エージェントベストジョブ財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

制度とお金 / 年金

繰上げ・繰下げ受給の考え方

年金を早く受け取るか、待って受け取るかは、年額の増減だけで決めるものではありません。公務員期間がある場合は、老齢基礎年金、共済と民間の老齢厚生年金、年金払い退職給付を区分します。どれを同時に請求する必要があるか、先に確認してください。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。公的な老齢基礎・厚生年金を中心とした一般的な整理です。本人の選択条件や試算、請求の時期は、共済組合・年金事務所等で確認してください。

受給時期の選択と退職する時期は別

老齢基礎・厚生年金は原則65歳から受け取ります。一定の要件のもと、60歳から65歳になるまでに請求する繰上げと、66歳以後に遅らせる繰下げがあります。国民年金法附則第9条の2は繰上げ、第28条は繰下げに関係し、厚生年金保険法第44条の3にも繰下げの規定があります。

仕事を辞めたから自動的に年金が始まるわけではなく、働き続けているからすべて請求できないというものでもありません。加入制度、受給権、在職による停止等を確認したうえで、請求する時期を判断します。

また、生年月日等で対象が異なる特別支給の老齢厚生年金は、通常の繰上げとは別の給付です。日本年金機構は、特別支給には繰下げ制度がないと説明しています。請求を遅らせれば同じように増額する、と考えないでください。

繰上げと繰下げで同時請求の範囲が違う

選択基礎年金と厚生年金複数の実施機関の厚生年金
繰上げ原則として同時に請求共済期間分も原則同時に確認
繰下げ基礎と厚生を別々に選択できる厚生年金同士は原則同時の請求
年金払い退職給付基礎・厚生とは別の制度共済独自の請求条件を確認

公立学校共済組合のQ&Aも、複数の老齢厚生年金を繰り下げる場合の同時請求と、基礎年金は別に選べることを区分しています。民間期間だけを先に請求し、共済の厚生年金だけを後で増額する、と自由に分割できるとは考えません。

経過的職域加算額も、共済の老齢厚生年金と一緒に扱う部分があります。請求前に、手元の各通知の正式名称、実施機関、受給権が生じる日を並べてください。すでに一部の年金を受給している場合は、その事実も担当へ伝えます。

繰上げは生涯の減額と取消不可を確認する

日本年金機構の案内では、1962年4月2日以後生まれの方の全部繰上げの減額率は、一か月につき0.4パーセントです。1962年4月1日以前生まれの方は0.5パーセントとなります。月数の数え方や特別支給がある場合の計算も関係します。

この減額は、65歳になれば元へ戻るものではありません。請求した翌月分から支給され、生涯にわたって減額が続きます。また、繰上げ請求は取り消せません。受給後に生活が変わったら原則の開始年齢へ戻す、という前提で選ばないでください。

減額の対象から加給や振替の額を除く等の取扱いもあります。通知に載る年金総額へ一律の率を掛けるだけでは、本人の支給額を確かめたことになりません。共済と機構の試算で対象額と項目を確認します。

さらに、繰上げ後は国民年金の任意加入や追納ができなくなり、事後重症等による障害年金の請求にも制約が生じます。治療中の傷病や過去の初診日がある場合は、年金窓口へ事実を伝えて先に確認します。治療や受診を年金のために自己判断で変えることはせず、医学的な相談は主治医へ行ってください。

繰下げは上限と増額される部分を分ける

繰下げは一か月につき0.7パーセントの増額が基本です。機構の現行案内では、原則66歳以後75歳までの選択を説明していますが、1952年4月1日以前生まれ等には70歳までの区分があります。受給権発生日にもよるため、全員が同じ上限とは考えません。

年金を請求しなかった期間は、その分の生活資金を別に用意する必要があります。待っているだけで毎月年金を受け取りながら、同じ期間の繰下げ増額も付く仕組みではありません。受給開始後の額と、開始までの家計を分けて比べます。

加給年金額や振替加算額は、繰下げによる増額対象ではなく、待機中も支給されません。老齢厚生年金を待つ場合の加給、老齢基礎年金を待つ場合の振替を区分し、配偶者の年齢等による終了時期も確認します。加給年金と振替加算も参照できます。

働きながら待つ場合は、在職老齢年金で停止される額に相当する部分が、繰下げの増額対象から除かれます。「働いて受け取らなかった年金の全額に増額率が掛かる」とは限りません。実際の給与と賞与、加入状況を担当に示して試算を依頼します。

障害・遺族の年金や他給付も伝える

繰下げには、他の年金の受給権による制約があります。日本年金機構は、65歳から66歳までの間に障害・遺族給付を受ける権利がある場合等について注意事項を示しています。一方、障害基礎年金のみの受給権がある人が老齢厚生年金を繰り下げる場合など、制度ごとの例外もあります。

受給権があることと振込があることは別です。請求していない年金や支給停止中の年金も含め、担当へ伝えます。66歳以後の待機中に他の年金の受給権が生じる場合は、その時点で増額率が固定される等の扱いもあります。

2025年改正による遺族厚生年金の受給権がある方の繰下げ見直しについても、機構は2028年3月31日時点の年齢等の条件を説明しています。2026年現在の要件と、将来の経過措置を混ぜず、本人がどの時点の制度に該当するか確認してください。

雇用保険の基本手当等を受ける場合にも、65歳までの老齢厚生年金の停止が関係することがあります。公務員の失業者の退職手当は別制度であり、名称が似ているから同じ調整と判断しません。給付の正式名称と支給元を窓口へ示すことが大切です。

共済の年金払い退職給付は別に請求を確認

年金払い退職給付の繰上げ・繰下げは、基礎・厚生年金と同じ率を機械的に掛けるものではありません。給付算定基礎額への利子や年金現価率が関係します。終身と有期を一緒に繰り上げ・繰り下げることと、基礎・厚生年金の同時請求の要否も区別します。

地方職員共済組合のQ&Aは、年金払い退職給付を繰り上げる場合、老齢基礎・厚生年金を同時に繰り上げる必要はないと説明しています。制度ごとに別の選択があるため、厚生年金の請求書を出せば、すべて同じ開始時期に決まるとは考えません。

有期部分の十年・二十年・一時金の選択も、受給開始時期とは別の事項です。年金払い退職給付の受け取り方で請求期限と選択を確認できます。本人の照会では、公的な老齢年金と退職等年金給付の両方の名称を挙げてください。

税引前の比較と家計の比較を分ける

受取時期を変えると、所得税・住民税、医療保険や介護保険の保険料・自己負担、年金生活者支援給付金等に影響する場合があります。額面の増額率と、家計へ実際に残る額の増加率は同じではありません。家族の所得や加入先も関係するため、本人の条件で担当窓口へ確認します。

一つの年齢を損得の境目として全員に勧めることはできません。受け取らない間の資金、配偶者の年金、在職停止、税・保険、将来の支出等で前提が変わります。比較表には、何を含めて何を含めない試算なのかを明示します。

比較のために準備する項目確認先の例
各年金の額と受給権発生日共済・年金事務所
同時請求と生年月日別の条件各年金の実施機関
家族に係る加算と停止共済・年金事務所
税や保険の影響税務署・市区町村・保険者等
待機中の収入と支出本人・家族で整理

本人の希望で働く条件も比較したい場合は、公務員向け求人情報を閲覧できます。受取時期を検討しているだけで、転職を決める必要はありません。

請求前の照会と提出後の控えを残す

相談では、受給中と未請求の年金を一覧にして、どの年金をいつから受けたいかを伝えます。試算は生年月日、加入期間、家族、給与等の前提を確認し、回答日も控えます。古い試算を勤務条件が変わった後にそのまま使わないでください。

繰下げを考えていた人でも、実際の請求時に本来の年金を遡って受ける選択等がありますが、時効や特例、税・保険の遡及への影響があります。単に請求を忘れても全期間が増額されると考えず、担当へ選択肢を確認します。繰上げの取消不可とは別の話です。

よくある質問

基礎年金だけを先に受け、厚生年金を繰り下げられますか

繰下げでは基礎と厚生を別々に選べます。ただし共済と機構等の複数の老齢厚生年金同士は原則同時です。すでに受給中の年金や他年金の受給権を伝えて確認します。

繰上げを請求してから元に戻せますか

繰上げ請求は取り消せません。減額は生涯続き、任意加入や追納、障害年金等にも制約があります。提出する前に本人の条件を確認してください。

繰下げの増額率だけで手取りを比べられますか

税・保険や加給等、在職停止により実際の比較は変わります。増額される部分と待機中に受け取れない部分を区分し、本人の家計と制度の担当窓口で確認します。

経験や希望条件を整理したい場合の相談フォームは任意です。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。LINEの案内を読むだけでも構いません。年金の請求と個別の試算は、共済・年金事務所等が窓口です。

出典

  1. 国民年金法 第28条・附則第9条の2
  2. 厚生年金保険法 第44条の3
  3. 日本年金機構 年金の繰上げ受給
  4. 日本年金機構 年金の繰下げ受給
  5. 厚生労働省 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
  6. 公立学校共済組合 年金Q&A
  7. 地方職員共済組合 年金払い退職給付について

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。