財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

制度とお金 / 給与・手当

通勤手当の仕組み|距離と交通手段

電車で通う人は定期券の額、車で通う人は距離に応じた額。同じ通勤手当でも、通い方によって決まり方がまったく違います。引っ越しや異動のたびに届け出ている方も多いはずですが、どういう計算で額が出ているかまでは、あまり意識しないかもしれません。

通勤手当は、通勤のために交通機関を利用して運賃を負担したり、自動車等を使ったりすることを常例とする職員に支給する手当です。国では、対象になる職員、交通手段ごとの額、上限、届出と返納が、法律と人事院規則に書かれています。この記事では、通勤手当の条文、交通機関と自動車等の違い、上限、手続きと返納、転職との関係を整理します。

地方公務員の通勤手当は、各自治体が条例で対象と額を定めます。この記事では特定の自治体の額を示しません。国の額は法令の条文で確かめたものだけを書いています。自分の扱いは、所属の給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。

通勤手当の根拠——地方自治法第204条と給与条例

地方自治法第204条第2項は、条例で支給できる手当の1つに通勤手当を挙げ、第3項で手当の額と支給方法を条例で定めるとしています。自治体の給与条例では、一般に次のようなことが定められています。

定めること内容
支給の対象交通機関、自動車等、その併用のどれで通う職員か
距離の要件徒歩での通勤距離が何キロ未満なら対象外か
額交通機関なら運賃等、自動車等なら距離区分ごとの額
上限1か月あたりいくらまでか
届出・支給・返納届出の期限、支給の時期、途中で変わったときの扱い

国の通勤手当——給与法第12条の3つの区分

国家公務員の通勤手当は、給与法第12条に定められています。第1項は、対象を次の3つに分けています。

号対象
第1号交通機関や有料の道路(交通機関等)を利用して運賃や料金を負担することを常例とする職員
第2号自動車その他の交通の用具(自動車等)を使用することを常例とする職員
第3号交通機関等と自動車等を併用することを常例とする職員

どの号にも共通して、徒歩で通勤するとした場合の通勤距離が片道2キロメートル未満の職員は除かれます。ただし、交通機関等や自動車等を使わなければ通勤することが著しく困難な職員は別です。人事院規則9-24第5条は、住居か勤務官署が離島等にある職員や、障害のため歩行が著しく困難な職員を挙げています。

自動車等に当たるものは、人事院規則9-24第9条で、自動車その他の原動機付の交通用具と自転車とされています。国や地方公共団体が所有するものは除きます。

交通機関で通う場合——運賃等相当額

第12条第2項第1号は、交通機関等を利用する職員の額を、支給単位期間の通勤に要する運賃等の額に相当する額(運賃等相当額)としています。どの経路で計算するかは、人事院規則9-24第6条が定めています。

支給単位期間は、6か月を超えない範囲で1か月を単位として人事院規則で定める期間です(給与法第12条第9項)。定期券を使う場合は、通用期間のうち最も長いものに相当する期間とされています(人事院規則9-24第22条)。6か月定期なら、6か月分がまとめて支給される形です。

自動車等で通う場合——片道の距離で決まる

第12条第2項第2号は、自動車等を使う職員の額を、月額66,400円を超えない範囲内で、使用距離の区分に応じて人事院規則で定める額としています。人事院規則9-24第8条の2は、片道の使用距離で21の区分を置いています。その一部を抜き出すと次のとおりです。

片道の使用距離月額
5キロメートル未満2,000円
5キロメートル以上10キロメートル未満4,200円
10キロメートル以上15キロメートル未満7,300円
15キロメートル以上20キロメートル未満10,400円
20キロメートル以上25キロメートル未満13,500円
100キロメートル以上66,400円

交通機関の場合と違い、自動車等の額は実際にかかったガソリン代ではなく、距離の区分で決まる定額です。支給単位期間は1か月です(給与法第12条第9項)。

職場や駅の周辺の駐車場を使って料金を負担している場合は、月額5,000円を超えない範囲で駐車場等に係る手当が加わります(第12条第5項、人事院規則9-24第16条・第18条)。在宅勤務等手当を受ける職員などは、自動車等の額から一定の割合を減じる規定があり(第12条第2項第2号)、人事院規則9-24第8条の3はその割合を100分の50としています。テレワークの制度は自治体のテレワークにまとめています。

併用、新幹線、上限15万円

併用する場合(第1項第3号)は、人事院規則9-24第8条の4が区分を定めています。自動車等の片道の使用距離が2キロメートル以上なら、交通機関の額と自動車等の額の両方が支給されます。それ以外は、どちらか高いほうの額になります。

新幹線や特急は、異動や官署の移転で通勤の実情が変わった職員などが、直前の住居から通う場合に、特別料金等に係る手当の対象になります(第12条第3項・第4項)。人事院規則9-24第10条は、新幹線鉄道等を使わない場合の通勤距離が60キロメートル以上か通勤時間が90分以上で、利用により通勤事情の改善が認められることなどを要件にしています。

上限は、交通機関、自動車等、新幹線鉄道等、駐車場等の1か月あたりの合計が15万円を超える場合、15万円に支給単位期間の月数を掛けた額です(第12条第6項)。

手続きと期限——届出、支給、返納

国では、通勤手当の手続きが人事院規則9-24に定められています。

段階内容
届出(第3条)要件を満たしたときは通勤届で速やかに届け出る。住居、通勤経路、通勤方法、駐車場、運賃の額が変わったときも同じ
確認と決定(第4条)定期券の提示や書類の提出を求める等の方法で確認し、額を決定または改定する
支給の始期(第20条第1項)要件を満たした日の属する月から
届出が遅れたとき(同項ただし書)事実が生じた日から15日を経過した後に届け出たときは、届出を受理した日の属する月から
額の改定(第20条第2項)増額はその事実の生じた月から(15日を過ぎた届出は受理した月から)。減額は翌月から
返納(給与法第12条第8項、規則第21条)離職や経路の変更などの事由が生じたときは、残りの期間を考慮した額を返納させる

住居手当や扶養手当が「翌月から」なのに対し、通勤手当は要件を満たした月から支給されるのが国の形です。ただし、15日を過ぎて届け出ると受理した月からになります。

転職で気をつけたいのは返納です。6か月分をまとめて受けている途中で退職すると、退職後の期間に相当する額を返すことになります。退職日が決まったら、定期券の払戻しと手当の返納の扱いを、人事担当課で確かめておくと手続きが重なりません。

転職するとどうなるか

1. 民間の通勤手当は会社の規程で決まる

民間企業の通勤手当も、法律で決まったものではなく、会社の賃金規程で決まります。全額を支給する会社、月額の上限を置く会社、マイカー通勤を認めない会社などがあります。内定の段階で、通勤手当の上限と、認められる通勤手段を確かめると、通勤の負担が見えます。

2. 税の非課税限度は、公務員も民間も同じ枠で見る

国税庁のタックスアンサーによると、電車・バスなどの通勤手当は、最も経済的かつ合理的な経路と方法で通勤した場合の定期券などの金額が非課税の限度で、1か月あたり15万円が上限とされています。マイカー・自転車通勤は、片道の距離に応じた限度額があり、片道2キロメートル未満は全額課税とされています。限度を超えた部分は給与として課税されます。個別の扱いは、転職先の担当や税務署で確かめてください。

3. 勤務地が変わると、通い方そのものが変わる

自治体の庁舎から民間のオフィスに移ると、勤務地が変わり、車通勤から電車通勤に、またはその逆に変わることがあります。通勤時間は毎日のことなので、手当の額と合わせて考えてください。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。相談の申込みはこちら

行政が相手の求人を見てみる

誤解されやすい点

「車通勤ならガソリン代の実費が出る」と思い込む

国の自動車等の額は、片道の使用距離の区分で決まる定額です(人事院規則9-24第8条の2)。実際にかかった燃料代とは連動しません。

「家から近くても交通機関を使えば必ず付く」と思い込む

国では、徒歩での通勤距離が片道2キロメートル未満の職員は、原則として対象外です(給与法第12条第1項)。

「好きな経路で定期を買えば、その額が出る」と思い込む

国では、最も経済的かつ合理的な経路と方法で計算します(人事院規則9-24第6条)。早く着く経路でも、高ければそのまま認められるとは限りません。

「退職しても受け取った定期代はそのまま」と思い込む

国では、離職したときは残りの期間を考慮した額を返納させるとされています(給与法第12条第8項)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

引っ越して通勤経路が変わったら、何をすればよいですか

国の場合、通勤届を速やかに出すのが基本です。人事院規則9-24第3条は、住居、通勤経路、通勤方法を変えたときも届け出るとしています。手当が増える場合、事実が生じた日から15日を過ぎて届け出ると、増額の始まりが届出を受理した日の属する月にずれます(第20条第2項)。手当が減る場合は、その事実の生じた月の翌月から改定されます。6か月分をまとめて受けている途中で経路が変わったときは、残りの期間について返納と再支給の調整が入ります。自治体の様式と期限は規則で決まっているので、転居が決まった段階で人事担当課に確かめてください。

自転車で通勤している場合も通勤手当は出ますか

国では、自転車も自動車等に含まれます。人事院規則9-24第9条は、自動車その他の原動機付の交通用具と自転車を、給与法第12条第1項第2号の交通の用具としています。片道の使用距離の区分に応じて、第8条の2の額が支給されます。ただし、徒歩で通勤するとした場合の距離が片道2キロメートル未満なら、原則として対象外です。自治体では自転車の扱いや距離の区分が条例で定められているので、確かめてください。転職先では、自転車通勤を認めるか、駐輪場代を出すかなどが会社ごとに違います。

退職する月の通勤手当はどうなりますか

国では、離職した日の属する月で支給が終わり、まとめて受けた分は残りの期間について返納します。人事院規則9-24第20条第1項は、離職した場合の支給の終期を定め、給与法第12条第8項と規則第21条は、離職したときに残りの期間を考慮した額を返納させるとしています。6か月定期の途中で退職するときは、定期券の払戻しの額と返納の額の関係を確かめておくと、手元の負担が分かります。返納の計算方法は自治体の規則で決まっているので、退職日が決まったら人事担当課に尋ねてください。転職先の通勤手当は、入社後に転職先の規程で申請します。

出典

  1. 一般職の職員の給与に関する法律 第12条(通勤手当)|e-Gov法令検索
  2. 人事院規則九―二四(通勤手当)第3条〜第22条|e-Gov法令検索
  3. 地方自治法 第204条(給料・手当)|e-Gov法令検索
  4. 国税庁 タックスアンサー No.2582 電車・バスなどの通勤手当の非課税限度額
  5. 国税庁 タックスアンサー No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。