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昇給の仕組み|年に何号給上がるのか
毎年1回、給料月額が少し上がる。公務員として働いていると当たり前に感じる「昇給」ですが、何号給上がるのか、なぜ人によって違うのか、いつまで続くのかを条文で確かめたことのある方は多くありません。
昇給は、同じ級の中で号給が進むことです。国では、1年間を良好な成績で勤務した職員の昇給を4号俸とすることを標準とし、勤務成績に応じて号俸数を増減する仕組みが法律と人事院規則に書かれています。地方は、昇給の基準を給与条例で定めることになっています。
この記事では、国の昇給の条文、昇給区分と号俸数、55歳を超えたときと最高号給に届いたときの扱い、転職との関係を整理します。号給の数え方や昇給日、号給数は自治体ごとに違うので、自分の扱いは給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
昇給の基準は条例で定める——地方公務員法
地方公務員法第25条第3項は、給与に関する条例に定める事項の第3号に「昇給の基準に関する事項」を挙げています。昇給させるかどうか、何号給上げるかは、条例とそれを受けた規則で決まります。
あわせて、人事評価との関係も法律に書かれています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第23条第2項 | 任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用する |
| 第23条の2第1項 | 任命権者は、職員の執務について定期的に人事評価を行わなければならない |
| 第23条の3 | 任命権者は、人事評価の結果に応じた措置を講じなければならない |
昇給は、この「給与への活用」がもっとも分かりやすく表れる場面です。
国の昇給の条文——給与法第8条
国家公務員の昇給は、給与法第8条第6項から第11項に定められています。多くの自治体はこれを参考に条例・規則を作っているので、国の形を知ると自分の仕組みも読みやすくなります。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 第6項 | 昇給は、人事院規則で定める日に、その日前の人事院規則で定める日以前1年間の勤務成績に応じて行う。懲戒処分などがあれば、それも併せて考慮する |
| 第7項 | 期間の全部を良好な成績で勤務した職員の昇給の号俸数を4号俸とすることを標準として、人事院規則の基準で決める(一部の俸給表・級は3号俸または1号俸が標準) |
| 第8項 | 55歳を超える職員、行政職俸給表(一)の8級以上の職員などは、勤務成績が特に良好である場合に限り昇給する |
| 第9項 | 昇給は、その級の最高の号俸を超えて行うことはできない |
| 第10項 | 昇給は予算の範囲内で行う |
人事院規則9-8第34条は、昇給日を毎年1月1日、勤務成績を見る期間の区切り(評価終了日)をその前の9月30日としています。
昇給区分と号俸数——人事院規則9-8第37条
国では、直近の能力評価と、直近の連続した2回の業績評価の全体評語をもとに、職員をA〜Eの5つの昇給区分に分けます(第37条第1項)。
| 昇給区分 | 決まり方(第37条第1項の要旨) |
|---|---|
| A | 評語がいずれも「良好」以上で、勤務成績が極めて良好 |
| B | 評語がいずれも「良好」以上で、勤務成績が特に良好(A以外) |
| C | A・B、D・Eのいずれにも当たらない職員 |
| D | 評語のいずれかが「やや不十分」以下、懲戒処分を受けたなどで、勤務成績がやや良好でない |
| E | 同じく、勤務成績が良好でない |
区分ごとの号俸数は、別表第七の四「昇給号俸数表」で決まっています。行政職俸給表(一)7級以下の職員の場合は次のとおりです。
| 昇給区分 | A | B | C | D | E |
|---|---|---|---|---|---|
| 55歳を超えない職員など(上段) | 8以上 | 6 | 4 | 2 | 0 |
| 55歳を超える職員(下段) | 2以上 | 1 | 0 | 0 | 0 |
行政職俸給表(一)8級以上の職員は、A・Bで2・1号俸、C以下は0号俸です。国の標準(C)は4号俸で、55歳を超えると標準では昇給しません。
ほかにも、次のような規定があります。
- 評価期間の6分の1以上を勤務していない職員はD、2分の1以上ならEになる(人事院規則で定める事由によるものを除く。第37条第4項)
- 前年の昇給日の後に採用された職員などは、号俸数を在職月数で按分する(第37条第8項)
- A・Bに決定する職員の割合は、人事院の定める割合におおむね合致させる(第37条第6項)
自治体ではどうなっているか
地方の昇給も、条例と規則で同じような形をとっていることがありますが、昇給日、号給数、区分の名前、55歳以上の扱い、上位区分の割合は自治体ごとに違います。国の表をそのまま当てはめず、次の順で確かめてください。
| 順序 | 確かめること | どこで |
|---|---|---|
| 1 | 昇給日と、勤務成績を見る期間 | 給与条例・初任給昇格昇給等に関する規則 |
| 2 | 昇給区分ごとの号給数、標準の号給数 | 同上 |
| 3 | 一定年齢を超えた職員の扱い | 同上 |
| 4 | 自分の昇給区分と、今の級の最高号給までの残り | 人事担当課、給与条例の別表 |
| 5 | 自治体全体の給与の状況 | 各自治体の「給与・定員管理等の状況」、総務省の調査結果 |
転職するとどうなるか
1. 昇給日の直前に辞めると、その回の昇給は受けられない
昇給は昇給日に在職している職員に行われるのが原則です。国のように1月1日が昇給日なら、12月末で退職すればその回の昇給はありません。退職日を決めるときに、昇給日、期末・勤勉手当の基準日、退職手当の区切りを同じ表に並べておくと、取りこぼしが見えます。
2. 退職手当の基礎も変わる
退職手当の基本額は退職日の給料月額が基礎です。昇給の後に辞めるか前に辞めるかで、基礎になる額が変わります。仕組みは基本額の計算の考え方に書いています。
3. 民間の昇給は会社ごとに違う
民間の昇給は、等級制度と評価制度の作り方で大きく違います。毎年一定の幅で上がる会社もあれば、昇給がほとんどなく、等級が上がったときに大きく変わる会社もあります。内定の段階で、評価の時期、昇給の決まり方、過去の実績を確かめると、入社後の見通しが立ちます。
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誤解されやすい点
「昇給は全員同じ幅」と思い込む
国では、勤務成績に応じてA〜Eの区分で号俸数が変わります(人事院規則9-8第37条)。標準は4号俸ですが、全員が4号俸ではありません。
「何年いても毎年上がる」と思い込む
その級の最高号給に届くと、それ以上は昇給しません(給与法第8条第9項)。上がり続けるには昇格が必要です。
「55歳を過ぎても同じように上がる」と思い込む
国では、55歳を超える職員は勤務成績が特に良好な場合に限って昇給します(給与法第8条第8項第1号)。
「給料表の改定と昇給は同じもの」と思い込む
給料表の改定は表そのものの額が変わること、昇給は自分の号給が進むことです。両方が同じ年に起きることもあります。
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まとめ
- 地方では、昇給の基準を給与条例で定める(地方公務員法第25条第3項第3号)。人事評価は給与の基礎として活用される(第23条第2項)
- 国では、1年間良好な成績で勤務した職員の昇給は4号俸が標準(給与法第8条第7項)。昇給日は1月1日、評価の区切りは前年9月30日(人事院規則9-8第34条)
- 昇給区分はA〜Eの5つ。行政職俸給表(一)7級以下では8以上・6・4・2・0号俸(55歳を超えると2以上・1・0・0・0)
- 55歳を超える職員と8級以上の職員は、特に良好な場合に限り昇給する。級の最高号給を超えては昇給しない
- 自治体の昇給日・号給数・年齢の扱いは条例・規則で違う。自分の扱いは人事担当課で確かめる
- 転職の時期を決めるときは、昇給日と退職手当の基礎を同じ表に並べる
よくある質問
自分の昇給区分は教えてもらえますか
自治体の運用によりますが、人事評価の結果の開示や、昇給の通知で確かめられることがあります。昇給の後の号給は、辞令や通知、給与明細の変化で分かることが多いです。人事評価の結果を本人にどこまで伝えるかは、任命権者が定める人事評価の方法(地方公務員法第23条の2第2項)と運用によります。前年の号給と今年の号給を比べれば、何号給上がったかは計算できます。区分そのものを知りたいときは、人事担当課に照会してください。開示の範囲や方法は自治体の規則と運用で違うので、どこまで分かるかもあわせて尋ねると確実です。
途中で採用された年は、昇給はどうなりますか
国では、在職した月数に応じて号俸数が按分されます。人事院規則9-8第37条第8項は、前年の昇給日の後に新たに職員となった者の号俸数を、本来の号俸数に、採用日から昇給日の前日までの月数(1月未満は1月)を12で割った数を掛けて得た数(1未満の端数は切り捨て)としています。たとえば標準の4号俸の人が、昇給日の前に6か月在職していれば、4×6÷12で2号俸という計算になります。結果が0になれば昇給しません(同条第9項)。自治体の扱いは条例・規則で違うことがあるので、経験者採用で入った方や、途中で戻った方は人事担当課で確かめてください。
最高号給に届いたら、もう給料は上がりませんか
同じ級にいる限り昇給はありませんが、給料表の改定や昇格で給料月額が変わることはあります。給与法第8条第9項は、昇給はその級の最高の号俸を超えて行うことができないとしています。最高号給に届いた後も、人事委員会の勧告などで給料表が改定されれば、同じ号給のまま額が変わります。また、上の級に昇格すれば、昇格後の級の号給に移り、そこから再び昇給の余地が生まれます。最高号給に届く時期は、自分の級と号給から給料表で数えれば見込めます。続けるか転職するかを考えるときの材料として、人事担当課で昇格の見込みも尋ねておくと判断しやすくなります。