国家公務員法第83条)
- 減額は、期末手当・勤勉手当と退職手当の在職期間にも波及する。自治体の扱いは条例と人事担当課で確かめる
よくある質問
遅刻を1回しただけでも、給与は減りますか
国の給与法第15条では、承認のない勤務しない時間について、1時間につき勤務1時間当たりの給与額を減額すると定めています。遅刻の時間を年次休暇などで処理できる場合は、減額の対象になりません。端数の時間の扱いや、どの単位で減額するかは、自治体の条例と規則で定められています。明細に減額が出ている場合は、給与の担当に何の時間が対象になったかを確かめてください。
減給処分を受けると、期末手当や勤勉手当も減りますか
減給そのものは、国では「俸給の月額の5分の1以下に相当する額を給与から減ずる」ものです(人事院規則12-0第3条)。期末手当・勤勉手当の扱いは別の規定により、勤勉手当は人事評価や勤務の状況に応じて成績率が決まる仕組みです。処分が成績率にどう反映されるかは、自治体の規則と運用によるので、人事担当課で確かめてください。勤勉手当の仕組みは勤勉手当の記事にまとめています。
病気休職中に転職先が決まった場合、退職手当は減りますか
国の例では、休職の月は、その月数の2分の1が退職手当の在職期間から除算されます(国家公務員退職手当法第7条第4項。公務上の傷病による休職などは除きます)。休職の期間が長いほど、在職期間が短く数えられる計算です。自治体の退職手当条例も国に準じた定めを置いていることが一般的ですが、扱いは条例で確かめてください。人事担当課に、休職の期間を含めた在職期間と、退職手当の見込額を照会すると判断しやすくなります。
出典
- 一般職の職員の給与に関する法律 第15条(給与の減額)/第19条(勤務1時間当たりの給与額)/第23条(休職者の給与)/附則第6項(病気休暇の俸給の半減)|e-Gov法令検索
- 地方公務員法 第24条第5項/第25条/第27条(分限及び懲戒の基準)/第28条(降任、免職、休職等)/第29条(懲戒)|e-Gov法令検索
- 国家公務員法 第75条(身分保障)/第80条(休職の効果)/第82条(懲戒の場合)/第83条(懲戒の効果)|e-Gov法令検索
- 人事院規則一二―〇(職員の懲戒) 第2条(停職)/第3条(減給)|e-Gov法令検索
- 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当) 第1条/第11条(勤勉手当に係る勤務期間)|e-Gov法令検索
- 国家公務員退職手当法 第6条の4(休職月等)/第7条第4項(在職期間の除算)|e-Gov法令検索